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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 C6 |
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管理番号 | 1373841 |
審判番号 | 不服2020-10454 |
総通号数 | 258 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2021-06-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-07-28 |
確定日 | 2021-05-13 |
意匠に係る物品 | 冷蔵庫 |
事件の表示 | 意願2019-9172「冷蔵庫」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成31年(2019年)4月24日の意匠登録出願であって,その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。 令和1年11月19日付け:拒絶理由の通知 令和1年12月25日 :意見書の提出 令和2年 4月23日付け:拒絶査定 令和2年 7月28日 :審判請求書の提出 令和2年11月 4日付け:拒絶理由の通知 令和2年12月22日 :意見書の提出 令和3年 2月10日付け:拒絶理由の通知 令和3年 3月16日 :意見書の提出 第2 本願意匠 本願の意匠は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「冷蔵庫」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。 第3 当審の拒絶の理由 当審における,令和3年2月10日付けの拒絶の理由は,本願の意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形態に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には,以下のとおりである。 「本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,冷蔵庫です。 本願意匠は,主に以下の形状を認めることができます(別紙第1参照)。 〔形状A〕全体が略縦長直方体であって,正面上部に横長長方形のフロントパネルを設けたもので,そのフロントパネルの右下に横長長方形の温度表示部を設けたもの。 〔形状B〕正面に,左右2列の観音開きの,平坦でやや縦長の長方形状の扉を上下2段として備えたもの。 〔形状C〕取手の奥行き長さ(左右方向の長さ)を,取手と扉の隙間の長さ(前後方向の長さ)より大きくしたもの。 〔形状D〕取手の角をR形状にしたもの。 〔形状E〕取手を扉の端面に取付けたもの。 〔形状F〕右の扉の取手と左の扉の取手の間に,隙間を設けたもの。 しかしながら, (1)以下の形状のものは,意匠1の存在により,本願の出願前から公然知られた形状といえます。 〔形状1a〕全体が略縦長直方体であって,正面上部に横長長方形のフロントパネルを設けたもので,そのフロントパネルの右下に横長長方形の温度表示部を設けたもの。 〔形状1b〕正面に,左右2列の観音開きの,平坦でやや縦長の長方形状の扉を上下2段として備えたもの。 (2)また,以下の形状は,意匠2の存在により,本願の出願前から公然知られた形状といえます。 〔形状2c〕取手の奥行き長さを,取手と扉の隙間の長さより大きくしたもの。 〔形状2d〕取手の角をR形状にしたもの。 〔形状2e〕取手を扉の端面に取付けたもの。 (3)次に以下の形状は,意匠3の存在により,本願の出願前から公然知られた形状といえます。 〔形状3f〕右の扉の取手と左の扉の取手の間に,隙間を設けたもの。 (4)本願の〔形状A〕及び〔形状B〕は,公知の〔形状1a〕及び〔形状1b〕に表れ,本願の〔形状C〕ないし〔形状E〕は,公知の〔形状2c〕ないし〔形状2e〕に表れているし,本願の〔形状F〕は,公知の〔形状3f〕に表れています。 (5)よって,本願の形状(〔形状A〕ないし〔形状F〕)は,本願の出願前に公然知られた形状(〔形状1a〕,〔形状1b〕,〔形状2c〕ないし〔形状2e〕及び〔形状3f〕に基づいて容易に創作をすることができたものと認められます。 意匠1(別紙第2参照) 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1622683号の意匠 (当審の拒絶理由にて引用した意匠1と同じものです。) 意匠2(別紙第3参照) 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1596415号の意匠 (当審の拒絶理由にて引用した意匠2と同じものです。) 意匠3(別紙第4参照) 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1254833号の意匠 (原審の拒絶理由にて引用された意匠2と同じものです。)」 第4 当審の判断 以下において,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,つまり,本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。 1.本願意匠の認定 (1)本願意匠の意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は,冷蔵庫である。 (2)本願意匠の形状 本願意匠は,主に以下の形状を認めることができる。 〔形状A〕全体が略縦長直方体であって,正面上部に横長長方形のフロントパネルを設けたもので,そのフロントパネルの右下に横長長方形の温度表示部を設けたものである。 〔形状B〕正面に,左右2列の観音開きの,平坦でやや縦長の長方形状の扉を上下2段として備えたものである。 〔形状C〕扉の端面に平面視で略L字状の取手を取付けたものである。 〔形状D〕略L字状の取手の角を小さなR形状にしたものである。 〔形状E〕取手は,正面視で先端部の上端及び下端を角丸処理としている。 〔形状F〕取手の奥行き長さ(左右方向の長さ)と,取手と扉の隙間の長さ(前後方向の長さ)の比率を約7:5として,取手の奥行長さを大きくしたものである。 〔形状G〕右の扉の取手と左の扉の取手の間に,隙間を設けたものである。 2.本願意匠の創作の容易性について (1)出願前に公然知られた形状 本願意匠の出願前に公然知られたものと認められる形状は,以下のとおりである。 ア.意匠1より, (ア)全体が略縦長直方体であって,正面上部に横長長方形のフロントパネルを設けたもので,そのフロントパネルの右下に横長長方形の温度表示部を設けたもの。 (イ)正面に,左右2列の観音開きの,平坦でやや縦長の長方形状の扉を上下2段として備えたもの。 イ.意匠2より, (ア)扉の端面に平面視で略L字状の取手を取付けたもの。 (イ)略L字状の取手の角を大きなR形状にし,正しくは略J字状としたもの。 (ウ)取手の奥行き長さと,取手と扉の隙間の長さの比率を約7:3として,取手の奥行長さを大きくしたもの。 ウ.意匠3より, (ア)扉の端面に平面視で略L字状の取手を取付けたもの。 (イ)右の扉の取手と左の扉の取手の間に,隙間を設けたもの。 (2)本願意匠の創作の容易性について 本願意匠の形状のうち,(ア)全体が略縦長直方体であって,正面上部に横長長方形のフロントパネルを設けたもので,そのフロントパネルの右下に横長長方形の温度表示部を設け,(イ)正面に,左右2列の観音開きの,平坦でやや縦長の長方形状の扉を上下2段として備え,(ウ)扉の端面に平面視で略L字状の取手を取付け,(エ)略L字状の取手の角をR形状にし,(オ)取手の奥行き長さを,取手と扉の隙間の長さより大きくし,(カ)右の扉の取手と左の扉の取手の間に,隙間を設けた形状は,意匠1ないし3により本願の出願前に公然知られた形状に基づいて容易に創作をすることができたものと認められる。 しかし,本願意匠は,取手の奥行き長さと,取手と扉の隙間の長さの比率を約7:5とし,取手の角を小さなR形状にして略L字形状としつつ,正面視で先端部の上端及び下端を角丸処理としている形状としており,この点については,本願の出願前の公然知られた形状に基づいて容易に意匠の創作をすることができたとまではいえない。 3.結び したがって,本願意匠は,当審で示した各意匠を基にしては,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,当審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2021-04-22 |
出願番号 | 意願2019-9172(D2019-9172) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(C6)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 清水 玲香、塩治 雅也 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 正田 毅 |
登録日 | 2021-05-21 |
登録番号 | 意匠登録第1687375号(D1687375) |