ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 無効 2項容易に創作 無効としない D1 |
---|---|
管理番号 | 1050243 |
審判番号 | 無効2001-35186 |
総通号数 | 25 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2002-01-25 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2001-04-27 |
確定日 | 2001-11-12 |
意匠に係る物品 | クリップ |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1064718号「クリップ」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1.請求人の申立及び理由 請求人は、登録第1064718号意匠(以下、「本件登録意匠」という。)の登録は無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める、と申し立て、その理由として、要旨以下のとおり主張し、甲第1号証ないし甲第2号証を提出した。 1.本件登録意匠 本件登録意匠は、一対のクリップ片とU字形のばねとから構成され、クリップ片は、端部に挟持部及び操作部を、中央部の内側にバネ係止爪を、中央の外側にばね保持片を形成した2個の対向するものであり、挟持部は、クリップ片が対向する面に別部材の挟持片を備えており、ばねは、その両脚片を、ばね係止爪とばね保持片との間の空間に挿入し、両脚片の下端にある係止爪をばね保持片の下端に係合している。 2.甲第1号証について 甲第1号証(特許第2956956号公報)に記載のクリップは、一対のクリップ片とU字形のばねとから構成され、クリップ片は、端部に挟着部(挟持部に相当)及び操作部を、中央部の内側に受け止め部(バネ係止爪に相当)を、中央の外側に飛散防止部の先端(ばね保持片に相当)を形成した2個の対向するものであり、挟持部は、クリップ片が対向する面に別部材のクッション材(挟持片に相当)を備えており、ばねは、その両脚片を、受け止め部と飛散防止部先端との間の空間に挿入し、両脚片の下端にある係止爪を飛散防止部先端に係合している。 3.本件登録意匠と甲第1号証との対比 甲第1号証と本件登録意匠とを比較すると、クリップ片の形状に若干の相違があるのみで、全ての構成は全く同一である。 クリップ片の形状に関しては、本件登録意匠において、内側に逆L字状の突出部がある点、および、挟持部の先端外側が、その内側面と平行な平面である点が、甲第1号証のものと相違することを敢えて挙げることができる。しかも、甲第1号証の飛散防止部先端は、当該明細書の記載によれば、本件登録意匠のばね保持片に対応することが明らかであり、特に、甲第1号証の受け止め部にある開口は、本件登録意匠の挟持部にある開口に対応していて、外観上、同じような印象を与える。また、挟持部の背部にリブ立てがしてある点も、甲第1号証の挟着部のリブ立ての外観に対応する装飾に類似する。 4.本件登録意匠と甲第2号証との対比 甲第2号証(特開平10-147号公報)において、従来例として挙げた【図6】の構成で、挟み部が、その内側面と平行な面であり、従って、本件登録意匠について、甲第1号証との相異点として挙げた、挟持部の先端外側が、その内側面と平行な平面である点には、意匠の創作の面での特異性はないと認められる。 5.本件登録意匠の創作性について 以上の説明でも明らかなように、本件登録意匠は、公知の「クリップ」の形状(甲第1号証及び甲第2号証)からの相異点が、単に、クリップ片の内側に逆L字形の突出部がある点が相違することのみである。しかし、その程度の差異は、意匠の創作におけるデザイン変更程度のことである。 従って、当然に、本件登録意匠は、当該意匠の属する分野における通常の知識を有する者が、公然知られた甲第1号証及び甲第2号証の「クリップ」の形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものであり、意匠法第3条第2項に該当し、意匠登録を受けることができないものである。 第2.被請求人の答弁及び理由 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、要旨以下のとおり主張し、乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。 1.請求人の意匠法の条文の適用の誤りについて 請求人は、本件登録意匠は、公然知られた甲第1号証及び甲第2号証に記載された意匠(公知意匠)に基づいて、当該意匠の属する分野における通常の知識を有する者が容易に意匠の創作をすることができたものであり、意匠法第3条第2項に該当し、意匠登録を受けることができないものである旨主張しているが、この主張は、平成10年改正意匠法第3条第2項に基づくものであって、本件意匠権には適用されないものであり、失当であるだけでなく、この無効理由の条文を、平成10年改正前意匠法第3条第2項に読み替えて適用することは、請求の理由を変更するものであって、審判請求書の要旨を変更することになるため認められず、本件審判の請求は成り立たないものといわざるを得ない。 2.本件登録意匠と甲第1号証及び甲第2号証に記載された意匠の対比 請求人の主張に理由がないことは明らかであるが、なお念のために、本件登録意匠と甲第1号証及び甲第2号証に記載された意匠との対比を、補足的に述べると、本件登録意匠とこれらの意匠とは、具体的構成態様において大きく相違し、判然たる美観の差異を有するものであって、到底類似する意匠とはいえないものである。 第3.当審の判断 1.本件登録意匠 本件登録意匠は、平成10年12月1日に意匠登録出願をし、平成11年12月10日に意匠権の設定の登録がなされた登録第1064718号意匠であり、願書及び願書に添付の図面の記載によれば、意匠に係る物品を「クリップ」とし、その形態を、別紙第1に示すとおりとするものである。 すなわち、その形態は、(A)全体が、一対のやや厚みのある略縦長板体状のクリップ片を対向させて、その内方に、略逆U字形のばねを上方から差し込んで両クリップ片に亘って装着した構成態様のものであり、(B)クリップ片は、上部に操作部を、下部に挟持部を、上下方向の中央付近に開口部を、その内側に上方に突出する外向きのばね係止爪を、それぞれ配して一体に形成したものであり、さらに具体的に見ると、(C)クリップ片は、正面視において、操作部と挟持部を繋ぐ中間部は、操作部及び挟持部よりも幅狭の略縦長帯状とし、操作部は、その下方の中間部の上下方向中央付近までの部分を含み、下に向かって漸次縮幅して略縦長逆台形状を呈するものとし、挟持部は、中間部左右辺下端から斜め下外方へ延びる傾斜肩を介し拡幅して、略逆台形状を呈するものとし、また、側面視において、上端から中央付近までを、外側辺は下方へ略垂直状に走り、内側辺は、クリップをハンガーに摺動自在に装着するための溝部を有し、該辺中央に向かって漸次高くなる山状の突出状を呈するものとし、その下方の、挟持部手前までを、内外側辺それぞれが、緩やかに湾曲する凸弧状を呈するものとし、それから角度を変えて、その下方の挟持部内外側辺それぞれが、平行な略垂直状を呈するものとし、(D)操作部正面には、その広い範囲に略隅丸半円状の浅い窪みを形成し、また、操作部から中間部略上半部にかけての背面側を、周壁に囲まれた開放状のものとし、操作部付近の背面に背面視で略逆L字状の突出片を形成し、(E)開口部には、その上縁中央から内方にやや屈曲して垂下する略帯状のばね保持片を形成し、開口部内側に設けた係止爪は、左右2列状のものとし、(F)中間部正面略下半部には、2本の縦溝を形成し、(G)挟持部には、その正面周縁沿いの広い範囲に略逆台形状の浅い窪みを形成し、また、背面に、クッション材配設のための、周縁近傍を巡る略隅丸長方形枠状の突条を形成したものである。 2.甲各号証 (1)甲第1号証 甲第1号証は、平成11年10月4日発行の特許第2956956号の特許公報であり、これに記載の意匠は、【図1】ないし【図4】に示されたクリップの意匠である。 ところで、甲第1号証は、本件登録意匠の出願後に発行されたものであるから、甲第1号証自体は、本件登録意匠の無効を立証する証拠としては成立し得ない。 しかしながら、当該公報の記載によれば、その記載内容は、平成8年8月13日公開の特開平8-205984号の公開特許公報として、本件登録意匠の出願前に公開されたものであることが認められる。そうして、両公報を比較検討すると、両公報に記載の記事及び図面は、当該公開特許公報のフロント頁の記載を除き、同一のものであることから、請求人は、証拠方法として正確には、特開平8-205984号の公開特許公報を提出すべきところ、単純に誤って、特許第2956956号の特許公報を提出したものといえるので、以下、甲第1号証に記載の意匠(以下、「甲1号意匠」という。)は、特開平8-205984号の公開特許公報に記載の【図1】ないし【図4】に示されたクリップの意匠として取り扱うものとする。そうして、その形態は、当該公開特許公報に記載のとおりである(別紙第2参照)。 すなわち、その形態は、(a)全体が、一対のやや厚みのある略縦長板体状のクリップ片を対向させて、その内方に、略逆U字形のばねを上方から差し込んで両クリップ片に亘って装着した構成態様のものであり、(b)クリップ片は、上部に操作部を、下部に挟持部を、上下方向の中央付近に開口部を、その内側に上方に突出する外向きのばね係止爪を、それぞれ配して一体に形成したものであり、さらに具体的に見ると、(c)クリップ片は、正面視において、操作部と挟持部を繋ぐ中間部は、操作部及び挟持部よりも幅狭の略縦長帯状とし、操作部は、略四角形状を呈するものとし、挟持部は、中間部左右辺下端から斜め下外方へ延びる傾斜肩を介し拡幅して、略逆台形状を呈するものとし、また、側面視において、上端から中央付近までを、外側辺は下方へ略垂直状に走り、内側辺は、クリップをハンガーに摺動自在に装着するための溝部を有し、該辺中央に向かって漸次高くなる山状の突出状を呈するものとし、その下方は、外側辺は、下端まで緩やかに湾曲する凸弧状を呈するものとし、一方、内側辺は、挟持部手前までを、緩やかに湾曲する凸弧状を呈するものとし、それから角度を変えて、その下方の挟持部内側辺を略垂直状を呈するものとし、(d)操作部正面には、その広い範囲に略隅丸四角形状の浅い窪みを形成し、また、操作部から中間部略上半部にかけての背面側を、周壁に囲まれた開放状のものとし、操作部上面壁の背面側上縁中央に小突出片を形成し、(e)開口部は、ばね保持片を有さない、四角形状に開いたものとし、開口部内側に設けた係止爪は、中央に1本配したものとし、(f)中間部正面略下半部には、挟持部と連続して、その正面周縁沿いの広い範囲にやや深い窪みを形成し、挟持部内に至る2本の縦突条を形成し、(g)挟持部背面には、クッション材を貼設したものである。 (2)甲第2号証 甲第2号証は、平成10年1月6日公開の特開平10-147号の公開特許公報であり、請求人が引用する態様(以下、「甲2号態様」という。)は、当該公開特許公報に記載の、「従来のクリップを示す断面図」として【図6】に示された挟み部の態様であって、当該公開特許公報に記載のとおりである(別紙第3参照)。 すなわち、その態様は、本件登録意匠の挟持部に相当する挟み部の断面形状において内外側辺それぞれが平行な略垂直状を呈するものである。 3.本件登録意匠の創作容易性について 請求人は、本件登録意匠は、当該意匠の属する分野における通常の知識を有する者が、公然知られた甲第1号証及び甲第2号証の「クリップ」の形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものであり、意匠法第3条第2項に該当し、意匠登録を受けることができないものである旨主張するので、この点について検討する。 まず、平成10年改正前意匠法第3条第2項の規定は、その中で、「日本国内において広く知られた」とするものであり、したがって、仮に、本件登録意匠は、当該意匠の属する分野における通常の知識を有する者が、「公然知られた」甲第1号証及び甲第2号証の「クリップ」の形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものである、といえるとしても、それを理由としては、本件登録意匠は意匠法第3条第2項に該当するものとはいえない。 ところで、請求人は、本件登録意匠は、意匠法第3条第2項に該当し、意匠登録を受けることができないものであるということ自体は主張しており、また、甲第1号証は、その公開が平成8年8月13日であり、甲第2号証は、その公開が平成10年1月6日であって、それに記載の甲2号態様は、「従来のクリップを示す断面図」として【図6】に示すものであることから、請求人は、正確には、平成10年改正前意匠法第3条第2項の規定に基づき主張すべきところ、単純に誤って、平成10年改正意匠法第3条第2項の規定に基づき主張したものと解することが可能であり、したがって、以下、請求人は、本件登録意匠は、当該意匠の属する分野における通常の知識を有する者が、日本国内において広く知られた甲第1号証及び甲第2号証の「クリップ」の形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものであり、意匠法第3条第2項に該当し、意匠登録を受けることができないものである旨、平成10年改正前意匠法第3条第2項に基づき主張しているものとみなす。 そこで、この主張する点について、以下検討する。 請求人は、甲1号意匠と本件登録意匠とを比較すると、本件登録意匠において、クリップ片の内側の逆L字状の突出部がある点と挟持部の外側面が内側面と平行な平面である点が、甲1号意匠と相違するのみで、全ての構成は全く同一であり、また、甲2号態様も含めると、本件登録意匠は、「クリップ」の形状(甲第1号証及び甲第2号証)からの相異点が、逆L字状の突出部がある点のみであり、その程度の差異は、意匠の創作におけるデザイン変更程度のことである旨主張する。 しかしながら、甲1号意匠と甲2号態様が周知のものであるか否かはさておき、本件登録意匠及び甲1号意匠それぞれの形態は、前記のとおりであり、両意匠を対比すると、その形態につき、(A)と(a)の点、(B)と(b)の点及び、その具体的な態様において、(C)と(c)の、クリップ片は、正面視において、操作部と挟持部を繋ぐ中間部は、操作部及び挟持部よりも幅狭の略縦長帯状とし、挟持部は、中間部左右辺下端から斜め下外方へ延びる傾斜肩を介し拡幅して、略逆台形状を呈するものとし、また、側面視において、上端から中央付近までを、外側辺は下方へ略垂直状に走り、内側辺は、クリップをハンガーに摺動自在に装着するための溝部を有し、該辺中央に向かって漸次高くなる山状の突出状を呈するものとし、その下方は、内側辺は、挟持部手前までを、緩やかに湾曲する凸弧状を呈するものとし、それから角度を変えて、その下方の挟持部内側辺を略垂直状を呈するものとしている点、(D)と(d)の、操作部正面には、その広い範囲に浅い窪みを形成し、また、操作部から中間部略上半部にかけての背面側を、周壁に囲まれた開放状のものとしている点、で共通するものの、その具体的な構成各部の態様において、主として、(イ)操作部の正面視形状につき、本件登録意匠は、中間部の上下方向中央付近までの部分を含み、略縦長逆台形状を呈するものとしているのに対して、甲1号意匠は、操作部のみで、略四角形状を呈するものとしている点、(ロ)挟持部の側面視形状につき、本件登録意匠は、外側辺も、その上方の緩やかに湾曲する凸弧状を呈するものから角度を変え、略垂直状として、内外側辺が平行なものとしているのに対して、甲1号意匠は、外側辺は中間部と連続して緩やかに湾曲する凸弧状を呈するものとしている点、(ハ)操作部正面の窪みにつき、本件登録意匠は、略隅丸半円状であるのに対して、甲1号意匠は、略隅丸四角形状である点、(ニ)操作部背面側につき、本件登録意匠は、操作部付近の背面に背面視で略逆L字状の突出片を形成しているのに対して、甲1号意匠は、操作部上面壁の背面側上縁中央に小突出片を形成している点、(ホ)開口部につき、ばね保持片の有無(本件登録意匠に有り)、及び、開口部内側に配した係止爪の数(本件登録意匠は、2本、甲1号意匠は1本)の点、(ヘ)挟持部の窪みにつき、本件登録意匠は、挟持部に独立して、やや浅い窪みを形成しているのに対して、甲1号意匠は、中間部正面略下半部と連続して、やや深い窪みを形成している点、(ト)中間部正面略下半部につき、本件登録意匠は、2本の縦溝を形成しているのに対して、甲1号意匠は、挟持部と連続する窪み内に、挟持部内に至る2本の縦突条を形成している点、で差異がある。 そうすると、両意匠は、請求人が本件登録意匠と甲1号意匠との相異点として列挙する点のみならず、それを超えて、相違するものであることは明らかであり、その具体的な態様において大きく相違するところであって、本件登録意匠は、甲1号意匠の同一性の範囲内での態様の変更程度に止まるものとはいえず、甲1号意匠とは同一性の範囲を大きく超えるものであるといえ、また、甲1号意匠の挟持部の側面視形状を甲2号態様の、挟持部の内外側辺それぞれが平行な略直線状を呈するものに改変した意匠を想定してみても、当該改変意匠とも同一性の範囲を大きく超えるものであるといえ、したがって、本件登録意匠は、甲1号意匠あるいは当該改変意匠を殆どそのまま表した程度のものとはいえないから、甲1号意匠と甲2号態様に基づき容易に創作をすることができた意匠であるとすることはできない。 そして、本件登録意匠の形態につき、(A)全体が、一対のやや厚みのある略縦長板体状のクリップ片を対向させて、その内方に、略逆U字形のばねを上方から差し込んで両クリップ片に亘って装着した構成態様のものであり、(B)クリップ片は、上部に操作部を、下部に挟持部を、上下方向の中央付近に開口部を、その内側に上方に突出する外向きのばね係止爪を、それぞれ配して一体に形成したものである点は、甲1号意匠にも見られるように、本件登録意匠の出願前においてこの種クリップの意匠の分野において普通に見られるものであり、そうすると、本件登録意匠は、その形態において、本件登録意匠の出願前に日本国内において広く知られたものを包含し、当業者が容易に創作をすることができたとする態様を有するものとはいえるが、そうではあっても、(A)及び(B)の点は、本件登録意匠の形態全体にかかわり、その骨格を成す基本的な構成態様であって、本件登録意匠の構成各部の具体的な態様の多くについては、その態様を周知であるとする証拠が認められず、そして、この種クリップの意匠において、構成各部の態様を具体的に決定し、構成各部をどのように関連づけ、構成し、それらの結合により全体の形態についてどのように具体化するかの選択は多様にあると認められるところ、本件登録意匠は、形態を前記のとおりとしたものであって、前記のとおりの創作の過程を経て、一連の創意工夫の結果、基本的な構成態様と構成各部の具体的な態様の組み合わせにより、一定のまとまりを表出するに至ったものであり、この全体としてのまとまりを形成した点についても、容易に創作をすることができたとする証拠が認められない。 してみると、結局、本件登録意匠の形態を前記のとおりとした点について容易に創作することができたものとは、提出された証拠のみでは認めることができないから、本件登録意匠は、その出願前に日本国内において広く知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づき当業者が容易に創作をすることができた意匠であるとすることはできない。 第4.結び 以上のとおりであって、請求人の提出した証拠及び主張によっては、意匠法(平成10年改正前意匠法)第3条第2項の規定に違反して登録されたものとして、本件登録意匠の登録を無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審理終結日 | 2001-09-11 |
結審通知日 | 2001-09-17 |
審決日 | 2001-09-28 |
出願番号 | 意願平10-34928 |
審決分類 |
D
1
11・
121-
Y
(D1)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小林 裕和 |
特許庁審判長 |
遠藤 京子 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 市村 節子 |
登録日 | 1999-12-10 |
登録番号 | 意匠登録第1064718号(D1064718) |
代理人 | 森 治 |
代理人 | 斎藤 栄一 |
代理人 | 林 清明 |
代理人 | 瀬谷 徹 |