• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 無効  2項容易に創作 無効とする C3
管理番号 1070650 
審判番号 無効2002-35074
総通号数 38 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2003-02-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2002-02-28 
確定日 2002-12-20 
意匠に係る物品 ごみ箱用底板 
事件の表示 上記当事者間の登録第1045428号「ごみ箱用底板」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1045428号の意匠登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1.請求人の申立及び理由
(1)申立及び理由
請求人は、結論同旨の審決を求めると申立、その理由として以下に示すとおり主張し、甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
意匠登録第1045428号意匠(以下、本件登録意匠という)は、出願前公知の甲第1号証所載の意匠、及び甲第2号証所載の意匠に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号の規定に違反して意匠登録を受けたものであり、また、甲第1号証所載の意匠に基づいてこの種「底板」の意匠に係る当業者が容易に創作できたものであるから、意匠法第3条第2項に違反して登録されたものであり、同法第48条第1項第1号の規程により無効とされるべきである。
(2)請求人がした手続補正
請求人は、平成14年4月19日付の手続補正書により、新たな証拠として甲第7号証ないし甲第9号証を提出し、本件登録意匠は甲第7号証意匠、甲第8号証意匠、甲第9号証意匠何れの意匠にも類似し、また、これらに基づいて容易に創作できたものであるから、意匠法第3条第1項第3号、及び、同法同条第2項の規定に違反して意匠登録を受けたものであり、同法第48条第1項第1号の規程により無効とされるべきであると主張した。
また、請求人は、平成14年6月21日付の手続補正書により、創作容易性の主張を整理すると共に、この主張を補充するとして、新たに甲第10号証ないし甲第14号証を提出し、本件登録意匠は、意匠法第3条第2項の規定に違反して意匠登録を受けたものであり、無効とされるべきであると主張した。
2.被請求人の答弁
(1)答弁及び理由
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めるとし、理由として、本件登録意匠は甲第1号証所載の意匠とは類似せず、甲第2号証の意匠については、甲第6号証をもって本件登録意匠出願前に甲第2号証の設計図面の傘立てフタを製造販売したことは信じ難いから、意匠法第3条第1項第3号に違反して登録されたものではなく、また、本件登録意匠は甲第1号証所載の意匠に基づいて、ごみ箱用底板の意匠にかかる当業者が容易に創作をすることができたものではないから、意匠法第3条第2項に違反して登録されたものではない、と主張した。
3.無効の理由の通知
そこで当審は、本件登録意匠について、「本件登録意匠は、傘立ての底部品としても使用できる旨の説明がなされた「ごみ箱用底板」に係る意匠であって、その形態は、円板状の底板外周に沿って上方に向け外縁を立設し、この内側に僅かな間隙を介し、外縁より背高の短筒状内壁を同心円状に立設したもので、詳細にみると底面には、外周を凸縁状とし、中央に環状の凸条を設け、その外周から放射状に4本の凸条を設けたものである。」と認定し、「円板状の底板外周に沿って上方に向け外縁を立設し、この内側に側壁挿入用の僅かな間隙を介し、挿入した側壁を裏側から支持するように外縁より背高の短筒状内壁を同心円状に立設することは、各種筒状容器様のものの底板一般において、広く行われていることである。また、底面について、外周を凸縁状とすることは慣用的に行われることであり、底面の中央に円環状の凸条を設け、その外周から放射状に複数の凸条を設けることも各種容器の補強手段としてありふれた手法である。本願の意匠は、このように広く知られた形状、及びありふれた手法を単に組み合わせ、ごみ箱用底板として現した程度のもので、当業者であるならば格別な創意を要したとは認められないので、本件登録意匠は、日本国内において広く知られた形状、模様等に基づいてその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が、容易に創作する事ができたものである。」として、本件登録意匠は、意匠法第3条第2項の規定に該当するにもかかわらず、意匠登録を受けたもので、その登録を無効とすべきものであり、更に、1.実開昭49-109904号公報、2.特開昭54-18382号公報(第2図)、3.特開平5-139438号公報、4.意匠登録第332323号類似第1号公報、5,意匠登録第342156号類似第1号公報、6.意匠登録第521818号公報、7.意匠登録第551785号類似第2号公報を参考文献として例示した無効の理由を通知し、期間を指定して意見書の提出を求めたが、その期間を経過しても請求人及び被請求人の何れからも、何ら応答がなかったものである。
4.当審の判断
(1)審判請求書の補正
請求人が平成14年4月19日付の手続補正書により、新たな証拠として補充した甲第7号証ないし甲第9号証、及び主張した内容は、当初の審判請求書に示された証拠及び請求の理由とは内容が異なる新たなものであり、請求の理由の要旨を変更するものと認められる。従って、当該審判請求書の補正は、意匠法第52条で準用する特許法第131条第2項の規定により認められない。
また、請求人は、平成14年6月21日付の手続補正書により、新たな証拠として補充した甲第10号証ないし甲第14号証、及び主張した内容は、当初の審判請求書に示された証拠及び請求の理由とは内容が異なる新たなものであり、請求の理由の要旨を変更するものと認められる。従って、当該審判請求書の補正は、意匠法第52条で準用する特許法第131条第2項の規定により認められない。
(2)本件登録意匠
本件登録意匠は、平成8年10月22日の意匠登録出願に係り、平成11年5月7日設定の登録がなされたものであって、意匠に係る物品を「ごみ箱用底板」とし、その形態は、願書の記載及び願書に添付された図面代用写真に現されたとおりのものである。(別紙参照)
すなわち、その形態は、円板状の底板外周に沿って上方に向け外縁を立設し、この内側に僅かな間隙を介し、外縁より背高の短筒状内壁を同心円状に立設したもので、詳細にみると底面には、外周を凸縁状とし、中央に環状の凸条を設け、その外周から放射状に4本の凸条を設けたものである。
(3)本件登録意匠の容易性の判断
ところが、本件登録意匠において、円板状の底板外周に沿って上方に向け外縁を立設し、この内側に側壁挿入用の僅かな間隙を介し、挿入した側壁を裏側から支持するように外縁より背高の短筒状内壁を同心円状に立設することは、例えば、無効理由通知で例示した文献1.ないし3.に記載されているように、各種筒状容器様のものの底板一般において、広く行われていることである。また、底面について、外周を凸縁状とすることは慣用的に行われることであり、底面の中央に円環状の凸条を設け、その外周から放射状に複数の凸条を設けることも、例えば無効理由通知において例示した文献4.ないし7.に記載されているように、各種容器の補強手段としてありふれた手法である。本願の意匠は、このように広く知られた形状、及びありふれた手法を単に組み合わせ、ごみ箱用底板として現した程度のもので、当業者であるならば格別な創意を要したとは認められないので、本件登録意匠は、この意匠の属する分野における通常の知識を有する者が、日本国内において広く知られた形状に基づいて、容易に創作する事ができたものである。
(4)むすび
以上のとおりであるから、本件登録意匠は、意匠法第3条第2項の規定に違反して登録されたものであって、その登録は、意匠法第48条第1項第1号の規定によって、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2002-10-21 
結審通知日 2002-10-24 
審決日 2002-11-08 
出願番号 意願平8-31540 
審決分類 D 1 11・ 121- Z (C3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 下村 圭子 
特許庁審判長 日比野 香
特許庁審判官 山崎 裕造
市村 節子
登録日 1999-05-07 
登録番号 意匠登録第1045428号(D1045428) 
代理人 樺沢 聡 
代理人 藤本 昇 
代理人 山田 哲也 
代理人 樺沢 襄 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ