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審決分類 審判    C6
管理番号 1121258 
審判番号 無効2004-88034
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2005-09-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-10-25 
確定日 2005-06-30 
意匠に係る物品 食器洗い乾燥機 
事件の表示 上記当事者間の登録第1218578号「食器洗い乾燥機」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1.請求人の申立及び理由
請求人は、登録第1218578号の食器洗い乾燥機の意匠(以下、「本件登録意匠」という。)の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由として、要旨以下のとおり主張し、甲第1号証ないし甲第15号証を提出した。
(本件意匠登録を無効とすべき理由の要点)
本件登録意匠は、その出願前に日本国内において頒布された刊行物である甲第7号証に示す意匠公報(平成14年5月13日発行)記載の意匠登録第1140814号の食器洗い乾燥機の意匠に類似するものであり、意匠法第3条第1項第3号に該当し、同条同項柱書きの規定に違反して登録されたものであり、同法第48条第1項の規定により、その登録は無効とされるべきである。
両意匠は、正面視略正方形状の略直方体の筐体の正面部を上中下3段に分割し、上2段を扉部、下段を操作パネル部とし、筐体の縦幅、横幅、奥行きの比率、上2段の扉部と下段の操作パネル部の縦幅比における共通点は形態全体の骨格を構成し、意匠の基調をなすところであるから、両意匠の類否判断を支配する要部であり、上扉の細長い放熱口(通風口)、下扉の平面視弓形状で正面視細長い紡錘状の扉開閉ハンドルを設けている点等は、両意匠の共通感を醸成しており、両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすところであるのに対し、各差異点は、両意匠の類否判断に影響を及ぼさないか、あるいは微弱なものであり、本件登録意匠は、甲第7号証に示す意匠に類似する。
第2.被請求人の答弁及び理由
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、要旨以下のとおり主張した。
請求人が主張する共通点は、この種物品に通常みられる範囲の構成態様にすぎず、両意匠の類否判断の決めてにはならないのに対し、前面部全体が後方に傾斜している点、上扉、下扉、操作パネルの筐体前面全体を一体として囲むように周囲に帯状の枠を形成した点、操作パネルの表示部、操作部の配設態様その他において特徴ある本件登録意匠と請求人が示した甲第7号証意匠との間の差異点は、両意匠の類否判断において極めて重視されるべきであり、両意匠は類似しない。
第3.当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成14年8月20日に意匠登録出願をし、平成16年8月13日に意匠権の設定の登録がなされた登録第1218578号の意匠であり、その意匠は、願書の記載によれば意匠に係る物品を「食器洗い乾燥機」とし、形態を願書及び願書に添付の図面に記載したとおりとするものである(別紙第1参照)。
すなわち、その形態は、基本的な構成態様において、(1)全体を正面視正方形状で平面視横長方形の略直方体状の筐体とし、内部に食器の洗浄及び乾燥機構を設けた筐体前面に、上中下段に3分割した横長方形のパネルを設けて成り、その前面パネルは上段から順に放熱口を備えた扉パネル(以下、「上扉パネル」という。)、扉開閉ハンドルと開扉ボタン部を備えた扉パネル(以下、「下扉パネル」という。)、各種操作ボタンと表示部を備えた操作パネルとしたものである。
各部の具体的な構成態様において、(2)略直方体状の筐体について、高さと横幅と奥行きの比率を甲第7号証意匠と略同一とするが、前面パネルが僅か傾斜した側面視台形状であり、(3)前面パネル全体について、厚板状(操作パネルがやや薄い)であり、パネル側面及び下面から回り込むように前面パネルの左右辺及び下辺に細帯状に表れる縁余地部を設け、側面及び下面から縁余地部にかけて及び上辺縁の角部には滑らかな角丸処理が施してあり、角の稜線は表れず(斜視図等参照)、それを3分割構成する上扉パネル、下扉パネル、操作パネルの縦幅比を上扉パネルから順に3対4対3とし、(4)上扉パネルについて、その中央上辺寄りに格子スリット状の横に細長い放熱口を設け、側面視において上方が緩やかな弧面状に形成されているのが看取され、下扉パネルに連動して上方に開扉する態様であり、(5)下扉パネルについて、その中央上辺寄りに平面視弓形状で正面視細長い紡錘状の開閉ハンドルを設け、同ハンドルの両根本取付部が正面視横楕円状の台座のように表れ、同ハンドル中央の下部に正面視矩形状の開扉ボタン部を連設し、下辺部を支点に下方に開扉する態様であり、(6))操作パネルについて、側面視板厚が上下扉パネルよりやや薄く、正面視上辺寄りに細長横帯状の表示枠部を設け、十数個の小矩形を配設し、その余の枠部には各種操作ボタン(円形3個、長円2個、小円形2個)を横方向に配設して成るものである。
2.請求人が証拠として示した意匠
請求人が証拠として示した意匠は、甲第7号証に示す意匠である。甲第7号証意匠は、平成14年(2002年)5月13日に発行された意匠公報に掲載された意匠登録第1140814号の意匠であり、意匠に係る物品が本件登録意匠と同一であり、その形態は同意匠公報に記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。
すなわち、その形態は、基本的な構成態様において、本件登録意匠と同じであり、各部の具体的な構成態様において、(2)略直方体状の筐体について、高さと横幅と奥行きの比率を本件登録と略同一とするが、側面視は縦長方形状であり、(3)前面パネル全体について、厚板状(面一致)であり、上下左右辺縁の角部には線が表われ(斜視図等参照)、それを3分割構成する上扉パネル、下扉パネル、操作パネルの縦幅比を上扉パネルから順に3対4対2とし、(4)上扉パネルについて、その中央上辺寄りに小円孔を横に配した細長い通風口を設け、側面視において上方が緩やかな弧面状に形成されているのが看取され、下扉パネルに連動して上方に開扉する態様であり、(5)下扉パネルについて、その中央上辺寄りに平面視弓形状で正面視細長い紡錘状の開閉ハンドルを設け、同ハンドル中央の下部に僅か余地部を介してロック解除ボタンが付いた正面視横楕円状の開扉ボタン部を設け、下辺部を支点に下方に開扉する態様であり、(6)操作パネルについて、正面視4周に余地を残して横長長円枠を設け、その内の中央辺りに横長円の表示枠部を設け、小矩形を配設し、その両脇部には各種操作ボタン(左右に円形3個)を横方向に配設して成るものである。
3.本件登録意匠と証拠に示された意匠の対比と比較検討
両意匠は、意匠に係る物品が同一であり、形態については、以下の共通点と差異点がある。
(共通点)
本件登録意匠と甲第7号証意匠は、基本的な構成態様において、(1)全体を正面視正方形状で平面視横長方形の略直方体状の筐体とし、内部に食器の洗浄及び乾燥機構を設けた筐体前面に、上中下段に3分割した横長方形のパネルを設けて成り、その前面パネルは上段から順に放熱口を備えた上扉パネル、扉開閉ハンドルと開扉ボタン部を備えた下扉パネル、各種操作ボタンと表示部を備えた操作パネルとしたものである点において共通することが認められる。
各部の具体的な構成態様において、(2)略直方体状の筐体について、高さと横幅と奥行きの比率が略同一である点、(3)前面パネル全体について、厚板状であり、3分割構成のうちの上扉パネルと下扉パネルの縦幅比を3対4とした点、(4)上扉パネルについて、その中央上辺寄りに横に細長い放熱口(通風口)を設け、側面視において上方が緩やかな弧面状に形成されているのが看取され、下扉パネルに連動して上方に開扉する態様である点、(5)下扉パネルについて、その中央上辺寄りに平面視弓形状で正面視細長い紡錘状の開閉ハンドルを設け、同ハンドル中央の下部に開扉ボタン部を設け、下辺部を支点に下方に開扉する態様である点、(6)操作パネルについて、表示枠部と各種操作ボタンを配設して成る点において共通することが認められる。
(差異点)
一方、本件登録意匠と甲第7号証意匠は、各部の具体的な構成態様において、(イ)略直方体状の筐体について、本件登録意匠は前面パネルが僅か傾斜した側面視台形状であるのに対し、甲第7号証意匠の側面視は縦長方形状である点、(ロ)前面パネル全体について、本件登録意匠は操作パネルが上下扉パネルよりもやや薄い板厚であり、パネル側面及び下面から回り込むように前面パネルの左右辺及び下辺に細帯状に表れる縁余地部を設け、側面及び下面から縁余地部にかけて及び上辺縁の角部には滑らかな角丸処理が施してあり、角の稜線が表れないのに対し、甲第7号証意匠は面一致の厚板であり、上下左右辺縁の角部には線が表われる点、そして本件登録意匠の操作パネルの縦幅比の方が甲第7号証意匠のものより大きい点(本件登録意匠の上扉パネル、下扉パネル、操作パネルの縦幅比は3対4対3、甲第7号証意匠のそれは3対4対2)において差異点が認められる。
また、(ハ)上扉パネル横細長放熱口(通風口)について、本件登録意匠は格子スリット状であるのに対し、甲第7号証意匠は小円孔を横に配した態様である点、(ニ)下扉パネルについて、本件登録意匠は開閉ハンドルの両根本取付部が正面視横楕円状の台座のように表れ、同ハンドル中央の下部に連設した開扉ボタン部が正面視矩形状であるのに対し、甲第7号証意匠には同台座が見あたらず、開閉ハンドル中央の下部に僅か余地部を介して設けた開扉ボタン部がロック解除ボタンが付いた正面視横楕円状である点、(ホ)操作パネルについて、本件登録意匠は側面視板厚が上下扉パネルよりやや薄く、上辺寄りに細長横帯状の表示枠部を設け、十数個の小矩形を配設し、その余の枠部には各種操作ボタン(円形3個、長円2個、小円形2個)を横方向に配設して成るものであるのに対し、甲第7号証意匠は4周に余地を残して横長長円枠を設け、その内側中央辺りに横長円の表示枠部を設けて小矩形を配設し、その両脇部には各種操作ボタン(左右に円形3個)を横方向に配設して成るものである点、(ヘ)本件登録意匠の開扉状態を示した縮小正面図、甲第7号証意匠の開蓋状態の右側面図等における開扉状態の態様その他において差異点が認められる。
(比較検討)
そこで、両意匠の共通点、差異点について意匠全体として総合的に検討する。
共通点について検討するに、基本的な構成態様における共通点(1)の内部に食器の洗浄及び乾燥機構を設けた略直方体状の筐体前面を3分割し、上扉パネル、下扉パネル、操作パネルを設けたものは、本件登録意匠の出願前、請求人が提出した甲号証意匠、被請求人が提出した乙号証意匠、双方から言及はなかったが甲第7号証に記載されている甲第7号証意匠を本意匠とする関連意匠の意匠登録第1141154号の意匠において確認されるところであるが、これらの先行意匠のうち、同一意匠権者によるそれぞれが別登録とされた甲第10号証意匠(登録第1073145号)と乙第1号証意匠(登録第1073147号)、甲第7号証意匠とこれを本意匠とする関連意匠の意匠登録第1141154号の意匠との関係について、まず考察しておくこととする。甲第10号証意匠と乙第1号証意匠の関係については、基本的な構成態様においては共通すると認められるものの、各部の具体的な構成態様のうち、前面パネルが傾斜湾曲か垂直状立面かの差異、上扉パネルの排気孔周辺の態様、下扉パネルの把手と開扉ボタンの態様、操作パネルの操作ボタン等の態様の差異が評価され、両意匠を意匠全体として観察したときに、両意匠は非類似と判断されたものと思料される。甲第7号証意匠とこれを本意匠とする関連意匠の意匠登録第1141154号の意匠との関係については、各部の具体的な構成態様のうち、上扉パネルの通風口の下に設けられた横長方形透明窓の有無、下扉パネルのハンドル中央の下部に僅か余地部を介してロック解除ボタンが付いた正面視横楕円状の開扉ボタン部を設けたか、これに替えて横長方形透明窓を設けたかの差異があるが、それ以外の基本的な構成態様及び各部の具体的な構成態様において共通することから、両意匠を意匠全体として観察したときに、差異は評価されずに両意匠は類似すると判断されたものと思料される。
以上、基本的な構成態様における共通点(1)は本件登録意匠の出願前に上記先行意匠にみられること及び上記考察において、共通点(1)は両意匠の形態全体に係わるものであるが、これをを充足しただけでは、両意匠の類否判断を左右するとは到底いえないので、更に各部の具体的な構成態様について検討する。
共通点(2)の略直方体状の筐体の高さと横幅と奥行きの比率、共通点(3)の前面パネル全体の板厚、上扉パネルと下扉パネルの縦幅比、共通点(4)の上扉パネルの横に細長い放熱口(通風口)、下扉パネルに連動して上方に開扉する態様である点、共通点(5)の下扉パネルが下辺部を支点に下方に開扉する態様である点、共通点(6)の表示枠部と各種操作ボタンを配設して成る点については、いずれもまた本件登録意匠の出願前にすでにみられるところ(上記先行意匠)であるから、以上のいずれの共通点も両意匠の類否判断に与える影響は微弱にすぎない。
共通点(4)のうちの上扉パネルが側面視において上方が緩やかな弧面状に形成されているのが看取される点については、一見して目立つ特徴という程のものではなく、共通点(5)の下扉パネルの平面視弓形状で正面視細長い紡錘状の開閉ハンドルについては、扉の開閉手法として一般的な範囲にあるハンドル形状(乙第6、7号証意匠)であり、これらの共通点もまた、両意匠の類否判断に与える影響は微弱にすぎない。ただし、平面視弓形状で正面視細長い紡錘状の開閉ハンドルと同ハンドル中央の下部に開扉ボタン部を組み合わせて設けた態様は、当審の調査によれば従来になく、それなりに評価できるものであり、両意匠の類否判断に与える影響を無視し得ない。このように、単独では両意匠の類否判断を左右し得ない各共通点が相俟った視覚効果の如何については、差異点を検討の上、再度吟味することとする。
差異点についてみるに、各部の具体的な構成態様において、差異点(イ)の略直方体状の筐体につき、本件登録意匠は前面パネルが僅か傾斜した側面視台形状であるのに対し、甲第7号証意匠の側面視は縦長方形状である点については、上記甲第10号証意匠と乙第1号証意匠の関係(前面パネルが傾斜湾曲か垂直状立面かの差異)同様に、本件にあっても、この点は看者に構成上の違いを印象付け、看者の注意を惹く要素といえ、差異点(ロ)の前面パネル全体につき、操作パネルが上下扉パネルよりもやや薄い板厚であるか面一致であるかについては、さ程看者の注意を惹く要素とはいえないが、本件登録意匠のパネル側面及び下面から回り込むように前面パネルの左右辺及び下辺に細帯状に表れる縁余地部があって、しかも側面及び下面から縁余地部にかけて及び上辺縁の角部には滑らかな角丸処理が施してある点は、一応の特徴であり(なお、角の線が表れないだけのものは、甲第10号証意匠、乙第1、2号証意匠にみられる。また、請求人が縁余地部に係る先行意匠として挙げる甲第11、12号証意匠は、同斜視図において明らかなとおり、縁余地部があっても、角の稜線が表れる態様であって、本件登録意匠のものとは様相を異にする。)、また3分割構成した前面パネル全体に一定のまとまり感を与えて看者の注意を惹く要素を生じさせているものであるから、いずれの差異点も両意匠の類否判断に与える影響が少なからず認められる。
差異点(ロ)のうちの他の点、本件登録意匠の上扉パネル、下扉パネル、操作パネルの縦幅比は3対4対3、甲第7号証意匠のそれは3対4対2である点については小さな差異といえ、差異点(ハ)の上扉パネル横細長放熱口(通風口)が本件登録意匠の格子スリット状のものは、放熱口(通風口)としてはありふれたものであり、差異点(ニ)の下扉パネルにつき、開閉ハンドルの両根本取付部が正面視横楕円状の台座のように表れるか否か、及び本件登録意匠は同ハンドル中央の下部に連設した開扉ボタン部が正面視矩形状であり、甲第7号証意匠は同開閉ハンドル中央の下部に僅か余地部を介して設けた開扉ボタン部がロック解除ボタンが付いた正面視横楕円状である点については、正面中央における差異であることを考慮して比較してもなお、さ程顕著な差異とはいえず、いずれの差異点もまた、それ単独では両意匠の類否判断に与える影響は微弱にすぎない。
また、差異点(ホ)の操作パネルにつき、側面視板厚が上下扉パネルよりやや薄い等の差異はさ程目立つものではないが、表示枠部とその余の各種操作ボタン枠部を上下に配設したか横方向に配設したか、及び各種表示と各種操作ボタンの態様の差異については、本件登録意匠の創作に秀でたデザイン性があるとは認められないものの、操作パネルのまとまり全体としては看者に別異の印象を抱かせるから、両意匠の類否判断に与える影響を無視し得ない。
このように、各差異点もまた単独では、両意匠の類否判断を左右し得ないので、 最後に、(ヘ)の本件登録意匠の開扉状態を示した縮小正面図、甲第7号証意匠の開蓋状態の右側面図等における開扉状態の態様その他も含めた各差異点が相俟った視覚効果と、各共通点が相俟った視覚効果とを総合して比較考量する。
差異点(イ)の略直方体状の筐体が本件登録意匠は前面パネルが僅か傾斜した側面視台形状である等は、看者の注意を惹く要素といえ、差異点(ロ)の前面パネル全体が本件登録意匠のパネル側面及び下面から回り込むように前面パネルの左右辺及び下辺に細帯状に表れる縁余地部があって、しかも側面及び下面から縁余地部にかけて及び上辺縁の角部には滑らかな角丸処理が施してある点もまた、看者の注意を惹く要素といえるものであり、いずれの差異点も両意匠の類否判断に与える影響が少なからず認められること、差異点(ホ)の操作パネルにつき、表示枠部とその余の各種操作ボタン枠部を上下に配設したか横方向に配設したか、各種表示、各種操作ボタンの態様の差異は、看者に別異の印象を抱かせ、両意匠の類否判断に与える影響を無視し得ないこと、を中心とする各差異点が相俟った視覚効果は、共通点(5)の下扉パネルの平面視弓形状で正面視細長い紡錘状の開閉ハンドルと同ハンドル中央の下部に開扉ボタン部を組み合わせて設けたという点はそれなりに評価できるものであり、両意匠の類否判断に与える影響を無視し得ないこと、を中心とする各共通点が相俟った視覚効果に優るというべきで、結局のところ、差異点が両意匠の類否判断を左右する要部にあたるというほかない。
上記のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が同一であり、形態について、両意匠の共通点及び差異点について意匠全体としてみたとき、各共通点、各差異点ともに単独では、両意匠の類否判断を左右し得ないものの、差異点(イ)、(ロ)及び(ホ)を中心とする各差異点が相俟った視覚効果は、共通点(5)を中心とする各共通点が相俟った視覚効果に優るものといえ、結局のところ、差異点が両意匠の類否判断を左右する要部にあたるというほかなく、本件登録意匠は甲第7号証意匠に類似しないものと認めるのが相当である。
4.結び
以上のとおりであって、請求人の主張及び証拠によっては、意匠法第3条第1項第3号に該当し、同条同項柱書きの規定に違反して登録されたものであるとして本件登録意匠の登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

審理終結日 2005-04-27 
結審通知日 2005-05-06 
審決日 2005-05-19 
出願番号 意願2002-22146(D2002-22146) 
審決分類 D 1 113・ 113- Y (C6)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 森 則雄
特許庁審判官 市村 節子
伊藤 敦
登録日 2004-08-13 
登録番号 意匠登録第1218578号(D1218578) 
代理人 河野 哲 
代理人 松原 美代子 
代理人 川越 弘 
代理人 美甘 徹也 
代理人 鈴江 武彦 
代理人 吉田 親司 
代理人 小出 俊實 

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