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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C4
管理番号 1361514 
審判番号 不服2016-17386
総通号数 245 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2020-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-11-22 
確定日 2017-04-04 
意匠に係る物品 歯間清掃具 
事件の表示 意願2015- 22899「歯間清掃具」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成27年(2015年)10月16日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)の意匠に係る物品は,願書の記載及び願書に添付した図面によれば,「歯間清掃具」であり,本願意匠の形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)は,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって,「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(以下,本願について意匠登録を受けようとする部分を「本願意匠部分」という。)。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,その具体的理由及び引用した意匠は,下記のとおりである。
「本願意匠の登録を受けようとする部分と引用意匠の当該部分とは,ブラシ部を形成する棒状体の,毛のある部分と無い部分との長さの比率,柄部側基部の太さと長さの比率において多少相違しますが,いずれも常とう的に行われる変更の範囲に止まるもので,この点が類否判断に及ぼす影響は小さく,これに対して,その余の酷似する態様が,上記相違点を凌駕するものですから,両意匠は類似の範囲を出ないものと認められます。
【引用意匠】
特許庁普及支援課が2007年10月18日に受け入れた
大韓民国意匠商標公報 2007年 7月 6日07-21号
歯間歯ブラシ(登録番号30-0454852)の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH19421266号)
の本願意匠が意匠登録を受けようとする部分に相当する部分の意匠」
(別紙第2参照)(以下,上記の歯間歯ブラシの意匠を「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」といい,引用意匠のうち,本願意匠部分に相当する部分を「引用意匠部分」という。))

第3 本願意匠と引用意匠の対比
1.意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は,「歯間清掃具」と「歯間歯ブラシ」であって,共に歯間の清掃に用いるものであるから,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。
2.用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲
本願意匠部分は,「歯間清掃具」のブラシ部先端から柄部にいたる部分であって,いわゆる,歯間清掃具の柄部及びようじ部を除くブラシ部及び基台部(ブラシ部と柄部を接続する部分),すなわち,基台付きブラシ部分であり,引用意匠部分も「歯間歯ブラシ」のブラシ部先端から柄部にいたる部分であって,いわゆる,歯間清掃具の柄部及びようじ部を除く基台付きブラシ部分として対比できる部分であるところ,当該部分が歯と歯の間の清掃を行う用途及び機能を有することは明らかである。したがって,本願意匠部分と引用意匠部分(以下,「両意匠部分」という。)の物品全体の中での用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は共通する。
3.形態
両意匠部分の形態を対比すると,主として,以下の共通点と相違点が認められる。
(ア)共通点
基本的構成態様
(A)全体形状は,全体がブラシ部,基台部,柄部,ようじ部で構成される歯間清掃具の,柄部及びようじ部を除いた基台付きブラシ部であり,ブラシ部は,棒状のブラシ軸に対してブラシ枝が直交方向に対に延出しており,基台部は先端が略縦長楕円錐台形状である点。
具体的構成態様
(B)ブラシ部は,ブラシ軸と計11対のブラシ枝からなり,ブラシ軸は先端にむかって緩やかに先細る左側面視略縦長楕円形の棒状で,直交するブラシ枝は正面視で略変形菱形状に長短の各ブラシ枝が整列しており,先端寄りのものは短く,徐々に中程になるにつれて長くなり,また中程から後端に向けて短くなって,先端から7番目のブラシ枝が最も長い点。
(イ)相違点
具体的構成態様
(a)本願意匠部分の基台部は根元側の略楕円柱状部と,先端側の略惰円錐台状部からなり,略惰円錐台状部は基台部の約2分の1であるのに対し,引用意匠部分は,基台部の略惰円柱状部は周方向に段状に落ち込んだ溝部が2つ設けられて,略楕円柱状部が等間隔に3つの凸部に分けられており,3段に連なったような態様であって,略楕円錐台状部は基台部の約6分の1である点。
(b)正面視で,先端軸部,ブラシ部,後端軸部及び基台部の軸方向長さの比率は,本願意匠部分では,3:22:5:17であるのに対し,引用意匠部分では,4:22:12:17である点。
(c)正面視において,本願意匠部分のブラシ部縦横比率は約1:2であるのに対し,引用意匠部分は,1.3:2である点。
(d)本願意匠部分のブラシ軸及び各ブラシ枝の先端は平坦状であるのに対し,引用意匠部分のそれは先端が丸みを帯びている点。

第4 本願意匠と引用意匠の類否
以上の「意匠に係る物品」,「用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲」及び「形態の共通点と相違点」が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。
1.意匠に係る物品の評価
上記,第3の1.のとおり,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。
同様の意匠に係る物品(本願意匠においては「歯間清掃具」)であるものは,多数見受けられ,意匠に係る物品が共通することにより,両意匠の類否判断に与える影響は,小さいものである。
2.用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲の評価
上記,第3の2.のとおり,両意匠部分は,物品全体の中での用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は共通する。
「歯間清掃具」の物品分野において,両意匠と同様の歯間清掃具の基台部付きブラシ部分として対比可能な,用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲を有する意匠は,本願出願前にごく普通に見受けられるので,両意匠の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲の共通点が,類否判断に与える影響は,小さい。
3.両意匠部分の形態の評価
(1)両意匠部分の形態の共通点の評価
共通点(A)の全体形状については,両意匠の形態を概括的に捉えた場合の基本的構成態様の共通点にすぎないものであり,歯間清掃具の物品分野において,本願の出願前にごく普通に見受けられる基本的構成態様であるから,この共通点が類否判断に与える影響は小さい。共通点(B)についても,確かに,先端から7番目のブラシ枝がブラシ部中最も長いものである点は,両意匠の共通する特徴であるが,歯間清掃具のブラシ部分において,7番目のブラシ枝が長いものは,他にも見受けられ(例えば,2015年7月31日発行の大韓民国意匠商標公報に記載の登録番号30-0808317「歯間ブラシ」の意匠),この共通点が類否判断に与える影響は一定程度にとどまる。
よって,共通点(A)及び共通点(B)の両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は,共通点(A)は小さく,共通点(B)が類否判断に与える影響は一定程度にとどまり,共通点全体があいまって生ずる効果を考慮したとしても,両意匠部分の共通点は,両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないということができる。
(2)両意匠部分の形態の相違点の評価
これに対して,相違点(a)は,基台部の具体的態様についての相違点であるが,本願意匠部分の基台部は根元側の略楕円柱状部と,先端の略惰円錐台状部からなり,先端の略惰円錐台状部は基台部の約2分の1であるのに対し,引用意匠部分は,略惰円柱状部に1段縮径した溝部が全周に亘り2つほぼ等間隔に設けられ,略楕円柱状部は基台部の約6分の1であるというものであるところ,基台部は,歯間で使用されるブラシ部の根元であって,手で持つ柄部の手前にある目につく箇所であるから,需要者の注目するところであり,一見して看取できる上に,視覚的に異なる印象を与えるものであるから,この相違点が類否判断に与える影響は極めて大きい。
相違点(b)は,正面視においての各部の比率態様の相違であって,この相違は後端軸部において顕著であり,正面視での両意匠部分のブラシ部の長さを揃えると,先端軸部,ブラシ部,後端軸部及び基台部の軸方向の長さの比率が,本願意匠部分では,3:22:5:17であるのに対し,引用意匠部分では,4:22:12:17であるから,両意匠部分の先端軸部,ブラシ部,及び基台部の軸方向の長さの比率は,ほぼ変わらないものの,引用意匠部分の後端軸部のこれらに対する比率は,本願意匠部分のそれの2倍以上になっている。そうすると,この後端軸部の比率の相違は,需要者が注視するブラシ部が,基台部寄りにあるのか(本願意匠部分),基台部から離れているのか(引用意匠部分)という違いをもたらし,需要者に異なる視覚的印象を与えることから,相違点(b)が類否判断に与える影響は大きい。
相違点(c)は,ブラシ部縦横比率の相違点であって本願意匠部分は,約1:2であるのに対し,引用意匠部分は,1.3:2であるから,需要者が最も注目するブラシ部のプロポーションの相違であるが,「歯間清掃具」の分野において,ブラシ部がやや幅狭のものもやや幅広のものも見受けられるから,本願意匠部分がやや幅の狭い印象をあたえるのに対して,引用意匠部分はやや幅広の印象を与えるものの,この相違は類否判断に与える影響は一定程度にとどまる。
そして,相違点(d)については,ブラシ軸部及びブラシ枝部の先端の処理に関わるものであるが,注視してようやくわかる程度の微細な部分であって,先端部が平坦状のものも丸みを持ったものも,「歯間清掃具」の分野において,よく見受けられるから,この相違点の類否判断に与える影響は小さい。
(3)両意匠部分の形態の総合評価
そうすると,共通点(A)及び共通点(B)の両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は,両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対し,相違点(a)が類否判断に与える影響は極めて大きく,相違点(b)が類否判断に与える影響は大きく,相違点(c)が類否判断に与える影響が一定程度に留まるものであり,相違点(d)が類否判断に与える影響が小さいとしても,それら相違点(a)ないし(d)があいまった視覚的効果も考慮して総合すると,相違点は,共通点を凌駕して,両意匠部分を別異のものと印象付けるものである。
4.小括
したがって,両意匠は,意匠に係る物品が共通し,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は共通するが,これらの共通点が類否判断に与える影響は小さく,形態においては,共通点が未だ両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,相違点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており,両意匠部分を,全体として別異のものと印象付けるものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。

第5 むすび
以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2017-03-23 
出願番号 意願2015-22899(D2015-22899) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 内藤 弘樹 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 渡邉 久美
刈間 宏信
登録日 2017-04-28 
登録番号 意匠登録第1577357号(D1577357) 
代理人 山田 威一郎 
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