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審決分類 審判    H2
管理番号 1121257 
審判番号 無効2004-88038
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2005-09-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-11-17 
確定日 2005-07-08 
意匠に係る物品 キーボード付きゲームコントローラーパッド 
事件の表示 上記当事者間の登録第1168903号「キーボード付きゲームコントローラーパッド」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1. 請求の趣旨及び理由
審判請求人(以後、請求人という。)は、「登録第1168903号意匠(以下、本件登録意匠という。)の登録は、これを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由として、審判請求書の記載のとおりの主張をし、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
請求人の主張は、概ね次のとおりである。
(1)本件登録意匠は、審判被請求人(以後、被請求人という。)によって、平成14(2002)年2月22日に出願され、設定登録されたものであるが、本件意匠の登録出願は、意匠登録第1219828号(以後、甲号意匠という。)の意匠に類似するので、最先の意匠登録出願人に係る意匠に該当しないため、意匠法第9条第1項の規定により意匠登録を受けることができないものであるので、本件登録意匠は同法第48条第1項第1号に該当し、無効とすべきである。
(2)甲号意匠の経緯
甲号意匠は特願2004-79628号に係る特許出願を原出願とし、意匠法第13条第1項の規定による意匠登録出願を行い、その後、意匠登録第1219828号として設定登録されたものである。原出願(特願2004-79628号)に係る出願は、特願2001-389537号に係る特許出願を原出願とし、特許法第44条第1項の規定による特許出願を行ったものであり、その出願日は平成13(2001)年12月21日である。従って、甲号意匠は、平成13(2001)年12月21日に出願したものとみなされる。
(3)本件登録意匠の要旨
本件登録意匠は、意匠に係る物品を「キーボード付ゲームコントローラーパッド」とし、基本的構成態様につき、全体形状を平面視略角丸四角形状とし、上半分に操作ボタン群を設け、下半分にキーボードとしての小さな操作ボタンを規則的に配置したもので、さらに、上部左右にやや大きめの円形状部区画部を設け、その左内部に十字キー及び右内部の上下左右に小円形状の操作ボタンを設け、当該円形状部区画部のやや下方には略円筒形状の操作スティックを2本設けているものである。
(4)甲号意匠の要旨
甲号意匠は、意匠に係る物品を「ビデオゲーム機用コントローラ」とし、基本的構成態様につき、全体形状を平面視略角丸四角形状とし、上半分に操作ボタン群を設け、下半分にキーボードとしての小さな操作ボタンを規則的に配置したもので、さらに、上部左右にやや大きめの円形状部区画部を設け、その左内部に十字キー及び右内部の上下左右に小円形状の操作ボタンを設け、当該円形状部区画部のやや下方には略円筒形状の操作スティックを2本設けているものである。
(5)本件登録意匠と甲号意匠の対比
両意匠を対比すると、意匠に係る物品は同一もしくは類似物品で、その形態については、両意匠の要旨として掲げた点が共通し、各部の具体的態様につき、(イ)背面にあるボタンについて、本件登録意匠は下方の2つのボタンの大きさが上方の2つのボタンよりも大きいのに対して、甲号意匠では4つのボタンの大きさが略同じである点、(ロ)キーボードの傾きについて、本件登録意匠よりも甲号意匠の方が急勾配である点が相違する。
(6)両意匠の類否の検討、及び結論
両意匠の類否を検討すると、両意匠の要旨として掲げた、全体形状を平面視略角丸四角形状とし、上半分に操作ボタン群を設け、下半分にキーボードとしての小さな操作ボタンを規則的に配置したことは従来に見られない特徴的な態様において共通するもので、その他の共通点も両意匠の共通する美感を増大させているのに対して、(イ)のボタンの大きさの違いは背面にあるボタンの相違であり、また、(ロ)のキーボードの傾きの違いは正面視で殆ど認識されない程度であるから、いずれも類否判断に与える影響は微弱で、意匠全体として観察すれば、これらの相違が上記特徴的な共通する美感を超えて別異の美感を生じさせるとまでは言い難い。したがって、両意匠は類似し、本件登録意匠は意匠法第9条第1項の規定により意匠登録を受けることができないものである。

第2. 答弁
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由として、答弁書に記載のとおりの反論をし、乙第1号証の1〜5ないし乙第4号証の1〜2を提出した。
被請求人の主張は、概ね次のとおりである。
意匠全体を観察した場合、上面手前側の中央部に操作キーを多数規則的に配列している点は共通しているとしても、それらは概念的な共通点であり、且つ、機能上の共通点であるので、意匠の創作としてみた場合は、各部の具体的な構成態様に差異がある場合は、両意匠は類似していないものである。そして、本件登録意匠と甲号意匠には、全体形状における側面視の態様、平面部下半分の周縁余地部の態様、背面部、底面部の態様等の具体的態様に差異があるので、両意匠は非類似である。

第3.当審の判断
1.本件登録意匠(別紙第1参照)
本件登録意匠は、平成14(2002)年2月22日に出願され、平成15(2003)年4月23日に意匠権設定の登録がなされた意匠登録第1168903号であって、願書及び願書添付の図面によれば、意匠に係る物品「キーボード付ゲームコントローラーパッド」の形状、模様、色彩に関する創作物であって、その形態を、同図面記載のとおりとしたものである。

2.甲号意匠(別紙第2参照)
甲号意匠は特願2004-79628号に係る特許出願を原出願とし、意匠法第13条第1項の規定による意匠登録出願を行い、2004(平成16)年8月27日に意匠権設定の登録がなされた意匠登録第1219828号であり、願書及び願書添付の図面によれば、意匠に係る物品「ビデオゲーム機用コントローラ」の形状と模様に関する創作物であって、その形態を同図面記載のとおりとしたものである。(なお、右側円形状部内の操作ボタンについて、斜視図と平面図に齟齬があるが、原出願を鑑み、模様があるものとする。)

3.両意匠の対比
本件登録意匠と甲号意匠を対比すると、その形態について、以下の共通点および差異点が認められる。(なお、甲号意匠に表された正面図は、本件登録意匠と一致するよう平面図とみなし、他の図面もこれにならう。)
[共通点]
(A)全体を平面視略角丸四角形状とし、両側に一体的に右手と左手用の把持部を形成したゲーム機用コントローラの、把持部間の平坦面に、多数の入力キーを数段、略格子状に配列してキーボード部を形成したものであって、キーボード部と把持部を、側面視で傾斜状に形成し、ケース体全体を左右対称に形成した、全体の基本的構成。
(B)ゲーム機用コントローラ部の形状について、該部の表面を略水平面上に揃えて、下方に形成したキーボード部と段差を設けて区画し、左右の大円形部とその内側寄りの下方に接する2つの小円形部の間に平坦部を介在させ、背面部を角状の突設部とした点。
(C)ゲーム機用コントローラ部の操作ボタンについて、左側の大円形部に略十字キーを配し、右側の大円形部のクロス状枠内に、上面に図形模様を配した小円形ボタンを上下左右に等間隔に配し、小円形部に円形状のスティックボタンを配し、平坦部に複数個の小ボタンを配し、背面部に左右2個ずつの矩形ボタンを配して形成した点。
(D)把持部について、底面の形状を略半紡錘形に膨出させて形成した点。

[差異点]
(a)ゲーム機用コントローラ部の形状について、角状突設部を、本件登録意匠は平面視で変形山型に形成したのに対し、甲号意匠は角柱状に形成し、該突設部間の外周縁形状を、本件登録意匠は直線状としたのに対し、甲号意匠は突弧状に形成し、平面部の突出態様を、本件登録意匠は、大円形部を最突出面とし、小円形部と平坦部をなだらかに連ねて形成し、背面寄りに直線状段部を形成したのに対し、甲号意匠は、大円形部と小円形部を面一状に連ねて最突出面に形成し、底面部について、本件登録意匠は大小の円形突出部を形成することにより、平面部の大円形部が底面部まで連続する略円柱状部を形成し、該略円柱状部の背面部側を切り欠いて、背面視で角状突設部の下に奥側段部を形成したのに対し、甲号意匠は、底面部には膨出状把持部を形成しただけで、ゲーム機用コントローラ部に係る形状を平面部と背面部のみにとどめている点。
(b)ゲーム機用コントローラ部の操作ボタンについて、本件登録意匠は、左側の大円形部に略クロス状の枠を設けて十字キーを突設した円形ボタンを配し、平坦部は小ボタンを4個配し、背面部は、角状突設部と奥側段部に大きさを違えた矩形ボタンを1個ずつ配したのに対し、甲号意匠は、左側の大円形部に円形枠を設けて十字キーを配し、平坦部は小ボタンを5個配し、背面部は、角柱状とした突設部の上方寄りに矩形ボタンを2個配している点。
(c)キーボード部および把持部の形状について、平面視において、本件登録意匠は、キーボードのみが表れるよう把持部を底面部に形成したのに対し、甲号意匠は、キーボードの両側に把持部が細幅状に表れるよう形成し、側面視において、本件登録意匠は、緩傾斜したキーボード部と把持部が表れるよう形成したのに対し、甲号意匠は、急傾斜した把持部のみが表れるよう形成し、平面部の形状を、本件登録意匠は、左右をやや末広がりに形成し、下端をわずかに弧状とした平坦面としたのに対し、甲号意匠は、左右を略同幅の膨出状に形成し、中央部を凹陥させて薄肉ボード状の平坦面に形成し、該平坦面部の下端を左右の膨出部よりもやや後退させた直線状に形成している点。
(d)キーボード部の操作ボタンについて、本件登録意匠は、横列のボタン数も、段数も、甲号意匠よりも多くし、ボタンの形状は横長楕円形を基本として、左右端部のボタンをやや上向きに配置したのに対し、甲号意匠は、ボタンの形状は最下段を略矩形に、2段目以上は楕円形を基本として、そのほとんどのボタンを、最下段列の中央部を中心とする斜状に配置している点。
(e)色彩について、本件登録意匠は色彩を表したのに対し、甲号意匠は表していない点。

4.両意匠の類否および無効理由の検討
本件登録意匠と甲号意匠とを対比すると、意匠に係る物品については両者一致し、形態について、上記のとおりの共通点と差異点が認められる。そこで、これら共通点と差異点を総合して両意匠を全体として検討すると、看者の注意を惹く形態上の特徴をなし、意匠の支配的な基調を形成しているのは、差異点に見られる態様であるのに対し、共通点はいずれも意匠を全体として特徴付けるものではなく、類否判断を左右する要素をなすものではない。
すなわち、共通点(A)に見られる全体の基本的構成は、2000年3月15日に発行された大韓民国意匠商標公報(媒体シリアル番号2000-08)掲載の登録番号30-025488のリモートコントローラ(特許庁意匠課公知資料番号HH14580750)(別紙第3、意匠1参照)に明らかなように既に公然知られており、両意匠にのみ共通する特徴とはいえず、いわゆる入力用キーボードにゲーム機のコントローラを合体させた意匠も公然知られているから(別紙第4、意匠2及び別紙第5、意匠3参照)、ゲーム機用コントローラに形成する入力キーを、略格子状に配列してキーボード様とすることは着想容易であり、特筆すべき態様ではなく、また、キーボード様の格子状の配列はありふれたものであって意匠を特徴付けるほどのものではないことからして、この基本的構成の共通性は、意匠の類否を左右するものではない。
そして、ゲーム機用コントローラ部の、形状についての共通点(B)と操作ボタンについての共通点(C)、そして、把持部についての共通点(D)は、甲号意匠の意匠に係る物品の説明において、把持部を含めて、「このような構成は、既存の標準的なコントローラと同様である。」とあるが、意匠4(別紙第6参照)からも明らかなようにこの態様は既に公然知られており、ゲーム機用操作器として従来より普通に見られる態様をほとんどそのまま採用したに過ぎないから、形態上の新たな特徴はなく、意匠の類否を左右するものではない。
これに対して、ゲーム機用コントローラ部の形状における差異点(a)は、本件登録意匠のコントローラ部を、平面部から底面部まで一体となった塊状の様相を呈するものとしているのに対し、甲号意匠のコントローラ部を、単に表層的に形成された様相のものとしており、さらに、そのことによりキーボード部との組合せの態様は、本件登録意匠を、把持部のないゲーム機用コントローラにキーボード部をひさし状に当接させた態様としたのに対し、甲号意匠を、把持部付きゲーム機用コントローラの把持部の間にキーボード部を嵌合させた態様としているので、異なる美感が創出されており、この差異は類否判断を大きく左右するものとなっている。
ゲーム機用コントローラ部の操作ボタンについての差異点(b)は、平面部のボタンの差異については、従来より各種のボタンの形状が見られる中にあって、単なる改変に過ぎないものであるが、背面部の操作ボタンの差異は、ケース体形状の差異と相まって、操作性に密接に関わる差異点となっており、類否判断に影響を及ぼすものとなっている。
次に、キーボード部および把持部の形状についての差異点(c)は、平面視で把持部が顕在化しているか否かは、使用態様について看者に訴求する視覚効果が大きく、把持部やキーボード部の具体的形状における差異も、操作性に大きく寄与するものであるから、類否判断を大きく左右するものとなっている。
そして、キーボード部の操作ボタンについての差異点(d)は、従来より各種のボタンの形状と配置例が見られる中にあっては、格別評価すべきほどではなく、また、ゲーム機のコントローラに附加された入力キーについてであるから、いわゆる入力用キーボードそのものの場合ほどには、キー自体の形状や配列に看者の注意が払われるものではないが、前記のとおりのキーボード部の顕著な差異と相まって、一定の視覚効果を発揮し、類否判断に影響を及ぼすものとなっている。
しかし、色彩についての差異点(e)は、本件登録意匠に施された色彩はありきたりで、類否を左右するものではない。
結局、各共通点は既に知られた態様の中に見て取れるのであって、類否を左右しない微弱なものにとどまり、それらが相まって奏する効果を検討しても、ゲーム機用コントローラ部についての差異点の(a)と(b)、及び、キーボード部や把持部についての差異点の(c)と(d)によって、総合的に形成されたそれぞれ異なる美感を凌駕するまでには至らない。すなわち、甲号意匠を本件登録意匠に類似するものとすることはできない。

5.むすび
以上のとおりであるから、本件に関し、請求人の主張する理由によっては本件登録意匠を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2005-04-28 
結審通知日 2005-05-11 
審決日 2005-05-26 
出願番号 意願2002-4559(D2002-4559) 
審決分類 D 1 113・ - Y (H2)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 藤木 和雄
特許庁審判官 樋田 敏恵
岩井 芳紀
登録日 2003-02-07 
登録番号 意匠登録第1168903号(D1168903) 
代理人 家入 健 
代理人 小橋 信淳 
代理人 内野 雅子 
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