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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H3
管理番号 1067687 
審判番号 不服2001-18917
総通号数 36 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2002-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-10-22 
確定日 2002-10-22 
意匠に係る物品 携帯電話機 
事件の表示 意願2000- 26463「携帯電話機」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 本願意匠は、平成12年9月22日の部分意匠の意匠登録出願であり、合わせて新規性喪失の例外適用を求める意匠登録出願であり、その意匠に係る物品が「携帯電話機」、意匠に係る形態が願書及び願書に添付の図面に記載のとおりのものであり、実線で表された部分が意匠として登録を受けようとする部分である。(別紙第一参照)
これに対して、本願意匠が類似するとして原審が拒絶の理由に引用した意匠(以下、「引用意匠」という。)は、本願の出願前の平成12年9月18日発行の意匠公報に掲載された登録第1085352号の意匠であって、意匠に係る物品が「携帯用無線電話機」、その形態が公報に示されるとおりのもののうち、本願意匠の登録を受けようとする部分に対応する部分(正面図右から背面図左に係る部分)である。(別紙第二参照)
本願意匠と引用意匠は、意匠に係る物品が同一であり、本願意匠が登録を受けようとする実線で表された部分に対応する部分の形態について、主として以下の共通点と差異点が認められる。
即ち、両意匠は、全体が扁平な縦長略直方体で各辺各角を丸めた形状で、その正面上方に方形表示部を設け下半部にテンキーを配置した態様の携帯電話機の正面右端寄り部位から、右側面を経て、背面左端寄り部位に掛けての部分に係り、先ず共通点について、
(1)右側面視、全体が略縦長方形状である点、
(2)右側面の上下方向の略中央部位から下方略4分の1の高さの部位に掛けて横短棒状の滑り止め用の突条が数本等間隔平行状に設けられている点、
(3)背面左上方部位に背面視が弾頭形で、上方視円環状のアンテナ挿通部が、背面側に突出状に設けられている点、が認められる。
次いで差異点について、各部の具体的な態様において、
(イ)正面から見て、本願意匠は、左辺について、電話機の上端部の右寄り位置から表示部枠上辺部まで垂直に下がり、その下側が表示部右辺に沿って船底形に凹み、その下側は、表示部枠部の右寄り下辺から電話機の下端までの部分が緩やかに右方に凹む凹弧状のつなぎ目の線を描いているのに対して、引用意匠は、これに該当する線が存在しない点、
(ロ)本願意匠は、右側面が正面視上下略中央に向かってなだらかに凹面状であるのに対して、引用意匠は、略垂直面状で凹面部を有さない点、
(ハ)本願意匠は、正面部、右側面部、背面部、上下面部の境界部が、滑らかな角丸状に連続し、稜線が現れない態様であるのに対して、引用意匠は、角張っていて、正面の下半部に略刀身形の斜め削ぎ面、背面の全長に削ぎ面を有する態様である点、
(ニ)引用意匠は、右側面の背面寄りに前側筐体と後側筐体のつなぎ目が縦線状に表れるのに、本願意匠は、つなぎ目の線は存在しない点、が認められる。
そこで、上記の共通点と差異点が両意匠の類否の判断に及ぼす影響について、以下に検討する。
先ず共通点について、(1)の点は、本願物品の側面形態として極一般的な特徴のない態様であって、その影響は、軽微に止まるものである。(2)の点は、両意匠の共通感を感得させるものであるが、本願物品として略同部位に略同態様のグリップを設けることが既に多数みられる公知の態様であることを考慮すると、さほど重視できないものであり、その影響は、軽微に止まるものである。(3)の点は、携帯電話のアンテナ挿通部の態様として極一般的な特徴のない態様であり、その影響は、軽微に止まるものである。
そうすると、上記共通点は、これらが合わさったとしても、その全体の類否に及ぼす影響は、軽微以上のものと評価することができないものである。
次いで差異点について、
(イ)の点について、本願意匠のその態様は、正面の全高にかけて現れる本願意匠の大きな特徴点であるのに対して、引用意匠にはこれに該当する態様が存在しないのであるから、その相違は大きく、この点の及ぼす影響は、極めて大きいものである。
(ロ)の点は、本願意匠の側面部略中央部における凹曲状くびれの存在を感得させるのに対して、引用意匠のその部分についてのくびれのない直線感を感得させており、その差異感は大きく、この点の類否に及ぼす影響は、かなり大きいものである。
(ハ)の点は、注視される正背面における削ぎ面の有無であって著しい差異であって、その影響は、極めて大きいものである。
(ニ)の点について、本願意匠のつなぎ目の線の不存在は、本願意匠の側面態様の特徴点を成し、大きな視覚的効果をもたらしており、この点の及ぼす影響は、かなり大きいものである。
そうすると、上記差異点が纏まって全体の類否に及ぼす影響は、かなり大きい以上のものというべきである。
以上のとおりであって、差異点の及ぼす影響が共通点の及ぼす影響を凌駕する両意匠は、結局、類似しないものといわざるを得ない。
従って、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができないものとすることはできない。
また他に拒絶理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2002-10-10 
出願番号 意願2000-26463(D2000-26463) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 藤井 麻理山崎 裕造 
特許庁審判長 秋間 哲子
特許庁審判官 西本 幸男
鍋田 和宣
登録日 2002-11-22 
登録番号 意匠登録第1163462号(D1163462) 
代理人 鈴江 武彦 
代理人 石川 義雄 
代理人 小出 俊實 

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