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審決分類 審判 無効  1項1号公知(類似も含む) 無効とする M1
管理番号 1079871 
審判番号 無効2002-35118
総通号数 44 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2003-08-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2002-03-29 
確定日 2003-06-20 
意匠に係る物品 織物地 
事件の表示 上記当事者間の登録第1127878号「織物地」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1127878号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1.請求人の申し立て及び理由
請求人は,「結論同旨の審決を求める。」と申し立て,請求の理由の要旨を以下のように主張し,証拠方法として,検甲第1号証及び甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。
(1)請求の理由の要点
登録第1127878号意匠(以下,本件意匠という。)は,織物地WRW34(検甲第1号証)と同一又は類似する意匠であって,意匠法第3条第1項第1号及び第3号に該当するから意匠登録を受けることができないものであり,同法第48条第1項第1号により,その登録は無効とされるべきものである。
(2)本件意匠が無効とされるべき理由
イ.本件意匠
本件意匠は,意匠に係る物品を「織物地」とする意匠であり,その構成態様は次の通りである。
a.基本的構成態様
本件意匠の基本的構成態様は,表面及び裏面ともに,組織の織り密度が異なる2種類の縦縞模様が,概ね所定間隔で繰り返し形成されたものであり,表面側の2種類の縦縞模様のうち,織り密度の高い縦縞模様のそれぞれに,中央より若干片側にずらした膨出するふくれ模様が,縦方向に狭い幅で形成されている。
b.具体的構成態様
表面側の暗いベージュ色の縦縞模様の横幅は約lcm,明るいベージュ色の縦縞模様の横幅は約2mm,ふくれ模様の横幅は約lmmである。明るいベージュ色の縦縞模様は,細かな縦方向の波線の組織が形成されている。
ふくれ模様は,ポリエステル繊維の高収縮糸を緯糸に部分的に用いたことにより,表面に縦方向で面方向に丸みを帯びて形成されたものである。
裏面側は,横幅約2mmの黒の透かし模様が付された縦縞模様と,横幅約10.5mmのベージュ色の縦縞模様とが交互に所定間隔で形成されたものである。黒の透かし模様に直交して,横幅約7mm,高さ約2.5mmの帯状の小さな組織が所定間隔で繰り返し形成されている。
c.本件意匠の要部
本件意匠の要部は,表面及び裏面に,明暗のあるベージュ色の織り密度が異なる2種類の縦縞模様が,所定間隔で繰り返し形成されたものであり,表面側の織り密度の高い縦縞模様のそれぞれに,面方向に膨出するふくれ模様が縦方向に形成されている。
ロ.検甲第1号証及び甲第1号証ないし甲第8号証について
a.本件意匠と検甲第1号証(織物地WRW34)との対比
検甲第1号証は,トキワルートで製造され蝶理株式会社へ納入されていたものである。
本件意匠と検甲第1号証は,詳述するまでもなく,基本的構成態様は同一である。また,具体的構成態様においても,本件意匠と検甲第1号証は同一又は同一と言えるほど酷似している。
b.検甲第1号証が出願前公知である理由
織物地WRW34の生機(白生地)は,株式会社マルトモが平成11年4月30日に織物設計表を作成し管理している織物地であり,蝶理株式会社が平成11年5月から株式会社マルトモより,この生白地を購入し,被請求人において染色仕上げ加工をしてセルコン株式会社に販売をしていた公知の商品(セルコン品番DAI045)である。
織物地WRW34自体は,染色仕上げ加工管理や縫製加工管理が,後述するように,被請求人から請求人に生産シフトされても,白生地,染色後の織物地及びカーテンの品番としては変更が無く,一貫して使用しているものである。
サンテックスルートは,株式会社マルトモに始まり,被請求人,蝶理株式会社,イビケン株式会社を経て,株式会社レオパレス21へ納入される経路である。サンテックスルートは,織物地WRW34の製造からカーテン販売までの経路で,平成12年7月頃から平成13年1月までの供給ルートである。サンテックスルートでの織物地WRW34の現物は,残っていない。
トキワルートは,株式会社マルトモ,株式会社トーメン,株式会社大成,請求人,蝶理株式会社,イビケン株式会社,株式会社レオパレス21の経路である。このトキワルートは,織物地WRW34の製造からカーテン販売までの経路である。このルートで平成12年11月から製造を開始し,平成13年2月から納入を開始し,現在も継続している。
前記のどちらのルートも,発注者はともに蝶理株式会社であり,織物地WRW34の白生地(生機)の製造者は同じ株式会社マルトモであり,染色加工業者が異なるのみである。カーテン販売の継続性からいって,当然2つのルートの織物地WRW34の色や模様は同一又はほとんど同一である。
c.まとめ
以上のとおり,検甲第1号証及び甲第1号証ないし甲第8号証に示すように,本件意匠の出願日である平成13年1月31日よりも前に,サンテックスルート及びトキワルートで公然とWRW34を製造販売したことは明らかである。
2.被請求人の答弁及び理由
被請求人は,答弁書を提出して「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し,その理由の要旨を以下のように主張し,証拠方法として,検乙第1号証及び検乙第2号証,乙第1証及び乙第2号証を提出した。
(1)本件意匠権
本件登録意匠第1127878号の出願である意願2001-5724号の出願日は,平成13年1月31日であるが,新規性喪失の例外規定の適用により,平成12年9月20に遡り新規性を有するものである。したがって,請求人主張の公知となったと称する日は,すべて平成12年9月20日以降のことであって,この点において本件意匠権の登録阻害理由とはならない。
本件意匠権は,後述するように株式会社サンテックスの開発設計による生機(検乙第1号証)に,本件意匠の創作者高橋忠彦が意匠の創作を加えて完成したものであり,出願当初に添付の見本に示すとおりのものである。
(2)請求人の主張に対する反論
請求人が主張する株式会社マルトモが設計,管理している織物地WRW34の生機(白生地)は,被請求人である株式会社サンテックスの開発に基づくものであり,株式会社マルトモは株式会社サンテックスの指示・注文により生産したものである。
また,乙第2号証によれば,株式会社マルトモは,本件の生機(白生地)が株式会社サンテックスの創案であることになんら異議を唱えてはおらず,本件の意匠権について認めており,蝶理株式会社もそれを認めていることが窺える。
セルコン品番DAI045(検乙第2号証)は,請求人の提出した検甲第1号証の品物とは全く意匠が異なり,任意の各色染め(薄い緑色あるいは草色を呈するもの)に,それと同色でやや濃く,相互に交差する斜線が多数色染めされているものである。
請求人は風通織又は風通柄は,織物業界では周知の織物組織であると主張するが,例え風通織又は風通柄が知られていたとしても,それを用いて,その上に新たに創作した柄,染色を付加することにより本件の織物が始めて現出したものであるから,意匠の創作であり,新規な意匠である。したがって,例え生機(白生地)が公知であったとしても,それを加工し,それに染色などを施して異なった独特のものを作り出した場合は,それは新規に創作されたものであり,当然に公知のものではない。本件登録意匠は,色合い,各色の間隔,膨出する線条のふくれ具合,高さ,感触,風合などから独特の意匠であり,新規な創作意匠である。
(3)請求人提出の証拠について
a.検甲第1号証
検甲第1号証が公知となったのは平成12年11月から同12月であり,本件登録意匠の出願の新規性喪失の例外規定適用の日付,すなわち平成12年9月20日以後のことであるから,本件登録意匠の出願の新規性阻害理由とはなり得ない。
b.甲第1号証
陳述書中の織物地WRW34は,被請求人・権利者である株式会社サンテックスの創案に係る生機[検乙第1号証]であり,添付資料2のWRW34は検乙第1号証,添付資料3のDAI04500は,検乙第2証である。添付資料4の日付は,すべて本件意匠登録出願の新規性喪失の例外規定適用の日付以後のものである。添付資料5の通知書には,WRW34が株式会社サンテックスの考案開発に係るものであることが明示されている。添付資料6の通知書には,意匠権が登録されたことが明示されている。
c.甲第2号証及び甲第4号証ないし甲第8号証
記載されている日付は,すべて本件意匠登録出願の新規性喪失の例外規定適用の日付以後である。
d.甲第3号証
記載されているWRW34生機は,検乙第1号証のものであり,本件登録意匠のものではない。
3.請求人の弁駁書の主張
請求人は,被請求人の答弁書に対し弁駁書及び上申書を提出して,その要旨を以下のように主張し,証拠方法として,検甲第2号証ないし検甲第5号証及び甲第9号証ないし甲第19号証を提出した。
(1)主張の要点
被請求人は,出願の際,平成12年9月20日の株式会社サンテックスからマルカツ株式会社への納品を根拠に,新規性喪失の例外手続が行なわれていたことを主張している。
請求人は,サンテックスルートでの公知日が,平成12年5月18日及び平成12年7月18日であることを立証する。
(2)サンテックスルートのWRW34に係る織物地について
平成12年5月18日に,株式会社サンテックスは,蝶理株式会社に検甲第2号証と同一のWRW34に係る織物地を縫製したカーテンを納品し,蝶理株式会社はイビケン株式会社に,イビケン株式会社は,レオパレス21の大阪モデルルームに納品した(甲第10号証ないし甲第14号証)。
その後,モデルルーム分や少数の物件に対して,WRW34に係る織物地を納入し,平成12年7月18日から,株式会社サンテックスから株式会社蝶理へのカーテンの納入分は,品番AGR一2で納品が行なわれた(甲第15号証及び甲第16号証)。蝶理株式会社では,白生地(検甲第5号証)をWRW34として管理しているが,白生地WRW34をベージュに染色した織物地(検甲第2号証)は「AGR一2」として管理している。
本件意匠とWRW34に係る織物地(「ドレーブ」「AGR一2」)は,白生地が共通し,ともにベージュ色に染色され,ふくれ模様は共通である。したがって,本件意匠は,公知意匠であるWRW34に係る織物地と同一又は類似である。
(3)DAI045に係る織物地について
本件意匠のふくれ模様及び織組織は,平成11年6月30日に公知である。本件意匠の織組織は,紋織のうち,風通織と呼ばれる周知のニ重織組織であり,これを無地染め(ベージュの一色染め)し,染色の際ふくれ模様を形成したものである。検甲第3号証及び検甲第4号証が示す織組織(風通織)とふくれ模様は,白生地が共通し,異なる点は,無地染めかプリントかの違いだけである。したがって,本件意匠は公知意匠と類似の意匠である。仮に,本件意匠が,検甲第3号証の意匠に類似ではないとしても,意匠法第3条第2項に該当するおそれがある。
(4)トキワルートについて
トキワルートでの公知日は,平成12年12月14日であり,新規性喪失の例外の主張日である平成12年9月20日以後である。しかしながら,トキワルートで提出した織物地は,株式会社鈴寅が染色整理加工し,トキワ織物株式会社が製品販売したものであるから,他人の行為であり,新規性喪失の例外は適用できない。したがって,本件意匠は,トキワルートによっても公知である。
(5)まとめ
以上の通り,本件意匠は,サンテックスルートで平成12年5月18日及び7月18日に公知となっている。また,トキワルートでも平成12年12月14日に公知になっている。
更に本件意匠は,平成11年6月30日に公知となったDAI045に係る織物地にも類似する。
したがって,本件意匠登録に係る意匠は,日本国内において意匠登録出願前に公知となった意匠と同一又は類似である。
4.当審の判断
(1)本件登録意匠
本件登録意匠は,意匠法第4条第2項の適用を受けようとする,平成13年1月31日の意匠登録出願に係り,平成13年10月19日に設定の登録がされた意匠登録第1127878号であって,願書の記載及び願書添付の図面によれば,意匠に係る物品を「織物地」とし,その形態を別紙第1に示すとおりとしたものである。
(2)甲号意匠
甲第10号証ないし甲第17号証によれば,サンテックスルートによるカーテンの供給,すなわち,株式会社マルトモによって生地織りされた白生地(品番WRW34)を,株式会社サンテックスが納品し,株式会社サンテックスが染色,縫製をした後,カーテン(品番AGR-2,FC-2)として蝶理株式会社に納品され,イビゲン株式会社を経て,最終的にレオパレス21に納品された事実が認められ,検甲第2号意匠は,イビゲン株式会社が保管するカーテンのマスターサンプルであり,上記ルートで供給されたカーテンのサンプルと認められる。
(3)甲号意匠の公知性
平成12年5月頃から,総合商社である蝶理株式会社が中心となり,株式会社レオパレス21が扱うマンション向けのカーテンを供給することを目的に,株式会社マルトモが生地織りした白生地を,株式会社サンテックスが納品し,同社において染色,縫製をした後,カーテンとして蝶理株式会社に納品し,イビゲン株式会社を経て最終的にレオパレス21に納品される,いわゆるサンテックスルートによって,カーテン白生地及びカーテンが供給された事実が認められ,この点については,被請求人(株式会社サンテックス)も特に争ってはいない。また,カーテンは,最終的に株式会社レオパレス21の賃貸住宅のモデルルーム内に取り付けられ,モデルルームは,現在も一般に公開されているものと認められる。
甲第10号証ないし甲第13号証によれば,平成12年5月18日に,株式会社サンテックスより蝶理株式会社に対して(出荷先:大阪モデルルーム気付イビゲン株式会社),サイズ190.0cm×283.0cmの「ドレープ」1ケース(10枚)及び185.0cm×84.0cmの「ドレープ」1ケース(10枚)が納品され,また,甲第10号証ないし甲第12号証及び甲第14号証によれば,同日に,JTT協同組合より蝶理株式会社に対して(出荷先:大阪モデルルーム気付イビゲン株式会社),同サイズの「ドレープ」数量1が納品されている事実が認められる。(納品書には,いずれも品番「FC-2」の記載がある。)
また,甲第10号証ないし甲第12号証,甲第14号証及び甲第15号証によれば,平成12年7月18日にも,株式会社サンテックスから蝶理株式会社(イビゲン株式会社)に対して(出荷先:イビゲン株式会社住設特販事業部安井主任),品番「AGR-2」1ケース(15セット)が納品され,また,JTT協同組合よりイビゲン株式会社住設特販事業部安井主任に対して,ベージュ色でサイズ1900×2840及び1850×840の品番「AGR-2」が納品されている事実が認められる。
上記「ドレープ」は,この業界においてレースのカーテンを指す「レース」に対して,厚手のカーテンを指すものと認められ,品番「FC-2」及び「AGR-2」は,イビゲン株式会社が管理するカーテンの製品品番であり,甲第10号証及び甲第11号証によれば,株式会社マルトモによって生機された白生地(品番WRW34)を,株式会社サンテックスにおいてベージュ色に染色し,縫製をしたカーテンであって,カーテン生地であるマスターサンプルとほぼ同態様のものと認められる。
以上によれば,少なくとも本件登録意匠の出願日である平成13年1月31日以前の平成12年5月18日には,大阪モデルルーム気付イビゲン株式会社向けにカーテン(品番「FC-2」)が納品され,その後モデルルーム内にカーテンが取り付けられたと推測され、その間の日数を考慮に入れたとしても,本件登録意匠の出願日の平成13年1月31日の少なくとも数ヶ月以上前には,マスターサンプルとほぼ同態様の生地のカーテンが,公然と実施されていたと認められる。また,上記公然実施された日は,新規性喪失の例外手続を申請した平成12年9月20日より以前であると認められる。
(4)本件登録意匠と甲号意匠との比較
本件登録意匠は,別紙第1で示すとおりの織物地の意匠であり,被請求人が答弁書で主張するように,株式会社マルトモによって生機された白生地(品番WRW34)を,被請求人(株式会社サンテックス)において染色仕上げ加工したものである。
一方,甲号意匠は,上記(3)で述べたように,株式会社マルトモによって生機された白生地(品番WRW34)を,株式会社サンテックスにおいて染色,縫製をし,最終的に株式会社レオパレス21に納品されたカーテン(品番FC-2)であり,カーテンとしての縫製等の有無を除けば,カーテン生地であるマスターサンプル(検甲第2号意匠)とほぼ同態様のものであると認められる。
したがって,本件登録意匠と甲号意匠は,その白生地及び加工過程等を同じくするカーテンであるからほぼ同一の態様の意匠であり、それは本件登録意匠(別紙第1)とマスターサンプル(検甲第2号意匠)を比較しても明らかである。
(5)むすび
以上のとおりであって,本件登録意匠は,意匠法第3条第1項第1号に該当し,意匠登録を受けることができない意匠であるにもかかわらず意匠登録を受けたものであるから,その余については判断するまでもなく,意匠法第48条第1項第1号により,その登録は無効とされるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2003-04-22 
結審通知日 2003-04-25 
審決日 2003-05-08 
出願番号 意願2001-5724(D2001-5724) 
審決分類 D 1 11・ 111- Z (M1)
最終処分 成立 
特許庁審判長 藤木 和雄
特許庁審判官 江塚 尚弘
岩井 芳紀
登録日 2001-10-19 
登録番号 意匠登録第1127878号(D1127878) 
代理人 松永 善蔵 
代理人 尾崎 隆弘 
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