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審決分類 審判 判定  同一・類似 属する(申立成立) G2
管理番号 1041684 
判定請求番号 判定2000-60038
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠判定公報 
発行日 2001-08-31 
種別 判定 
判定請求日 2000-03-23 
確定日 2001-06-22 
意匠に係る物品 フォークリフトトラック 
事件の表示 上記当事者間の登録第0997874号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 (イ)号図面代用写真及びその説明書に示す「フォークリフトトラック」の意匠は、登録第0997874号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。
理由 第1 判定請求の趣旨及びその理由
請求人は、「イ号写真に示すフォークリフトトラックの意匠(以下、「イ号意匠」という。)は、登録第997874号意匠(以下、「本件登録意匠」という。)及びこれに類似する意匠の範囲に属するとの判定を求める。」と申し立て、その理由として請求書の「6.請求の理由」の項の記載のとおりの主張をし、証拠方法として、甲第1号証乃至甲第37号証を、被請求人の求釈明に対して甲19号証の2,甲第21号証の2,甲第23号証の2,甲第26号証の2,甲第28号証の2、甲第30号証の2、甲第31号証の2、甲第32号証の2,甲第38号証、及び甲第39号証の書証を提出した。
その請求理由の大要は以下のとおりである。
即ち、本件登録意匠の創作に係る特徴である要部は、(A)機台上面のコックピット部において、インストルメントパネル部以外のステアリング周辺の部分を広いフラットな面に形成した点、(B)本件登録意匠では、バッテリーは前方荷役機構の側から取り出せるようになっていることから、ボディのパネルに区画や開口部がなく、全面的に扁平なパネルで覆われていて、すっきりとした構成であること、(C)ヘッドガードの傾斜等の態様、これら3つを組み合わせた態様にある。
本件登録意匠とイ号意匠とは、全体の基本的構成態様を共通にし、各部の具体的な態様についても大部分を共通にしている。 その共通態様には本件登録意匠の要部が含まれている。それに対して両意匠の差異点は、いずれも細部の態様であるか、類否判断に影響を与えないありふれた部分の差異でしかない。
インストルメントパネル部の態様に係る差異点は、細部の差異にすぎず、ヘッドガード屋根部の水平か斜めかの差異点は、差異を感じさせないものであり、バックレスト部に係る差異は、イ号意匠のその態様も公知であり、横長方形状の外枠内に格子状の桟を構成した共通感に埋没する程度のものでしかない。彩色の差異は、類似範囲に含まれるものである。被請求人が答弁書で主張する両意匠の差異は、極細部の微差としかいえない程度のものである。
第2 被請求人の答弁及びその理由
被請求人は、「本件判定請求は成り立たない。」と答弁し、その理由として答弁書、答弁書(2)及び上申書に記載のとおり主張し、証拠方法として乙第1号証乃至乙第14号証の書証を提出したものである。 その答弁の理由の大要は、以下のとおりである。
即ち、先ず両意匠の基本的な構成態様は、本件登録意匠出願前において既に周知であって、類否判断に影響を与えるものでない。
次いで具体的な構成態様において、ボディのカバーパネルについて、左側面上端縁が水平直線状であるか段差状であるかの差異、腰当パッドの突出の有無、右側面上端縁の水平状と前方に向かう上り勾配状との差異、コックピット部について運転席左側部分の全体がフラット状であるのと、インストルメントパネル部を除いた矩形部分の前方部分が左方に上がる傾斜面であるのとの差異、インストルメントパネル全体の角張った態様と丸まった態様の差異、表示パネル部の角張った三角状と丸みを持った楕円形状との差異、肘掛け部の大きさ及び背面側への折れ曲がりの有無、インストルメントパネル背面の四角形の穴と台形状切欠部との差異、ヘッドガード部について立設位置の差異とその差異による段差の有無、バックレスト部について、その横幅の差異に加えて、縦横桟の構成の差異、脚部についての先端カバーの有無、というかなりの差異があり、しかも本件登録意匠の特徴とおぼしき点の共通点を見出すことができない。
さらに、請求人が主張する本件登録意匠の上記要部(A)(B)の態様については、乙第12号証、乙第13号証、その他の証拠を考慮すると公知であって要部といえるものではない。

第3 当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成6(1994)年12月14日の意匠登録出願に係り、意匠法第4条第2項の規定の適用を受け、平成9(1997)年8月15日に設定の登録がなされた意匠登録第997874号であり、その願書の記載及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品が「フォークリフトトラック」、その形態が別紙第1に示されたとおりのものである。
2.イ号意匠
イ号意匠は、判定請求書に添付したイ号意匠説明書(甲第14号証)及びイ号写真(甲第15号証)に示されたもので、意匠に係る物品が「フォークリフトトラック」、その形態が別紙第2に示されたとおりのものである。
但し、本件登録意匠は、色彩を構成要素とせず、明暗調子を特定したものであるので、イ号意匠の形態の認定についても、これと同等に、色彩のみを除外して明暗調子の現された形態の意匠と把握して行う。(別紙第二参照)
3.本件登録意匠とイ号意匠の比較
本件登録意匠とイ号意匠を対比すると、両意匠は、意匠に係る物品が、共に比較的軽量の荷物を移動、運搬するものでオペレータが立って運転、操作する一般的にはリーチタイプと称せられるフォークリフトトラックであって一致し、その形態については、主として以下の共通点と差異点が認められる。(なお、イ号意匠は、本件登録意匠の方向に置き直して以下対比観察する。)
すなわち、先ず、共通点として、
(1)全体が、底部側を、車輪を軸支した脚台部、その上方前半を、フォークとマスト等からなる荷役機構部、その上方後半を、バッテリーや各種駆動機構を内蔵し運転席を設けた機台部としたもので、機台部は、略直方体状とし、その背面片側に出入り口を開口して運転席を形成し、その上面には、各種操作レバー及び計器類等からなるインストルメントパネル部とハンドルを配してコックピット部とし、ヘッドガード部が、機台前面に機台部の上方を覆う形に突設され、脚台部の、前半は、左右一対の前方に伸びる角棒状で、その一対の脚台部間に前後にスライド可能なフォークとマストとバックレストを設けた基本的な構成態様である点、各部の具体的な構成態様につき、
(2)機台部の略直方体形状の大きさの構成比率は、横幅と高さがほぼ等しく、奥行きが横幅より稍短いものである点、
(3)機台部の前面側にバッテリー出し入れ口を設けている点、
(4)機台部の左右側面及び背面側を、外周側面を垂直平滑面状とする薄板状のパネル2枚、すなわち左カバーパネルと右カバーパネルで覆っているもので、左カバーパネルは、運転席の背面側出入り口の左辺寄りから左側面に連続するもので、右カバーパネルは、運転席の背面側出入り口の内周壁面側から右側面に連続するもので、上面視各カバーパネルの背面左右両角部は緩やかな角丸状で湾曲している点、
(5)運転席は、機台部の後半部の略左半分に設けた上面視方形状で全高にわたって設けた略柱状の空間部で、その空間部の背面側を左カバーパネルで一部塞いで出入り口とし、運転席左側壁面上端部の内周壁面に沿って方形状の腰当てが取り付けられている点、
(6)機台部の上面は、前半の左半部に上方視略横長方形状でやや厚味のある略直方体状のインストルメントパネル部を突設し、その余を略水平の平坦面状の余地部としている点、
(7)インストルメントパネル部は、その上面の運転席側上辺を削ぎ面状とし、運転席から見て中央左寄り奥を側方視略へ字状に隆起して、その前面に略矩形状の表示画面を配して表示部を形成し、表示部手前左に漸次短くなる3本のレバーを並列し、インストルメントパネル部中央には一本のレバーを立設し、右側には、上方視略方形状に盛り上げ肘掛け部を形成し、前面左右中央より稍右寄り位置に鍵取り付け凹部を設けている点、
(8)ハンドルは、円環状の直径位置に略一の字平板状の連結支持板が取り付けられ、該連結支持板の片端部位に略玉状の摘みが突設されている点、
(9)機台部の前面上半部分に平行横線状の放熱口を設けている点、
(10)ヘッドカバー部について、一対の支柱と屋根部から成る側面視傾斜した倒L字状で、各支柱を機台の前端部両側より後方に傾斜して立設し、その上端部を水平方向に屈曲して、屋根部を形成しているもので、屋根部は後辺両角を上方視角丸状とした略横長方形状の外枠の内方を複数の桟を等間隔に配列しているもので、外枠はその下辺が後方に向かって上がる斜状で、その厚味が側方視後方に向かって漸次薄くなる点、
(11)バックレスト部につき、正面視略角丸横長方形状の枠体の内側に縦横桟を配した構成である点、
(12)脚台部は、前半部と後半部は、略同高で、後半部の背面側はその外周面の形状が、上方の機台部の外周面の輪郭に沿って面一致の垂直平滑面状で、前輪側側面を略半円形状に、後半部の背面右輪側を大きな略半円状に、左輪側を略台形状に切り欠いているもので、各切り欠き部からは各車輪が現れる点、が認められる。
次いで差異点については、各部の具体的な態様において、
(イ)左カバーパネルにおいて、本件登録意匠は、その上端が水平状で、側方視その上端に肘掛け部及び腰当て部が露出状に現れるのに対して、イ号意匠は、その上端前方過半部分が後方部に比して稍背が高く、前後で段差状を成し、側方視腰当部が露出しない点、
(ロ)右側カバーパネルにおいて、本件登録意匠は、その上端が水平状であるのに対して、イ号意匠は、全体が前上がりの斜状である点、
(ハ)インストルメントパネル部において、本件登録意匠は、左右側面及び背面側が略垂直面状で上面手前(運転席側)角部が斜面状に削がれており、表示部の周部が稍角張っているのに対して、イ号意匠は、上面外周面四辺が上下方向に角丸状で、表示部の輪郭が丸みを持たせたものである点、
(ニ)肘掛け部について、本件登録意匠は、稍大きく、上面が運転席側に僅かに屈曲しているのに対して、イ号意匠は、単純な角丸直方体状で稍小さい点、
(ホ)機台部上面コックピット部の余地部について、本件登録意匠は、ハンドルの下側に当たる部分を除いて全体が水平な平滑平坦面状であるのに対して、イ号意匠は、右半部前方部分が僅かに斜面状となり、その右端際に用紙止め用のクリップが取り付けられている点、
(ヘ)機台部前面上半部の放熱口において、本件登録意匠は、左右対称状の2つの長方形区画内に配しているのに対して、イ号意匠は、上辺沿いに3個の長方形区画内に配している点、
(ト)脚台部の前端について、本件登録意匠は、明調子のキャップが取り付けられているのに対して、イ号意匠は、キャップが設けられていない点、
(チ)バックレスト部について、本件登録意匠は、その横幅が機台部の横幅と略一致するものであるのに対して、イ号意匠は、機台部の横幅の略2倍の幅のものである点、
(リ)明暗調子について、本件登録意匠は、カバーパネルを明調子、脚台部、機台部上面及び運転席内周壁面、ヘッドガード部を中間調子、マスト部、バックレスト部、ハンドル部を暗調子としたものであるのに対して、イ号意匠は、カバーパネル部の、上半部分を中間調子、下半部分を明調子、脚台部、機台の内周壁面の上半部分を暗調子、下半部分を明調子、機台上面全体及びハンドル部を暗調子、ヘッドガード部、マスト部及びバックレスト部を中間調子としたものである点、が認められる。
そこで、上記の共通点と差異点が、両意匠の類否に及ぼす影響について検討する。なお、被請求人は、本件登録意匠の意匠法4条2項新規性喪失の例外適用のため提出した証拠としての刊行物(新聞)に記載の記事内容の真否につき判断を求めるが、判定において当審が検討審理するべき対象ではないものである。
先ず、共通点(1)の全体の基本的な構成態様は、フォークリフトラックの基本構成として本件登録意匠の出願前に一般的であった態様で、本件登録意匠のみが有する特徴とはいえないものである。
また、各部の具体的な構成態様のうち、(6)乃至(8)を除く、すなわち(2)乃至(5)、及び(9)乃至(12)については、各共通点は、個々には出願前公知になったフォークリフトトラックの部分の態様として現れていて、出願前に一般的な態様となっていたと言えるものの、それら共通点(2)乃至(5)、及び(9)乃至(12)の全てを具有する意匠が、本件登録意匠の出願前に存在していなかったことも明らかである。
更に、(6)及び(8)の、機台部上面のコックピット部の態様は、本件登録意匠の出願前には見られない、本件登録意匠のみの特徴であって、この種運転者が運転席に起立して操作する、その前方の手元に位置する主要な部位であるコックピット部の構成は、運転者の注意を強く惹く部分であって、且つ外部からも視認される部分であり、全体からみても機台部上面全面である大きな面積を占め、その他の共通点が、本件登録意匠の出願前において一般的な態様であって、本件登録意匠のみの特徴点ではないものの、それらの共通点と相俟って、両意匠の全体の骨格を成し、両意匠の形態の基調を表出しているものであって、その共通点が、類否判断に与える影響は、大きいものである。
一方、上記差異点が両意匠の類否の判断に及ぼす影響について検討するに、
(イ)及び(ホ)の点は、機台部上面及びその外周縁、すなわちコックピット部の態様に係るものではあるが、運転者が操作時、注視するのは機台部の上面であって、(イ)及び(ロ)の点は、上面を囲むカバーパネルの上端における僅かな高低差に係るものでもあって、(ホ)の点も、イ号意匠の上面の傾斜面の程度も極僅かなもので格別目立たないもので、機台部上面のインストルメントパネル部を除く広い面を略平坦な段差のない同一面状に形成し、インストルメントパネル部を、略同位置に略同大同高の隆起面状に形成し、その上面に表示部、レバー4本、肘掛け部を各々略同位置に略同形同大に配した、本件登録意匠の出願前には見受けられない本件登録意匠のみの特徴でもあるところの共通点(6)乃至(8)に比して、その差異は、部分的な微弱な差異に過ぎない。
(ト)の点は、全体からみて小さな且つ従たる部分の態様の差異に止まっており、微弱な差異に過ぎない。
(チ)の点は、視覚上明確な且つ稍大きな部分の態様の差異であるが、この種フォークリフトトラックの物品分野においては、積載搬送する容体に対応して、その大きさの大小を適宜選択するのが通常であって、その差異も通常の適宜選択される大きさの範囲内のものであって、微弱な差異に過ぎない。
(リ)の点は、視覚上、目につく差異ではあるが、共に、同一部位ごとを同調子としたり、上半部と下半部を調子分けする手法はこの種物品における塗装手法としては一般的であって、両意匠とも極一般的な明暗調子づけの適宜選択される範囲内のものであって、共に格別特徴のある態様でもなく、その差異は微弱に過ぎない。
そうすると、上記差異点は、何れも微弱な差異に過ぎないものであって、類否判断に与える影響も何れも小さいもので、これらを総合しても、両意匠の類否の判断に及ぼす影響は小さいものである。
そうして、上記差異点が相俟って、相乗効果を生じることを考慮しても、イ号意匠は、意匠全体として、本件登録意匠にない格別の特異性が認められず、前記の差異点が、両意匠の類否判断に及ぼす影響は、微弱なものと言わざるを得ない。
一方、その全体の基本的な構成態様及び各部の具体的な態様の共通点の内の多くが、一般的な態様であって本件登録意匠のみの特徴とは言い難いものの、機台部上面のコックピット部には本件登録意匠のみの特徴があり、その他の共通点と相俟って、本件登録意匠の形態上の特徴を強く表象すると共に、形態全体の基調を形成しており、両意匠の類否判断に十分な影響を及ぼすものと言わざるを得ない。
ゆえに、イ号意匠は、本件登録意匠と共通しない差異点があるもののその影響は微弱であって、本件登録意匠の特徴を共有しており、その他の共通点と相俟って、共通点全体の及ぼす影響が差異点全体の及ぼす影響を凌駕しており、結局のところ、イ号意匠は、本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に 属するものといわざるを得ない。
よって、結論のとおり、判定する。
別掲
判定日 2001-06-11 
出願番号 意願平6-38351 
審決分類 D 1 2・ 1- YA (G2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 松原 美代子藤木 和雄 
特許庁審判長 秋間 哲子
特許庁審判官 鍋田 和宣
伊勢 孝俊
登録日 1997-08-15 
登録番号 意匠登録第997874号(D997874) 
代理人 森本 義弘 
代理人 笹原 敏司 
代理人 佐藤 英二 
代理人 板垣 孝夫 
代理人 長谷川 芳樹 
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