ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 無効 1項2号刊行物記載(類似も含む) 無効とする F4 |
---|---|
管理番号 | 1102946 |
審判番号 | 無効2004-35137 |
総通号数 | 58 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2004-10-29 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2004-03-15 |
確定日 | 2004-08-04 |
意匠に係る物品 | 包装用瓶 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1197023号「包装用瓶」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第1197023号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1.請求人の申立及び理由 請求人は、結論同旨の審決を求める、と申し立て、その理由として、要旨以下の主張をし、立証として、甲第1号証ないし甲第8号証、及び検甲第1号証とその写真を提出した。 登録第1197023号意匠(以下、「本件登録意匠」という。)は、甲第1号証、甲第2号証、及び甲第3号証の刊行物に記載され、かつ同刊行物記載の商品の販売により公然知られた意匠と同一、或いは少なくとも類似であり、意匠法第3条第1項第1号、同項第2号、または同項第3号の規定により意匠登録を受けることができないものであり、同法第48条第1項第1号によりその登録は無効とされるべきでものである。 第2.被請求人の答弁及び理由 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、概略以下の主張をした。 甲第1号証ないし甲第3号証、及び甲第6号証には、本件登録意匠の正面図と類似するハート形の図柄が表示されているものの、その全体を把握するに足る各面の形状を確認できない。また甲第1号証については発行年度も不明確である。 甲第4号証、甲第5号証、甲第7号証及び甲第8号証については不知である。 本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第1号、同項第2号、または同項第3号に該当せず、無効とされるべきものではない。 第3.当審の判断 1.本件登録意匠 本件登録意匠は、平成15年2月19日に意匠登録出願をし、平成15年12月26日に意匠権の設定の登録がなされたものであり、意匠に係る物品を「包装用瓶」とし、その形態を、願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである。(別紙第一参照) 2.甲号意匠 請求人は、本件登録意匠と少なくとも類似する意匠が、その出願前に頒布された刊行物に記載されていた、として甲第2号証を提出している。 甲第2号証は、裏表紙に、「2002年8月23日発行」と記載されていることから本件登録意匠の出願前に頒布された刊行物と認められる、株式会社ヌーベルグー発行の雑誌「Soup./スープ」8月号の写しで、上部に「夏のフレグランス」と記載され、下端に「お問い合わせ先アメーズユープランニング」と記載された頁の上段に、商品名を「Angel Heart/エンジェルハート オードトワレ」とする包装用瓶の意匠が掲載されている(別紙第二参照)。当審ではこれを「甲号意匠」として、以下検討する。 3.本件登録意匠と甲号意匠の対比検討 本件登録意匠と甲号意匠とは、意匠に係る物品が共通し、その形態について、(1)正面視がハート形で前後に扁平な瓶体胴部の頂面中央に、短い上細状の首部を設けてその上方に2段の円筒を重ねた態様の噴霧口が設けられ、この噴霧口に、首部の上端と略同径の頂面が平らな円筒形のキャップが被せられたものである点、(2)緩やかな膨出曲面をなす胴部前面の下部稍左寄りに、僅かに左に傾けた態様で、小さいハート形が突出状に表されている点、が共通し、更に、(3)瓶体胴部の縦横比率、これに対する首部、噴霧口、及びキャップの構成比率、前面の小さいハート形の大きさ、突出の度合についてもほぼ共通する。 そしてこの共通するところは、両意匠の形態全体に及び、とりわけ(1)及び(2)の態様は、両意匠の特徴を最もよく表すところであり、形態全体にまとまりを与えて全体の基調を形成し、これに(3)の共通性も加わって両意匠の酷似性を看者に強く印象付けており、これら共通点は、両意匠の類否判断に決定的ともいえる大きな影響を及ぼすものと認められる。 一方両意匠には差異点として、(ア)瓶体胴部の背面について、本件登録意匠は中央部分が平坦面状に削がれた態様で、これに小さい円形突起が3つ逆三角形状に表されているのに対し、甲号意匠は前面から撮影された写真版によるもので、背面の詳細が明らかでない点、(イ)キャップについて、甲号意匠は全体が透明であるのに対し、本件登録意匠は願書に透明である旨の記載がなく、添付図面と照らし合わせてもキャップが透明とは認められない点、がある。 しかしながら(ア)の点については、本件登録意匠の背面中央の削ぎも、その境界(外周)部分が自然な曲面状に形成されたものでさほど目立たず、また3つの円形突起もさほど目立たず、甲号意匠において背面の詳細が明らかでないとしても、前述のとおりの、(1)及び(2)の共通点に(3)の共通性も加わった両意匠の特徴的で強いまとまりに対しては、これを覆して別異のまとまりを形成するには到底至らず、差異として類否判断を左右せず、(イ)の点についても、キャップの形状については両意匠は共通しており、類否判断に影響を与えるほどのものとはいえない。 そしてこれらの差異としての関連効果を考慮に入れても、差異点が類否判断に及ぼす影響は、共通点のそれを到底凌ぐには至らず、全体の基調を同じくし、看者に強い酷似性を印象付けている両意匠は、全体として明らかに類似する。 4.むすび 以上のとおりであって、本件登録意匠は、その出願前に日本国内において頒布された刊行物に記載された意匠に類似し、意匠法第3条第1項第3号の意匠に該当するにもかかわらず意匠登録を受けたものであるから、その登録を無効とすべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審理終結日 | 2004-06-04 |
結審通知日 | 2004-06-09 |
審決日 | 2004-06-23 |
出願番号 | 意願2003-3865(D2003-3865) |
審決分類 |
D
1
11・
113-
Z
(F4)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 石坂 陽子、正田 毅 |
特許庁審判長 |
遠藤 京子 |
特許庁審判官 |
市村 節子 渡邊 久美 |
登録日 | 2003-12-26 |
登録番号 | 意匠登録第1197023号(D1197023) |
代理人 | 会田 恒司 |
代理人 | 佐野 義雄 |