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審決分類 審判    F2
管理番号 1111306 
審判番号 無効2004-88015
総通号数 63 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2005-03-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-06-03 
確定日 2005-01-24 
意匠に係る物品 表示札用連結具 
事件の表示 上記当事者間の登録第1076899号「表示札用連結具」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1.請求人の申立及び理由
請求人は、登録第1076899号意匠(以下、「本件登録意匠」という。)の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由として、要旨以下のとおり主張し、甲第1号証を提出した。
1.意匠登録無効の理由の要点
本件登録意匠は、意匠法第3条1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当しないので、同法第48条第1項第1号により無効にすべきものである。なお、平成16年6月17日の審判長による審尋に対し、請求人は平成16年7月2日に手続補正書を提出し、無効の理由につき、上記のとおりに審判請求書を補正し、それとともに甲第1号証及び同第2号証を削除し、甲第3号証を同第1号証に補正した。
2.本件登録意匠を無効とすべきである理由
本件登録意匠は、本件意匠公報に記載によれば、意匠に係る物品を「表示札用連結具」とし、その形態は、必要6面図その他の図面によって表されたものであり、さらに願書の意匠に係る物品の説明及び意匠の説明の欄に所要の記載がある。
これらの記載によれば、雄部は、平面視において、軸線に対して対称の矢尻状の形態を成し、この矢尻状部分の近傍を平面方向に開口し底面方向を有底とした溝が形成され、この溝の存在により、正面視において、軸線に対して非対称の矢尻状の形態を成し、左側面図において、D形を90度時計方向に回転させた形状を成している(「矢尻状部」)ところ、矢尻状部右側の、この矢尻状部に連続している部分の形態(「矢尻状右側部」)が定かでない。即ち矢尻状右側部につき、左側面図では矢尻状右側部に相当する形状の記載がなく、またその断面図の存在もないところから、矢尻状右側部の断面形状(左側面視の形状)が円形、正方形、D形を90度時計方向に回転させた形状のいずれであるかが特定できない。
矢尻状右側部は、雄部を雌部に嵌合するための把持部になり、目に付きやすく重要な部分であって、その形状が明確でない以上、意匠法第3条1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当しないものであって、同法第48条第1項第1号により本件登録は無効とされるべきものである。
第2.被請求人の答弁及び理由
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、要旨以下のとおり主張した。
請求人は、本件登録意匠について雄部の矢尻状右側部の断面形状が特定できないので、意匠の要旨が明確でなく、意匠法第3条1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当しないので、本件登録は無効である旨主張するが、請求人の主張には理由がなく、本件登録は無効とされるべきものではない。
すなわち、請求人は矢尻状右側部の断面形状が円形とも正方形ともD形を90度時計方向に回転させた形状とも考えられる旨主張するが、本件登録意匠公報に記載された各図を総合的に見れば、矢尻状右側部の断面形状は円形であり、これがD形を90度時計方向に回転させた形状である矢尻状部に連続するものである。そうとすると、図面中に符合しない箇所があることになるが、それが意匠全体の把握に大きな影響を及ぼさない程度の微細な点である場合には、図面の記載を総合的に判断して意匠の具体的構成について究明すべきである。
第3.当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成11年1月12日に意匠登録出願をし、平成12年4月21日に意匠権の設定の登録がなされた登録第1076899号意匠であり、その意匠は、願書の記載によれば意匠に係る物品を「表示札用連結具」とし、形態を願書及び願書に添付の図面の記載示すとおりとしたものである(別紙第1参照)。
まず、願書及び願書に添付の図面の記載についてみるに、願書に添付の図面には、正面図(切断箇所等を示すA、B、C、Dの各符号、鎖線と矢印の記載がある。)、背面図、平面図(切断箇所等を示すE、F、Gの各符号、鎖線と矢印の記載がある。)、底面図、左側面図、右側面図、A-A線端面図、B-B線端面図、C-C線端面図、D-D線断面図、E-E線断面におけるG-G線より左側部分の断面図、F-F線断面におけるG-G線より左側部分の断面図、縮小正面図及び使用状態を示す参考図の各図の記載がある。
さらに願書には、意匠に係る物品の説明の欄に「本意匠に係る物品は、嵌合孔を有する雌部と、先端が弾性変形して雌部に嵌合する雄部とを、糸で連結した糸状連結部材であり、一つ又は複数の本物品の雄部を雌部に勘合してリング状の糸の連結体を形成し、価格や品質等を表示する札等を吊り下げたりするのに使用する表示札用連結具である。そして、通常は糸と合成樹脂で一体成形され、その大きさは吊り下げあるいは連結する対象物にもよるが、代表的なものでは、雄部の最大径が2.5mmで、雄部の先端から雌部の先端までの全長が200mmである。」の記載があり、さらに意匠の説明の欄に「図面は、縮小正面図と使用状態を示す参考斜視図以外の図面は約4倍で、図面中、省略部分は願書添付図面上678mmであり、縮小正面図は約0.75倍である。」の記載がある。
これらの記載によれば、形態は、雌部、雄部、それらを連繋する糸状連結部材から成る表示札用連結具であり、(1)雌部は、いわゆる「野球ゲームのホームベース形状」を呈しており、図面正面視は略5角形で、平面視は外形が丸みを帯びた菱形状(軸線方向)に現れもので、平面視において二重丸に現れる部分は雄部との嵌合孔であり、その二重丸の内側の円は、D-D線断面図において内方に逆台形状に現れる当接部分に該当し、後述する雄部の矢尻状部を当接係止するためのものであり、(2)雄部は、嵌合孔に当接係止するための矢尻状部とその右側の把持部(請求人は「矢尻状右側部」とした。)から成るものであり、矢尻状部の具体的な構成態様は、中央部に嵌合孔に係止する矢尻状爪を形成し、その爪は意匠に係る物品の説明によれば弾性変形するものであり、平面視において軸線に対して対称に現れる矢尻状部には糸状連結部材が看取され、左側面視においてD形を90度時計方向に回転させた形状が現れることやその他の主要面図を総合すると、矢尻状部頭部(左端)から矢尻状爪にかけては糸状連結部材よりやや上部からその上方を切り欠いて開口とし、矢尻状爪から把持部の左端にあるテーパー部にかけては、当該テーパー部端でその切り欠きが無くなるように切り欠きを減じ、下端部は有底としたものであり、把持部の具体的な構成態様は、テーパー部境の把持部で外径寸法が最大で、雌部方向にかけて径を微妙に減じているものであり、把持部の断面形状(左側面視の形状)については、次の2.本件登録意匠は、意匠法第3条1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当するか否かについてで述べるとおりであり、(3)糸状連結部材は上記したとおりであることが認められる。
さらに雄部と雌部の嵌合部分の具体的構成態様を仔細にみると、願書に添付の主要6図面とD-D線断面図の実測寸法によれば、雄部につき、平面視において矢尻状爪の部分の外径寸法は約10mmであり、矢尻状爪から把持部テーパー部端の間の外径寸法は約8mmであり、テーパー部境の把持部の外形寸法は約9mmであり、雌部につき、D-D線断面図において嵌合孔の内径寸法は約10mmであり、逆台形状当接部分の内径寸法は約8mmであること及び各部の長さ寸法からすると、弾性変形する矢尻状爪は逆台形状当接部分(内径約8mm)に挿入され通過すると逆台形状当接部分の角部で係止され(矢尻状爪は元の約10mmに戻る。)、嵌合孔から矢尻状部の頭部が出て現れ、矢尻状爪から把持部テーパー部の間(外形約8mm)は逆台形状当接部分に当接され、テーパー部を含む把持部の一部は嵌合孔内に隠れ、その余の把持部は嵌合孔から出て現れることが認められる。
請求人は、本件登録意匠の願書に添付した図面からは把持部の断面形状(左側面視の形状)が特定できないこと、その他図面に記載不備がある旨主張するので、以下にこれらの点について検討する。
2.本件登録意匠は意匠法第3条1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当するか否かについて
(1)把持部の断面形状(左側面視の形状)
請求人は、把持部(請求人は矢尻状右側部という。)につき、左側面図では把持部に相当する形状の記載がなく、またその断面図の存在もないところから、把持部の断面形状(左側面視の形状)が円形、正方形、D形を90度時計方向に回転させた形状のいずれであるかが特定できない旨主張する。
そこで検討するに、嵌合孔の内径寸法が約10mmであり、またテーパー部境の把持部の外形断面形状が寸法が約9mmであることからすると、1辺が9mmの正方形断面の把持部を内径寸法が約10mmの嵌合孔に当接することはできない(嵌合孔に挿入できない)から、把持部の断面形状は正方形でないといえ、また正面および平面図、A-A線端面図、B-B線端面図、C-C線端面図の各図から矢尻状部の態様をみると、切り欠きが当該テーパー部端で無くなるように切り欠きを減じている態様が看取できることからすれば、把持部の断面形状はD形を90度時計方向に回転させた形状でないといえ、これに加えて各図には把持部の外形線以外の記載が無いこと等総合して考えれば、把持部の断面形状は円形であると解するするのが妥当であるといえる。
(2)図面の記載不備
請求人及び被請求人も認めるところであるが、本件登録意匠の願書に添付した図面には何点かの記載の不備が認められる。
左側面図において、D形を90度時計方向に回転させた形状が表されているが、これに加えて表されなければならないはずの把持部の外形線の記載が無く、 正面図、背面図及び底面図において、軸線に対し直交方向に表されなければならないはずの矢尻状爪先の稜線の記載が無く、A-A線端面図、B-B線端面図、C-C線端面図、E-E線断面におけるG-G線より左側部分の断面図、F-F線断面におけるG-G線より左側部分の断面図の各記載において、明らかでない部分が何点か存在する。
しかしながら、これらの図面に記載の不備や明らかでない部分があったとしても、如上の当審の判断の1.本件登録意匠の項で述べたとおりに、本件登録意匠が認定でき、また(1)把持部の断面形状(左側面視の形状)の項で述べたとおりに、把持部の断面形状が円形であると認定できたところであるから、その不備等は軽微なものであるとして取り扱っても差し障りがない。
したがって、本件登録意匠は、意匠法第3条1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当するものであるとするのが相当である。
3.結び
以上のとおりであって、本件登録意匠は意匠法第3条1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当しないとする請求人の主張は採用することができず、本件登録意匠の登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2004-11-26 
結審通知日 2004-11-30 
審決日 2004-12-13 
出願番号 意願平11-443 
審決分類 D 1 113・ 14- Y (F2)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 森 則雄
特許庁審判官 伊藤 敦
市村 節子
登録日 2000-04-21 
登録番号 意匠登録第1076899号(D1076899) 
代理人 渡邉 敏 
代理人 森 利明 
代理人 山崎 馨 
代理人 猪久保 博成 
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