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審決分類 審判 無効  1項2号刊行物記載(類似も含む) 無効とする D5
管理番号 1045259 
審判番号 無効2000-35060
総通号数 22 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2001-10-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-01-25 
確定日 2001-08-13 
意匠に係る物品 自動洗髪機 
事件の表示 上記当事者間の登録第0916105号「自動洗髪機」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第0916105号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1.請求人の申立及び理由
(1)申立及び理由
請求人は、結論同旨の審決を求めると申立、その理由として以下に示すとおり主張し、甲第1号証ないし甲第2号証を提出した。
意匠登録第916105号意匠(以下、本件登録意匠という)は、出願前公知の甲第1号証の意匠に類似するものであり、意匠法第3条第1項第1号の規定により意匠登録を受けることができないものであり、同法第48条第1項第1号により無効とすべきである。
(2)答弁に対する審判請求理由補充書
被請求人の答弁に対して請求人は、平成12年7月6日付で、審判請求理由補充書を提出し、新たな証拠として甲第3号証を提出し、理由として、審判請求書において、本件登録意匠は、甲第1号証の意匠に類似するものであり、その意匠登録は無効とすべき旨述べたが、本件登録意匠はさらに、出願前に日本国内において頒布された刊行物である甲第3号証に記載の意匠と同一の意匠であり、意匠法第3条第1項第2号の規定により意匠登録を受けることができないものであり、その意匠登録は、同法第48条第1項第1号の規定により、無効とすべきものであると主張した。
2.被請求人の答弁
(1)答弁及び理由
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めるとし、理由として、本件登録意匠は甲第1号証の意匠とは類似しない別異の意匠を構成していると主張し、乙第1号証を提出した。
3.無効の理由の通知
そこで当審は、「本件登録意匠は、その出願前に、国内において頒布された雑誌「NEW HAIR(ニューヘア)」1992年10月号(国会図書館、平成4年9月4日受け入れ所蔵)の綴じ込み付録「くるくる」112〜113頁の図版及び記事に記載された「自動洗髪機」の意匠に類似するものと認められ、意匠法第3条第1項第3号の意匠に該当し、同条同項柱書きの規定に違反して登録された意匠に該当する。」旨の無効の理由を通知し、期間を指定して意見書の提出を求めたが、その期間を経過しても請求人及び被請求人の何れからも、何ら応答がなかったものである。
4.当審の判断
(1)審判請求理由補充書
請求人が、平成12年7月6日付で提出した審判請求理由補充書で補充した甲第3号証及び請求の理由は、当初の審判請求書に示された証拠及び請求の理由とは内容が異なる新たなものであり、請求の理由の要旨を変更するものと認められる。
従って、当該審判請求理由補充書は意匠法第52条で準用する特許法第131条第2項の規定により認められない。
(2)本件登録意匠
本件登録意匠は、平成4年9月30日の意匠登録出願に係り、平成6年10月25日設定の登録がなされたものであって、意匠に係る物品を「自動洗髪機」とし、その形態は、願書及び願書に添付された図面及び図面代用写真に記載されたとおりのものである。(別紙第1参照)
(3)無効の理由として引用した意匠
当審において無効の理由として引用した意匠(以下、「引用意匠」という)は、本件登録意匠の出願前に国内において頒布された雑誌「NEW HAIR(ニューヘア)」1992年10月号(国会図書館、平成4年9月4日受け入れ所蔵)の綴じ込み付録「くるくる」112〜113頁の図版及び記事に記載された「自動洗髪機」の意匠であって、形態は、当該図版に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)
(4)両意匠の対比考察
本件登録意匠と引用意匠は、意匠に係る物品が同一であり、形態については、以下に示す共通点及び差異点等が認められる。
まず共通点として、(a)全体が、直方体の正面右側角部を大きく面取りした、僅かに縦長の変形五角柱状の本体部を形成し、本体部上面にドーム状のフード部を形成すると共に、フード部以外の余地部に、操作部の区画、水栓ハンドル、及び洗髪剤容器体を配置した基本的な構成態様のものであり、各部の具体的な態様として、(b)本体部は、上面中央やや前寄りに凹陥状の洗髪槽を形成し、上方略5分の1の高さまで天板から続くエプロン部の区画を設け、該エプロン部の正面側中央に、両側から中央に向かって、なだらかな傾斜面から凹弧状に続く首乗せ部を形成し、フード部を除く上面余地部には、右側前方寄りにおおよそ2列にスイッチを配した矩形状の操作部の区画を形成し、右側後方寄りには、長円形の薄板上に、2個の円柱状の水栓ハンドルを配置し、左側後方には、直方体状の洗髪剤容器体を配置しており、正面側下半分は、右側角部の面取り部を除き、緩やかな凹弧面を介して段状に形成して、正面右側角部の面取り部上方寄りに電源スイッチを配した矩形状の区画を設けた点、(c)フード部は、全体が、本体部の洗髪槽の開口部を塞ぐ態様で、後方を砲弾型球面状とし、前面側は、略半円形状の切り欠き部を設けた略馬蹄形状の平坦面で前下がり状とし、該切り欠き部が、本体エプロン部の首乗せ部に対応している点、(d)ハンドシャワーを装備している点が認められる。
次に差異点等として、ハンドシャワーにつき、本件登録意匠は、フード部左側にハンドル下部を埋め込んだ態様で設置しているのに対して、引用意匠は、設置場所、設置態様が不明である点、操作部のスイッチの形状につき本件登録意匠は、小円形状であるのに対して、引用意匠は、小矩形状である点が認められる。
まず、差異点等について検討すると、ハンドシャワーの設置場所については、使用者(美容師)が、左手でシャワーを持ち、右手で洗髪するのが一般的な使用態様であることを考慮すると、引用意匠は、フード部に隠れて見えないものの、本体部上面のフード部の左側に設置されているものと推認でき、この点が両意匠の類否判断に与える影響は小さいものである。また、操作部のスイッチの形状は、本体上面に配置した操作部の位置及び矩形状とした形状が共通する中での部分的な差異であって、この点が両意匠の類否判断に与える影響は、微弱にすぎない。
一方、前記共通するとした全体の基本的な構成態様及び各部の具体的な態様の共通点は、両意匠の全体の態様の基調を形成するもので、これらが相まって両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものである。
以上のとおり、本件登録意匠と引用意匠は、意匠に係る物品が同一であり、形態についても前述した形態上の基調をなす態様において共通しているものであるから、類似しているものというほかない。
(5)むすび
以上のとおりであるから、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第3号の規定に違反して登録されたものであって、その登録は、意匠法第48条第1項第1号の規定によって、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

審理終結日 2001-06-11 
結審通知日 2001-06-22 
審決日 2001-07-03 
出願番号 意願平4-28736 
審決分類 D 1 11・ 113- Z (D5)
最終処分 成立  
前審関与審査官 鍋田 和宣 
特許庁審判長 遠藤 京子
特許庁審判官 西本 幸男
市村 節子
登録日 1994-10-25 
登録番号 意匠登録第916105号(D916105) 
代理人 亀井 弘勝 
代理人 早瀬 憲一 
代理人 亀井 弘勝 
代理人 稲岡 耕作 
代理人 川崎 実夫 
代理人 川崎 実夫 
代理人 稲岡 耕作 

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