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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 C6 |
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管理番号 | 1369055 |
審判番号 | 不服2020-10267 |
総通号数 | 253 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2021-01-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-07-22 |
確定日 | 2020-12-18 |
意匠に係る物品 | 埋込型コンロ |
事件の表示 | 意願2019- 2562「埋込型コンロ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成31年(2019年)2月8日の意匠登録出願であって,令和1年(2019年)11月26日付けの拒絶理由の通知に対し,同年12月26日に意見書が提出されたが,令和2年4月6日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年7月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,物品の部分について意匠登録を受けようとするものであり,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「埋込型コンロ」としたものであって,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「これらの結合」,つまり形状,模様又は色彩の結合を「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとし,「部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を実線で,それ以外の部分を破線で表した。各図において表れる一点鎖線は,部分意匠として登録を受けようとする部分とそれ以外の部分の境界のみを表している。」(以下,この部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び引用した意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られた形態に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,概要以下のとおりである。 本願部分は,その出願前公然知られた下記意匠1に基づいて,円形の操作つまみの上方に下記意匠2のようにインジケータを形成したまでのものにすぎないから,容易に意匠の創作をすることができたものと認められる。 意匠1(別紙第2参照) 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1483340号の意匠 (意匠に係る物品:埋込型コンロ)の本願部分に相当する部分の意匠 意匠2(別紙第3参照) 特許庁特許情報課が2004年4月8日に受け入れた 2004年3月31日発行の国際事務局意匠公報(CD-ROM番号:No02/2004)に記載された国際意匠登録第DM/064 970号の調理器用操作パネルの意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH16503618号)の本願部分に相当する部分の意匠 第4 当審の判断 1 本願意匠の認定 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は,「埋込型コンロ」である。 (2)本願部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能 本願部分は,天板の下方にある,天板の横幅よりも少し幅の狭い大きさとした本体の正面であって,その正面のうち周縁をごく僅かに除くと共に,取っ手部と正面右側上端寄りの小円形部及び横長長方形部を除いた範囲としたものであって,点火状態の表示や点火操作の機能を含む,埋込型コンロにおける正面の用途及び機能を有している。 (3)本願部分の形態 本願部分の形態は,全体が横長長方形であって,縦に約1対1の割合で2分割,横に左から約1対2.5対1.7の比率で3分割した区画を施し,左上の区画には1個の円形の操作つまみとその左側にインジケータ等からなる表示部を設け,右上の区画には横並びの3個の円形の操作つまみとその各直上に縦長長方形のインジケータを設けたものである。そして,左上の区画に設けたその表示部は,中央の横長長方形の模様を挟んで上下対称に縦長長方形のインジケータを内側に1個,外側には横並びに3個配置したものである。 2 原査定の拒絶の理由に引用した意匠の形態 (1)意匠1 意匠1は,埋込型コンロに係るものであって,引用した部分は,天板の下方にある,天板の横幅よりも少し幅の狭い大きさとした本体の正面であり,その形態は,全体が横長長方形であって,縦に約1対1の割合で2分割,横に左から約1対2.5対1.7の比率で3分割した区画を施し,左上の区画には1個の円形の操作つまみとその左側にインジケータ等からなる表示部を設け,右上の区画には横並びの3個の円形の操作つまみを設けたものであり,左上の区画に設けた表示部は,中央の魚の模様を挟んで上下対称に略菱形のインジケータを内側に2個,外側に3個,それぞれ横並びに配置したものである。 (2)意匠2 意匠2は,調理器用操作パネルに係るものであって,そこには,6個の円形の操作つまみの各直上に縦長長方形が表れている。 3 本願意匠の創作容易性 埋込型コンロの物品分野において,天板の下方にある本体の正面の形態として,全体が横長長方形であって,縦に約1対1の割合で2分割,横に左から約1対2.5対1.7の比率で3分割した区画を施し,左上の区画には1個の円形の操作つまみとその左側にインジケータ等からなる表示部を設け,右上の区画には横並びの3個の円形の操作つまみを設けたものは,意匠1により本願の出願前から公然知られたものである。 しかしながら,本願部分の左上の区画における円形の操作つまみの左側に設けた表示部の,中央の横長長方形の模様を挟んで上下対称に縦長長方形のインジケータを内側に1個,外側には横並びに3個配置した形態は,意匠1及び意匠2により公然知られた形態とはいえないし,当業者が意匠1及び意匠2から容易に導き出せる形態とも認められない。 また,本願部分の右上の区画において3個の操作つまみの各直上に縦長長方形のインジケータを設けた点について検討すると,意匠1には,そのような形態は表れていないし,意匠2における操作つまみの直上に表れている縦長長方形の部分は,操作つまみの初期位置(バーナー点火時の基準位置)を示すために付された印(模様)である可能性が高く,インジケータであると認めるに足りる証拠がない。 そうすると,左上の区画に,横長長方形の模様を挟んで上下対称に縦長長方形のインジケータを内側に1個,外側には横並びに3個配置した表示部を備え,右上の区画に,操作つまみの各直上に縦長長方形のインジケータを設けた本願部分の形態は,意匠1及び意匠2の形態に基づいて容易に創作することができたものとはいえない。 したがって,本願意匠は,その出願前に当業者が公然知られた形態に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものとは認められない。 4 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項に規定する意匠に該当しないので,原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2020-12-03 |
出願番号 | 意願2019-2562(D2019-2562) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(C6)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 前畑 さおり |
特許庁審判長 |
木村 恭子 |
特許庁審判官 |
正田 毅 橘 崇生 |
登録日 | 2021-01-06 |
登録番号 | 意匠登録第1677652号(D1677652) |
代理人 | 恩田 誠 |
代理人 | 恩田 博宣 |