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審決分類 審判 無効  新規 無効としない L2
審判 無効  2項容易に創作 無効としない L2
審判 無効  意5条 無効としない L2
管理番号 1048724 
審判番号 無効2000-35630
総通号数 24 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2001-12-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-11-17 
確定日 2001-10-15 
意匠に係る物品 側溝用ブロック 
事件の表示 上記当事者間の登録第1048440号「側溝用ブロック」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1、請求人の申立て及びその理由
請求人は、「登録第1048440号意匠(以下、本件登録意匠という)の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由として概ね次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証乃至甲第13号証及び甲第1号参考資料乃至甲第3号参考資料を提出した。
本件登録意匠は、意匠要部を構成する甲第1号証乃至甲第13号証及び甲第1号参考資料乃至甲第3号参考資料の製品構成範囲であり、意匠法第3条第1項及び2項の規定に違反していると同時に本件意匠登録の権利範囲として被請求人の関係会社の製造販売している製品を、この製品を使用している住民や関係者より請求人の会社製品として誤認、混同し苦情が発生して迷惑を被っている実状からして、意匠法第5条第2項にも該当しているものであり、無効とすべきである。
1.本件登録意匠は、可変(勾配自由型)側溝(昭和56年1月30日実用新案公告公報昭56-51113「甲第1号証」)を基本とし、対向する左右の側壁部材の外面を垂直とし、この対向する左右の側壁部材の内上部に突出させ防音効果を得るために嵌設される蓋との支承部を「くさび状」線接触支承部として構成するために凸部曲面とし、且つ端部を1/3程度の水平支承とし、両端上部間に水平耐力梁を設けて、その天端表面にスベリ止め、水はね防止を兼ねた化粧溝模様を形成し、該左右両側材間の下部を全面開放形状としている。
2.本件登録意匠の変化性の新規的構成要素は、従来の「可変側溝」に次の新規性と独創性を強調構成した「可変側溝」である。
(1)従来の可変側溝の支承部を防音効果を得るために「くさび状」凸部曲面支承部としていること。
(2)蓋に荷重が加わった時に必要以上に本体に蓋が食い込みしないように両端部に水平支承部を設けていること。
(3)従来の可変側溝の天端表面をスベリ止め、水はね防止を兼ねた溝模様を美感に考慮して構成していることである。
しかし、
(ア)前記1.の「この対向する左右の側壁部材の内上部に蓋との支承部を構成させ、両端上部間に水平耐力梁を設けて、該左右両側材間の下部を全面開放形状とした側溝用ブロック」は、本件登録意匠の出願前公然実施されていたことは、実用新案公告昭56-51113(甲第1号証)、同59-35669(甲第2号証)、同63-2537(甲第3号証)号の公報で理解できる。
(イ)前記1.の「側壁の外面を垂直とする」技術構成や「側壁内面に支承部を構成させる」技術は、実用新案登録第3011652(甲第4号証)、同3022195(甲第5号証)号の登録意匠公報で理解できるように、出願前公知の技術構成範囲のものである。
(ウ)前記1.のコンクリート製品の蓋と本体よりの騒音発生防止には、「支承部を」「くさび状」または「曲面」にすると効果があることに加えて、蓋の荷重が必要以上に本体に蓋が食い込まないように端部に「水平支承部」を設ける必要が有ることは、昭和55年から60年頃に請求人の会社で関係官庁、同業者、建設業者、型枠製作会社等に配布したカタログ(甲第11号証)に掲載の製品図面や写真が、本体の支承部を傾斜部、端部を水平支承部として、嵌設される蓋の底部両端にも傾斜として騒音発生防止効果を有する構成製品であることから、本件登録意匠の出願前被請求人が当然知り得た技術構成範囲のものである。
(エ)騒音防止のための端部に水平支承部がない「くさび状」とすることは、実用新案出願公開昭63-18590号(甲第6号証)に、「騒音が発生する事がない解消形側溝製品」として、特開平9-158302号(甲第7号証)に、騒音発生防止には「くさび状」製品構成する事が、特開平9-228458号(甲第8号証)により現れている。
すなわち、側溝本体の支承部全体をくさび状にすることは、蓋に荷重が加わった時に本体側壁に内面より大きな曲げモーメントが生じ、ダブル鉄筋(外圧、内圧の鉄筋)だけではクリアできない構造上の課題が残り、蓋の撓み以上の食い込みを防止する(蓋の荷重応力を圧縮荷重として受け止める)ため、水平支承部が必要欠くべからざる範囲の技術的構成要素であったことも、被請求人が出願前当然知り得た技術構成部分である。
(オ)本体か蓋の一方を曲面とすることは、蓋が少しでもずれると結果として、ひび割れが生じ、安全であることを証明できないことも知り得た技術的解決課題であった。
(カ)この種物品に於いては、審美的観点よりの「みどころ」の高いウエイトは、製品天端表面模様である。その天端表面模様については、甲第9号証乃至甲第10号証に示されている技術及び公知のものである。
第2、答弁の趣旨及び理由
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由として概ね次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証乃至乙第13号証を提出した。
1.「関係会社の製造販売している製品に構造的に欠陥が有って」なる主張は、事実無根であり、「この製品を利用している住民や関係者より請求人の会社製品として誤認、混同し苦情が発生して迷惑を被っている実状」を示す証拠は何一つ示されていない。
2.請求人の主張は、技術的な作用効果の主張であるとしてみても、他の技術と混同しており、誤りである。蓋の支承部をくさび状にし、かつ必要以上に本体に蓋が食い込みしない様に両端部に水平支承部を設ける防音構造は、乙第1号証や乙第2号証に示されている構造である。支承部を凸曲面とする防音構造は、くさび作用が発揮されるような急勾配を備えておらず、水平面を設けなければならないほど支承部に蓋が食い込むことは起こり得ない。
3.支承部を「くさび状」にする技術と「凸曲面」にする技術は、全く異なる原理を利用したものである。
4.審判請求人が提出した甲第11号証は、日付が不明である上、蓋の支承部を凸曲面としたものは、全く示されていない。
5.請求人の「側溝本体の支承部全体(端部まで)を「くさび状」にすることは、・・・・本体側溝に内面より大きな曲げモーメントが生じ、・・・・食い込みを防止する・・・・水平支承部が必要欠くべからざる・・・最も重要な技術構成部分である。」との主張も、蓋の支承部をくさび状とする構造と凸曲面とする構造との差異を認識しない審判請求人の誤解に基づく主張である。
6.甲第12号証がいつ作られていつどのように配布されたかを示す証拠がない。また甲第12号証に記載の各模様は、ブロックの幅方向と長さ方向とにほぼ同一の配列で大小の方形が配置されているのに対し、本件登録意匠は、大小の方形を幅方向には大2個と小2個を交互に、長手方向に混在させることなく大小それぞれを並べて配置している点で全く異なる。甲第12号証は、各模様が二次元的に拡がる模様であるのに対し、本件登録意匠の模様は一次元的に伸びる模様である。甲第12号証に記載の模様は、いずれも、大きな方形と小さな方形とをブロックの長手方向と幅方向とに交互に配置したものである。
以上のように、請求人の主張は、事実の存否を疑わざるを得ない不完全な証拠に基づき、技術的な誤解と請求人の個人的な憶測に基づいて成されたものである。
本件登録意匠の少なくとも上面の模様と蓋の支承部の曲面とは、類似のものが全く存在しなかったものであり、甲第10号証、甲第12、13号証に示された模様とは看者に与える美感を全く異にする。
第3、当審の判断
1、本件登録意匠
本件登録意匠は、平成10年4月28日に意匠登録出願をし、平成11年5月28日に意匠権の設定の登録がされたものであり、願書及び願書に添付された図面の記載によれば、意匠に係る物品が、「側溝用ブロック」であって、その形態は、別紙のとおりのものである。
すなわち、(1)前後の側板部と上面板部からなる側面視が肉厚の略倒コ字状であって、上面及び前後両面を横長矩形状とし、上面の中央に横長矩形状の蓋用開口部を設け、左右両面及び底面側を開放面とした基本的な構成態様で、各部の具体的な構成態様において、
(2)各部の構成比率を、全長(左右幅)に対して、高さが略3分の1、高さに対して前後幅は略4分の3、上面の開口面部の左右幅は全長の略2分の1とする点、
(3)前後の側板部の各外面側は、段差及び突出のない垂直平滑面状である点、
(4)上面板部と前後の側板部の繋ぎ部の内周側全長に、すなわち全高の上端寄り略10分の3を漸次上方内方に向かって肉厚状として膨出部を形成している点、
(5)上面全面には、大小の正方形状の規則配列からなる凹凸模様を表していて、その模様は、厚味が均一で極薄い、上面視大小2種の正方形の板状突出部多数を極細巾の間隙を設けて整然と規則配列した態様の構成からなるもので、大きい正方形は、その1辺の長さが小さい正方形の2辺の長さより僅かに長いもので、その配列は、小さい正方形2個を左右方向に直列してなる1対を等間隔に左右方向に直列してなる列を、上面の前後両辺側及び前後の中央の計3列配し、その各間隙に大きい正方形2個を前後方向に直列してなる1対を等間隔に左右方向に直列してなる列を配しているもので、すなわち左右方向では、大きい正方形と小さい正方形が混じらない配列で、前後方向では、大きい正方形の1辺と小さい正方形の左右方向直列1対が1列状に配列された態様である点、
(6)蓋用開口部は、上面板部の前後両辺側に、細幅帯状の余地を残して設けられているもので、その内周の左右両辺側は垂直面状、前後両辺側は切り欠いて蓋用支承部を形成している点、
(7)蓋用支承部の切り欠きは、前後の側板部の内周各々を前後対称状に、断面視、その輪郭を、底部側下端(先端)を極小さい垂直面状、その上端側を極小さい水平面状、その上端側はやや大きな突円弧状の斜状の曲面状、その上端より開口部上端までが長い略垂直面状とする点、が認められる。
2、請求理由の当否について
無効事由1,意匠法第3条第2項の適用について
請求人が無効理由として主張するところは、要するに、本件登録意匠を構成する各要素は、いずれもそれ自体、日本国内において、出願前公然実施され広く知られた形態、または公知の技術範囲に属するものか、広く知られた形態から容易に創作できる形態といえるかのいずれかであり、しかも、これらの各要素を統合することも、困難なくなし得たものであったから、意匠法3条2項に該当するというものである。
そこでまず、請求人が主張する本件登録意匠を構成する各要素が、本件登録意匠の出願当時、日本国内において広く知られるに至った形態、または広く知られた技術範囲に属するものであったかにつき以下検討する。
(1)基本的な構成態様について
甲第2号証によれば、本件登録意匠の出願前、昭和59年までに、基本的な構成態様(1)を具備する形状のものが、実用新案公報によって開示されていたことが認められ、これによれば、基本的な構成態様(1)は、本件登録意匠の登録出願当時(平成10年4月28日)、既に、日本国内において当業者間に「可変(勾配自由型)側溝用ブロック」の形状として広く知られた形状になっていたと推認することができる。
(2)具体的な構成態様について
具体的な構成態様の(2)乃至(4)、及び(6)については、本件登録意匠の登録出願当時、日本国内に広く知られた可変側溝用ブロックの一態様として、具体的構成態様の(2)乃至(4)、及び(6)を具有するものが、広く知られた形状であったことが、甲第2号証等から認められる。
具体的な構成態様(5)の可変側溝用ブロックの上面全面に大小の正方形状の規則配列からなる凹凸模様を表した形状については、上記出願当時、当業者間で広く知られた形状になっていたことは、本件全証拠によっては認めることができない。
すなわち、甲第12号証に掲載のいずれの上面模様も、上面の前後方向と左右方向共に大小の正方形が混じる配列で、すなわち、前後方向及び左右方向ともに、大きな正方形と小さな正方形とを前後両辺側を除いて交互に配置しているもので、本件登録意匠の左右方向においては、大小の正方形が混じらない態様とは大きく異なり、本件全証拠によっても、本件登録意匠の模様を、出願前広く知られた模様、及び公知の模様と認めることはできない。
具体的な構成態様(7)の蓋用支承部の切り欠きについては、その蓋用支承部の切り欠きを下方に向かって窄めてくさび状とすることは出願前広くなされていたことが、甲第7号証、及び甲第8号証等から認められるが、くさび状の具体的な構成において、本件登録意匠の蓋用支承部の切り欠きの態様である底部側下端を極小さい垂直面状とし、その上端側を極小さい水平面状とし、その上端側は極緩やかな突円弧状の斜状の曲面状とし、その上端より開口部上端までを僅かに傾斜があるものの長い略垂直面状とした態様は、出願当時、日本国内において広く知られた蓋用支承部の切り欠き形状であったことは、本件全証拠によっても、認めることができない。
すなわち、請求人提出の証拠には、蓋用支承部の切り欠きが、断面視下端側を極小さい垂直面状、その上端側をやや広い水平面状、その上端側は開口部上端まで略垂直面状に切り欠いた形状のもの、または、断面視下半部を緩やかな角度の傾斜面状、上半部を急な角度の傾斜面状としたものは開示されていて、出願前、それらの切り欠きの態様は、広く知られていたことを認めることができる。
しかし、これらの切り欠き形状は、いずれも本件登録意匠の蓋用支承部の切り欠き形状の有する、上方の急角度の略垂直面状の傾斜面の下方側の突円弧状の斜状の曲面部とその下端側に続く極小さい水平面部を有していないもので、本件登録意匠の蓋用支承部の切り欠きの形状が、出願前、広く知られた形状になっていたことを認めることができない。
以下、上記の広く知られた形状となっていたといえない意匠部分が意匠的に有する意味と、それが広く知られた形状に基づいて容易に創作することができたものであったか否かについて検討する。
(1)本件登録意匠の具体的な構成態様(5)の上面の凹凸模様は、甲第12号証に掲載のいずれの上面模様とも異なり、広く知られた模様と認められないもので、しかも、大小2種の正方形の配列の仕方によって種々形成される模様は無限とまでは言えないもののかなりの態様が推定されるところであり、請求人は、大小2種の正方形状の金型の押し型を単に並べ替えたまでの創作に過ぎない旨主張するけれども、請求人提出の全証拠からは、それを裏付けるに足りる証拠を発見できないから、この種物品の上面模様として広く知られた形状等の結合に基づいて容易に創作することができた模様であるとすることはできない。
そして、本件登録意匠の上面の模様は、設置(施工)後、他の面が地中に埋まる場合でも、地表に現れる大きな面積を占める部分における特徴であって、意匠の基調を形成している主要なものである。
(2)具体的な構成態様(7)の蓋用支承部の切り欠きの態様は、上方の大半部分を急な略垂直面状とし、その底部寄りに略4分の1円状の傾斜面と小さい水平面状の張り出しを設けた態様で、従来の可変側溝ブロックの内周上方の支承部の態様においては見られない独創的なものと言うべきであって、一般的なくさび状の蓋用支承部の形状から容易に創作できる態様であるとすることはできない。また、蓋用支承部の切り欠き部は蓋を開口面に面一致状に嵌合した場合、下方に隠れてしまう部位ではあるが、蓋をしていない状態において、開口面から見下ろした場合、明確に認識できる部位であって、軽微な部位として無視することができない部位であって、本件登録意匠の特徴といえ、局部的なものあるいは微細なものとして軽視することはできないというべきである。
以上のとおりであるから、本件登録意匠につき、意匠法3条2項の該当事由が存したとすることはできない。
無効事由2.意匠法第3条1項の適用について
請求人は、意匠法3条1項に該当する旨主張するが、その請求の要旨は、本件登録意匠をいくつかの要素に分け、それぞれの要素が個々に公知乃至は周知である旨の主張であって、3条1項各号の具体的構成要件については、その類否判断の対象となるところのものを明記がなく、具体的構成要件に基づく主張がなされていないこと、及び、請求人提出の甲第1号証乃至12号証、及び甲第1号参考資料乃至3号参考資料については前記のとおりであって、全証拠に本件登録意匠に同一あるいは類似する意匠の掲載は認められないので、意匠法3条1項に該当しない。
無効事由3.意匠法5条2項の適用について
請求人は、意匠法5条2項に該当する旨主張するが、その主張の前提であるところの、被請求人である本件登録意匠の実施製品が不良であって、それに対する苦情が、請求人の実施品と誤認され住民や関係人の苦情が、被請求人に対してではなく請求人に対して寄せられることをもって、他人の業務に係る物品と混同を生ずるおそれがあるとの主張は、本条がそもそもその誤認混同の事実の存在を要件としているものでないことから、事実の真否に関する審理をするまでもなく、主張は認められない。
以上、請求人の主張する本件登録意匠を無効とすべき理由は、いずれも理由のないものであるから、その理由を以て本件登録意匠を意匠法第48条第1項第1号の規定により無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

審理終結日 2001-08-21 
結審通知日 2001-08-24 
審決日 2001-09-05 
出願番号 意願平10-12345 
審決分類 D 1 11・ 2- Y (L2)
D 1 11・ 11- Y (L2)
D 1 11・ 121- Y (L2)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 早水 香苗 
特許庁審判長 秋間 哲子
特許庁審判官 伊勢 孝俊
鍋田 和宣
登録日 1999-05-28 
登録番号 意匠登録第1048440号(D1048440) 
代理人 西 孝雄 
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