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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 D2
管理番号 1059682 
審判番号 不服2001-2808
総通号数 31 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2002-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-02-26 
確定日 2002-05-09 
意匠に係る物品 衣類整理箱 
事件の表示 意願2000- 16184「衣類整理箱」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願の意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする、平成12年6月15日の意匠登録出願であり、その意匠は、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「衣類整理箱」とし、形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである(別紙第1参照)。
すなわち、前面開口で奥行の深い直方体状の外箱内に引き出しを摺動自在に備えて成る箱体において、意匠登録を受けようとする部分は、背面視略横長長方形状の外箱背面のうち、略中央高さ位置から下端までの横中央部分であり、その形態は、当該部分の中央、平坦な略垂直面状とした外箱背面の略下端寄りから下端までの横に広い部位に、引き出しを入れた際の当たり止めとして、低い背面視略横長台形状の浅い凹陥面を形成したものである。
2.原審の拒絶の理由
これに対して、原審において、本願の意匠は、「その出願前に公然知られた容器の手掛かり部分(例えば、意匠登録第351090号意匠の該当部分、意匠登録第401040号意匠の該当部分)に見られる略方形の凹陥部を部分意匠の形状とした容易な創作である」とし、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとして、拒絶の理由を通知し、その後、本願について当該拒絶の理由により拒絶をすべき旨の査定がなされた。
3.請求人の主張
これに対し、請求人は、請求の理由として、要旨以下のとおり主張する。
本願の意匠は、四角柱状態の外箱の一側面に開口部を設け、開口部内に引き出しを摺動自在に備えた衣類整理用の箱であるのに対し、意匠1(意匠登録第351090号)は、物品「運搬用容器」の態様に関するもので、上部開口した底部を有する箱であるとともに、意匠2(意匠登録第401040号)は、物品「包装用箱」の態様に関するもので、上部開口した底部を有する箱である点において、使用態様、基本的構成態様において全く相違する。なお、意匠2は、「手掛かり部」を備えたものではない。
そして、本願の意匠は、引き出しを押し込む時に、引き出しの動きを止め、衝撃による割れや変形を防ぐため、開口部の背面側に凹陥部が形成されているという、部分的構成要素及びその配置形態を異にした印象を受ける点で、公知の物品、運搬・包装容器における、「手掛かり部」をもとに容易に創作できるものではなく、明らかに独自の創作性を具備するものである。
したがって、本願の意匠は意匠法第3条第2項の規定に該当するとして拒絶をすべきものとした原査定は理由がなく、不当である。
4.当審の判断
そこで審案するに、原審で例示した意匠2(登録第401040号意匠。別紙第3参照)は、上面開口の箱体の周側面の四隅を膨出柱状としたものではあるが、原審でいう「手掛かり部分」、「略方形の凹陥部」とするほどの態様は認められない。
また、本願の意匠と意匠1(登録第351090号意匠。別紙第2参照)を対比すると、本願の意匠は、外箱内に引き出しを摺動自在に備えて成る箱体に係るものであるのに対して、意匠1は、上面開口の箱体に係るものであり、意匠1は、本願の意匠とは異なる種類の箱体に係るものである。また、両意匠それぞれの凹陥面についても、本願の意匠のものは、前面開口で奥行の深い直方体状の外箱背面の略下端寄りから下端までの横に広い部位に、引き出しを入れた際の当たり止めとして、低い背面視略横長台形状の浅い凹陥面を形成したものであるのに対して、意匠1のものは、上面開口の箱体左右側面上端寄りから下端まで(上下に広い部位)の横中央部分に側面視長方形状の凹陥面を形成して、手掛かり部分としたものであり、意匠1は、本願の意匠とは、凹陥面の使用目的、配置場所、範囲及び形状が全く異なるものである。
そうすると、原審において、意匠1及び意匠2の存在を理由として、本願の意匠は、その出願前に公然知られた容器の手掛かり部分に見られる略方形の凹陥部を部分意匠の形状とした容易な創作であるとした点には、無理があり、不当なものといわざるを得ない。
また、本願の意匠のように、引き出しを備えた箱体の外箱背面の下部に当たり止めの凹陥面を形成したものは、従前に見られない。
以上のとおりであって、本願の意匠は、その出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものとはいえない。
5.むすび
したがって、本願の意匠は、意匠法第3条第2項の規定に該当するとして本願を拒絶すべきものとした原査定は、当を得ないものであり、取り消しを免れない。
また、他に拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2002-04-11 
出願番号 意願2000-16184(D2000-16184) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (D2)
最終処分 成立  
前審関与審査官 高野 善民 
特許庁審判長 遠藤 京子
特許庁審判官 山崎 裕造
市村 節子
登録日 2002-06-28 
登録番号 意匠登録第1150163号(D1150163) 

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