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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 M2 |
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管理番号 | 1341146 |
審判番号 | 不服2017-16862 |
総通号数 | 223 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2018-07-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-11-13 |
確定日 | 2018-06-12 |
意匠に係る物品 | シャワーヘッド |
事件の表示 | 意願2016- 10073「シャワーヘッド」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 平成28年 5月12日 意匠登録出願 平成29年 3月28日付け 拒絶理由通知書 平成29年 5月19日 意見書提出 平成29年 8月15日付け 拒絶査定 平成29年11月13日 審判請求書提出 第2 本願意匠 本願の意匠は、願書及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品を「シャワーヘッド」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を願書及び願書に添付した図面に記載したとおりとしたものである。(以下、「本願意匠」という。)(別紙第1参照) 第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって、拒絶の理由に引用した意匠(以下、「引用意匠」といい、本願意匠と合わせて、両意匠という。)は、 「欧州共同体商標意匠庁が発行した 欧州共同体意匠公報 2009年11月17日 シャワーヘッド(登録番号001176721-0005)の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HH21209682号)」(別紙第2参照) である。 第4 当審の判断 1 本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は、「シャワーヘッド」であり、引用意匠の意匠に係る物品は、「シャワーヘッド」であって、一致する。 (2)形態 両意匠の形態を対比すると、主として、以下の共通点と差異点が認められる。 なお、対比のため、本願意匠の図面における正面、平面等の向きを、引用意匠にもあてはめることとする。 (2-1)共通点 基本的構成態様として、 (A)両意匠は、やや大きめの厚肉円盤状のヘッド部の周側面から略筒状のグリップ部を形成し、ヘッド部はグリップ部に対し、右側面視略倒への字状に屈曲し、斜め下方を向いたヘッド部の略円形状の前面を散水ノズル面として、多数のノズル孔を形成した点、 具体的構成態様として、 (B)ノズル孔は、散水ノズル面に4重の同心円状に配されている点、 (C)グリップ部の下端にはグリップ部より一回り縮径した略短円筒状の突出部(係合部)を設けている点、 が共通している。 (2-2)相違点 具体的構成態様として、 (ア)ヘッド部と突出部を含むグリップ部の縦幅の長さの比率が、本願意匠は、約4:7であるのに対し、引用意匠は、約4:6である点、 (イ)側面視でのヘッド部の長さと厚みの比率が、本願意匠は約5:2であるのに対し、引用意匠は5:1である点、 (ウ)側面視でのヘッド部とグリップ部との屈曲の角度が本願意匠は約145度であるのに対し、引用意匠は約165度である点、 (エ)ヘッド部の形態について、本願意匠は、前面が僅かに膨出した略平坦面で周側面から後背部にかけて緩やかに曲面を成して、稜部が丸みを帯びた略平椀状であるのに対し、引用意匠は前面も後背部も僅かに膨出した略平坦面で、周側面は前面に対し、垂直面状に形成された稜部の角張ったものである点、 (オ)グリップ部の形態について、本願意匠は、前面側が略平坦状で、後背側が略円弧状の筒状となるものであって、側面視で上方から下方にかけて略等幅で、正面視では上方から下方に向けて僅かに幅狭となり、下端の突出部は周側面に溝などないものであるのに対し、引用意匠は、ヘッド部の接合側が扁平状であり、下方にいくにしたがって次第に略円形状となるものであって、側面視で上方から下方に向けて幅広に、正面視では上方から下方に向けて僅かに幅広になり、下端の突出部は周側面に螺合溝を形成している点、 (カ)ノズル孔について、本願意匠は点状のごく小径のものであるのに対し、引用意匠は小円形状のものである点、 で相違している。 2 両意匠の類否 以上の一致点、共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して、両意匠の意匠全体としての類否を検討し、判断する。 両意匠は、意匠に係る物品が一致するが、形態については、以下のとおりである。 (1)共通点の評価 基本的構成態様としてあげた共通点(A)は、両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであるから、この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を大きいということはできない。また、具体的構成態様としてあげた共通点(B)も、ノズル孔が、散水ノズル面に4重の同心円状に配されているものは、シャワーヘッドの物品分野において、よく見られる形状であるから、この点が両意匠にのみ共通する特徴であるとはいえず、(C)は、シャワーヘッドの物品分野において、ホースなどを接続するためにグリップ部より一回り縮径した突出部を設けることはごく普通のことであって、下端部の目立たない箇所でもあり、特段需要者の注意を惹くものとはいえず、両意匠の類否判断に及ぼす影響は共に小さい。 よって、共通点(A)ないし(C)の両意匠の類否判断に及ぼす影響はいずれも小さく、共通点全体があいまって生ずる効果を考慮したとしても、両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。 (2)相違点の評価 これに対して、両意匠の具体的構成態様に係る各相違点は、相違点(ア)については、各部位の構成比率に関わり、全体の具体的プロポーションにかかるものであるが、大きいとはいえない程度の多少の構成比率の相違であるから、この点が両意匠の類否判断に与える影響は一定程度にとどまる。 次に、相違点(イ)は、ヘッド部の長さに対する厚みの相違であって、全体のプロポーションに関わり、両意匠は、ヘッド部の長さに対する厚みに約2倍の相違があるものであるから、視覚的効果に与える影響は小さいものとはいえず、この点が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 また、相違点(ウ)については、ヘッド部の傾き角度の相違であって、全体のプロポーションにも影響を与えるものであり、全体の印象に関わり、この点が類否判断に与える影響は大きい。 さらに、相違点(エ)はヘッド部の具体的形状についてであり、ヘッド部は吐水機能を有し、把持時にも目につく箇所であるから、需要者がもっとも注意を払うところ、この相違点は、上記相違点(イ)ともあいまって、両意匠の相違を視覚的に強く印象づけるものであって、両意匠の類否判断に極めて大きな影響を与えるものである。 そして、相違点(オ)は具体的なグリップ部の形状の相違であって、使用時には把持に関わる箇所であるから需要者も一定の注意を払うところ、両意匠のグリップ部の具体的形状は、大きく異なり、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 最後に、相違点(カ)については、ノズル孔について、点状のごく小径のものも小円形状のものも双方共にシャワーヘッドの物品分野において、よく見られるものであって、この点が両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 そうすると、相違点(ア)は両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるにとどまるものであって、相違点(カ)が両意匠の類否判断に与える影響は小さいとしても、相違点(イ)、(ウ)及び(オ)が両意匠の類否判断に与える影響が大きく、相違点(エ)は両意匠の類否判断に極めて大きな影響を与えるものであるから、それら相違点(ア)ないし(オ)があいまった視覚的効果も考慮して総合すると、相違点は、共通点を凌駕して、両意匠を別異のものと印象づけるものであるから本願意匠が引用意匠に類似するということはできない。 (3)小括 したがって、両意匠は、意匠に係る物品は、一致するが、形態においては、共通点が未だ両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており、両意匠は、意匠全体として別異のものと印象付けられるものであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2018-05-30 |
出願番号 | 意願2016-10073(D2016-10073) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(M2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 樫本 光司 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
竹下 寛 渡邉 久美 |
登録日 | 2018-06-22 |
登録番号 | 意匠登録第1609014号(D1609014) |
代理人 | 芝 哲央 |
代理人 | 星野 寛明 |
代理人 | 正林 真之 |
代理人 | 岩池 満 |
代理人 | 瓜本 忠夫 |