ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 F4 |
---|---|
管理番号 | 1357738 |
審判番号 | 不服2019-7973 |
総通号数 | 241 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2020-01-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-06-14 |
確定日 | 2019-12-13 |
意匠に係る物品 | ブリスターパック |
事件の表示 | 意願2018-10695「ブリスターパック」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとし,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成30年(2018年)5月16日の意匠登録出願であって,同年11月5日付けの拒絶理由の通知に対し,同年12月19日に意見書が提出されたが,平成31年3月7日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,令和1年(2019年)6月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「ブリスターパック」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様又は色彩の結合」を「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「一点鎖線で表した部分の内側が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分であり,一点鎖線は部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたものである(別紙第1参照)。 第3 原審の拒絶の理由 原審における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形態に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には,以下のとおりである。 (※なお,以下の「QRコード」は,登録商標である。全て同じ。) 「この意匠登録出願の意匠は,意匠に係る物品を『ブリスターパック』とするものですが,この種の包装用容器の物品分野においては,容器裏面の1つの角部の近傍部にバーコード,QRコード等の2次元コードを配することは,本願出願前よりごく一般的に行われています(例えば以下の引用意匠2及び引用意匠3)。 また,2次元コードを45度回転させて配置する手法も,本願出願前よりありふれた手法と認められます(例えば以下の引用意匠1)。 (なお,本願の意匠登録を受けようとする部分に表されたデータマトリックスは,例示するまでもなく本願出願前より公然知られています。) そうすると,本願出願前よりごく一般的に見受けられる態様でブリスターパック裏面の1つの角部の近傍部に配した公知の2次元コード(データマトリックス)を,本願出願前よりありふれた手法によって,45度回転させたものとしたにすぎない本願意匠の意匠登録を受けようとする部分は,当業者であれば容易に創作することができたものといわざるを得ません。 引用意匠1 表題 新着デザイン QRコード入り名刺 媒体のタイプ online 掲載年月日 2016年 5月13日 検索日 2018年11月 1日検索 情報の情報源 インターネット 情報のアドレス https://ameblo.jp/meishi-love/entry-12159846018.html 引用意匠 以下の,上記ウェブページの写しに「引用意匠」と記載した箇所に現された名刺の意匠 引用意匠2 中華人民共和国意匠公報 2018年 4月27日 包装用袋(公開番号CN304598969S)の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HH30002624号) 引用意匠3 大韓民国意匠商標公報 2014年 5月29日14-16号 包装用台紙(登録番号30-0744889)の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HH26422827号) (当審注:引用意匠1ないし3については,それぞれ別紙第2ないし4参照)」 第4 当審の判断 以下において,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,つまり,本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。 1.本願部分の認定 本願意匠に係る物品のうち,意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)の用途及び機能は,ブリスターパックの背面の一部を担うものであって,本願部分に施された模様は,マトリックス型コードであるから,縦と横の二方向に情報を盛り込むことができるという機能を有する。 本願部分の位置,大きさ及び範囲は,背面の右下の角の近傍の位置であって,背面の約55分の1の面積の大きさ及び範囲である。 本願部分の形態は,正方形のマトリックス型コードを斜め45度に傾けたものである。 2.本願部分の創作の容易性について (1)出願前に公然知られた形状 引用意匠1により,名刺の中央やや上の位置にQR型コードを斜め45度に傾けて配することは,本願意匠の出願前に公然知られたものと認められる。 また,引用意匠2及び3により,包装用容器の物品分野においては,容器裏面の1つの角部の近傍部にバーコード,QRコード等の2次元コードを配することは本願意匠の出願前に公然知られたものと認められる。 (2)本願部分の創作の容易性 原審においては,QR型コードを斜め45度に傾けた形態が本願の出願前に公然知られたものとして名刺を引用している(引用意匠1)が,名刺は,本願意匠に係る物品であるブリスターパックが属する分野には属さないものと認められる。 意匠の創作容易性は,その意匠の属する分野における通常の知識を有する者(当業者)を基準に判断して決するのが相当であるところ,本願意匠に係る物品であるブリスターパックに属する分野の当業者が,ブリスターパックの形態を創作する上で名刺の形態をモチーフにするという着想を示す証拠がなく,本願意匠の属する分野における通常の知識を有する者が,本願意匠を容易に創作することができたとまでは認められない。 3.結び したがって,本願意匠は,原審で示した各意匠を基にしては,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,原審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審決日 | 2019-11-27 |
出願番号 | 意願2018-10695(D2018-10695) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(F4)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 山永 滋 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 正田 毅 |
登録日 | 2020-01-07 |
登録番号 | 意匠登録第1651048号(D1651048) |
代理人 | 特許業務法人アズテックIP |