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審決分類 |
審判 無効 2項容易に創作 無効とする L2 |
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管理番号 | 1018580 |
審判番号 | 審判1998-35274 |
総通号数 | 13 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2001-01-26 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 1998-06-15 |
確定日 | 2000-07-03 |
意匠に係る物品 | 側溝用溝ぶた |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1015721号意匠「側溝用溝ぶた」の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第1015721号意匠の登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
I手続の経緯及び登録第1015721号意匠の要旨 1)登録第1015721号の意匠(以下、「本件登録意匠」と云う)は、平成6年9月5日に出願され、平成10年5月15日に設定の登録がなされたものであって、意匠登録原簿並びに願書及び願書に添付の図面の記載によれば、意匠に係る物品を「側溝用溝ぶた」とし、その形態は、別紙第一に示すものである。 即ち、本件登録意匠は、全体形状を肉厚の横長長方形状板とし、一方の短手方向の側面中央に、上面縁から下面縁にかけて、上面視略倒台形状に切り欠いた浅い凹状の手掛部を設け、長手方向の両側面の下端縁を丸面様とした構成態様のものとし、上面を詳細に観ると、周縁は、細く面取りしているものである。 2)これに対し、請求人代理人は、日本国内に於いて頒布された甲第1号証に示す公開実用新案公報所載の昭和58年実用新案出願公開第72286号の第7図の意匠(以下、「甲第1号証意匠」と云う。)、甲第2号証に示す公開実用新案公報所載の昭和62年実用新案出願公開第3885号の第4図の意匠(以下、「甲第2号証意匠」と云う。)又は甲第3号証に示す図面に示された意匠(以下、「甲第3号証意匠」と云う。)に類似し意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができないものであり、同法第48条第1項第1号により、無効とされるべきである。と主張し、立証として甲第1号証乃至甲第4号証(枝番を含む)並びに物件提出書として、甲第3号証の3(1)乃至(3)及び証拠説明書を提出した。 3)被請求人は、請求人代理人の主張には本件登録意匠を無効にできる正当な理由はない旨の答弁をし、立証として乙第1号証乃至乙第15号証(枝番を含む)を提出した。 4)そこで、上記の点につき当審に於いて審案したところ、請求人代理人の提出した証拠及び主張をもってしては、本件登録意匠が意匠法第3条第1項第3号の規定に違反して登録されたものとして、その登録を無効とすることはできないと判断した。 しかしながら、当審の職権による調査の結果、本件登録意匠は、この意匠登録出願前にその意匠に属する分野における通常の知識を有する者が日本国内において広く知られた形態に基づいて容易にその創作をすることができたものと認められ、意匠法第3条第2項の規定に該当するとして下記の事由を示し無効理由を通知した。 5)本件登録意匠は、「側溝用溝ぶた」に係るものであるが、この種の物品に於いては、その形状を各種の方形状に表すことは、本件登録意匠出願前より広く知られているところである。本件登録意匠は、その側溝用溝ぶたの形状を周知形状である肉厚の横長長方形状板に表し、一方の短手方向の側面中央に、上面縁から下面縁にかけて、側溝用溝ぶたとしては極めて普通にみられる凹状の手掛部(例えば、平成1年10月26日特許庁発行の意匠公報所載の意匠登録第773403号の「U字側溝の甲蓋」の意匠。平成4年10月27日特許庁発行の公開実用新案公報所載実開平4-119884号考案の名称「側溝蓋」第3図に表された「側溝蓋」の意匠。)を設け、長手方向の両側面の下端縁をこれも側溝用溝ぶたとしては、本件登録意匠出願前より普通におこなわれている丸面様とした(例えば、甲第2号証として提出の実用新案出願公開昭62-3885号所載の第2図乃至第4図及びこれに関連する記載事項によって表された「みぞ蓋」の意匠。)までのものであって、そこに格別の意匠の創作があったものとは云えない。 II1)当審の無効理由に対する被請求人の主張 被請求人は、上記の無効理由は不当であるとして要旨下記のように主張し、立証として新たに乙第15-1号証乃至乙第57号証(枝番を含む)及び検乙第1号証を提出した。 (a)側溝用溝ぶたの形状を周知形状である肉厚の横長長方形状板に表し、(b)一方の短手方向の側面中央に、上面縁から下面縁にかけて、側溝用溝ぶたとしては極めて普通にみられる凹状の手掛部を設けている点については、御指摘のとおり周知形状であり、何ら意匠の創作はないが、(c)長手方向の両側面の下端縁を丸面様とすることについても同様に意匠の創作なしとする理由については酷な判断である。一例として示された甲第2号証意匠のような意匠から容易に想到できるものではない。 したがって、本件登録意匠は、意匠法第3条第2項の規定に違反しておらず、意匠法第48条第1項第1号に該当せず、登録を維持されるべきである。 2)請求人代理人は、当審の無効理由に対し何ら応答していない。 III 当審の判断 そこで、被請求人の主張について審案ずる。 本件登録意匠の形態については、前記認定のとおりであるので、先ず、全体形状を肉厚の横長長方形状板に表し、一方の短手方向の側面中央に、上面縁から下面縁にかけて、上面視略倒台形状に切り欠いた浅い凹状の手掛部を設けた点についてみるに、この形態は、この種意匠の属する物品分野に於いては、本件登録意匠出願前より広く知られているところであることは、被請求人も意見書の中で認めているところであり、当審に於ける無効理由通知書に記載の例示からも明らかである。従って、この点については、周知の態様のものであると云える。 次に、長手方向の両側面の下端縁を、丸面様とした点についてみると、この種側溝用溝ぶたにあっては、本件登録意匠出願前より、短手方向或いは長手方向或いは全ての側面或いは側面の下端縁を、極く普通の傾斜面としたり、面取り様としたり、丸面様としたりすることは、この意匠の属する物品分野において広く知られていたことが、甲第1号証の意匠、当審に於ける無効理由通知書にも例示として援用した甲第2号証に、「みぞ蓋の側面図」として記載されている第2図乃至第4図の意匠及び前掲実開平4-119884号に「側溝蓋の他の例を示す側面図」として記載されている第6図及び7図の意匠からも明らかである。したがって、これらの事実に鑑みれば、当業者であればこれらの意匠に基づいて容易に想到できたものと云わざるを得ない。しかも、長手方向の両側面の下端縁を極くありふれた丸面様とした本件登録意匠と同様のものが、昭和63年6月21日特許庁発行の公開実用新案公報所載実開昭63-95790号考案の名称「道路側溝用蓋」の本考案の実施例第1図のA-A部断面図として記載されている第3図(別紙第二参照)にも開示されている。このことからも、本件登録意匠出願前少なくとも5、6年前より、この種意匠の属する物品分野に於いて長手方向の両側面の下端縁を丸面様とすることが広く知られるに至ったものと推認でき、この点に格別の意匠の創作があったものとは云えない。 そうであるとすると、本件登録意匠は、この意匠登録出願前にその意匠の属する分野に於ける通常の知識を有する者が日本国内に於いて広く知られた形状、模様、若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと云わざるを得ない。 IV むすび したがって、本件登録意匠は、意匠法第3条第2項の規定した意匠に該当するものであり、同法同条同項の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は無効とすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別記 |
審理終結日 | 1999-04-08 |
結審通知日 | 1999-04-20 |
審決日 | 1999-05-11 |
出願番号 | 意願平6-26963 |
審決分類 |
D
1
11・
121-
Z
(L2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 早水 香苗 |
特許庁審判長 |
瀬尾 和子 |
特許庁審判官 |
松原 至 伊勢 孝俊 |
登録日 | 1998-05-15 |
登録番号 | 意匠登録第1015721号(D1015721) |
代理人 | 小島 清路 |
代理人 | 谷口 直也 |