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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 M1 |
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管理番号 | 1362389 |
審判番号 | 不服2019-14210 |
総通号数 | 246 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2020-06-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-10-25 |
確定日 | 2020-04-14 |
意匠に係る物品 | 化粧シート |
事件の表示 | 意願2018-18234「化粧シート」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成30年(2018年)8月22日の意匠登録出願であって,平成31年(2019年)2月27日付けの拒絶理由の通知に対し,同年4月11日に意見書が提出されたが,令和1年(2019年)7月29日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年10月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「化粧シート」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。 引用意匠 大韓民国意匠商標公報 2018年3月13日 フローリング材用模様地(登録番号30-0947881)の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HH30405002号) 第4 当審の判断 1 本願意匠 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「化粧シート」である。 (2)本願意匠の形態 ア.本願は,願書に添付の図面において,表面図及び裏面図(ただし【意匠の説明】の欄には「裏面図は無模様のため省略する。」と記載されている。)をもって一組としていることから,本願意匠は平面的なものと認められる(意匠法施行規則第3条関係(様式第6 備考10))。 イ.また,【意匠の説明】の欄の記載より,本願意匠は,表面図において上下に連続する長尺ものである。 そして,その具体的な形態は, ウ.全面に天然木の木目を模した板目模様を施してあり, エ.全体的に茶系統の色であって, オ.表面図において左側から,細く薄い部分,太く濃い部分,細く薄い部分,太く濃い部分,細く薄い部分,細く濃い部分,太く薄い部分,太く濃い部分,太く薄い部分,太く濃い部分,細く薄い部分,細く濃い部分,細く薄い部分,細く濃い部分の14列の縦帯状部分から成っている。 2 引用意匠 (1)意匠に係る物品 引用意匠の意匠に係る物品は「フローリング材用模様地」である。 (2)引用意匠の形態 ア.全面に天然木の木目を模した薄い板目を施してあり, イ.全体的に薄い橙色であって, ウ.見定めることが困難なほど僅かな濃淡の縦帯状の模様であるが,表面図において,上下まで連続している模様としては,左端に太くてやや濃い縦帯状部分,中程に3本の太くてやや濃い縦帯状部分,右寄りに2本の太くてやや濃い縦帯状部分から成っている。 3 両意匠の対比 (1)意匠に係る物品の対比 本願意匠に係る物品は「化粧シート」であり,引用意匠に係る物品は「フローリング材用模様地」である。 (2)両意匠の形状の対比 両意匠の形状を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。 ア.共通点について 両意匠は共に,平面的なものであって,全面に木目模様を施してある点。 イ.相違点について (ア)板目模様につき,はっきりと表れている本願意匠に比して,引用意匠は,薄く表れている点。 (イ)色彩の色相につき,本願意匠は,全体的に茶系統の色であるのに対して,引用意匠は,薄い橙色である点。 (ウ)色彩の濃淡につき,本願意匠は,表面図において左側から,細く薄い部分,太く濃い部分,細く薄い部分,太く濃い部分,細く薄い部分,細く濃い部分,太く薄い部分,太く濃い部分,太く薄い部分,太く濃い部分,細く薄い部分,細く濃い部分,細く薄い部分,細く濃い部分の14列の縦帯状部分が表れているのに対して,引用意匠は,表面図において左端に太くてやや濃い縦帯状部分,中程に3本の太くてやや濃い縦帯状部分,右寄りに2本の太くてやや濃い縦帯状部分が表れている点。 4 判断 (1)意匠に係る物品の類否判断 本願意匠の意匠に係る物品は「化粧シート」であって,建築物や構築物の床材等に貼付して装飾することを目的として用いられる化粧シートである。 対して,引用意匠の意匠に係る物品は「フローリング材用模様地」は,建築物の床仕上げ用の模様地である。 そうすると,共に建築物の床を装飾するための模様が施されているシート状のものと認められるから,両意匠の意匠に係る物品は共通する。 (2)両意匠における形態の評価 ア.共通点について 共通点は,両意匠の全体の形態に関わる根幹的な形態であって,一定の共通感を生じさせているが,この種物品においては,天然木の木目模様を施すことは,ごくありふれた形態と認められ,両意匠のみの特徴とは認められないから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 イ.相違点について (ア)相違点(イ)によって,施工した空間(例えば,廊下,食堂や書斎など)の雰囲気に大きく影響を与えるものと認められ,需要者は,その色彩の違いによる効果を期待するものと考えられるから,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 (イ)相違点(ア)及び(ウ)については,本願意匠は,色が濃く,模様がはっきりと表れた,木目を強調するものであるのに対して,引用意匠は,色も模様も薄く,木目を強調するものではないものであるから,その印象は異なり,この形状の相違は大きく,両意匠において別異の印象を与えるものであり,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 (3)両意匠における形態の類否判断 以上のとおり,共通点は,両意匠の類否判断に与える影響は,小さいものであり,これらの共通点によっては,両意匠の類否判断を決するものといえないのに対して,相違点(ア)ないし(ウ)によっては,需要者に別異の印象を起こさせるものであるから,両意匠の類否判断を決するものといえる。 そうすると,本願意匠の形態と引用意匠の形態は,類似するとは認められない。 (4)両意匠における類否判断 よって,両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,上記のとおり本願意匠と引用意匠の形態は類似するものではないから,本願意匠と引用意匠は類似するとはいえない。 5 結び したがって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2020-03-31 |
出願番号 | 意願2018-18234(D2018-18234) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(M1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 前畑 さおり |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 正田 毅 |
登録日 | 2020-05-18 |
登録番号 | 意匠登録第1661101号(D1661101) |
代理人 | 宗助 智左子 |
代理人 | 松井 宏記 |