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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1
管理番号 1356024 
審判番号 不服2019-3743
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-03-20 
確定日 2019-10-04 
意匠に係る物品 半導体モジュール 
事件の表示 意願2017- 29499「半導体モジュール」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1 本願意匠
本願は、平成29年12月28日の意匠登録出願であって、その意匠は、意匠に係る物品が「半導体モジュール」であり、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)は、願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのものである。(別紙第1参照)


2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって、拒絶の理由として引用した意匠は、平成28年12月19日に特許庁が発行した意匠公報に掲載された意匠登録第1565636号の半導体モジュールの意匠(以下「引用意匠」といい、本願意匠とあわせて「両意匠」という。)であって、その形態は、同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)


3 当審の判断
両意匠を対比すると、意匠に係る物品は、いずれも半導体素子を樹脂に封入したもので電子回路基板に取り付ける用途及び機能を持つ「半導体モジュール」であり、一致する。
両意匠の形態については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
(1)共通点
両意匠は、主に以下の点が共通する。
A 全体を厚みの薄い略直方体状の樹脂封止部(以下「封止部」という。)と、封止部の正面及び背面から外に突出した複数の端子を設けた端子部(以下「外端子部」という。)とで構成し、封止部と外端子部全体が左側面視略倒コ字状を呈するもので、平面視した封止部の左右辺の上下中央に略半円弧状の切り欠き部(以下「半円切欠部」という。)を設けた点。
B 封止部を、略四角錐台状とした点。
C 外端子部において、各外端子が封止部の正面と背面の下端付近から水平に突出して真上に折れ曲がり、左側面視略L字状と略逆L字状に形成した点。
D 外端子部の形態について、端子は全て同じ高さであり、背面側には略短冊状の端子(以下「短冊端子」という。)が配され、正面側には短冊端子のほかに、幅約3分の1である略角棒状の端子(以下「角棒端子」という。)で構成し、各端子の先端の正背面視両角を斜めにカットしている点。
E 外端子部の数及び配置について、背面側は短冊端子を等間隔に6本配置し、正面側は、正面左より右にかけて、短冊端子1本と角棒端子2本を等間隔に3回繰り返して配置(以下「1-2配置」という。)している点。

(2)相違点
両意匠は、主に以下の点が相違する。
a 封止部について、正面視及び側面視すると、本願意匠は、底面全体に厚みを封止部の約5分の1とする平板状の樹脂封止部(以下「底面封止部」という。)を設けているのに対して、引用意匠は、それがない点。
b 外端子部について、正面視及び側面視すると、本願意匠は、底面封止部の上でかつ封止部の下端となる位置から突出(以下「底面封止部上突出」という。)しているのに対して、引用意匠は、封止部の下端の位置から突出(以下「下端突出」という。)している点。
c 全体を底面視して、封止部において、以下の(本願意匠c)及び(引用意匠c)に述べる点。
(本願意匠c)
底面封止部において、端子が複数の略矩形状の部分として一部のみ露出している(以下、各部分を「一部露出部」という。)。その形態と配置について、周囲に余地部を残して、底面封止部の上下中央を境にして、正面側には、やや左寄りに等間隔に3つの、略横長長方形状の一部露出部(以下「第一露出部」という。)を配置し、背面側には、やや狭い間隔を空けて略正方形状、略横長長方形状の一部露出部(以下、各々「第二露出部」、「第三露出部」という。)を交互に3つずつ配置したものである。なお、第二露出部の左辺は第一露出部と縦に揃い、第三露出部の右辺は第一露出部の右辺より右方向にはみ出して、第一露出部の右に縦長長方形状のスペースが空いている。
(引用意匠c)
外端子部は封止部の底面に回り込んで封止部内の端子(以下「内端子部」という。)を形成しており、内端子部は封止部の底面に面一で嵌合し、内端子部の裏面がすべて露出している。また、封止部の底面の上下中央を境にして、正面側(底面図で上側)の内端子部は上半分、背面側(同じく下側)は下半分につながっている。
内端子部の形態と配置について、上半分においては、
左から1本目の短冊端子は、略凸形状と略横長長方形状を左辺を揃えて合体した形態の内端子部(以下「内端子部1」という。)に連なる。
左から2本目の角棒端子は、略L字状の内端子部(以下「内端子部2」という。)に連なる。内端子部2の略L字の部分の横棒部は、内端子部1の略横長長方形状の右上の部分の上方に配置されている。
左から3本目の角棒端子は、クランク状の内端子部(以下「内端子部3」という。)に連なる。内端子部3は下端が封止部の上下中央まで及び、クランクは内端子部2の横棒部の右延長線上の部分に形成されている。
そして、1-2配置にあわせて、上半分の全体の内端子部の形態は、内端子部1、同2及び同3の一組が、水平方向に3回繰り返されている。
下半分においては、
左から2本目、4本目及び6本目の短冊端子は、略横長帯状と3つの略逆凸形状を上下に合体した形態の内端子部(以下「内端子部4」という。)のうち、各略逆凸形状の真下の部分に連なる。内端子部4の略横長帯状部は、上辺が封止部の上下中央の位置であり、上辺の横幅は内端子部の全横幅と同幅である。略逆凸形状は、幅が略横長帯状部の約6分の1であるため、右側と中央やや左寄りの2箇所が凹状に、そして、左端の箇所が直角状に、切り欠かれている(以下、これら3箇所を「切欠部」という。)。
左から1本目、3本目及び5本目の短冊端子は、略逆凸形状の内端子部(以下「内端子部5」という。)に連なる。3つの内端子部5は、3つの切欠部に配置されている。

(3)類否判断
ア 意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、用途及び機能が一致するから、同一である。


イ 両意匠の類否判断について
半導体モジュールの物品分野において、電子回路基板に取り付けて用いる半導体モジュールの主な需要者は、電子回路基板の設計者及び取付け作業者である。
したがって、需要者は、電子回路基板に取り付ける場合に取付け可能な形態であることに最も注意を払うといえるから、平底面及び端子面の凹部の有無など樹脂本体の基本的な形態、各端子の形態と配置態様について評価し、また、大きな電力で動作する場合もあるから、ヒートシンクが設けられることもある平底面の形態も併せて、各部を総合して意匠全体として形態を評価することとする。


ウ 形態の共通点の評価
全体の構成の共通点として挙げたAないしDについて、
まず、Aについて、全体を封止部と外端子部とで構成し、全体が左側面視略倒コ字状を呈し、平面視で封止部左右辺に半円切欠部を設けたものは、両意匠の他にも多数見受けられるもの(参考意匠1)であるから、格別、需要者の注意をひくものとはいえず、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

参考意匠1(別紙第3参照)
独立行政法人工業所有権情報・研修館が
平成27年(2015年)1月23日に受け入れた
新電元工業株式会社が発行した内国カタログ
「第7回 国際カーエレクトロニクス技術展」第13頁所載
「パワーモジュール」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HC27001586号)

次に、Bについて、封止部を略四角錐台状としたものは、両意匠の他にも散見されるもの(参考意匠2)であり、両意匠のみの特徴ということはできないから、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

参考意匠2(別紙第4参照)
独立行政法人工業所有権情報・研修館が
平成19年(2007年)9月10日に受け入れた
日経BP社が発行した内国雑誌「日経エレクトロニクス」第28頁所載
「集積回路素子」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HA19011130号)

さらに、Cについて、各外端子が封止部の正背面の下端付近から水平に突出して真上に折れ曲がり、左側面視略L字状と略逆L字状に形成したものも、上記の参考意匠1にみられるように、両意匠の他にも見受けられるものであり、両意匠のみの特徴ということはできないから、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

そして、Dについて、短冊端子、角棒端子とほぼ同じ形態の外端子部は、両意匠の他に見受けられるもの(参考意匠3)であるから、格別、需要者の注意をひくものとはいえず、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

参考意匠3(別紙第5参照)
特許庁が平成26年(2014年)3月17日に発行した意匠公報記載
意匠登録第1492328号(意匠に係る物品「パワー半導体モジュール」)

Eについて、一方の側(背面側)の外端子部を6本とし等間隔に配置したものは、両意匠の他にも見受けられるもの(参考意匠4参照)であるから、格別、需要者の注意をひくものとはいえないが、他方の側の外端子部を1-2配置としているものは、特徴的といえ、この側の外端子部の形態は、需要者の注意をひくものである。そうすると、外端子部の全体の数及び配置については、正背面側を総合すれば、類否判断に与える影響は一定程度認められる。

参考意匠4(別紙第6参照)
特許庁が平成13年(2001年)12月4日に発行した意匠公報記載
意匠登録第1127647号(意匠に係る物品「半導体素子」)

そうすると、共通点AないしDは、いずれも両意匠の類否判断に与える影響は小さいが、共通点Eは意匠の類否判断に与える影響は一定程度認められるものであるから、これらの共通点が相まった効果を勘案すると、共通点が両意匠の類否判断に与える影響は一定程度認められるといえる。


エ 形態の相違点の評価
まず、aの底面封止部の有無の相違について、本願意匠のように底面封止部を設けているものは、この種物品の分野において本願出願前にすでにみられるもの(参考意匠5)であり、引用意匠のように底面封止部を設けていないものも、同様に本願出願前にみられるもの(参考意匠6)であって、いずれも需要者の注意をひくものではないから、この相違が両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

参考意匠5(別紙第7参照)
特許庁が平成23年(2011年)4月18日に発行した意匠公報記載
意匠登録第1411477号(意匠に係る物品「半導体素子」)

参考意匠6(別紙第8参照)
米国特許商標庁が1998年(平成10年)8月11日に発行した
米国特許商標公報掲載の意匠特許第Des.396846号の
Fig.1からFig.8に表されている「半導体素子」の意匠

次に、bの外端子部の突出位置の相違について、本願意匠のように底面封止部上突出としているものは、この種物品の分野において本願出願前にすでにみられるもの(参考意匠5)であり、引用意匠のように封止部下端突出としているものも、同様にみられるもの(参考意匠6)であって、いずれも需要者の注意をひくものではないから、この相違が両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

一方、cの底面視した封止部の形態の相違について、本願意匠のように底面封止部において複数の一部露出部が相互に独立して設けられ、外部端子部と連なっていないことはなおのこと、本願意匠のような一部露出部の具体的な形態及び配置(すなわち、位置、大きさや底面封止部における割合)をもつものは、この種物品の分野において本願出願前に見受けられないものであって、需要者の注意を強くひくものである。これに対して、引用意匠については、前記認定のとおり、引用意匠のものとは全く異なる形態の内端子部が表れており、図面上、両者の大きな相違を明確に視認することができることから、この相違は明瞭で需要者の注意を強くひくものといえ、両意匠の類否判断に与える影響は非常に大きい。

そうすると、相違点a及びbは、類否判断に与える影響は小さいものの、相違点cが、意匠の類否判断に与える影響は非常に大きいものである。


類否判断
以上のとおり、両意匠の意匠に係る物品は一致しているが、両意匠の形態については、各部を総合して意匠全体として形態を評価すると、外端子部の数及び配置に関する共通点Eが意匠の類否判断に与える影響は一定程度認められるものであるから、共通点が両意匠の類否判断に与える影響は一定程度認められるが、底面視した封止部の形態に関する相違点cが意匠の類否判断に与える影響は非常に大きいことを勘案すると、相違点が意匠の類否判断に与える影響は大きく、相違点から生じる視覚的効果は、共通点のそれを凌駕して、類否判断を支配しているものであるから、両意匠は類似しないものである。


4 むすび
以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2019-09-18 
出願番号 意願2017-29499(D2017-29499) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 清水 玲香 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 木村 智加
宮田 莊平
登録日 2019-11-01 
登録番号 意匠登録第1646328号(D1646328) 
代理人 大塚 啓生 
代理人 中村 仁 
代理人 大野 浩之 
代理人 土生 真之 
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