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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D7 |
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管理番号 | 1340187 |
審判番号 | 不服2017-14672 |
総通号数 | 222 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2018-06-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-10-03 |
確定日 | 2018-04-09 |
意匠に係る物品 | テーブル用天板 |
事件の表示 | 意願2015- 26302「テーブル用天板」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成27年11月25日の意匠登録出願であって,平成28年9月20日付けの拒絶理由の通知に対し,平成28年11月7日に意見書が提出されたが,平成29年6月27日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,平成29年10月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠 本願意匠は,意匠に係る物品を「テーブル用天板」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠 原査定の拒絶の理由は,本願意匠は,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する,というものである。 引用意匠は,日本国特許庁発行の意匠公報(公報発行日:平成11年11月5日)に記載された,意匠登録第1053408号(意匠に係る物品,テーブル)の意匠の天板部分であり,その形態を,同公報に記載されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。 第4 対比 1 意匠に係る物品の対比 本願意匠の意匠に係る物品は「テーブル用天板」であり,引用意匠は,意匠に係る物品を「テーブル」とする意匠の天板部分であるから,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は一致する。 2 形態の対比 対比にあたって,両意匠の図の向きを合わせるため,本願意匠の「正面図」を右に180度回転したものを「平面図」とし,「平面図」を「正面図」とし,「左側面図」を「右側面図」とする。 (1)形態の共通点 (共通点1)両意匠は,全体が薄い平板状である点で共通する。 (共通点2)両意匠は,平面視の輪郭形状について,曲率が異なる2つの円弧を上下向かい合わせにし,左右両端の角部を丸く形成した点で共通する。 (2)形態の相違点 (相違点1)平面視の輪郭形状における曲率の大きな円弧について,本願意匠は半円に近い長さであるのに対して,引用意匠は約3分の1円の長さであり,一方,曲率の小さな円弧については,本願意匠の方が引用意匠よりも曲率がやや大きいものであるから,本願意匠は引用意匠と比較すると向かい合う円弧の曲率の差が大きく,これにより,平面視の垂直方向の長さにおいて,曲率の大きな円弧部分の長さと曲率の小さな円弧部分の長さの割合は,本願意匠が約8:2であるのに対し,引用意匠は約7:3である点において,両意匠は相違する。 (相違点2)平面視の輪郭形状における縦横の長さ比率が,本願意匠は約4:7であるのに対し,引用意匠は約4:9である点で,両意匠は相違する。 (相違点3)天板周囲の端面が,本願意匠は垂直であるのに対し,引用意匠は下方に向かい内側方向に傾斜している点で,両意匠は相違する。 第5 判断 1 意匠に係る物品の類否判断 本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品は,同一である。 2 形態の共通点及び相違点の評価 テーブルは,配席や卓上配置等の使用方法が,天板の輪郭形状により変わってくることから,両意匠において,需要者はその平面視の具体的輪郭形状に特に注目するといえる。 (1)形態の共通点 共通点1に係る平板状の形態は,テーブル用天板としてごくありふれたものに過ぎず,需要者の注意を惹く点ではないから,意匠全体の美感に与える影響は小さい。 共通点2は,平面視の輪郭形状における概括的な曲線構成が共通するということに過ぎず,意匠全体の美感を決定付けるものとはいえない。 (2)形態の相違点 相違点1により,本願意匠は平面視の輪郭形状が半円形に近い印象であるのに対し,引用意匠は側面視した紡錘形に近い印象であり,また,相違点2についても,引用意匠は平面視において横に細長く,縦幅が狭い印象であるのに対し,本願意匠は縦幅が広く,これらの相違により需要者は,両意匠の配席や卓上配置等の使用方法に違いが生じるとの印象を受けるから,相違点1及び相違点2は,両意匠の平面視の美感に大きな差異をもたらしているといえる。 相違点3は,薄い板体の側周端面に係る相違点であり,視覚的に目立つものではないから,意匠全体の美感に与える影響は小さい。 3 両意匠の類否判断 両意匠の形態における共通点及び相違点の評価に基づき,意匠全体として総合的に観察した場合,両意匠は,上記相違点1及び相違点2の評価のとおり,需要者の注意を強く惹く平面視の具体的輪郭形状について美感に大きな差異があり,共通点1の平板状の全体形状や共通点2の平面視の概括的な輪郭形状における共通性を考慮しても,意匠全体として観察した際に異なる美感を起こさせるものといえる。 したがって,両意匠は,意匠に係る物品は同一であるが,その形態において,需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しない。 第6 むすび 以上のとおり,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2018-03-23 |
出願番号 | 意願2015-26302(D2015-26302) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(D7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 前畑 さおり |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 竹下 寛 |
登録日 | 2018-04-27 |
登録番号 | 意匠登録第1605031号(D1605031) |
代理人 | 渡邊 徹 |
代理人 | 松下 満 |
代理人 | 弟子丸 健 |
代理人 | 倉澤 伊知郎 |
代理人 | ▲吉▼田 和彦 |
代理人 | 山本 泰史 |
代理人 | 田中 伸一郎 |