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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C4 |
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管理番号 | 1363210 |
審判番号 | 不服2020-391 |
総通号数 | 247 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2020-07-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-01-10 |
確定日 | 2020-06-26 |
意匠に係る物品 | 簡易トイレ用シート |
事件の表示 | 意願2018- 23976「簡易トイレ用シート」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成30年(2018年)10月31日の意匠登録出願であって,令和1年(2019年)6月10日付けの拒絶理由の通知に対し,同年7月24日に意見書が提出されたが,同年10月8日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,令和2年1月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「簡易トイレ用シート」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとし,「実線であらわした部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分の境界のみを示す線である。端面図を含めて意匠登録を受けようとする部分を特定している。」(以下,この部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠は,本願の出願前に頒布された刊行物に記載された意匠に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当し,意匠登録を受けることができないとしたものであって,当該拒絶の理由に引用された意匠は,特許庁発行の意匠公報に記載された意匠登録第1609660号の「ペット用トイレシート」の意匠(以下「引用意匠」という。)の本願部分に相当する部分(以下「引用部分」という。)の意匠であり,その形状は,同公報に記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。 第4 当審の判断 1 両意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠に係る物品の「簡易トイレ用シート」は,例えば,被介護者の下に敷いて使用するものであって,下方の防水フィルムで排泄物を直接受け止めるものであるのに対して,引用意匠に係る物品の「ペット用トイレシート」は,ペット用トイレ容器の内部又は床面に敷いて使用するものであって,ペットの排泄物を吸収する使い捨てシートであるが,どちらも敷いた状態で排泄物を受けるという点において共通している。 (2)両部分の用途及び機能 本願部分は,排泄物を直接受け止めるものであるのに対して,引用部分は,中間層で吸収した排泄物が漏れ出すことを防ぐ防水シートであるから,相違する。 (3)両部分の位置,大きさ及び範囲 両部分の大きさ及び範囲については共通し,位置については,物品の最下層の位置に設けたものである点において共通するものの,本願部分は,シートの片側に寄せて配置した防水フィルムの略全面部分であるのに対して,引用部分は,シート全面にわたる防水シートの,本願部分に合わせて抽出した一部分(片側に寄せた部分)である点において相違すると共に,本願部分の上面は,上層部を折り返した使用状態において視認できる位置ということができるものであるのに対して,引用部分の上面は,常に中間層の下面の下の紙に密着して覆われた視認できない位置ということができるものである点において相違する。 (4)形状 (4-1)共通点 両部分は,どちらも薄いシート状としたものである。 (4-2)相違点 相違点1:本願部分は,上面側から見れば,ごく僅かに浅い凹状,下面側から見れば,ごく僅かに膨出した略逆四角錐台形状に表れているものであるのに対して,引用部分は,両面共に平坦である。 相違点2:本願部分は,厚みを物品全体の約11分の1としたものであるのに対して,引用部分は,厚みを物品全体の約13分の1としたものである。 2 両意匠の類否 (1)意匠に係る物品について 意匠に係る物品については,本願意匠が「簡易トイレ用シート」であり,引用意匠が「ペット用トイレシート」であるが,どちらも敷いた状態で排泄物を受けるという点において共通しており,類似するものといえる。 (2)両部分の用途及び機能について 排泄物を直接受ける部分であるか否かの相違は,大きな相違であるから,両部分の用途及び機能が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。 (3)両部分の位置,大きさ及び範囲について 両部分の大きさ及び範囲は共通するものの,使用状態における位置の相違は,大きく異なっているものであるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。 (4)両部分の形状について (4-1)共通点について 両部分の共通点は,単にシート状という点のみであるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。 (4-2)相違点について 相違点1については,凹状の深さの程度及び膨出の程度がごく僅かであるとしても,使用効果に影響を及ぼす相違であるとの印象をもたらすから,両部分の形状の類否判断に及ぼす影響は,軽視することができず,一定程度認められる。 相違点2については,大差の無い相違であるから,両部分の類否判断に及ぼす影響は,小さい。 (5)小括 そうすると,両意匠は,意匠に係る物品が類似し,両部分の大きさ及び範囲が共通するものであるが,両部分の用途及び機能,並びに位置が大きく相違するものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するものではない。 3 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠に類似する意匠ではなく,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとして,同法同条の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2020-06-10 |
出願番号 | 意願2018-23976(D2018-23976) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(C4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 日比野 杏香、桐野 あい |
特許庁審判長 |
木村 恭子 |
特許庁審判官 |
正田 毅 橘 崇生 |
登録日 | 2020-07-07 |
登録番号 | 意匠登録第1664413号(D1664413) |
代理人 | 特許業務法人藤本パートナーズ |