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審決分類 審判 無効  1項2号刊行物記載(類似も含む) 無効とする F4
管理番号 1094836 
審判番号 無効2003-35100
総通号数 53 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2004-05-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-03-19 
確定日 2004-03-25 
意匠に係る物品 おにぎり包装用袋 
事件の表示 上記当事者間の登録第0899348号「おにぎり包装用袋」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第0899348号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1.請求人の申立及び理由
請求人は、結論と同旨の審決を求める、と申立て、その理由として、審判請求書に記載のとおりの主張をし、証拠方法として、甲第1号証乃至甲第3号証の書証を提出した。
その主張の要旨は、登録第899348号意匠(以下、本件登録意匠という)は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証及び甲第3号証の刊行物に記載された意匠に類似するから、意匠法第3条第1項第3号の意匠に該当し、その登録を無効にすべきとするものである。
第2.被請求人の答弁の趣旨及びその理由
被請求人は、審判の請求は成り立たない、審判費用は、請求人の負担とする、と答弁し、その理由として答弁書に記載のとおりの反論をし、証拠方法として、乙第1号証乃至乙第9号証の書証を提出したものである。
第3. 当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成4年7月10日に意匠登録出願(意願平4-20764号)され、平成6年3月14日に設定の登録がなされたものであり、その願書及び願書に添付された図面によれば、意匠に係る物品を「おにぎり包装用袋」とし、形態を願書及び願書に添付された図面に表されたとおりとするものである(別紙第1参照)。
2.甲号意匠
請求人が提出した甲第1号証に記載された意匠(以下、甲号意匠という)は、特許庁が平成4年6月24日公開の公開実用新案公報、実用新案出願公開平4-71485号「おにぎり包装用フィルム」の第1〜3図及びこれに関連する記載により表されたものである(別紙第2参照)。
3.両意匠の類否について
そこで本件登録意匠と甲号意匠を対比すると、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、形態について、左右2枚の薄い縦長矩形シートの中央寄り一定幅をそれぞれ外側に折り返し、折り返し部分が縦方向に広狭の帯状を表すように端寄りを重ね合わせて内装シートとし、この背部に同形の外装シートを重ね合わせて四周を薄肉状に封じて縦長長方形状の袋体とし、この袋体の左右縦片の一方端の両隅を内側に、双方同形対称になるよう略鈎状に切り欠いたもので、その切り欠きについて、その上下幅が袋体縦辺の1/4弱程で、袋体縦辺から斜めに切り込み、その先端をこの斜め辺よりやや長く、袋体縦辺と平行状に切り欠いたものである点で共通する。
一方両意匠は、(1)内装シートの折り返し部分である広狭の帯状部について、本件登録意匠は広狭の全幅が袋体横幅の略1/3で、広狭の幅比が3対1であるのに対し、甲号意匠は広狭の全幅が袋体横幅の略1/2で広狭の幅比が略3対2である点、(2)甲号意匠は、外装シートの外面縦中央に細幅の開封テープが表されているのに対し、本件登録意匠はこれが外面に表れておらず、願書の記載によれば、袋体の内面に配されていると認められる点、(3)外装シートに本件登録意匠は2本の短い切り込みが表されているのに対し、甲号意匠は該当する切り込みが表されていない点に主として差異が認められる。
そこで両意匠の共通点と差異点について検討するに、前記両意匠の共通点は、形態全体に及び、その基本的な構成態様をなすところであり、かつ、両意匠の特徴を端的に表すところであって、類否判断に極めて大きな影響を及ぼすものと認められる。
一方差異点について、(1)の点は、内装シートについての前記の共通する構成態様の中で見られる寸法上の差異で、しかも、本件登録意匠とほぼ同様の構成比率のものが従前にも認められ(甲第2号証)、全体としては微弱な差異に止まり、(2)の点についても、この種の意匠においては、本件登録意匠のように開封テープを内面に配したものが普通に認められ(甲第2号証、乙第3号証乃至乙第5号証)、この点についても類否を決定づける差異には至っていない。また、(3)の点についてもさほど目立たず、また従前態様の域を出ず(甲第2号証、乙第8号証参照)、類否判断に影響を及ぼすほどのものとはいえない。
なお、被請求人は、両意匠について、切り欠き部を上辺両隅に設けたか、下辺両隅に設けたかの位置的違いによる相違が一目瞭然であって、その相違はおにぎりの包み方の手順が相違するためによるものである旨主張するが、おにぎりの包み方はおにぎり包装用袋を用いてどのように包装するかの包装者の任意な包み方に関するものであり、そして、両意匠において図面上は切り欠きが上端か下端かの違いはあるものの、図面表現上の違いで、形態の上での実質的な違いとはいえず、被請求人の主張は採用することができない。
以上のとおりであって、両意匠の差異点はいずれも限られた部分に見られる差異であって、また、従前態様に照らしても本件登録意匠の特徴を表すところとはいえず、いずれも類否判断に及ぼす影響が微弱で、それらがあいまった効果を考慮しても共通点の類否判断に及ぼす影響を凌駕して、本件類否判断を決定付けるには到底至っておらず、両意匠は全体として類似するものである。
したがって、本件登録意匠はその出願前に日本国内において頒布された刊行物に記載された甲号意匠に類似するものであって、甲第3号証について検討するまでもなく意匠法第3条第1項第3号に該当し、同法第3条の規定に反して登録されたものであるから、その登録を無効とすべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2004-01-23 
結審通知日 2004-01-28 
審決日 2004-02-12 
出願番号 意願平4-20764 
審決分類 D 1 11・ 113- Z (F4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 森 則雄 
特許庁審判長 日比野 香
特許庁審判官 山崎 裕造
市村 節子
登録日 1994-03-14 
登録番号 意匠登録第899348号(D899348) 
代理人 藤本 昇 
代理人 市澤 道夫 
代理人 竹内 三郎 

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