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審判番号(事件番号) データベース 権利
無効200588018 審決 意匠

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審決分類 審判    C5
管理番号 1113155 
審判番号 無効2004-88007
総通号数 64 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2005-04-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-04-13 
確定日 2005-02-28 
意匠に係る物品 配膳用食品収納函 
事件の表示 上記当事者間の登録第0888590号「配膳用食品収納函」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1.請求人の申し立て及び請求の理由
1.請求人は、登録第888590号意匠の登録を無効とする、審判請求費用は被請求人の負担とする、との審決を求める、と申し立て、その理由を審判請求書の記載のとおり主張し、立証として、甲第1号証ないし甲第6号証(写し)の書証を提出した。その要点は以下の通りである
本件登録意匠は、甲第2号証に表されている通り、意匠に係る物品を「配膳用食品収納函」とし、その形態は、容器本体の周壁(外枠)を六角筒形とし、該六角筒を対向する角部に沿って縦2等分割し、分割体の一方に六角形の底板を設け、他方の中腹に六角形の棚板を設け、両分割体の背面に蝶番を取付けて、両分割体を連結し、これにより、容器本体を開閉自在と成し、上部には六角形状の蓋体を被冠し、前記底板及び棚板上に六角升形状の内容器を載置したものである。
しかしながら、意匠法上の保護の対象が物品の外面的形象であることからすれば、前記内容器や、これら内容器の形状は本件登録意匠の範囲に含まれないことは明らかである。
そして、本件登録意匠は、その物品が有する機能に基づき形状変化するもので、その変化の前後にわたる全体的形状が本件登録意匠の要部であると云え、つまり甲第2号証の六面図に表されている容器本体を閉じた状態の容器全体の外面的形状(I)、並びに、甲第2号証の分解斜視図(1)中、容器本体を展開した状態の外面的全体形状(II)が本件登録意匠の要部であると認められる。
本件登録意匠の要部は、上記の通りであるが、上記(I)の形状、即ち六角筒形容器に係る意匠は周知形状で、また容器本体(外枠)を縦多分割し、各分割体を蝶番で連結して、開閉自在と成すことは、本件登録意匠の属する分野において、古くから極普通に行われているありふれた手法で、この手法による容器形状、即ち上記(II)の形状は、一般世人に広く知られており、よって本件登録意匠はその登録出願前に日本国内において広く知られた形状の結合に基づいて、当業者をして、容易に創作することができたものである。
本件登録意匠の出願前に頒布された意匠登録第120840号公報(甲第3号証)掲載の「食物入れ」の容器本体は本件登録意匠の容器本体と類似し、本件登録意匠の出願前に頒布された意匠登録第426201号公報(甲第4号証)掲載の「菓子器」の蓋体は本件登録意匠の蓋体と類似するから、これら周知の容器本体と蓋体から、本件登録意匠における容器本体の展開前の意匠を創作することは、当業者をして、至極容易であると云える。
また、本件登録意匠における容器本体と蓋体との関係は、円形容器本体と、円形盆を逆さにした蓋体からなる江戸櫃と称するものと同じで、本件登録意匠は容器本体を六角筒形とし、これに合う様に蓋体天板を六角形にしたに過ぎず、かかる点からも本件登録意匠における容器本体の展開前の形状は、周知形状の結合により、当業者をして、容易に創作できたと云わざるを得ない。
これに加え、甲第5号証(「琉球漆工藝」)には、縦長にして六角筒形の容器として複数の図版及び記述、甲第6号証(「宴と旅の器 辨當箱」)には六角筒形容器に関する複数の図版及び記述があり、古くは室町時代まで遡り、縦長の六角筒形容器も数多くあり、これら証拠から、縦長の六角筒形容器が、本件登録意匠の登録出願前から周知であったことは明らかである。
また、甲第5号証の図版74及びその266頁の記述により、六角筒形容器の外枠は縦3分割され、各分割体の背面には蝶番が取付られ、各分割体を開閉自在に連結している点、甲第6号証図版30及びその261頁の記述により、外枠は中割式箱形、背面の蝶番により箱中央で左右に開閉する点、同証図版31及びその261頁の記述により、外枠は中割式箱形で、背面に2枚の蝶番を付けた点、同証図版33およびその262頁の記述により、外箱は中割式円筒形、背面の蝶番により中央で左右に開閉する点が記載されており、これらは古くから多くの人目に触れてきたものであることは明らかである。
してみれば、筒体を適宜箇所で縦多分割し、各分割体を蝶番で連結して、容器の外枠と成すことは、当業者にとって、伝統的な極ありふれた手法であると云え、甲第6号証図版30、31のものは方形箱、図版33のものは円筒形としているが、外枠を六角筒形、方形箱、或いは円筒形とすることは、基本的な幾何図形である周知形状の中から適宜選択しただけのことに過ぎない。
更に、本件登録意匠は外枠分割体の一方に底板を設け、また他方に棚板を設けているが、上記図版33のものも同手法であり、本件登録意匠は外枠の形に合わせ底板及び棚板を六角形にしただけである。
次に、本件登録意匠と、甲第5号証の図版74の意匠を対比すると、両者は共に容器外枠が六角筒形である点で一部共通性を有し、容器外枠の分割箇所及び分割個数の点で相違し、また底板及び棚板の形が異なるが、その相違点は意匠創作にあたり当業者ならば誰でも加え得る程度の商業的変形に過ぎないから、本件登録意匠は周知形状の単なる寄せ集め及び置換により構成され、意匠の創作に何ら困難性は認められない。
このように、本件登録意匠は、その登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内において広く知られた形状の結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものであると認められ、意匠法第3条第2項に該当し、同法第48条第1項第1号の規定により、その登録を無効とされるべきものである。
2.答弁に対する弁駁
請求人は、被請求人の答弁に対して、弁駁書に記載の通り反駁した。その要点は以下のとおりである。
(1)意匠法第3条2項は、新規性のない意匠については除外されており、本件登録意匠と甲第3号証ないし甲第6号証に記載された各意匠の全体観の類否は全く問題ではない。
(2)展開してはじめて認識可能な内面形状を権利範囲として主張するならば、本来展開状態を基本とした6面図を作成すべきであり、内部に収容した各内容器の形状、それらの位置関係を権利範囲とするならば、断面図を作成する等して各内容器の位置関係を明らかにし、各内容器の6面図を作成して願書に添付すべきである。6面図は閉じた状態の容器全体のものだけで、本件登録意匠の要部は、容器本体の外面的全体形状だけではなく、内容器をも含むとした(被請求人の)主張は失当である。
(3)甲第3号証ないし甲第6号証から、縦長の六角筒形の蓋付容器は、本件登録意匠出願前から周知であることは明らかであり、当業者が周知の垂れ部を有する蓋の形状及び縦長六角筒形容器の形状から、本件登録意匠の全体形状を創作することは至極容易であるといえる。
(4)甲第5号証及び甲第6号証のものは、博物館や美術館の収蔵品で、本件登録意匠の登録出願前より遙か以前のものであり、被請求人が記載を認めた構成は、当業者により古くから使われてきた極くありふれた手法であることは疑いの余地がなく、また、甲第6号証には、分割した外枠の一方に底板を設け、他方に棚板を設けたもの(図版33)も記載されている。
(5)本件登録意匠は、その登録出願前に、周知の垂れ部を有する蓋の形状、縦長六角筒容器の形状を組み合わせ、これに古くから使われてきた極くありふれた手法を加えることによって、当業者をして容易に創作することができたものである。
第2.被請求人の答弁及び答弁の理由
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を答弁書の記載のとおり主張し、立証として、乙第1号証および乙第2号証を提出した。
第3.当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成3年7月12日に出願され、平成5年10月12日に意匠権の設定の登録がなされた意匠登録第888590号の意匠であって、登録原簿及び出願書面の記載によれば、意匠に係る物品は「配膳用食品収納函」であって、その形態は願書に添付された図面代用写真に現されたとおりのものである(別紙1参照)。
そして、その形態の要旨は以下のとおりである。
(ア)閉蓋時における外観形態につき、周縁に細幅の被せ縁部(垂れ部)を設けた蓋体を被冠した、平面視対向辺幅に対して高さをほぼ同じとした正六角柱状のものであり、
(イ)本体部につき、底部を有し上面が開口した正六角柱筒状体の周壁を、対向する2つの稜部を通した縦2分割とし、両分割体の一方接合部を蝶番により連結し、開閉自在としたもので、
(ウ)正六角形状の底板は分割体の一方に結合され、他方分割体の上下中央位置には内周形状と一致した正六角形状の棚板が設けられており、
(エ)前記底板及び棚板上それぞれに、すっぽり収まる正六角升形状の内容器を載置しており、
(オ)正六角升形容器につき、何れも周面上端付近に余地を残し横方向に明調子帯状模様を施し、一方の内側には中心から菱形状に3等分割する仕切壁を設けており、他方の内側には対向内壁縦中央を通る仕切壁を設け2等分割し、分割された一方を更に中心で縦2等分割する仕切壁を設けたものである。
2.本件登録意匠の創作容易性の検討
請求人は、「(I)の形状、即ち六角筒形容器に係る意匠は周知形状で、また容器体本体(外枠)を縦多分割し、各分割体を蝶番で連結して、開閉自在と成すことは、本件登録意匠の属する分野において、古くから極普通に行われているありふれた手法で、この手法による容器形状、即ち上記(II)の形状は、一般世人に広く知られており、よって本件登録意匠はその登録出願前に日本国内において広く知られた形状の結合に基づいて、当業者をして、容易に創作することができたものである」(請求書3頁15行〜22行)と主張するから、請求人の提出した証拠を基礎として、本件登録意匠の創作容易性について検討する。
(1)閉蓋時における外観形態、すなわち、前述(ア)の点について
まず、本件登録意匠と甲第3号証(意匠登録第120840号公報)に記載された意匠(別紙2参照)を比較すると、甲第3号証の意匠は意匠に係る物品が「食物入れ」であり、両意匠共食品を収納する容器である点で共通し、形態については、「閉蓋時における外観形態につき、蓋体を被冠した、平面視対向辺幅に対して高さをほぼ同じとした正六角柱状」とした点で共通するが、本件登録意匠は蓋部に関し「周縁に細幅の被せ縁部(垂れ部)を設けた」ものであるのに対して、甲第3号証の意匠の蓋部にはこれに相当するものがない点に差異がある。請求人は甲第4号証の意匠(意匠登録第426201号、意匠に係る物品「菓子器」)の蓋体には垂れ部(被せ縁部)が存在すると主張するが、同証の意匠には該当するものを見いだすことができない。
ところが、周縁に任意幅の被せ縁を設けることは、箱体上面に設けられる蓋において具体的事例を示すまでもない周知の慣用手段であるから、前述本件登録意匠の構成態様として認定した(ア)の閉蓋時における外観形態は、日本国内において広く知られた形状に基づいて当業者が容易に創作することができた形態に該当する。
なお、付言するに、請求人の主張するように、上部に開閉蓋を有する六角筒形容器は、例えば甲第5号証「琉球漆工藝」(昭和52年6月10日「日本経済新聞社」発行)、或いは甲第6号証「宴と旅の器 辨當箱」(平成2年10月10日「しこうしゃ図書販売」発行)に掲載された複数の図版にみられるように周知と認められ、前述の如く蓋形状として周縁に任意の幅の被せ縁を設けることは周知であり、また、容器本体の高さの比率をどのようにするかも当業者が必要に応じて任意に設定する設計的事項に過ぎないものと認められるから、甲第3号証の存在の有無により前記閉蓋時における外観形態の創作容易性の判断に影響が生じるわけではない。
(2)本体部の開蓋時における開いた状態の形態について、
請求人は、「容器体本体(外枠)を縦分割し、各分割体を蝶番で連結して、開閉自在と成すことは、本件登録意匠の属する分野において、古くから極普通に行われているありふれた手法で、この手法による容器形状」は、「一般世人に広く知られ」と主張するから、前述本件登録意匠の(イ)の点、すなわち「底部を有し上面が開口した正六角柱筒状体の周壁を、対向する2つの稜部を通した縦2分割とし、両分割体の一方接合部を蝶番により連結し、開閉自在とした」点における創作容易性について、請求人が提出した証拠を基礎として検討する。
まず、甲第5号証の図版74には、正六角柱状容器を中心軸から稜部を通る縦3等分割し、開いた状態で3連状となるよう蝶番で連結したものが記載され、甲第6号証の図版30には正四角柱状容器を2つの直方体状になる縦2等分割し、両分割体の一方接合部を連結し開閉自在としたものが記載されており、同証図版31には直方体状容器を2つの直方体状になる縦2等分割し、両分割体の一方接合部を連結し開閉自在としたものが記載されており、同証図版33には円柱状容器を底板及び1枚の棚板を除き縦2等分割し、両分割体の一方接合部を連結し開閉自在としたものが記載されており、これらの証拠により請求人が主張したように「容器体本体(外枠)を縦多分割し、各分割体を蝶番で連結して、開閉自在と成すことは、本件登録意匠の属する分野において、古くから極普通に行われているありふれた手法」であると認められる。
ところが、これらの甲第5号証及び甲第6号証の図版に記載された縦多分割されたものは、全て天板が容器本体の周壁と一体になった上面が閉塞されたものであり、本件登録意匠のように上面の蓋が開閉可能であり、上面が開口した容器体において縦分割する構成のものは見いだすことができない。
したがって、請求人が提出した証拠からは、本件登録意匠における前述(イ)の形態を容易に着想すること、ないしは導き出すことができたとする根拠を見いだすことができない。また、本件登録意匠が具有する(ア)及び(イ)の構成態様を併せ持った点は、第5号証及び甲第6号証の図版に表された上面が天板により閉塞されたものをそのまま縦多分割したものとは、蓋部が周壁と同様に分割されていないことから意義が異なるものと認められ、(ア)の構成態様が周知であったとしても、請求人の主張する「周知形状の単なる寄せ集め及び置換により構成され」(請求証8頁5行〜6行)ている範囲を超えて、本件登録意匠の特徴の1つを構成しているものと認められる。本件登録意匠が容易に創作することができたとするためには、少なくとも(ア)及び(イ)の構成態様を組み合わせることが容易に着想し得たとする根拠を示すことが必要と認められるが、請求人の提出した証拠の中からこれを見いだすことができない。また、本件登録意匠は、本体部が開くのを防止する手段が他に設けられていないことから、本件登録意匠の蓋は単に上面開口部を塞ぐだけでなく、本体部が開くのを防止する役割を果たしているものと認められ、この点からも「周知形状の単なる寄せ集め及び置換により構成され」たものとすることができない。なお、甲第5号証の図版74に表されたものに関しては、三つ又状の把手が開き防止機能を果たしているものと推察され、甲第6号証の図版30,同31,同33に表されたものは何れも携行時(上面の把手により持ち運び可能とされている)に開かないようにする固定金具が接合部に設けられており、何れも開き防止手段は本件登録意匠と異なるものである。
したがって、前述本件登録意匠が具有する(ウ)の「正六角形状の底板は分割体の一方に結合され、他方分割体の上下中央位置には内周形状と一致した正六角形状の棚板が設けられ」た点、(エ)の「底板及び棚板上それぞれに、すっぽり収まる正六角升形状の内容器を載置し」た点、及び、(オ)の「正六角升形容器につき、何れも周面上端付近に余地を残し横方向に明調子帯状模様を施し、一方の内側には中心から菱形状に3等分割する仕切壁を設けており、他方の内側には対向内壁縦中央を通る仕切壁を設け2等分割し、分割された一方を更に中央で縦2等分割する仕切壁を設けた」点の創作容易性、更に、これらの構成態様を組合せたことに関する着想の容易性の有無を検討するまでもなく、本件登録意匠は請求人の提出した証拠では、日本国内において広く知られた形状等の結合に基づいて、当業者が容易に創作することができたとすることはできない。
なお、請求人は、「内容器や、これら内容器の形状は本件登録意匠の範囲に含まれない」と主張し、更に、弁駁書において、「6面図は閉じた状態の容器全体のものだけで、これをして、本件登録意匠の要部は、容器本体の外面的全体形状だけではなく、内容器も含むとした主張は失当である。」と主張する。しかしながら、登録意匠の範囲は願書の記載及び添付図面全体から定められるものであり、本件登録意匠の分解斜視図(1)及び分解斜視図(2)も意匠を十分表現する上で必要な図面に含まれるものであり、「参考図」の表示があるならば別として、これらの図により表現されかつ認識することができる形態は本件登録意匠の範囲に含まれるものであり、本件登録意匠の「要旨」は前述(ア)ないし(オ)のとおりである。また、本件登録意匠の「要部」はどこまで含まれるかは別として、意匠の「要部」は必ずしも6面図に表された態様によって決定されるわけではなく、その意匠の創作の内容及び「意匠全体」に及ぼす視覚的効果の大きさも考慮される必要があり、一方、(ア)の点については、前述の如く創作が殆ど認められないものであるから、これら請求人の主張は採用することができない。
3.結び
以上のとおり、本件登録意匠は、請求人の提出した証拠では、日本国内において広く知られた形状等の結合に基づき当業者が容易に創作することができたとすることができないから、意匠法第3条第2項に規定する意匠に該当する意匠であるとすることはできず、意匠法第48条第1項第1号の規定に基づきその登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2004-12-22 
結審通知日 2005-01-04 
審決日 2005-01-18 
出願番号 意願平3-20970 
審決分類 D 1 113・ 121- Y (C5)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 日比野 香
特許庁審判官 山崎 裕造
杉山 太一
登録日 1993-10-12 
登録番号 意匠登録第888590号(D888590) 
代理人 西山 聞一 
代理人 森 治 
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