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審決分類 審判 無効  1項2号刊行物記載(類似も含む) 無効としない C7
管理番号 1109720 
審判番号 無効2004-35003
総通号数 62 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2005-02-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-12-26 
確定日 2004-12-06 
意匠に係る物品 香炉 
事件の表示 上記当事者間の登録第1181135号「香炉」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.請求人の申立及び理由
請求人は、登録第1181135号意匠(以下、本件登録意匠という)の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める、と申し立て、その理由として審判請求書に記載のとおり主張し、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証(枝番を含む)を提出した。その要旨は以下とおりである。
本件登録意匠は、甲第1号証のものと同一のものであり、意匠法第3条第1項第1号の規定により意匠登録を受けることができないものであり、同法第48条第1項第1号もしくは第2号により、無効とすべきである。
本件登録意匠が出願された平成14年12月12日より以前、甲第2号証に記されている通り平成14年7月11日付けで新聞広告に掲載されている。また、12月までに、新聞すり込み広告で上記を含め5件の掲載があり、帯広地方の墓所にて数基がすでに建立されている。
したがって、出願時にはすでに公知公用であったため、無効とすべきである。
2.被請求人の答弁
被請求人に対して、期間を指定して答弁書の提出を求めたが、その期間を経過しても被請求人からは、何ら応答がなかったものである。
3.当審の判断
(1)本件登録意匠
本件登録意匠は、登録原簿によれば平成14年12月12日の意匠登録出願に係り、平成15年6月13日設定の登録がなされたものであって、意匠に係る物品を「香炉」とし、その形態は、願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりものであり、その要旨は以下の通りのものである。
すなわち、全体形状に関し、(1)横長矩形板状上板部と、これとほぼ同一外周形状とした平板状基台部により、本体部を上下から挟んだ態様としたもので、(2)本体部については、縦長直方体を左右に配し、その内側面は背板と共に中央に大きな炉設置用空隙部を形成し、前面にはその空隙部を塞ぐ左右にスライドする対の縦長矩形板状前扉を設けており、(3)上板部及び基台部は何れも後端位置を本体背面と一致させ、共に左右両側は極く僅か、前側も前扉に対してほぼ同程度はみ出た態様としたものである。そして、(4)対の本体部前扉につき、何れも周囲に枠取りを設け、その内側に向かい合った2辺の緩やかな凸円弧からなる細長い花弁様のもの4つを、その尖った各1端部を1点で繋ぎ、斜め四方放射状に表したレリーフ模様を、上下、左右それぞれ端部が繋がるよう2単位ずつ表しており、(5)本体部左右に配された縦長直方体部につき、前面及び側面部は一体となって横扉を形成しているものであって、側面後端近くを軸部として回動可能としたものである。本体中央の空隙部に設けられた(6)蓋付炉部については、空隙部上下幅のほぼ1/2の高さであって、左右に空隙部の僅かの余地を残した横長直方体状のものであって、正面側左右両側はやや大きな丸面状とし、上下中央よりもやや下位置の周面方向に上・下面を凸弧状とし最深部を幅のない直線状とした1本の凹溝を設け、上面周縁を丸面状としたものである。
(2)甲第1号証及び甲第2号証
甲第1号証は、帯広市西22条北4丁目4-17所在の墓石堂が発行したパンフレットであって、その表裏両面には、多数の構成部品からなる墓石の図版が複数掲載されている。また、甲第2号証の1ないし5は、何れも本件登録意匠の出願前発行された十勝毎日新聞の写しであって、何れにも甲第1号証のパンフレットの発行者である墓石堂の広告が掲載されており、それぞれの広告中には甲第1号証と同様に、多数の構成部品からなる墓石の図版が複数掲載されている。そして、請求人は、複数の図版が表されている何れの証拠に対しても、何れの図版における何れの部分の意匠が本件登録意匠の無効であるとする根拠となる意匠であるのかを特定していない。
(3)無効理由の検討
そこで、本件登録意匠とこれら全ての図版を照合し、請求人の主張に該当するもの、及び、該当する可能性のあるもの、すなわち、同一のみならず類似する可能性のあるものまでも含め探してみたものの、該当するものを見いだすことができない。このことにより、当審は、審尋により期間を指定して「本件登録意匠は、甲第1号証のものと同一であり、また、甲第2号証においても5件の掲載がある旨述べられていますが、何れの証拠においても様々な構成部品からなる多種類の墓石が掲載されています。ところが、これらの墓石の中のどの構成品の意匠と本件登録意匠とが同一であるとするのか、その意匠が明示されていないため不明です。したがって、本件登録意匠が無効であるとする根拠となる意匠を何らかの手段で特定して下さい。」との通知を行ったところ、その期間を経過しても請求人からは、何ら応答がなかったものである。
また、請求人は、本件登録意匠は帯広地方の墓所にて数基がすでに建立されていると主張するが、本件登録意匠と同一のものが帯広地方の墓所にて建立されたことを示す証拠は、何も提出されていない。
このように、請求人の提出した証拠の中に本件登録意匠を無効とする根拠となる意匠を見いだすことができないから、本件登録意匠について、請求人の主張する意匠法第3条第1項第1号に該当するということはできない。なお、請求人の提出した甲第1号証並びに甲第2号証の1ないし5は、何れも刊行物に関するものであることから、本件登録意匠は同項第2号に規定する意匠に該当し得ないことは自明のことであるが、請求人の提出した証拠の中に、仮に本件登録意匠と類似する意匠が含まれていた場合において、請求人が無効理由として意匠法第3条第1項第3号の規定に直接言及していないからといって、同規定に関する検討を排除し結論を導き出すことはできないが、前述の如く類似するものも見いだすことができない。
(4)むすび
以上のとおり、本件登録意匠は、請求人の提出した証拠によっては意匠法第3条第1項1号の規定に該当するということはできず、なお、同項その他の各号にも該当するということもできず、したがって、同条同項の規定に違反して登録されたとすることができず、その登録は、意匠法第48条第1項第1号の規定によって、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-09-28 
結審通知日 2004-09-30 
審決日 2004-10-13 
出願番号 意願2002-34441(D2002-34441) 
審決分類 D 1 11・ 113- Y (C7)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊藤 敦 
特許庁審判長 日比野 香
特許庁審判官 山崎 裕造
杉山 太一
登録日 2003-06-13 
登録番号 意匠登録第1181135号(D1181135) 

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