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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L6 |
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管理番号 | 1358685 |
審判番号 | 不服2019-6769 |
総通号数 | 242 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2020-02-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-05-24 |
確定日 | 2020-01-14 |
意匠に係る物品 | 壁用シーリング受け部材 |
事件の表示 | 意願2018-16557「壁用シーリング受け部材」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成30年(2018年)7月27日の意匠登録出願であって,その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。 平成30年11月26日付け :拒絶理由の通知 平成30年12月28日 :意見書の提出 平成31年 2月21日付け :拒絶査定 令和 1年(2019年)5月24日 :審判請求書の提出 令和 1年 6月26日 :手続補正書の提出 令和 1年11月12日 :面接 令和 1年11月20日 :電話応対 令和 1年11月22日 :手続補正書の提出 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「壁用シーリング受け部材」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。 引用意匠 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1481250号 (意匠に係る物品,壁開口部用水切り材)の意匠 第4 当審の判断 1 本願意匠 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「壁用シーリング受け部材」であり,押出し成形,ロール成形,プレス加工,折り曲げ加工により成形したものであり,開口部において,窓枠とサイディング間のシーリング受け材として使用するものである。 (2)本願意匠の形状 本願意匠は,正面図において形状を認定すると,長い水平方向の部分(以下「本体長辺部」という。)があり,その右端から垂直上方向に折れ曲がって,短い垂直方向の部分(以下「本体短辺部」という。)の下部を形作って,本体短辺部の約7分の3上がった所で,水平方向に折れ曲がって,突出辺部を構成し,突出辺部の右端で180度折れ曲がって,突出辺部を二重とし,戻ってきたところで,垂直上方向に折れ曲がって,本体短辺部の上部を形作っている。その結果,本体長辺部と本体短辺部から成る本体は扁平な倒L字状と成っており,その短辺部から二重になった突出辺部が水平に突出しているという構成になっている。 本体短辺部の高さを1とすると,本体長辺部の長さは約3.3,突出辺部の長さは約1.5である。 2 引用意匠 (1)意匠に係る物品 引用意匠の意匠に係る物品は「壁開口部用水切り材」であり,ロール成形,プレス加工,折り曲げ加工,押出し加工等により成形した金属板材からなるものであり,外装材の下地となる断熱プレートの開口部に使用するものである。 (2)引用意匠の形状 引用意匠の形状を認定するに当たっては,本願意匠と同じ向きにして認定する。すなわち,右側面図と対称に表れるために省略されている左側面図を左に90度回転させた向きとして認定する。 引用意匠は,上記の向きで形状を認定すると,長い水平方向の部分(以下「本体長辺部」という。)があり,その右端から垂直上方向に折れ曲がって,短い垂直方向の部分(以下「本体短辺部」という。)を形作って,本体を成し,本体は扁平な倒L字状と成っている。本体短辺部の上端で180度折れ曲がって,本体短辺部の上側を二重とし,本体短辺部を3分の2程下がった所で,水平方向に折れ曲がって,突出辺部を構成する。 本体短辺部の高さを1とすると,本体長辺部の長さは約6.4,突出辺部の長さは約0.4である。 3 両意匠の対比 (1)意匠に係る物品の対比 本願意匠に係る物品は「壁用シーリング受け部材」であり,開口部において,窓枠とサイディング間のシーリング受け材として使用するものである。 一方,引用意匠に係る物品は「壁開口部用水切り材」であり,外装材の下地となる断熱プレートの開口部に使用するものである。 (2)両意匠の形状の対比 両意匠の形状を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。 ア.共通点について (ア)長い水平方向の部分(本体長辺部)があり,その右端から垂直上方向に折れ曲がって,短い垂直方向の部分(本体短辺部)を形作って,本体を成し,本体は扁平な倒L字状と成っている点。 (イ)本体短辺部の途中から,水平方向に突出辺部を構成している点。 イ.相違点について (ア)部材が二重になっている部分につき,本願意匠は,突出辺部が二重になっているのに対して,引用意匠は,本体短辺部の上側が二重になっている点。 (イ)本体短辺部の高さを1としたときの各部の長さ比について,(イ-1)本体長辺部の長さにつき,本願意匠は約3.3であるのに対して,引用意匠は約6.4であり,(イ-2)突出辺部の長さにつき,本願意匠は約1.5であるのに対して,引用意匠は約0.4である点。 4 判断 (1)意匠に係る物品の類否判断 本願意匠の意匠に係る物品は「壁用シーリング受け部材」であり,引用意匠の意匠に係る物品は「壁開口部用水切り材」であって,表記は異なるが,共に,壁の開口部に用いるものであって,両意匠の意匠に係る物品は共通する。 (2)両意匠における形状の評価 ア.需要者が注目する部分 両意匠に係る物品の物品分野における主な需要者は,主に建築設計士や工務店などの施工業者などと考えられる。 そして,これらの需要者がこの種物品を購入するときは,機能的な面,耐久性や施工のしやすさといった観点も含めて考慮すると考えられるところ,それらの点が形状に表れた箇所に着目するといえる。 イ.共通点について (ア)共通点の内,(ア)の点は,両意匠の全体形状に関わる根幹的な形状ではあるが,この種物品分野において,ごくありふれた形状と認められるから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 (イ)共通点(イ)については,一定程度の共通感を生み出しているが,概括的な形状の共通点であって,具体的には相違点(ア)の部材が二重になっている部分の相違,及び相違点(イ-2)の突出辺部の長さの相違が存在することから,両意匠の類否判断に与える影響は一定程度にとどまるものである。 ウ.相違点について (ア)相違点(ア)については,一見しただけでは気付かない相違かも知れないが,使用時においてシーリング材を受ける突出辺部の強度が増すように,二重にしているか否かの相違は,施工時の使い勝手の向上が視覚的に伝わるものであり,この部材が二重になっている部分の相違は,両意匠において異なる印象を与えるものであるから,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 (イ)相違点(イ-1)について,本体長辺部は,施工後にはサイディングに隠れる部分ではあるが,長さが倍程も異なり,視覚的に異なる印象を与えるものであるから,両意匠の類否判断に与える影響は一定程度認められる。 (イ-2)について,突出辺部は,施工時においてシーリング材の充填のしやすさや,施工後の仕上がりに目地の幅として表れるところであるから,両意匠において異なる印象を与えるものであるといえ,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 (3)両意匠における形状の類否判断 以上のとおり,共通点は,両意匠の類否判断に与える影響は,小さい,または一定程度にとどまるものであり,これらの共通点によっては,両意匠の類否判断を決するものといえないのに対して,相違点(ア)及び相違点(イ)については,需要者に別異の印象を起こさせるものであるから,両意匠の類否判断を決するものといえる。 そうすると,本願意匠の形状と引用意匠の形状は,類似しないと認められる。 (4)両意匠における類否判断 よって,両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,上記のとおり本願意匠と引用意匠の形状は類似するものではないから,本願意匠と引用意匠は類似しない。 5 結び したがって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2019-12-23 |
出願番号 | 意願2018-16557(D2018-16557) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(L6)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 上島 靖範 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 正田 毅 |
登録日 | 2020-01-24 |
登録番号 | 意匠登録第1652731号(D1652731) |
代理人 | 正林 真之 |
代理人 | 星野 寛明 |
代理人 | 芝 哲央 |
代理人 | 瓜本 忠夫 |
代理人 | 岩池 満 |