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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L3 |
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管理番号 | 1361523 |
審判番号 | 不服2019-12942 |
総通号数 | 245 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2020-05-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-09-30 |
確定日 | 2020-03-26 |
意匠に係る物品 | 立体駐車機 |
事件の表示 | 意願2018- 18306「立体駐車機」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 事案の概要 1 手続の経緯 本願は,平成30年(2018年)8月23日に出願された意匠登録出願であって,その後の手続の経緯は以下のとおりである。 平成31年 3月 8日付け:拒絶理由(第1回目)の通知 平成31年 4月23日 :第1回目の拒絶理由に対する意見書の提出 平成31年 4月24日付け:拒絶理由(第2回目)の通知 令和 1年 6月 3日 :第2回目の拒絶理由に対する意見書の提出 令和 1年 7月22日付け:拒絶査定 令和 1年 9月30日 :審判請求書の提出 2 本願意匠の願書及び添付図面の記載 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり,その意匠は,意匠に係る物品を「立体駐車機」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり(以下「本願意匠」という。),部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。 3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠 原査定の拒絶の理由は,本願意匠が,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する,というものである。 拒絶理由通知において引用された意匠は,日本国特許庁発行の公開特許公報(公開日:平成17年(2005年)10月27日)に記載された,特開2005-299181(【発明の名称】機械式駐車装置)の「機械式駐車機」と認められる意匠における【図5】に表されたパレット及び歩行者用デッキの本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分であり,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである(以下「引用意匠」という。)(別紙第2参照)。 以下,本審決では,引用意匠において本願部分と対比,判断する部分,すなわち,本願部分に相当する部分を,「引用部分」という。 第2 当審の判断 1 本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品の対比 本願意匠の意匠に係る物品は,「立体駐車機」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「機械式駐車機」と認められるものであるが,いずれも複数段のパレットを昇降動作して複数の車両を立体的に駐車するために用いられる機械式の立体駐車機であるから,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,用途及び機能が共通する。 (2)本願部分と引用部分の用途及び機能の対比 本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)は,いずれも機械式駐車機において車両を載置するために用いられるパレットの一部と,歩行者が車両に乗り込むために利用する歩行者用デッキの一部であり,パレットと歩行者用デッキの間に隙間を設けることで両者が接触しないようにする機能を有する部分であるから,両部分の用途及び機能は一致する。 (3)両部分の位置,大きさ及び範囲の対比 本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)は,いずれも立体式駐車機に設けられたパレットにおける平面視左側の上下方向中央部分,及びこれに隙間をあけて相対する歩行者用デッキの上下方向中央部分の位置にあって,その縦幅がパレット全長の約1/40の大きさとなるパレットの一部分と,これに隙間の部分をはさんで相対する歩行者用デッキの一部分をその範囲とするものであるから,両部分の物品全体の形態の中における位置,大きさ及び範囲は一致する。 (4)両部分の形態の対比 両部分の形態を対比する(なお,対比のため,本願意匠の図面における正面,平面等の向きを,引用意匠にもあてはめることとする。)と,その形態には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。 ア 形態の共通点 (共通点1)両部分は,部分全体の形状が,車両積載用のパレット間に設けられた歩行者用のデッキ部分(以下「歩廊」という。)と,これに隙間をあけて相対するパレットの端部立ち上がり部分(以下「立ち上がり部」という。)からなる平面視略横長長方形に表れる部分である点で共通する。 (共通点2)両部分は,歩廊の形状が,要部拡大正面端面視において鉤状に折曲した板体における表面側の約1/2の厚みの部分である点で共通する。 (共通点3)両部分は,立ち上がり部の形状及び配置態様が,要部拡大正面端面視において横L字状の板体における表面側の約1/2の厚みの部分であり,歩廊上面部分と同一水平面となるように配置したものである点で共通する。 イ 形態の相違点 (相違点)本願部分の立ち上がり部上面部分と,歩廊と立ち上がり部の間の隙間の部分(以下「隙間部」という。)の横幅の比率が約1:1であるのに対し,引用部分の立ち上がり部上面部分と隙間部の横幅の比率が約2.8:1である点で,両意匠は相違する。 2 両意匠の類否判断 (1)意匠に係る物品の類否判断 両意匠の意匠に係る物品は,用途及び機能が共通するから,類似するものである。 (2)両部分の用途及び機能の類否判断 両部分の用途及び機能は,同一である。 (3)両部分の位置,大きさ及び範囲の評価 両部分の位置,大きさ及び範囲は,物品全体の形態の中における位置,大きさ及び範囲が一致するから,同一である。 (4)両部分の形態の類否判断 ア 共通点の評価 (共通点1)の部分全体の形状,(共通点2)の歩廊の形状及び(共通点3)の立ち上がり部の形状及び配置態様は,この種物品においてごく普通に見られるものにすぎず,両部分のみに認められる格別の特徴であるとはいえないから,これらの(共通点)が部分全体の美感に与える影響は小さい。 イ 相違点の評価 (相違点)は,一般の需要者が車両に乗り込む際に目に付く部分であって,本願部分は,立ち上がり部上面部分と隙間部の横幅は同幅のものであって,立ち上がり部上面部分がスリムなものであるとの印象を与えるのに対し,引用意匠は,立ち上がり部上面部分は隙間部の横幅の3倍弱のものであって,立ち上がり部上面部分は幅広で堅牢なものであるとの印象を与えるから,両意匠は立ち上がり部上面部分の美感に大きな差異がある。 ウ 形態の類否判断 両部分の形態における各共通点及び相違点についての個別評価に基づき,意匠全体として全ての共通点及び相違点を総合的に観察した場合,両部分は,立ち上がり部上面部分の美感に大きな差異があり,部分全体の形状,歩廊及び立ち上がり部の断面を含む形状が共通することを考慮しても,意匠全体として観察した際に異なる美感を起こさせるものといえるから,両部分の形態は類似しないものである。 (5)小括 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が類似するものであり,両部分の用途及び機能が同一であり,両部分の位置,大きさ及び範囲が同一であるが,両部分の形態において類似しないから,本願意匠と引用意匠が類似するということはできない。 第3 むすび 上記のとおり,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2020-03-11 |
出願番号 | 意願2018-18306(D2018-18306) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(L3)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 住 康平 |
特許庁審判長 |
木村 恭子 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 渡邉 久美 |
登録日 | 2020-04-22 |
登録番号 | 意匠登録第1659646号(D1659646) |
代理人 | 阿部 伸一 |
代理人 | 辻田 幸史 |
代理人 | 清水 善廣 |
代理人 | 太田 貴章 |