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審決分類 審判 判定  同一・類似 属する(申立成立) F5
管理番号 1108090 
判定請求番号 判定2004-60059
総通号数 61 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠判定公報 
発行日 2005-01-28 
種別 判定 
判定請求日 2004-07-21 
確定日 2004-11-18 
意匠に係る物品 商品陳列ケース 
事件の表示 上記当事者間の登録第1102966号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号写真、イ号図面並びにその説明書に示す「商品陳列ケース」の意匠は、登録第1102966号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。
理由 第1.請求人の申立及び理由
請求人は、イ号写真、イ号図面並びにその説明書に示す意匠(以下、「イ号意匠」という。)は、登録第1102966号意匠(以下、「本件登録意匠」という。)及びこれに類似する意匠の範囲に属する、との判定を求める、と申し立て、その理由を要旨以下のとおり主張し、甲第1号証の1ないし3(本件登録意匠の意匠公報の写し、及び、本件登録意匠に関連する写真と図面)、甲第2号証の1(イ号写真)、甲第2号証の2(イ号図面)、及び「イ号の説明書」と題する書面を提出した。
本件登録意匠は、上段食材載置部によりケース内を上下2段に分割した商品陳列ケースの前面上部を内側に傾斜させて側面視台形とし、前面板上部(傾斜部)と天板に透明板を配し、前面板上部(傾斜部)を回転飲食台の基台(すしレーン)上方に突出させることにより、前面側からは1段ケースとして認識させ、後面側においては2段ケースとして使用できるようにしたもので、この点を意匠の要部とし、デザイン性および使用性を高めたことにおいて類似する。そして差異点はいずれも微弱で、要部をなす共通点を凌駕しない。
第2.被請求人の答弁及び理由
被請求人は、イ号意匠は、本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属さない、との判定を求める、と答弁し、その理由を、要旨以下のとおり主張し、乙第1号証ないし乙第4号証(枝番を含む)を提出した。
本件登録意匠とイ号意匠の共通点は、公知意匠に多くみられる一般的な共通点で、類否判断においては評価の対象とはならない。これに対し、差異点は何れも顕著である。即ち、後面において十字状に引戸枠を設けて全体を4分割した点は、形状が顕著に相違するのみならず、引戸の開放範囲も異にするもので、機能面でも大きく相違する。また、後面板上端にL字状枠を配した点は、天板に枠が大きく現れるもので、構成比率上の顕著な差異である。また棚板を、支柱及びこれに嵌入された略楔状支持板により支持しているか、ケース枠体と一体状の構成かの差異は、この種の意匠がケース内を見せるためのもので、ケース内の構成態様も看者の注意を惹く部分といえるから、類否判断上の要素として勘案すべきである。即ち両意匠の差異は意匠の要部を構成するところというべきで、また他にも差異のある両意匠は明らかに看者に別異の印象を与え、両意匠は非類似である。
第3.当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成12年5月22日に意匠登録出願をし、平成13年1月5日に意匠権の設定の登録がなされた登録第1102966号意匠であり、意匠に係る物品を「商品陳列ケース」とし、その形態を、願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである(別紙第一参照)。
2.イ号意匠
イ号意匠は、請求人が提出した甲第2号証の1の写真(イ号写真)、甲第2号証の2の図面(イ号図面)、及び「イ号の説明書」と題する書面により現されたとおりである(別紙第二参照)。
3.本件登録意匠とイ号意匠の対比検討
本件登録意匠とイ号意匠を対比すると、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、形態について、以下の共通点と差異点が主として認められる。
先ず、共通点として、(1)奥行きに対し高さが稍高い横長直方体状の前面略上半分を傾斜面状とした筺体であって、内部を棚板で上下2段に分割し、上面後端近くから前面略上半分にかけての部分に透明材を填め込み、全体を窓部とし、背面は、横中央を横桟で区画して、上下にそれぞれ4枚ずつ、横長矩形状の透明の引き戸を横に填め込んだ構成としたものであり、なお、左右両側面、及び前面の略下半分は鉛直面状で、不透明材で表されたものである点、その具体的な態様につき、(2)全体の構成比率について、高さと奥行きの比率が略4対3で、左右の横幅が高さの数倍のかなり横に長いもので、前面の窓部の高さが全体の高さの半分よりやや小幅で、その傾斜が、鉛直方向に対し20度弱である点、(3)背面について、四周が上端の上枠、左右の側板、及び底板で枠取状に囲まれ、更にこれと面一状に配された横桟により上下に2段の開口部が形成され、この内側にそれぞれ引き戸が填め込まれたもので、上下の開口部は、上下幅(高さ)が等幅で、共に、左右各2枚の引き戸が引き違い状に填め込まれ、更に開口部について、内縁に細幅状の縁取りがなされている点、(4)窓部は、左右の側板、及び背面上端の上枠で枠取り状に囲まれ、上面の天板と傾斜する前面板が鈍角状に接合する態様で填め込まれたもので、天板の下面に照明が設けられている点、(5)棚板が僅かな前下がり状である点、が認められる。
一方両意匠には、差異点として、(イ)背面の開口部につき、イ号意匠は、中央が縦桟で区画され、左右各2枚の引き戸が中央で分離した態様であるのに対し、本件登録意匠は該当する縦桟が認められず、4枚の引き戸が自在に動く態様となっている点、(ロ)棚板の取付構造につき、本件登録意匠は、背面の横桟の内側と、前面下半部の鉛直板の内側とにそれぞれ段部を設けて、これに係止する態様としているのに対し、イ号意匠は、背面寄りに支柱を取り付け、これに略楔状の支持板を嵌入して係止する態様としており、従って、筺体内部において棚板の前後に隙間が認められる点、(ハ)上面後端の上枠の前後幅が、イ号意匠は本件登録意匠より幅広である点、が認められる。
そこで上記の共通点と差異点について全体として検討するに、共通点のうち(1)の点は、全体の基本的な構成態様を表すと共に、本件登録意匠の特徴をよく表す態様と認められ、類否判断に大きな影響を及ぼし、更にこの態様に、(2)の構成比率の酷似性、また(3)ないし(5)の各部の具体的な態様の共通性が組み合わされ一体となって、両意匠に極めて強い共通感を生じさせており、これら共通点は、両意匠の類否判断に極めて大きな影響を及ぼすものと認められる。
被請求人は、これらの共通点が公知意匠に多くみられる一般的な態様で、類否判断において評価の対象とならない、と主張するところ、確かに被請求人の提出した乙第3号証の1ないし5によれば、本件登録意匠とほぼ形状を同じくする商品陳列ケースが、本件登録意匠の出願前に既に公然知られるに至っていた可能性が必ずしも否定できない。しかしながら両意匠の共通点、少なくとも両意匠に共通する基本的な構成態様(1)を備えたものが、本件登録意匠の出願前に一般的にみられたことが被請求人の提出した証拠によっては直ちに認められず、また当審の調査によっても認められず、共通点については上記のとおりと判断せざるを得ず、(1)を含めての両意匠の共通点が類否判断を左右しない、旨の被請求人の主張は採用できない。
一方差異点について、(イ)の点は、縦桟の幅もさほど広いものでなく、しかも、この種の陳列ケースにおいては4枚の引き戸を横に並べて填め込む場合、縦中央に縦桟を設けることも、設けないことも、共に普通にみられる態様であって、被請求人の主張する開放範囲の違いを考慮に入れても、その差異を大きく評価できない。(ロ)の点についても、筺体内部についての差異で、しかもイ号意匠の態様は、冷蔵ショーケースの分野においては極普通に見られる態様で、本件登録意匠に対しイ号意匠を別異に特徴付けるまでのものとはいえない。そして(ハ)の点も、全体構成についての(1)の共通点の中でみられる部分的な差異というべきで、類否判断に及ぼす影響は微弱である。
即ち、両意匠の差異は、何れも類否判断に及ぼす影響が微弱で、それらが相俟った効果を考慮しても、両意匠においては前示のとおり、共通点が類否判断に及ぼす影響が極めて大きく、これを差異点が凌駕するには到底至らないものであるから、両意匠は全体として類似するものである。
4.結び
以上のとおりであって、イ号意匠は、本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。
よって、結論のとおり判定する。
別掲
判定日 2004-11-08 
出願番号 意願2000-13453(D2000-13453) 
審決分類 D 1 2・ 1- YA (F5)
最終処分 成立  
特許庁審判長 森 則雄
特許庁審判官 市村 節子
伊藤 敦
登録日 2001-01-05 
登録番号 意匠登録第1102966号(D1102966) 
代理人 日高 一樹 
代理人 渡邉 知子 

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