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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 G2 |
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管理番号 | 1083288 |
審判番号 | 不服2002-11490 |
総通号数 | 46 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2003-10-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-06-24 |
確定日 | 2003-08-16 |
意匠に係る物品 | 一組の自動二輪車用フェンダーセット |
事件の表示 | 意願2001-12168「一組の自動二輪車用フェンダーセット」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1.本願意匠 本願は、平成13(2001)年4月26日の組物の意匠に係る意匠登録出願であって、その意匠(以下、「本願意匠」という。)は、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「一組の自動二輪車用フェンダーセット」とし、形態は、願書の記載及び願書に添付された図面代用写真に現されたとおりである(本件審決書に添付の別紙第1参照。)。 すなわち、本願意匠は、自動二輪車用前輪フェンダー(以下、「本願前輪フェンダー」という。)と、自動二輪車用後輪フェンダー(以下、「本願後輪フェンダー」という。)との、二つの構成物品に係る意匠から成る組物の意匠である。 先ず、本願前輪フェンダーの意匠(以下、使用状態時の方向で認定する。)について、全体の基本的構成態様は、断面が略逆U字状の板体を側方視略三日月形状に形成し、各部の具体的態様は、その板体の下方部の外周縁を外側下方へ張り出して直線状に形成し、内周縁を垂下する直線状に形成し、下端縁を前方へ僅かに下降する直線状に形成したものとして、その下端部両側面に平行な溝を複数本設けたものである。 次に、本願後輪フェンダーの意匠(以下、使用状態時の方向で認定する。)について、全体の基本的構成態様は、断面が略逆U字状の板体を側方視略三日月形状に形成し、各部の具体的態様は、その板体の後方下方部の外周縁を外側下方へ張り出して直線状に形成し、内周縁を外側下方へ延伸する直線状に形成し、下端縁を後方へ稍上昇する直線状に形成し、外周面部を後方視略山形状の上方視縦長三角形の先細り状に形成したものとして、その後方下端部両側面に平行な溝を複数本設けたものである。 第2.原審の拒絶理由 原審において、この意匠登録出願の意匠は、周知の形状である自動二輪車用前輪フェンダー(引例1、下記の1.に示す。)及び、自動二輪車用後輪フェンダー(引例2、下記の2.に示す。)を組み物としてあらわし、構成した程度にすぎないものであって、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められ、意匠法第3条第2項の規定に該当し、意匠登録を受けることができないとして、拒絶の理由を通知した。 1.引例1(以下、「参考意匠1」という。本件審決書に添付の別紙第2参照) 特許庁総合情報館が1994年12月22日に受け入れた GOGGLE 1995年2月1日2号第117頁所載の、オートバイの意匠の前輪フェンダーの意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HA06022594号)。 2.引例2(以下、「参考意匠2」という。本件審決書に添付の別紙第3参照) 特許庁総合情報館が1998年1月26日に受け入れた GOGGLE 1998年3月1日3号第153頁所載の、オートバイの意匠の後輪フェンダーの意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HA10001348号)。 第3.請求人の主張 請求人は、本願意匠が、意匠法第3条第2項に規定する意匠に該当しないとして、要旨次のとおり主張した。 参考意匠1と参考意匠2の全体形状は何れも明らかでなく、また、それらを側面視した場合の形状に限ってみても、本願意匠の側面視した場合の形状とは相違するから、本願意匠は、参考意匠1と参考意匠2を組物としてあらわし構成した程度のものとはいえない。 そうして、本願意匠は、本願意匠独自の形態的特徴のもとに成り立っているものであるから、参考意匠1と参考意匠2に基づいて容易に創作できたものではない。 第4.当審の判断 本願意匠は、意匠に係る物品が経済産業省令で定める組物であり、その構成物品が同時に使用されるものとして適当であって、その組物の構成物品が組物全体として統一があるものであるから、意匠法第8条に規定する組物の意匠として意匠登録出願をすることができるものであり、その形態については、前記認定のとおりである。 1.参考意匠1 参考意匠1は、本願意匠の出願前に発行された刊行物に所載の、自動二輪車及びこれに関する記載の内容によって現された前輪フェンダーの意匠であって、その形態は、全体の基本的構成態様を、断面が略逆U字状の板体を側方視略三日月形状に形成し、各部の具体的態様は、その板体の下方部の外周縁を円弧状に形成して後端を後方へ稍突出し、内周縁を円弧状に形成し、下端縁を略水平状に形成したものである。 2.参考意匠2 参考意匠2は、本願意匠の出願前に発行された刊行物に所載の、自動二輪車及びこれに関する記載の内容によって現された後輪フェンダーの意匠であって、その形態は、全体の基本的構成態様を、断面は必ずしも明確ではないが、板体を側方視略三日月形状に形成し、各部の具体的態様は、その板体の外周面部の態様も必ずしも明確ではないが、その板体の後方下方部の外周縁を外側下方へ張り出して直線状に形成し、内周縁を後端まで円弧状に形成し、下端縁を略水平状に形成したものである。 3.創作容易性の検討 本願意匠の創作容易性について、本願意匠を構成する本願前輪フェンダーの意匠と本願後輪フェンダーの意匠を意匠全体として検討する。 (1)本願前輪フェンダーの意匠 前輪フェンダーを、断面が略逆U字状の板体を側方視略三日月形状に形成することは、参考意匠1に限らず、従来より既に一般化しているものであるから、本願前輪フェンダーの意匠の基本的構成態様に、格別評価すべき創作性を見出すことはできないが、前輪フェンダーの下方部の外周縁を外側下方へ張り出して直線状に形成し、内周縁を垂下する直線状に形成し、下端縁を前方へ僅かに下降する直線状に形成したものとして、その下端部両側面に平行な溝を複数本設けることは、参考意匠1についてはその全てを具備しているとはいえず、また、本願意匠の出願前、この種物品の属する分野において、他には見受けられないものであって、極普通に知られたものとはいい難いから、本願前輪フェンダーの意匠の具体的態様は、参考意匠1に基づいて容易に創作することができたとはいえない。 (2)本願後輪フェンダーの意匠 後輪フェンダーを、断面が略逆U字状の板体を側方視略三日月形状に形成することは、参考意匠2のその断面が必ずしも明確でなくとも、従来より既に一般化しているものであるから、本願後輪フェンダーの意匠の基本的構成態様に、格別評価すべき創作性を見出すことはできないが、後輪フェンダーの後方下方部の外周縁を外側下方へ張り出して直線状に形成し、内周縁を外側下方へ延伸する直線状に形成し、下端縁を後方へ稍上昇する直線状に形成し、外周面部を後方視略山形状の上方視縦長三角形の先細り状に形成したものとして、その後方下端部両側面に平行な溝を複数本設けることは、参考意匠2についてはその全てを具備しているとはいえず、また、本願意匠の出願前、この種物品の属する分野において、他には見受けられないものであって、極普通に知られたものとはいい難いから、本願後輪フェンダーの意匠の具体的態様は、参考意匠2に基づいて容易に創作することができたとはいえない。 そうすると、本願前輪フェンダーの意匠と本願後輪フェンダーの意匠は、何れも、その形態の具体的態様において、顕著な特徴を有するといわざるを得ないものであって、形態全体から観れば、参考意匠1或いは参考意匠2に基づいて容易に創作することができたとはいえないから、本願前輪フェンダーと本願後輪フェンダーとの、二つの構成物品に係る意匠から成る本願意匠は、参考意匠1及び参考意匠2に基づいて容易に創作することができたとはいえない。 したがって、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものとはいえない。 第5.むすび 本願意匠は、意匠法第3条第2項に規定する意匠に該当しないから、原査定の拒絶理由によっては、拒絶すべきものとすることはできない。 また、本願について、他に拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2003-07-24 |
出願番号 | 意願2001-12168(D2001-12168) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(G2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 富永 亘 |
特許庁審判長 |
伊勢 孝俊 |
特許庁審判官 |
鍋田 和宣 永芳 太郎 |
登録日 | 2003-09-05 |
登録番号 | 意匠登録第1188343号(D1188343) |
代理人 | 斎藤 暸二 |