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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C5
管理番号 1051737 
審判番号 審判1998-8672
総通号数 26 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2002-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-06-01 
確定日 2001-11-21 
意匠に係る物品 タンブラー 
事件の表示 平成8年意匠登録願第24475号「タンブラー」拒絶査定に対する審判事件(1996年2月15日のアメリカ合衆国への出願に基づき優先権主張をした平成8年8月14日の意匠登録出願)についてされた平成12年8月14日の審決に対し、東京高等裁判所において審決取消判決[平成12年(行ケ)第503号審決取消請求事件、平成13年5月31日判決言渡]があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願の意匠
本願の意匠は、平成8年8月14日の意匠登録出願(優先権主張、1996年2月15日、アメリカ合衆国)に係り、その願書の記載及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品が「タンブラー」であり、その形態が、同添付図面に示すとおりである(別紙第一参照)。
2.経緯
(1)原審(審査)において、本願意匠は、昭和53年3月20日に特許庁資料館(現独立行政法人工業所有権総合情報館)が受け入れ所蔵する「glassware for the food industry」の昭和52年12月3日号の第7-22頁に写真版によって現された意匠(特許庁意匠課公知資料番号第C53015208号、別紙第二参照)に類似し、意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができないとして、平成10年3月16日付けで拒絶の査定がなされた。
(2)本願出願人(請求人)は、この査定を不服として、平成10年6月1日付けで審判を請求した。
(3)原審(第一次審判)は、これを平成10年審判第8672号事件として審理し、平成12年8月14日付けで「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をした。
(4)これに対し、請求人は、平成12年12月27日付けで上記審決の取消を求める訴えを東京高等裁判所に提起した。同裁判所は、平成12年(行ケ)第503号審決取消請求事件としてこれを審理し、平成13年5月31日「特許庁が平成10年審判第8672号事件について平成12年8月14日にした審決を取り消す。」との判決を言い渡し、同判決は確定した。
3.判決の理由
同判決の理由とするところは、大要以下のとおりである。
本願意匠は、引用意匠と類似せず、意匠法3条1項3号に該当しないと解するのが相当であり、両意匠の類似性を認めて本願意匠の登録を拒絶した審決は、少なくともその限りにおいて意匠の類否判断を誤ったものとして、取り消されるべきであると考える。
(1)本願意匠の形態が、別紙審決書の理由の写し別紙第一に示すとおりのものであること、引用意匠の形態が同別紙第二に示すとおりのものであること、両意匠は、外周面を凸弧面と凹弧面を交互に水平状に複数段形成して、上方に向かって斜状に拡開する縦長の逆円錐台状の有底の態様である点で、形態が共通するものであることは、当事者間に争いがない。
(2)本願意匠と引用意匠とを比較すると、少なくとも以下の各点で、形態が相違していることが認められる。
(ア)本願意匠は、底面の直径と高さの比が約1対2であるのに対し、引用意匠のそれは、約1対3である。
(イ)本願意匠は、底面から上面までを略同一傾斜面状としているのに対し、引用意匠は、下方約4分の1を略垂直状に形成し、その上方を略傾斜面状としている(当事者間に争いがない。)。
(ウ)本願意匠は、開口部が最も広がっているのに対し、引用意匠は、開口部が最上部に形成された凸弧面よりもすぼまっている。
(エ)本願意匠の凸弧面の形状はゆるやかで,側壁の傾斜面に沿って、わずかに外側にふくらんでいるにすぎない。これに対し、引用意匠の凸弧面の形状ははっきりと外側にふくらんでおり、側壁の傾斜面から明らかに突出している。
(3)引用意匠は、本願意匠に比べ、上記(ア)ないし(ウ)の差異点により、全体に縦長の印象を明瞭に与え、かつ、これに(エ)の差異点が加わることにより、一種奇抜な印象を与えるものとなっているということができる。
被告は、原告の主張する差異点は、いずれも、特徴という程度には至らないありふれた態様に係るもので、差異としては極めて微弱なものというべきであり、前記(1)の共通点、特に凸弧面と凹弧面と交互に水平状に複数段形成したという外周面の特徴から生ずる共通の印象を超えるような異なった印象はそこから生じない旨主張する。しかしながら、当業者を基準として創作容易性の観点から比較する場合においてはともかく、一般需要者を基準としてそれぞれの与える意匠的効果としての印象(美感)の類否の観点から両意匠を比較する場合においては、上記差異点、特に(ア)ないし(ウ)の差異点から生ずる印象(美感)の差異は、一般的には、決して小さなものではなく、共通点が、この差異を埋没させてしまうほどに強力な共通の印象(美感)をもたらす力を有するものでない限り、両意匠は全体として異なった印象(美感)をもたらすものというべきである。被告は、上記差異点(ア)につき、両意匠ともそれ自体極めてありふれた構成比率のものであり、意匠としては、その差異を格別評価するまでには至らない、と主張するが、たといそれ自体極めてありふれた構成比率のもの同士であっても、構成比率が大きく異なれば、見る者に与える印象(美感)が異なることは十分あり得ることである。ありふれたものからはありふれた印象(美感)しか生じないとしても、ありふれた印象(美感)は皆同じであって、その間に差異はない、ということにはならないのである。ところが、被告の強調する共通点である凸弧面と凹弧面を交互に水平状に複数段形成したという外周面の特徴が、当業者を基準として創作性の観点から比較する場合ではなく、一般需要者を基準として美感の類否の観点から比較する場合に、被告の主張するように強力な力を有すると認めさせる資料は、本件全証拠を検討しても見いだすことができず、その他,両意匠の前記共通点が上記力を有することは、本件全証拠を検討しても認めることはできない。
以上のとおりであるから、本願意匠は,当業者を基準として創作容易性の観点からみて登録に値しないものとする評価が許されるか否かはともかく(平成10年法律第51号による改正前の意匠法3条2項参照。なお,本願意匠を大づかみにした場合の形態(基本的形態)は、コップなどのものとして、古くから日本国内において広く知られた形状の一つであることは,当裁判所に顕著である。)、意匠法3条1項3号の下で、一般需要者を基準として意匠の与える美感の観点から登録性を判断するに当たり、引用意匠との関係で、登録を拒否すべき類似の範囲に含まれるものとすることはできないというべきである。
以上述べたところによれば、本願意匠が引用意匠と類似し意匠法3条1項3号に該当するとした審決は、違法なものとして取り消されるべきである。
4.当審の判断
上記判決を受けて、当審においてさらに審理した結果、本願意匠については、他に拒絶の理由を発見しない。
したがって、上記判決は、行政訴訟法第33条第1項の規定により、当審を拘束するものであるから、判決主文及びその理由に基づき、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号により拒絶すべきものとすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

審理終結日 2000-07-19 
結審通知日 2000-08-01 
審決日 2000-08-14 
出願番号 意願平8-24475 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C5)
最終処分 成立 
前審関与審査官 高野 善民 
特許庁審判長 吉田 親司
特許庁審判官 西本 幸男
伊藤 晴子
登録日 2002-01-11 
登録番号 意匠登録第1135001号(D1135001) 
代理人 今城 俊夫 
代理人 中村 稔 
代理人 村社 厚夫 
代理人 大塚 文昭 
代理人 宍戸 嘉一 
代理人 小川 信夫 
代理人 竹内 英人 
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