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審決分類 |
審判 無効 1項2号刊行物記載(類似も含む) 無効とする J1 |
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管理番号 | 1109722 |
審判番号 | 無効2003-35299 |
総通号数 | 62 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2005-02-25 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2003-07-18 |
確定日 | 2004-12-27 |
意匠に係る物品 | 二次元測定機 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第0934489号「二次元測定機」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第0934489号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1.請求人の申立及び理由 請求人は、結論と同旨の審決を求める、と申立て、その理由として、審判請求書に記載のとおりの以下の主張をし、証拠方法として、甲第1号証乃至甲第7号証(枝番含む)の書証を提出した。 (1)登録第934489号意匠(以下「本件登録意匠」という。)は、甲第3号証に示す意匠と類似するものであり、意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができないものである(無効理由1)。 (2)本件登録意匠は、甲第3号証及び甲第4号証、甲第5号証に示す形状、模様に基づいて容易に意匠の創作をすることができた意匠に該当するものであり、意匠法第3条第2項の規定により意匠の登録を受けることができないものである(無効理由2)。 第2.被請求人の答弁 被請求人は、審判請求書の副本を送付し、期間を指定して答弁書の提出を求めたのに対して、その期間を経過しても答弁書の提出をしなかった。 第3. 当審の判断 1.本件登録意匠 本件登録意匠は、平成5年5月31日に意匠登録出願され、平成7年6月28日に設定の登録がなされたものであり、意匠に係る物品を「二次元測定機」とし、形態を、願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとするものである(別紙第1参照)。 2.甲号意匠 甲号意匠は、株式会社工業調査会が発行した「電子材料 1993年5月号 全冊特集エレクトロニクス実装技術1993年」(1993年5月1日発行)(甲第3号証)の広告頁下欄(資料請求番号0159)に掲載された株式会社ソキアの「AMIC-700精密自動二次元測定機」(「SI-7055MB精密自動二次元測定機」の記載もある)の「二次元測定機」の意匠であり、その形態は同写真版に示されたとおりとするものである(別紙第2参照)。 3.本件登録意匠と甲号意匠の類否について 本件登録意匠と甲号意匠を対比すると、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、その形態について以下に示す共通点及び差異点が主として認められる。 すなわち、共通点として、両意匠は、(1)同様の平面視略正方形の偏平直方体の下面に小さな足を設けた筐体を二段に積み重ね(上部本体、下部本体)、その上面に検出器をつけたフレームを取り付けた基本的な態様とし、具体的には、(2)上部本体は、正面視左側幅を右側幅よりやや幅広とする二つの縦長細幅直方体で、挟持する幅広直方体の中央部を、両側の高さよりやや低めとし、その中央部上面に方形状の枠取りを設けた点、(3)その左右縦長細幅直方体の上面に外周形状より一回り程小さく、前方側余地部をやや大きくした細長枠形状(Y軸方向可動部、以下「Y軸可動部」という)をそれぞれ設けた構成とし、Y軸可動部上を可動とする略直方体状の小片状ブロック形状(X軸フレーム支持部)を左右にそれぞれ設け、その形状はともに上面から内側面を僅かに底部に向けて拡げる傾斜面とし、その底部幅をY軸可動部細幅と同等幅となるようにし、両X軸フレーム支持部間を幅広Y軸可動部幅とほぼ同幅の薄い板形状を架橋し、そのほぼ中央にX軸フレーム支持部より大きな直方体形状の前面部を半円弧面状にした検出部を設け、X軸方向に可動とした点、(4)下部本体正面の稍左側寄り、かつ上部寄りの部位に摘み様の円柱を横に4つ配した長方形板を表面からやや沈下させて設けた点、が主に認められる。 一方差異点として、(ア)本件登録意匠は、検出部上面のほぼ半分程の前部を緩い下り傾斜面としたのに対して、甲号意匠の写真版写し上では白くつぶれてしまっているため定かではない点、(イ)X軸及びY軸可動部いずれの上面も、本件登録意匠は縞模様状に表されているのに対して、甲号意匠は、濃暗調子で表されている点、(ウ)甲号意匠には、上部本体前面上部左寄り(左側縦長細幅直方体上部寄り)に小さな長方形状を設けるとともに、縦幅中央上寄りの仮想横直線上に、ほぼ中央に1個、左右対称に3個と1個計9個の小さな点状模様を設けたのに対して、本件登録意匠にはそのようなものを設けていない点、(エ)甲号意匠の下部本体の左側辺沿いを薄暗調子の細幅長方形状としたのに対して、本件登録意匠はそのようなものはない点が認められる。 そこで上記共通点と差異点につき、両意匠の類否判断に及ぼす影響を意匠全体として検討する。 まず、両意匠において共通する前記基本的構成態様の(1)の点については、それは両意匠の形態の全体にかかわり、その骨格を成すものである。そして、この基本的構成態様と同じく共通する前記具体的構成態様の(2)及び(3)、つまり、上部本体の構成態様及びその上部に設けた、検出部を設置したX軸フレームの態様においても共通しており、さらに、(4)の下部本体に摘み様を並べた操作部様を設けた点についても共通していることが認められ、この態様は本件登録意匠の全体形態及び各部の形態とほぼ一致して本件登録意匠及び甲号意匠に共通する全体の基調を形成しており、本件登録意匠の類否判断に決定的な影響を及ぼしているものと認められる。 これに対して、前記各差異点については、それらはいずれも微弱な差異に止まるものであって、それぞれが類否判断に及ぼす影響は僅かであると言うべきである。 すなわち、差異点(ア)については、甲号意匠の検出部上面形状が定かではないものの、ともに直方体形状の前面部を半円弧面状にした点では共通していることからすれば、たとえ、甲号意匠上面が平面状であって傾斜面を構成していないとしても、本件登録意匠の上面傾斜面も緩い傾斜であり、その差異はほんの僅かな差異にしか過ぎない微弱な差異に止まり、その共通性の中に包摂されていると認められる。(イ)については、X軸及びY軸可動部が縞模様か濃暗調子かの差異は、ともに可動部の大きさ、構成態様自体については、その模様の差異を除けばほぼ一致しており、極僅かな微弱な差異に過ぎないものと認められる。(エ)については、下部本体の左側辺沿いの細幅長方形の有無ではあるが、ともに摘み様を配した操作部様のものを含め下部本体の構成態様は共通し、かつ細幅長方形の有無はあるとしても正面は平滑面で共通していることからすれば、この差異点も極僅かな差異に過ぎず、これも微弱な差異に過ぎないものと認められる。 そうすると、以上のいずれも微弱な差異点を総合しても、両意匠の類否判断を左右するには至らず、本件登録意匠は、前述のとおり甲号意匠と全体形態及び各部の形態がほぼ一致しており、全体として類似するというほかない。 以上のとおりであって、本件登録意匠はその出願前に頒布された刊行物に記載された意匠に類似するものであり、意匠法第3条第1項第3号の意匠に該当し、請求人が主張したその余の理由について検討するまでもなく、同法第3条の規定に反して登録されたものであるから、その登録は、同法第48条第1項第1号の規定により無効とすべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2004-10-29 |
結審通知日 | 2004-11-02 |
審決日 | 2004-11-15 |
出願番号 | 意願平5-15531 |
審決分類 |
D
1
11・
113-
Z
(J1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 鍋田 和宣 |
特許庁審判長 |
日比野 香 |
特許庁審判官 |
杉山 太一 山崎 裕造 |
登録日 | 1995-06-28 |
登録番号 | 意匠登録第934489号(D934489) |
代理人 | 斎藤 暸二 |