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審決分類 審判 無効  創作者、出願人 無効としない B4
審判 無効  1項1号公知(類似も含む) 無効としない B4
管理番号 1075078 
審判番号 審判1995-28114
総通号数 41 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2003-05-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 1995-12-28 
確定日 1998-02-02 
意匠に係る物品 肩掛けかばん 
事件の表示 上記当事者間の登録第654321号意匠「肩掛けかばん」の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第一 請求の趣旨及び理由
請求人は、登録第654321号意匠(以下、本件登録意匠という)の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める、と申し立て、その理由として審判請求書及び理由補充書の記載の通りの主張をし、証拠方法として、甲第1号証乃至甲第22号証の書証を提出した。
その主張の要点は、これを整理すると本件意匠登録は、以下の各理由によりその登録は、無効とされるべきとするものである。
1 本件登録意匠は、意匠の創作をした者でない者であって意匠登録を受ける権利を承継していない者の出願に係るものであるから、意匠法第48条第1項第3号により意匠登録を無効とすべきである。
大阪地方裁判所での権利侵害訴訟(平成6年(ワ)第7400号損害賠償等請求事件)の本人尋問で、井上圭司(本件登録意匠の権利者の代表者 被請求人の代表者)は、「創作者は自分(井上)であって、意匠公報に創作者として掲載されている鷲野道雄は創作に関与していなかった。」と陳述した。
よって、本件登録意匠は、意匠の創作を受ける権利を承継していないものの出願に係るものであることが明らかである。
として、これの証拠として、甲第4号証(当該尋問に係る本人調書の写し)を提出した。
2 本件登録意匠は、出願前に日本国内において、公然知られ、意匠法第3条第1項第1号により意匠登録を受けることができないものであるから、同法第48条第1項第1号によっても意匠登録を無効とすべきである。
大阪地方裁判所での権利侵害訴訟(平成6年(ワ)第7400号損害賠償等請求事件)の本人尋問で、井上圭司(本件登録意匠の権利者の代表者 被請求人の代表者)は、「昭和56年10月に自分がデザインして見本を完成させ、昭和57年1月に自動車に積み込み、北海道の得意先小売店100社〜150社に営業に回り、見本を見せて回った。」との陳述をした。
よって、出願前に日本国内において不特定多数のものに見られ、公然知られ、意匠法第3条第1項第1号により意匠登録を受けることができないものであることが明らかである、として、この証拠として、甲第4号証(当該尋問に係る本人調書の写し)を提出した。
3 請求人が販売した物品(甲第6号証)が本件登録意匠の出願前に販売され公知となっていたことは明らかであり、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第3号に該当し、同法48条第1項第1号によって意匠登録を無効にすべきである。
この証拠として、甲第6号証〜第14号証を提出し、さらに、請求人が販売した「レザーショルダー熊」が、本件登録出願前に販売されていた事実を明確にするとして審判請求理由補充書で、甲第15号証〜24号証を提出した。
第2 答弁の趣旨及び理由
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由として答弁書に記載のとおりの反論をし、証拠方法として乙第1号証及び乙第10号証の書証を提出したものである。
その反論の要点は、これを整理すると以下の通りである。
1 無効理由1について
当事者尋問における井上の証言は、本件の真実の創作者が井上社長本人であること認めたものであるにすぎない。
本件意匠の意匠登録出願人は、株式会社丸加工芸(以下、単に「丸加工芸」という)であるが、上記の井上証言から、直ちに井上社長に無断で丸加工芸が冒認出願した、と解することはできない。
本件意匠は、証言のとおり、井上社長の創作に係るものであるから、井上社長は、創作者として本件意匠の意匠登録を受ける権利を原始取得している。従って、丸加工芸は井上社長の同意を得た上で本件意匠登録出願をした事実が、侵害訴訟の井上陳述書及び上記の井上証言によって明らかにされている(甲第3号証、甲第4号証)。
従って丸加工芸は、井上社長から本件意匠登録を受ける権利を承継して意匠登録したのであるから、本件意匠は意匠法第48条第1項第3号に、該当せず、同規定によってその登録を無効とすることはできない。
2 無効理由2について
井上証言は、同人の単なる記憶違いによるものにすぎず、このような出願前公知の事実はない。即ち、この井上証言後の被請求人による調査の結果、昭和57年1月に北海道の得意先回りをしたのは、被請求人会社の専務である清瀬代栄であって、新人の営業員であった山内明利、板東好成の2名が同行し、井上社長は参加していなかったこと、また、このとき本件意匠の試作品は持参していなかったことが明らかになっている(乙第1号証乃至乙第5号証)。
したがって、本件意匠は出願前公然知られたものではない。
3 無効理由3について
(1)請求人等が本件意匠の出願前に本件意匠に類似する意匠に係る「肩掛けかばん」(甲第6号証に示す意匠の肩掛けかばん、以下「請求人物品」という)を製造販売していた事実はなく、請求人の主張は失当である。とし、(2)請求人代表者による意匠の創作事実のないこと、(3)加工委託先の加工事実のないこと、(4)請求人から大協カトウ商会への販売事実がないこと、(5)大協カトウから小売店への販売事実がないこと、(6)請求人物品の形態の変更について、等の反論をし、証拠として乙第6号証〜第10号証を提出した。
第三 当審の判断
1 本件登録意匠
本件登録意匠は、昭和57年3月8日の意匠登録出願に係り、昭和60年3月29日に意匠登録第654321号として意匠権の設定の登録があったもので、その願書の記載及び願書に添付した図面代用写真によれば、意匠に係る物品が「肩掛けかばん」であって、その形態は、別紙のとおりのものである。
2 無効理由の検討
請求人が主張する無効理由は、上記の1乃至3であるが、以下その当否について検討する。
(1)無効理由の1について
本件の意匠権は、当該願書及び意匠登録原簿の登録事項の記載によれば、創作者鷲野道雄、意匠登録出願人株式会社丸加工芸として意匠登録出願され、同社を意匠権者として、昭和60年3月29日に意匠権の設定の登録がなされ、その後昭和63年1月5日その意匠権は、被請求人東邦製鏡株式会社に意匠権の移転登録がなされているものである。
ところで、本人尋問調書(甲第4号証)の当該個所に記載の内容は、本件登録意匠の創作の経緯、及び出願人の決定、出願後の約束等について被請求人が疎明しているものであるが、この疎明以外には、本件登録意匠の創作者が、願書に記載された鷲野道雄でなく、井上圭司であることを明らかにする証拠はなく、甲第4号証のみによって、本願登録意匠がいわゆる冒認出願であると断定することはできないから、請求人の主張は、当を得ないものと言うほかなく、この理由を以て、本件意匠登録を無効とすべきものとすることはできない。
(2)無効理由の2について
請求人がその証拠として挙げるところのもの(甲第4号証)はすべて被請求人の大阪地裁の尋問調書に現されている主張のみであって、甲第4号証においては、本件登録意匠の試作品を昭和57年1月くらいから、展示カーに積んで北海道をずっと回ったことを陳述しているものの、その陳述内容は、相当年月前の事実について井上圭司の記憶のみに基づいて疎明しているものであって、後にこれを否定する陳述をなし(乙第1号証)、さらに清瀬代栄が、同じくこれを否定する陳述(乙第2号証)をしていること等を参酌すると、甲第4号証における井上圭司の陳述は、信憑性の弱いものと言う他なく、これのみを以て、本件登録意匠がその出願前に公然知られていたと認めることはできず、この理由を以て、本件意匠登録を無効とすべきものとすることはできない。
従って、この理由を以て、本件意匠登録を無効とすべきものとすることはできない。
(3)無効理由の3について
請求人が本件登録意匠の出願前に販売したことにより公知になった物品の写真として甲第6号証を提出している。
甲第7号証、及び甲第10号証は、請求人の加工委託先のタイホー産業が請求人物品、即ち甲第6号証の写真と同一の写真を「熊ポシェット」と称し、本件意匠の出願前である、昭和57年2月3日に、請求人に多数納入した旨を証するものである。しかし、タイホー産業は、その後、「これら証明書が請求人の依頼によって、請求人が一方的に作成したものに署名捺印したものであって、且つ、自社には古い事で有り証明する書類等がない」旨を自ら述べ(乙第7号証)ていることから、その証明の内容は極めて信憑性がないと言わざるを得ない。
甲第8号証は、青山観光株式会社が、請求人物品、即ち甲第6号証の写真と同一の写真を「レザーショルダー熊」と称し、本件意匠の出願前である、昭和57年2月から、株式会社大協カトウ商会より仕入れて販売している旨を証する。しかし、その後、侵害訴訟における、関係書類の送付の嘱託に対して「何分古い帳簿にして見当たらない」旨(乙第9号証)述べておりこの証明書の証明の内容は信憑性がないと言わざるを得ない。
甲第9号証及び甲第12号証は、宮城産業株式会社が、請求人物品、即ち甲第6号証の写真と同一の写真を「レザーショルダー熊」と称し、本件意匠の出願前である、昭和57年2月から、株式会社大協カトウ商会より仕入れて販売している旨証する。また、同証明書で、当初から現在まで「レザーショルダー熊」の名称で仕入れ且つ販売した商品の形態は販売を開始した当初から現在まで、全く変わらない旨を証するが、本証明書は請求人ではない株式会社大協カトウ商会と宮城産業株式会社間の取引関係についてのものであって、この証明によって直ちに請求人の商品が本件意匠登録の出願前に公知であったとすることはできない。けだし、甲第15号証で、株式会社大協カトウ商会の常務取締役近藤勝正が昭和57年2月頃より請求人の「レザーショルダー熊」を販売商品の一部として扱っていたことを証明書に記しているが、添付写真の該当商品番号のもとには2種類の商品が掲載されており、どちらの商品も商品名「レザーショルダー熊」であって、「同写真における上の商品が最初に扱った」と述べているところのものは、甲第6号証と同一の意匠ではなく、且つ、相当年月前の事実について記憶に基づいて疎明しているものであって、また、その商品番号自体に変更があり、よって、これらを参酌すると、証明対象が特定せず、信憑性の極めて弱いものと言う他ない。なお、甲第19号証乃至甲第22号証は、「レザーショルダークマ」の商品番号の変更の経緯を証するものであるが、いづれも本件登録意匠の登録設定後の日付のものであって、証拠として採用するに根拠がないといわざるを得ない。
その他の証拠(甲第10号証〜甲第14号証、及び甲第18号証)は、請求人の意匠(甲第6号証)と同一の意匠に関する証明と認識できる内容の記載がないものである。けだし、これらは、その内容が「クマポシェット」「レザーショルダークマ」「熊ポシェット」等の商品名のものの取引状態に関するものであるが、これら商品名を有する商品と甲第6号証の示す商品が同一であること示す確かな証拠がなく、且つ、商品名自体も多種類にわたり特定できる名称を有さないものであって、証明対象自体が特定せず、物的証拠としては採用することができず、また、補強証拠としても採用できない。
なお、甲第19号証乃至甲第22号証は、「レザーショルダークマ」の商品番号の変更の経緯を証するものであるが、いずれも本件登録意匠の登録設定後の日付のものであって、証拠として採用するに根拠がないといわざるを得ない。
また、甲第23号証及び甲第24号証は、「川瀬商会及び塚本商店に関する請求人の加工台帳の写し」であるが、請求の理由に記載の証明しようとする内容と結びついているのは、日付と商店名のみであって、商品名「レザーショルダー熊」に関する記載は一切見いだせず、証明しようとする具体的事実を何ら特定できないもので証拠として採用することができない。
以上、これらのいずれをもってしても請求人の意匠(甲第6号証)が本件登録意匠の出願前に公知になったものであることを証明する確かな物的証拠とするものが存在しない。
従って、請求人が本件登録意匠の出願前に販売したことにより公知になった物品の写真(甲第6号証)の意匠と本件登録意匠との類否について判断するまでもなく、これらの証拠を以て、本件登録意匠がその出願前に公然知られていたと認めることはできず、この理由をもって、本件登録意匠を無効とすべきものとすることはできない。
3 結び
以上のとおりであって、請求人の主張する本件登録意匠を無効とすべき理由は、いずれも理由のないものであるから、その理由を以て本件意匠登録が意匠法第48条第1項第1号、同条同項第3号の規定により無効とされるべきものとすることは、できない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1997-01-28 
結審通知日 1997-02-14 
審決日 1997-02-17 
出願番号 意願昭57-9062 
審決分類 D 1 11・ 15- Y (B4)
D 1 11・ 111- Y (B4)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 森本 敬司
特許庁審判官 秋間 哲子
市村 節子
登録日 1985-03-29 
登録番号 意匠登録第654321号(D654321) 
代理人 東尾 正博 
代理人 辻本 一義 
代理人 鎌田 文二 
代理人 鳥居 和久 
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