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審決分類 |
審判 査定不服 意10条1号類似意匠 取り消して登録 H1 |
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管理番号 | 1344886 |
審判番号 | 不服2015-5812 |
総通号数 | 227 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2018-11-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-03-30 |
確定日 | 2015-10-02 |
意匠に係る物品 | 振動センサー |
事件の表示 | 意願2014- 6018「振動センサー」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとし,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとして,本意匠を意願2013-30980号(意匠登録第1501785号)(以下,「本意匠」という。)とする関連意匠の意匠登録出願であって,平成26年(2014年)3月20日に出願されたものであって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「振動センサー」としたものであり,その形態は,願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのもので,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)としたものである。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由及び本意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められず,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものである。 その理由として,本願意匠は,当該物品における意匠登録を受けようとする部分の形状が前記本意匠と相違する,としたものである。 本意匠は,物品の部分について意匠登録を受けようとして,平成25年(2013年)12月27日に出願されたものであって,平成26年(2014年)年6月6日に意匠権の設定の登録がなされた意願2013-30980号(意匠登録第1501785号)の意匠であって,その意匠は,意匠に係る物品が「振動センサー」であり,その形態は,願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのもので,「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,本意匠において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本意匠実線部分」という。)としたものである。(別紙第2参照) 3.両意匠の対比 そこで,本願意匠が本意匠(以下,「両意匠」という。)と類似するか否かについて,以下検討する。 (1)意匠に係る物品 両意匠を対比すると,両意匠は,いずれも,例えばテニスラッケットその他の運動用具に取り付け,球が当たった際などの振動を感知する「振動センサー」に係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品が一致する。 (2)用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲 本願実線部分と本意匠実線部分(以下,「両部分」という。)は,いずれも運動用具に取り付け,振動の記録に用いられる振動センサーのラケットへの嵌合部分であって,この部分の用途及び機能が共通し,また,共に略きのこ形状の振動センサーの下方の軸部(以下,「軸部」という。)の周側面に設けられた嵌合凹部(以下,「嵌合凹部」という。)を部分意匠として意匠登録を受けようとする部分としたものであるから,両部分の位置,大きさ及び範囲も共通する。 (3)形態 両部分の形態については,主として,以下の共通点及び差異点が認められる。 (3-1)共通点 (A)部分全体を下方の軸部の周側面に設けられた嵌合凹部とし,軸部の周側面の正面側と背面側の2箇所に底面視点対称の配置で設けている点, (B)二つの嵌合凹部は,いずれも軸部の上下に僅かに余地部を残してほぼ軸部の上下一杯に設けたもので,一方の嵌合凹部の内角部に傾斜部を設け,その垂直方向の凹部が幅広である略倒L字状に切り欠いて形成している点, において主に共通する。 (3-2)差異点 (ア)軸部の嵌合凹部の形状について,幅広の略倒L字状の嵌合凹部以外の嵌合凹部の形状が,本願実線部分は,略逆コの字状であるのに対して,本意匠実線部分は,垂直方向の凹部が幅狭である略倒L字状である点, (イ)幅広の略倒L字状の嵌合凹部における水平方向の凹部について,本願実線部分は,水平方向の凹部の高さと嵌合凹部全体の高さの割合が約0.4:1であるのに対して,本意匠実線部分は,約0.26:1である点, において主な差異が認められる。 4.類否判断 (1)意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は一致する。 (2)両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲 両部分の用途及び機能が共通し,その位置,大きさ及び範囲も共通する。 (3)形態 そこで両部分の形態について検討するに,前記共通点(A)については,この種物品において,両部分のように部分全体を下方の軸部の周側面に設けられた嵌合凹部とし,軸部の周側面の正面側と背面側の2箇所に底面視点対称の配置で設けた態様は,両意匠の出願前には見られなかった特徴的なものといえ,両部分の類否判断に大きな影響を与えるものであり,また,共通点(B)については,この種の振動センサーの需要者にとって,二つの嵌合凹部は,使用時に特に注意を払う部分といえ,それらを,いずれも軸部の上下に僅かに余地部を残してほぼ軸部の上下一杯に設け,一方の嵌合凹部の内角部に傾斜部を設け,その垂直方向の凹部が幅広である略倒L字状とした態様は,需要者に強い共通感を抱かせるものであって,両部分の類否判断に影響を与えるものである。 そして,これらの共通点は,部分全体としてみても両部分の類否判断を決定付けているものというべきである。 これに対し,差異点(ア)の軸部の嵌合凹部の形状の差異については,一方の嵌合凹部の形状のみに着目した場合には,その差異は確かに認められるものではあるが,前記した共通点(A)及び(B)の顕著な共通性と両部分の共通する位置,大きさ及び範囲を考慮して比較した場合には,他には見られない,運動用具に取り付けられる略きのこ形状の振動センサーにおける嵌合部であって,両部分の強く共通する態様が醸成する印象に埋没してしまうものといえるから,この差異点が両部分の類否判断に与える影響は微弱なものに過ぎない。 また,差異点(イ)についても,同様の略倒L字状の嵌合凹部の共通する態様の中での部分的で軽微な差異であるから,目立たない差異といえ,前記した両部分の強く共通する態様が醸成する印象に埋没してしまうものといえるから,看者の注意を惹くものとはいえず,両部分の類否判断にあたって格別の評価をすることはできない。 そうすると,共通点は,両部分に独自で特徴的なものであり,需要者の注意を強く惹き,共通の美感を起こさせるものであるのに対し,差異点は,その視覚に訴える意匠的効果としては格別の評価ができないものであるから,共通点が差異点を凌駕し,両部分は,類似するものと認められる。 (4)小括 以上のとおり,本願意匠と本意匠は,意匠に係る物品が一致し,両部分の部分意匠としての用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲が共通し,また,両部分の形態についても,差異が認められるものではあるが,全体としては共通点が差異点を凌駕し,両部分は,相互に類似するものであるから,本願意匠は,本意匠を意願2013-30980号(意匠登録第1501785号)とする関連意匠として意匠登録を受けることができるものである。 5.むすび したがって,本願意匠は,意匠法第10条第1項に規定する意匠に該当するので,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2015-09-11 |
出願番号 | 意願2014-6018(D2014-6018) |
審決分類 |
D
1
8・
3-
WY
(H1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 上島 靖範 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
斉藤 孝恵 江塚 尚弘 |
登録日 | 2015-10-30 |
登録番号 | 意匠登録第1539267号(D1539267) |
代理人 | 五味 飛鳥 |