• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 D5
管理番号 1073418 
審判番号 不服2002-7984
総通号数 40 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2003-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-05-08 
確定日 2003-01-29 
意匠に係る物品 衛生設備室 
事件の表示 意願2001- 23787「衛生設備室」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする、平成13年8月10日の出願であり、その意匠は、意匠に係る物品を「衛生設備室」とし、形態を願書及び願書に添付した図面に記載のとおりとするものである。(別紙参照)
すなわち、その形態について、衛生設備室全体は、平面視を略正方形の縦長直方体状とする内部の略半分を浴槽部に、残余の略半分を洗い場とするものであり、意匠登録を受けようとする部分は、衛生設備室内部正面側の浴槽上縁とそれに隣接するカウンター部との間に上面が面一状に連接形成した台座部分に回転可能に若干突出状に設置し表した上面稜部に丸味付けした円盤状の腰掛け部分(以下、「円形腰掛け部」という。)である。

2.原審の拒絶の理由
これに対し、原審において平成14年2月18日付で通知した拒絶理由は、本願意匠は、「本出願前に広く知られた円形板状体を回転軸上に衛生設備室の部分の形状として表した容易な創作であると判断され」るため、意匠登録出願前にその意匠に属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様及び色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するというものである。
この拒絶理由に対して、出願人(請求人)は、平成14年4月3日付で意見書を提出し、部分意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するか否かの判断は、「『意匠登録を受けようとする部分』を当該物品全体の形態の中において、その位置、その大きさ、その範囲とすることが、当業者にとってありふれた手法であるか否かを判断することにより行わなければならない」ところ、「本願は従来になかった新規な物品であり、かつ部分意匠の請求部分についても従来には全くなかったものであるから、当然のことながらありふれた手法に基づいて創作できたものではな」く、「本願意匠は、当業者が容易に創作をすることができた意匠とは到底認められない」旨主張したが、その後、原審は、「円形状板体でしかも回転軸と結合するものはろくろ台や食卓用の回転台、テレビの回転載置台などすでに極く普通に目にするものであり、その形状自体ありふれたものであると言えます、また、それを衛生設備室の部分意匠としたことについても衛生設備室内における位置、大きさ、範囲から決定されている本願意匠の形状は人間の平均的な身体条件に沿う極く普通のものであるから衛生設備室であることが創作が困難であることの根拠にはなり得ないと判断され」るとして、上記拒絶理由により、平成14年4月5日付で拒絶査定をした。

3.請求人の主張
請求人は、これを不服として、平成14年5月8日付で本件審判の請求をし、本物品は、「バスタブへの出入りの際に当該請求部分に腰掛けて回転することにより、バスタブの出入りを容易に行うことができる効果を有するもの」であって、本願意匠を創作容易とする具体的な証拠の提示もなく、「衛生設備室に、本願意匠のような態様で設けることは容易に創作できるものではない」旨主張している。

4.創作容易性の判断
そこで、本願意匠の創作の容易性及び請求人の主張について検討すると、円形腰掛け部の形態は、1.本願意匠の項で述べたとおりのものであり、衛生設備室内部正面側の浴槽上縁とそれに隣接するカウンター部との間に上面が面一状に連接形成した台座部分に回転可能に若干突出状として設置し表した上面稜部に丸味付けした円盤状のものであるが、この種物品分野において衛生設備室に腰掛け可能な座面を設けることはこの出願前から見受けられ、また、上面稜部に丸味付けした円盤状形状自体は周知形状といえるものの、衛生設備室について、座面部分を他の構成各部とどのように関連づけ、構成し、それらの結合により全体の形態についてどのように具体化するかの選択は多様にあると認められるところ、とりわけ、本願意匠の円形腰掛け部の配置態様及び該部を回転可能なものとした点は、そのような創作の過程を経て、一連の創意工夫の結果表すに至った態様であり、この点について、当業者であれば容易に創作をすることができたとする証拠も認められない。
以上のとおりであって、本願意匠は、当業者が公知の形態に基づいて容易に創作できたものとすることはできない。

5.むすび
したがって、本願意匠は、意匠法第3条第2項に該当するとして本願を拒絶すべきものとした原査定は、当を得ないものであり、取消を免れ得ない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2003-01-07 
出願番号 意願2001-23787(D2001-23787) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (D5)
最終処分 成立  
前審関与審査官 高野 善民 
特許庁審判長 遠藤 京子
特許庁審判官 木村 恭子
伊藤 晴子
登録日 2003-03-07 
登録番号 意匠登録第1172115号(D1172115) 
代理人 渡邉 知子 
代理人 日高 一樹 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ