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審決分類 審判 無効  2項容易に創作 無効としない D4
管理番号 1090034 
審判番号 無効2002-35400
総通号数 50 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2004-02-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2002-09-19 
確定日 2004-01-05 
意匠に係る物品 エアーコンディショナー用ダクト付きチャンバー 
事件の表示 上記当事者間の登録第1013310号「エアーコンディショナー用ダクト付きチャンバー」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1.請求人の請求の趣旨及び理由
請求人は、登録第1013310号意匠(以下、本件登録意匠という)の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。と申し立て、その理由として審判請求書に記載のとおりの主張をし、証拠方法として下記の甲第1号証乃至甲第12号証の書証を提出したものである。
その主張の要旨は、本件登録意匠は、甲第1号証乃至甲第12号証に記載された形状に基づいて容易に創作をすることができ、意匠法第3条第2項に該当し、無効とすべきである。

1.甲第1号証
内国図書 「だれにもわかる空調・衛生設備図面の見方・かき方」 株式会社オーム社 昭和49年4月20日発行 第65ないし67頁写し
2.甲第2号証
外国カタログ 「ANEMOSTAT CATALOG 79-VF」 アネモスタット社 第9,20及び21頁写し
3.甲第3号証
「ANEMOSTAT CATALOG 79-VF」に記載のP型の設計図 アネモスタット社
4.甲第4号証
「ANEMOSTAT CATALOG 79-VF」に記載のP型と同一の設計図 アネモスタット社
5.甲第5号証
外国カタログ 「ANEMOSTAT CATALOG 79-HVI」アネモスタット社 第6頁写し
6.甲第6号証
内国図書 「空気調和入門」 コロナ社 昭和45年4月10日発行 第152頁写し
7.甲第7号証
内国カタログ 「ビル用マルチ21」 ダイキン工業株式会社 1991年6月発行 第5及び6頁写し
8.甲第8号証
外国カタログ 「PRODUCT GUIDE」 クルーガーマニファクチャリング社 1974年発行 第2頁写し
9.甲第9号証
外国カタログ 「CARNES QUANITROL」 カーネス社 1973年発行 第11頁写し
10.甲第10号証
内国カタログ 「National換気・送風機器」 ナショナル 1990年10月発行 第13頁写し
11.甲第11号証
内国図書 「建築設備大系」 建築設備大系編集委員会 昭和53年5月10日発行 第267頁写し
12.甲第12号証
外国書図書 「Summer Air Conditioning」 インダストリアル社 1958年発行 第297、298及び299頁写し

第2.被請求人の答弁の趣旨及びその理由
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由として答弁書に記載のとおりの反論をし、証拠方法として乙第1号証、乙第2号証の書証を提出したものである。

第3.当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成3年6月5日の意匠法第13条第2項の規定による意匠登録出願(出願変更日平成8年12月5日)に係り、平成10年4月10日に設定の登録がなされたものであり、その願書及び願書に添付された図面の記載によれば、意匠に係る物品を「エアーコンディショナー用ダクト付きチャンバー」とし、形態を願書及び願書に添付された図面に表されたとおりとするものである(別紙参照)。
すなわち、(1)上下に偏平な横長直方体状の箱体からなるエアチャンバー(以下「チャンバー」とする)において、右側面に短い角筒状の空気流入口を突設し、その余の3側面につき、各面に2つずつ円形の開口部を横並び状に配し、これからそれぞれフレキシブルダクト(以下「ダクト」とする)を延出して、このダクトの各先端に吹出し口を設けた基本的な構成態様のものであり、各部の具体的な態様について、(2)チャンバーは、願書に「運搬や保管時にはダクトをチャンバー及び吹出し口から取り外してチャンバー内に収納することができる」とするとおり、上部を開閉蓋とし、蓋上面手前に扁平倒コ字状の取手を設け、上面4隅近くに方形板状の吊金具を配して、側面の各開口部に、内周をU字状に抉った略方形板状のダクト受けを表したもので、(3)空気流入口は、横幅をチャンバーの横幅(奥行幅)の略半分として先端を鍔状としたもので、(4)ダクトは、表面に横筋を表した曲動可能な丸管状のもので、両端に鍔が設けられ、この鍔が、チャンバー、及び吹出し口のダクト受けに嵌め合わされて連結されており、なお左側面から延出する2本のダクトがその余のダクトに比べて若干長いものであり、(5)吹出し口は、下面を開口した薄い横長方形箱状のもので、その内側の壁面に、内周をU字状に抉った方形状のダクト受けが表され、ダクトと連結されている、と認められるものである。
2.無効事由について
請求人は、本件登録意匠が、甲第1号証ないし甲第12号証に記載の形状に基づいて容易に創作をすることができ、意匠法第3条第2項の規定に該当する、と主張するので、以下、本件登録意匠が意匠法第3条第2項(平成10年改正前意匠法第3条第2項、日本国内において広く知られた形状等に基づく創作容易性)の規定に該当するか否かについて検討する。
請求人の提出した甲第1号証、甲第6号証、甲第7号証、甲第10号証、甲第11号証、及び外国カタログ、外国書籍である甲第2号証、甲第5号証、甲第8号証、甲第9号証、甲第12号証を総合すれば、この種の空調機器の分野において、チャンバーの形状を上下に扁平な直方体状の箱状のものとすること、その一側面に、エアーコンディショナーと接続するための空気流入口を設けること、その余の側面に、適宜横並び状に空気流出のための円形の開口部を配し、これからそれぞれ丸管状のダクトを延出して、その先端に吹出し口を設けることは、本件登録意匠の出願前に当業者であれば周知であったと認めることができ、更に、ダクトを、表面に横筋を表した曲動可能な丸管状のものとすること、また吹出し口を、下面を開口した薄い横長方形箱状とすることも、甲第6号証、甲第10号証、及び外国カタログである甲第2号証、甲第5号証、甲第8号証、甲第9号証等に認められることから、当業者であってみれば周知であったと認められる。更にチャンバーに接続されるダクトの数と位置についても、本件登録意匠と同様に、チャンバー3側面にそれぞれダクトを2つずつ配したものが甲第1号証、甲第2号証に認められ、またダクト自体の長さについても、この種の空調設備の分野においては、空調設備の使用される環境に合わせた適宜の長さが選択され施工されてきたと考えられるから当業者においては周知であったと認められる。また空気流入口を、先端を鍔状とした短い角筒状としている点についても、空気流入口部分を角筒状としたものが甲第12号証(1958年発行の外国図書)に認められ、当業者においては、該部が角筒状であること自体は周知であったと認められる。 上記を前提とすると、本件登録意匠について、これを構成するチャンバー、空気流入口、ダクト、及び吹出し口について、チャンバーの全体構成と側面の開口部の位置と数、空気流入口を角筒状とした点、及びダクト、吹出し口の具体的な形状については、何れも本件登録意匠の出願前に当業者においては広く知られていたと認められ、これらを組み合わせ一体化した点についても、その基本的な配置構成に関する限り、甲第1号証ないし甲第12号証によれば、従前の現場での施工態様をそのまま表した程度と認められる。
しかしながら本件登録意匠は、甲第1号証ないし甲第12号証に認められるように、従前にあっては現場で施工されていた構成各部を、一つの意匠として一体化したものと認められるところ、これら構成各部の一体化に伴い、チャンバーを蓋体を備えた開閉可能のものとし、更にチャンバー側面、及び吹出し口の側面にダクト受けを設けて、ダクトをチャンバー、吹出し口に対し着脱自在の構成としている点が認められ、この点は願書にも「本物品におけるダクトは、チャンバー及び吹出し口に対してワンタッチで着脱可能かつ伸縮可能なフレキシブルダクトであり、運搬や保管時にはダクトをチャンバー及び吹出し口から取り外してチャンバー内に収納することができる。」と記載されているとおり、形態創作の重要な部分に係わるところと認められ、またこれに係る形態は、さほど大きな部分ではないとしても、この種物品の使用に際しては施工者等看者の注意を惹くところと認められ、これに係る具体的な形態、すなわち、本件登録意匠のチャンバーを、上部に開閉蓋を表して取手等を備えたものとしている点、チャンバー、及び吹出し口の側面に内周をU字状に抉った略方形状のダクト受けを設けてダクトを着脱自在のものとしている点について、これに類する態様を請求人が提出した甲各号証に見出すことができず、この点についての創作の存在を否定することができず、更に本件登録意匠は、チャンバーを、先端に鍔を設けた短筒状の空気吸入口と一体化したものとし、その余の構成部材を使用目的に基づいて選択し、配置し、一つのまとまりとして全体を一体化したものであって、確かに構成各部に周知の形状を含むとしても、その選択され、組み合わされ、一つの意匠として一体化された具体的な形態について、請求人の提出した各甲号証によって、直ちにその創作が容易であったとすることができず、従って本件登録意匠は、請求人の提出した証拠によっては、意匠法(平成10年改正前意匠法)第3条第2項に該当する意匠とすることができず、請求人の主張及び提出した証拠によって、その登録を無効とすることができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2003-10-17 
結審通知日 2003-10-22 
審決日 2003-11-20 
出願番号 意願平8-37138 
審決分類 D 1 11・ 121- Y (D4)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 梅澤 修清水 富夫 
特許庁審判長 日比野 香
特許庁審判官 山崎 裕造
市村 節子
登録日 1998-04-10 
登録番号 意匠登録第1013310号(D1013310) 
代理人 永野 周志 
代理人 永野 周志 
代理人 平井 安雄 
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