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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L4 |
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管理番号 | 1354979 |
審判番号 | 不服2019-4506 |
総通号数 | 238 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2019-10-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-04-05 |
確定日 | 2019-08-19 |
意匠に係る物品 | 引戸 |
事件の表示 | 意願2018-11661「引戸」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の主な経緯 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成30年(2018年)5月29日の意匠登録出願であって,その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。 平成30年 9月20日付け:拒絶理由の通知 平成30年11月 1日 :意見書の提出 平成30年12月27日付け:拒絶査定 平成31年 4月 5日 :審判請求書の提出 令和 1年 7月 5日 :手続補正書の提出 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「実線であらわされた部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。 引用意匠 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1587224号 (意匠に係る物品,建物用引き戸扉)の意匠のうち本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分 第4 当審の判断 1 本願意匠 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「引戸」である。 (2)本願部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲 本願意匠に係る物品のうち,意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は,引戸における枠付の丸窓部分であり,戸の幅の約3分の1戸先側に寄せた位置で,かつ,戸の下端から僅かに上にあげた位置であり,窓の直径が戸の幅の約4割とした大きさ及び範囲であって,引戸の窓という用途及び機能を有している。 (3)本願部分の形状 本願部分の形状は,正円形であって,ごく細い枠を有するものである。 2 引用意匠 (1)意匠に係る物品 引用意匠の意匠に係る物品は「建物用引き戸扉」である。 (2)引用部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲 引用意匠中,本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい,本願部分と併せて「両部分」ともいう。)は,建物用引き戸扉における枠付の丸窓部分であり,戸扉の左右中央の上側寄りの位置であり,窓の直径が戸の幅の約5割とした大きさ及び範囲であって,建物用引き戸扉の窓という用途及び機能を有している。 (3)引用部分の形状 引用部分の形状は,正円形であって,ごく細い枠を有するものである。 3 両意匠の対比 (1)意匠に係る物品の対比 本願意匠に係る物品は「引戸」であり,引用意匠に係る物品は「建物用引き戸扉」である。 (2)両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲の対比 本願部分は,引戸の窓という用途及び機能を有しており,引用意匠は,建物用引き戸扉の窓という用途及び機能を有している。 そして,その位置,大きさ及び範囲は,本願部分は,戸の幅の約3分の1戸先側に寄せた位置で,かつ,戸の下端から僅かに上にあげた位置であり,窓の直径が戸の幅の約4割とした大きさ及び範囲であるのに対して,引用意匠部分は,戸扉の左右中央の上側寄りの位置であり,窓の直径が戸の幅の約5割とした大きさ及び範囲である。 (3)両部分の形状の対比 両部分の形状を対比すると,以下に示す共通点が認められる。 ア 正円形である点。 イ ごく細い枠を有するものである点。 4 判断 (1)意匠に係る物品の類否判断 本願意匠の意匠に係る物品は「引戸」であり,引用意匠の意匠に係る物品は「建物用引き戸扉」であるが,共に,建具の一つであって,建物の出入口などに開閉できるように取り付ける戸であるから,両意匠の意匠に係る物品は共通する(以下,物品が共通する「引戸」と「建物用引き戸扉」を併せて「引戸等」という。)。 (2)両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲の評価 両部分は,いずれも引戸等の窓という用途及び機能を有しているから,一致している。 そして,その大きさ及び範囲については,いずれも引戸等の窓部分として,特徴的なものではなく,ありふれた大きさ及び範囲であると認められるが,位置については,本願部分は,戸先側に寄せて,戸の下端から僅かに上にあげたという,余り見られない位置であるのに対して,引用意匠部分は,引戸等の左右中央の上側寄りというありふれた位置であり,両部分の位置の相違は,観察した需要者に異なる印象を与えるものである。 (3)両部分における形状の評価 両部分の形状の対比観察においては,正円形であって,ごく細い枠を有するという共通点が存在し,部分における全体観察においては類似していると認められる。 (4)両意匠における類否判断 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通し,両部分の用途及び機能が一致し,両部分は,ありふれた大きさ及び範囲であると認められ,本願部分と引用部分の形状は類似しているが,上記のとおり位置については,需要者に異なる印象を与える程の相違が認められるものであるから,本願意匠と引用意匠とは類似しない。 5 結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2019-08-02 |
出願番号 | 意願2018-11661(D2018-11661) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(L4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 住 康平 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
正田 毅 橘 崇生 |
登録日 | 2019-09-20 |
登録番号 | 意匠登録第1643446号(D1643446) |
代理人 | 森 義明 |