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審決分類 審判 査定不服  意48条1項3号非創作者無承継登録意匠 取り消して登録 C6
管理番号 1053553 
審判番号 不服2000-13122
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2002-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-08-18 
確定日 2002-01-08 
意匠に係る物品 冷蔵庫 
事件の表示 平成11年意匠登録願第 90号「冷蔵庫」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願の意匠
本願の意匠は、平成11年1月1日の意匠登録出願に係り、その願書及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品が「冷蔵庫」であり、その形態が、同添付図面のとおりである(別紙第一参照)。
すなわち、冷蔵庫を、実線、破線及び一点鎖線で表したものであり、その中、一点鎖線により囲まれた内側の部分(以下、「操作表示器の部分」という。)を実線で表し、部分意匠の意匠登録を受けようとするものである。
その破線で表された部分の形態について、全体が、高さ、横幅、奥行きの比を、略3:1:1とする縦長略直方体状の筐体であり、その上方の略2/5を片開き扉部とし、その下方を三段の引出し部とし、その上段の引出し部を左方略1/3の部位で縦に分割したものであって、片開き扉の下辺の中央部にその横幅の略1/3幅で、上辺両角部を角丸状とした略横長長方形状の操作表示器部を設けた態様のものである。
その実線で表された部分の形態について、破線で表された操作表示器部の中央から上方に、縦幅をその略1/4とし、横幅をその略1/2の幅とする略横長長方形状の表示部を設け、その下方に横一列に5個の円形状の操作釦を設けた態様のものであって、表示部には図形が表示されており、その図形につき、その拡大正面図によると、5本の縦線により6区画に分割され、その左端の区画の右方に横長長円状を縦に6個表し、右端の区画の右方に横長長円状を縦に5個表したものである。
2.引用の意匠
これに対して、原審が拒絶の理由に引用した意匠は、その出願の日前の意匠登録出願であって、その出願後に意匠法第20条第3項の規定により意匠公報(2000年2月7日発行)に掲載された登録第1051377の類似7号意匠[冷蔵庫]の操作表示器の部分であって、その形態が、同公報に示されるとおりである(別紙第二参照)。
その形態について、全体が、高さ、横幅、奥行きの比を、略3:1:1とする縦長略直方体状の筐体であり、その上方の略2/5を、左方に把手を設けた片開き扉とし、その下方を三段の引出し部とし、各々その上辺に把手を設け、中段の引出し部につき、左方略1/3の部位で縦に分割したものであって、片開き扉の下辺の中央部に、その横幅の略1/3幅で、上辺両角部を角丸状に形成した略横長長方形状の操作表示器部を設け、その中央から上方に、縦幅をその略1/4とし、横幅をその略1/2の幅とする略横長長方形状の表示部を設け、その右方に2個の小円形状を現し、操作表示器部の中央から下方に、左から順に、小さな横長長円形状、3個の円形状及び2個の小円形状の操作釦を設けた態様のものである。
3.対比
まず、両意匠は、意匠に係る物品が共通しており、意匠登録を受けようとする「操作表示器の部分」と、それに対応する引用意匠の「操作表示器の部分」の形態について、以下の共通点と差異点が認められる。
[共通点]
片開き扉の下辺の中央部に、その横幅の略1/3幅で、上方両角部を角丸状に形成した略横長長方形状の操作表示器部において、その操作表示器部の中央から上方に、縦幅をその略1/4とし、横幅をその略1/2幅とする略横長長方形状の表示部を設け、操作表示器部の中央から下方に、横一列に5個の円形状の操作釦を設けた態様が共通している。
[差異点]
一方、本願意匠と引用意匠とは、
(イ)表示部について、本願意匠は表示部の横幅が操作表示器部の横幅の略1/2の幅であるのに対し、引用意匠は略1/2弱の幅であり、本願意匠に比べて横幅が短い点、
(ロ)表示部に表示された図形について、本願意匠は5本の縦線により6区画に分割され、その左端の区画の右方に横長長円状を縦に6個表し、右端の区画の右方に横長長円状を縦に5個表しているのに対し、引用意匠は図形を表示していない点、
(ハ)操作釦の配置につて、本願意匠は表示部の下方に5個の円形状の操作釦を横一列に設けているのに対し、引用意匠は表示部の右方に2個の小円形状を現し、表示部の下方に3個の円形状の操作釦を横一列に設け、その左方に小さな横長長円形状の操作釦を設け、その右方に2個の小さな円形状の操作釦を設けている点、に差異がある。
4.類否判断
そこで、上記の共通点及び差異点が、両意匠の類否判断に及ぼす影響について検討する。
まず、差異点について、(イ)の表示部について、本願意匠は表示部の横幅が操作表示器部の横幅の略1/2の幅であるのに対し、引用意匠は略1/2弱の幅であり、本願意匠に比べて横幅が短い点であるが、その差異は僅かなものであり、その類否判断に及ぼす影響は、微弱なものというほかない。しかしながら、差異点(ロ)の表示部に表示された図形について、本願意匠は5本の縦線により6区画に分割され、その左端の区画の右方に横長長円状を縦に6個表し、右端の区画の右方に横長長円状を縦に5個表している点は、引用意匠の表示部にも使用時には何らかの図形が表示されることを考慮しても、本願意匠の図形には特異性が認められ、その類否判断に相当の影響を及ぼすものというべきである。また、差異点(ハ)の操作釦の配置につて、本願意匠は表示部の下方に5個の円形状の操作釦を横一列に設けている点は、横一列に5個の略円形状の操作釦を設けたという共通点に包摂される程度のものであるが、差異点(ロ)の表示部に表された図形と相俟って、請求人も主張する「全ての操作ボタンを表示内容に一対一に対応させ、表示部横幅の内側下部に収めた点」の意匠的効果が認められ、その類否判断に相当の影響を及ぼすものといえる。
一方、両意匠の共通点、すなわち、操作表示器部の中央から上方に、縦幅をその略1/4とし、横幅をその略1/2幅とする略横長長方形状の表示部を設け、操作表示器部の中央から下方に、横一列に5個の円形状の操作釦を設けた態様は、両意匠の骨格をなすところであるが、表示部と操作釦の構成形態としてはさほど特徴的なものでなく、その類否判断に及ぼす影響は、微弱なものといわざるを得ない。
以上の通りであって、両意匠は、意匠に係る物品は共通しているが、その形態について、両意匠の差異点は、纏まって類否判断に相当の影響を及ぼすものと認められるのに対し、共通点は、類否判断に及ぼす影響が微弱なものといわざるを得ず、差異点が共通点を凌駕する両意匠は、類似するものとすることができない。
5.まとめ
したがって、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条の2の規定に該当しないものであるから、本願意匠を、原査定の拒絶理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2001-12-25 
出願番号 意願平11-90 
審決分類 D 1 8・ 16- WY (C6)
最終処分 成立  
前審関与審査官 樋田 敏恵 
特許庁審判長 吉田 親司
特許庁審判官 伊藤 晴子
西本 幸男
登録日 2002-02-22 
登録番号 意匠登録第1138301号(D1138301) 
代理人 宮田 金雄 

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