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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 K1
管理番号 1111280 
審判番号 不服2004-3602
総通号数 63 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2005-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-02-24 
確定日 2005-01-25 
意匠に係る物品 デュアルアクション研磨機 
事件の表示 意願2002- 20238「デュアルアクション研磨機」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は、平成14年(2002年)7月29日のパリ条約による優先権を主張する(アメリカ合衆国、2002年4月12日。)部分意匠に係る意匠登録出願であって、その意匠(以下、「本願意匠」という。)は、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「デュアルアクション研磨機」とし、その形態は、願書に添付した図面に記載されたとおりであり、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を実線で表したものである(別紙第一参照)。

第2 引用意匠
本願意匠が類似するとして原審が拒絶の理由に引用した意匠(以下、「引用意匠」という。)は、本願の出願の日前に日本国内又は外国において頒布された特許庁意匠課所蔵(受入、2000年8月1日)の、外国雑誌「CYT PROFESSIONAL TOOLS」第4頁所載の「携帯用電気サンダー」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HD12019904)の本願意匠に該当する部分であって、その形態を写真版で現されたとおりとしたものである(別紙第二参照)。

第3 両意匠の対比
本願意匠と引用意匠を対比すると、両意匠は、何れも手に持って研磨を行うために使用されるものであって、意匠に係る物品が共通し、また、本願意匠の部分意匠として意匠登録を受けようとする部分は、円盤部とその連結部分、ハンドル部の先端を除く部分であり、その部分に対応する引用意匠の部分と、用途、機能、大きさ、位置及び範囲もほぼ共通し、両意匠の形態(引用意匠の向きを本願意匠の向きに倣って認定する。)については、主として以下の共通点と差異点が認められる。
すなわち、両意匠は、略短円筒状部の上側に丸みをつけたモーターハウジング部と、それに略水平に連結したハンドル連結部、及びハンドル連結部よりも長いハンドル部から成り、ハンドル連結部とハンドル部の上方に略矩形板状のレバー部を設けた基本的な構成態様において共通している点はあるが、一方、具体的な構成態様において、主に、以下の点に差異がある。
(1)モーターハウジング部の形状について、本願意匠は、略短円筒部の上側が半球状に形成されているのに対して、引用意匠の当該部位は、皿丸状に形成されている点、
(2)ハンドル連結部及びハンドル部の形状について、本願意匠は、モーターハウジング部から、略短円筒形状のハンドル連結部が水平方向僅か斜め上方に傾いて連結され、その先に、中央がやや膨らんだ略長円筒形状のハンドル部が水平方向僅か斜め下方に傾いて連続しているのに対して、引用意匠は、右側面から見て、モーターハウジング部の近傍に小円柱状のネジを有する右側面視変形五角形のハンドル連結部が略水平に設けられ、その先に、上側を円筒状とし下側に4つの突起が一列に形成されたハンドル部が略水平に設けられ、連結の角度については不明である点、
(3)レバー部の形状について、本願意匠は、略中央部分に段差が設けられているのに対して、引用意匠は、モーターハウジング部寄りの位置に段差が設けられている点、
(4)レバー部下方のハンドル部上面に設けられた凹部の有無について、本願意匠は、レバー部の先端から略中央までの形状と略同じ形状の凹部が浅く設けられているのに対して、引用意匠には、そのような凹部がない点、が認められる。

第4 両意匠の類否の判断
両意匠の共通点及び差異点を総合して、両意匠を全体として検討すると、まず、両意匠に共通するとした基本的な構成態様については、本願意匠の出願前、この種物品の属する分野において、他にも見受けられる態様であって格別看者の注意を引くものとは言い難いから、類否判断に及ぼす影響は微弱にすぎず、さらに、それらの共通点を纏めても、特段際立った特徴を奏するとは言い難いものであるので、類否判断に及ぼす影響はなお微弱の域を超えるものではない。
一方、前記各差異点について検討すると、
(1)のモーターハウジング部の形状については、両意匠において視覚的に目立つ部位の構成態様に関するものであり、本願意匠のモーターハウジング部の上側が半球状であり、引用意匠は皿丸状であって、この形状の相違は、基本的な形態上の基調を別異のものとしていることから、モーターハウジング部の形状の差異は類否判断に影響を及ぼすものと言える。
(2)のハンドル連結部及びハンドル部の形状についても、使用者が実際に手で握る部分も含む目立つ部位の構成態様に関するものであり、ハンドル連結部とハンドル部が僅かではあるが傾いて配置されている本願意匠の構成態様は、略水平に配置され傾きが不明な引用意匠の構成態様とは異なっており、また、ハンドル連結部の形状及びハンドル部の形状の差異についても、引用意匠に見られる右側面視変形五角形のハンドル連結部や、下側に4つの突起が一列に形成されたハンドル部など、明らかに看者に異なった視覚的印象を与えるものであるから、ハンドル連結部及びハンドル部の形状の差異は類否判断に影響を及ぼすものと言える。
(3)レバー部の形状については、この種物品において、上面に表れる比較的目立つ部位の構成態様に関するものであり、両意匠の段差の位置の差異は、看者に別異の視覚的印象を与えるものであるから、レバー部の形状の差異は類否判断に影響を及ぼすものと言える。
(4)のレバー部下方のハンドル部上面に設けられた凹部の有無についての差異は、本願意匠に見られる凹部の態様が、本願意匠に特有の視覚的効果を奏するものであるところ、引用意匠にはそのような凹部が見られないのであって、その差異は、看者に別異の印象を与えるものであることから、類否判断に影響を及ぼすものと言える。
そうすると、前記(1)ないし(4)の差異点は、何れも、両意匠に共通するとした態様を翻す程の印象を看者に与えるものであり、その余の差異点と相俟って、両意匠の醸し出す形態全体の印象を異にする程の差異感を奏するものであるから、類否判断に影響を及ぼすと言わざるを得ない。
したがって、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分の用途、機能、大きさ、位置及び範囲がほぼ共通しているが、形態において、差異点が両意匠の共通点を凌駕して類否判断を左右するという外ないから、本願意匠は、引用意匠に類似する意匠とは言えない。

第5 むすび
本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当せず、原査定の拒絶の理由によっては、拒絶すべきものとすることはできない。
また、本願意匠について、他に拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。


審決日 2005-01-13 
出願番号 意願2002-20238(D2002-20238) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (K1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 温品 博康 
特許庁審判長 伊勢 孝俊
特許庁審判官 小林 裕和
鍋田 和宣
登録日 2005-02-04 
登録番号 意匠登録第1233544号(D1233544) 
代理人 森下 夏樹 
代理人 安村 高明 
代理人 山本 秀策 

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