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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B3 |
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管理番号 | 1357734 |
審判番号 | 不服2019-6513 |
総通号数 | 241 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2020-01-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-05-20 |
確定日 | 2019-11-29 |
意匠に係る物品 | ペンダント |
事件の表示 | 意願2017- 27650「ペンダント」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成29年11月22日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。 平成30年10月 9日付け 拒絶理由通知書 平成30年11月26日 意見書の提出 平成31年 2月15日付け 拒絶査定 令和 1年 5月20日 審判請求書の提出 令和 1年10月21日 手続補正書の提出 第2 本願意匠 本願の意匠は、意匠に係る物品を「ペンダント」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した見本のとおりとしたものである(以下「本願意匠」という。別紙第1参照。)。 第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠 原査定の拒絶の理由は、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。 拒絶理由通知において引用された意匠は、以下のとおりである(以下「引用意匠」という。別紙第2参照。)。 「引用意匠 著者の氏名/名称:アマゾンジャパン合同会社 表題:[ティファニー] TIFFANY ドッツ ピンチドハート ネックレス 中古 掲載箇所: 添付のイメージ中、1、3、4、5及び6ページ 媒体のタイプ:[online] 掲載年月日(公知日):2016年9月27日 検索日:[2018年10月9日検索] 情報の情報源:インターネット 掲載ページのアドレス:https://www.amazon.co.jp/dp/B01M0LB49J に表された矢印で示したネックレスの意匠」 第4 対比 1 意匠に係る物品の対比 本願意匠の意匠に係る物品は「ペンダント」であり、引用意匠に係る物品は「ネックレス」であって、いずれも首に掛ける装身具であるから、本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、一致する。 2 形態の対比 両意匠の形態を対比すると、その形態には、以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。 (1)形態の共通点 (共通点1)全体構成 首に掛けるチェーンとペンダントトップによる構成とし、チェーンの全長に対するペンダントトップの全幅を約40:1としている点。 (共通点2)ペンダントトップの態様 (共通点2-1)厚みのある立体的なハート形としている点。 (共通点2-2)ハートの双頂部両上面にそれぞれ孔を有し、その孔にチェーンを挿通している点。 (共通点3)チェーンの態様 チェーンは金属製で金色である点。 (2)形態の相違点 (相違点1)ペンダントトップの態様 (相違点1-1)色彩について 本願意匠は、真珠であり、淡い白揮色としているのに対し、引用意匠は、貴金属であり、金色としている点。 (相違点1-2)ハート形の形態について ア 本願意匠は、ハート形を正面からみると、全幅を約7.5ミリ、全高を約8ミリとし、全幅対全高を約1:07とするものであるのに対し、引用意匠は、全幅を約9.9ミリ、全高を約8.2ミリとし、全幅対全高を約1:1.21とするもので、引用意匠の方が一回り大きく、やや横に長い扁平なハート形となっている点。 イ 本願意匠は、側面視において中央が膨出し、上下に窄まった態様で、全福対全高を約5:9とし、正面側と背面側を略対称形とするものであるのに対し、引用意匠は、側面の開示が十分でなく不明で、また、背面側は表れていないため不明である点。 ウ 本願意匠のハート形を正面からみると、左右の下方略3分の2がゆるやかに膨らんでいるのに対し、引用意匠は、左右の下方略3分の2が直線状に表れている点。 (相違点1-3)孔について 本願意匠のハートの双頂部両上面に設けられた孔の大きさは、ペンダントトップの全福対孔の直径を約20:3としているのに対し、引用意匠は約20:5としており、引用意匠の方が孔がやや大きく表れている点。 (相違点2)多面体ビーズ 本願意匠には、ペンダントトップの全高に対する直径を約5:1とする金色の略球形多面体ビーズがペンダントトップを挟んで左右に1つずつチェーンにスライド可能に挿通されているのに対し、引用意匠には、多面体ビーズは存在しない点。 第5 判断 1 意匠に係る物品の類否判断 両意匠の意匠に係る物品は、同一である。 2 形態の共通点及び相違点の評価 両意匠は、共に首に掛けて使用する装身具であり、ペンダントトップを有することから、需要者は特にそのペンダントトップに着目し、その形態を細かな点にも留意して観察するのみならず、その素材や色彩についても注視するものということができる。 (1)形態の共通点 (共通点1)は、ペンダント等の首に掛ける装身具の分野において、ごく一般的な態様にすぎない。 (共通点2-1)は、当該物品分野において、ペンダントトップとしてよく用いられている形態であり、両意匠のみの特徴ということはできない。 (共通点2-2)は、ペンダントトップをチェーンに取り付ける態様としては最も一般的な、ペンダントトップに備えた金具でつり下げるタイプとは異なるものの、ペンダントトップの上方に孔を2つ設け、その孔にチェーンを通すことでつり下げるタイプも従来から見受けられ(参考意匠1、参考意匠2参照)、両意匠独自のものということはできず、類否判断への影響は限定的なものといわざるを得ない。 (共通点3)は、当該物品分野において、ごく一般的な態様にすぎない。 参考意匠1(別紙第3参照) ドイツ意匠公報(発行日:1998年(平成10年)4月9日)に掲載された、「装身具」(登録番号M9708258)の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH11052730号) 参考意匠2(別紙第4参照) 大韓民国意匠商標公報(発行日:2012年(平成24年)年3月15日)に掲載された、「ペンダントヘッド」(登録番号30-0633085)の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH24406193号) (2)形態の相違点 (相違点1-1)は、ペンダント等の首に掛ける装身具の分野において、素材に伴う色彩は、需要者の着目する点の1つであり、両意匠の類否判断に一定程度の影響を及ぼす。 (相違点1-2)は、需要者が最も注目するペンダントトップの形態における差異であり、両意匠の類否判断に一定程度の影響を及ぼす。 (相違点1-3)は、本願意匠の孔は小さくそれほど目立たないのに対し、引用意匠の孔は比較的大きいため、目立つものではあるが、当該物品分野においては、正面からの見え方を最も重視するものであり、そうすると孔自体は正面に表れないため、両意匠の類否判断に与える影響は限定的である。 (相違点2)は、球形の多面体による光の反射もあり、また、首に装着時には重力によりペンダントトップに寄せられるが、チェーンに固定されていないため、振動や首から外したときに動きが生じる点もアクセントになっており、需要者の着目する点ということができ、この有無が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 なお、審判請求人は、令和1年10月21日の手続補正により、願書の「意匠に係る物品」の欄を「ペンダントトップ」から「ペンダント」に補正するとともに、「意匠に係る物品の説明」及び「意匠の説明」の記載を、「意匠に係る物品」の欄の補正に合わせた内容とする補正を行っているが、この手続補正は、出願当初の願書の記載又は願書添付図面の要旨を変更するものではないと認められる。 3 両意匠の類否判断 両意匠の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察した場合、上記2(2)のとおり、(相違点2)が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。また、(相違点1)は、当該意匠において需要者が特に着目するペンダントトップにおける差異であり、(相違点1-3)は正面から見えにくいため類否判断への影響は限定的であるが、(相違点1-1)及び(相違点1-2)が類否判断に与える影響は一定程度有しており、(相違点2)とあわせると、両意匠は美感に大きな差異があるといえる。 それに対し、上記2(1)で示したとおり、共通点はいずれも首に掛ける装身具の分野においては、既に公然知られた態様であり、両意匠独自のものではないから、類否判断に与える影響は小さい、又は限定的であり、相違点の方が共通点を上回っており、意匠全体として観察した際に異なる美感を起こさせるものといえる。 したがって、両意匠は、意匠に係る物品は同一であるが、その形態において、需要者に異なる美感を起こさせるものであるから、類似しない。 第6 むすび 以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2019-11-19 |
出願番号 | 意願2017-27650(D2017-27650) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(B3)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 山永 滋 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
正田 毅 北代 真一 |
登録日 | 2019-12-20 |
登録番号 | 意匠登録第1650068号(D1650068) |
代理人 | 伊藤 寿浩 |