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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1 |
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管理番号 | 1364074 |
審判番号 | 不服2019-15201 |
総通号数 | 248 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2020-08-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-11-12 |
確定日 | 2020-07-17 |
意匠に係る物品 | コンデンサ |
事件の表示 | 意願2018- 26672「コンデンサ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 平成30年(2018年)12月 6日 意匠登録出願 平成31年(2019年) 3月29日付け 拒絶理由通知書 令和 1年(2019年) 5月10日 意見書提出 同年 8月 9日付け 拒絶査定 同年 11月12日 審判請求書提出 第2 本願の意匠 本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「コンデンサ」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。『内部機構を省略したA-A断面図』を含めて部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を特定している。」としたものである。(別紙第1参照) 第3 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。 「引用意匠(当審注:別紙第2参照) 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1607654号 (意匠に係る物品、コンデンサ)の意匠の、本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分 この意匠登録出願の意匠の意匠登録を受けようとする部分と、引用意匠のそれに相当する部分とは、主に、本体筐体部が長尺な円柱形状であり、両端部が窪んだ面を有しており、一方の端部にリード線台座部が設けられ、本体筐体部の当該リード線台座部側に寄った位置に円周状の窪み部がある点や、2つのリード線台座部の外部との接続部側の形状が逆台形状である点で共通し、リード線台座部の外部との接続部と反対側の形状が円弧状か直線状かという点や本体筐体部やリード線台座部の各部分の位置・長さの比率の点で相違します。 そして、上記共通点のうち、特に長尺の本体筐体部においてリード線台座部側に寄った位置に円周状の窪み部がある点は上記部分全体のプロポーションに関わるものであり、看者に強い共通の美感を与えるものです。 一方、上記相違点については、上記部分全体において占める割合が小さい部分的な差異であり、またリード線台座部の接続部と反対側の形状を円弧状とすることはありふれており、相対的に看者の注意強く惹くものとはいえません。 よって、上記共通点の印象が上記相違点の印象を凌駕するため、両意匠(部分)は類似しています。」 第4 当審の判断 1 本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「コンデンサ」であり、引用意匠の意匠に係る物品も「コンデンサ」であるから、本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は一致する。 (2)本願部分と、引用意匠において本願部分と対比する部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲 本願部分と、引用意匠において本願部分と対比する部分、すなわち本願部分に相当する部分(以下、「引用部分」といい、本願部分と引用部分をあわせて「両部分」という。)は、略有底円筒形の筐体と、その開口部に設けた円板と、その円板の表面に取り付けた一対のリード線(端子)の付け根の部分であるから、両部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲は一致する。 (3)両部分の形態 両部分の形態については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。 ア 共通点 全体は、略横長の略有底円筒形で、周側面の開口部近傍に、断面視略さじ面状の浅い凹状溝を周に沿って形成し、開口部に円板(以下「封口板」という。)を段差状に設け開口部の縁を内側に折り曲げて封口し、封口板の表面に一対の略薄板状のリード線の付け根(以下「台座部」という。)を中央横に並べて取り付けたものとし、底面中央に全体の径より一回り小径の円形模様を施している点。 イ 相違点 (ア)全体の径と長さの比率 本願部分は、径と長さの比率が約1:5.3であるのに対し、引用部分は、約1:5.1であり、本願部分の方が若干横長である点。 (イ)台座部 (イ-1)形態 本願部分は、略縦長トラック形の下端を略逆等脚台形に形成したものであるのに対し、引用部分は、略隅丸正方形の下端の両角を斜めに切り欠いたものである点。 (イ-2)配置 本願部分は、封口板を横に3等分した位置に配置しているのに対し、引用部分は、封口板の左右端寄りに配置している点。 2 類否判断 以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。 (1)意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は、コンデンサであるから、同一である。 (2)両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲 両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は、同一である。 (3)形態の共通点及び相違点の評価 両意匠は、電子回路に用いられる電子部品(コンデンサ)であるから、需要者は、主に、コンデンサが組み込まれる電子機器の製造業者やコンデンサの取引業者に加え、当該電子機器の修理等に携わる者が含まれる。 したがって、まず、需要者が最も注意を払う部位として、電子回路への接続態様、すなわち、両部分の封口板周辺の部位について評価し、かつそれ以外の形態も併せて、各部を総合して意匠全体として形態を評価することとする。 ア 共通点の評価 この種物品の分野において、両部分のように、全体を、略横長の略有底円筒形とし、その周側面の開口部近傍に、周に沿って断面視略さじ面状の浅い凹状溝を形成し、開口部に封口板を段差状に設け、開口部の縁を内側に折り曲げて封口し、封口板の表面に一対の略薄板状の台座部を中央横に並べて取り付けたものは、本願出願前からごく普通にみられるありふれた態様であって、両部分のみに共通する態様とはいえないものであることから、これらの共通点が両部分の類否判断に与える影響は小さい。 イ 相違点の評価 まず、相違点(ア)について、本願部分は、引用部分と比べて若干横長であるが、その差は僅かであってさほど目立つものではないことから、両部分の類否判断に与える影響は小さい。 次に、相違点(イ)について、台座部は、全体から見ると小さい部位であるが、前記の需要者の視点を勘案すると、需要者が最も注意を払う部位であるといえるところ、(イ-1)略縦長トラック形の下端を略逆等脚台形に形成した本願部分と、略隅丸正方形の下端の両角を斜めに切り欠いたものとした引用部分とは、一見して気付く相違といえ、需要者に異なる美感をもたらすものといえるから、両部分の類否判断に与える影響は大きい。また、(イ-2)配置についても、封口板表面の僅かな相違であるが、(イ-1)と相まって、需要者に異なる美感を与えており、両部分の類否判断に与える影響は大きい。 以上のとおり、共通点が、両部分の類否判断に与える影響は小さいのに対し、相違点(ア)が、両部分の類否判断に与える影響は小さいとしても、相違点(イ)が、両部分の類否判断に与える影響は大きいものであるから、相違点全体が相まって両部分の類否判断に与える影響は大きいものである。 3 小括 したがって、両意匠は、意匠に係る物品は同一で、両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲も同一であるが、形態においては、共通点が未だ両部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、相違点が両部分の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、両部分は、需要者に異なる美感を与えているというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2020-07-01 |
出願番号 | 意願2018-26672(D2018-26672) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(H1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 杉田 翠 |
特許庁審判長 |
木村 恭子 |
特許庁審判官 |
内藤 弘樹 江塚 尚弘 |
登録日 | 2020-07-27 |
登録番号 | 意匠登録第1665850号(D1665850) |
代理人 | 日高 一樹 |