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審決分類 審判    J7
管理番号 1121284 
審判番号 無効2004-88006
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2005-09-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-04-06 
確定日 2005-08-03 
意匠に係る物品 マイナスイオン発生器 
事件の表示 上記当事者間の登録第1194643号「マイナスイオン発生器」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1194643号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1.請求人の申立及び理由
請求人は、結論と同旨の審決を求める、と申立て、その理由として、審判請求書に記載のとおりの以下の主張をし、証拠方法として、甲第1号証乃至甲第5号証の書証を提出した。
(1)登録第1194643号意匠(以下「本件登録意匠」という。)は、願書に添付した図面から具体的な一の意匠の内容を導き出すことができず、意匠法第3条第1項柱書に規定する「工業上利用することができる意匠」に該当しないため、同法第48条第1項第1号により登録を無効とすべきである(無効理由1)。
(2)本件登録意匠は、甲第二号証に表された意匠と同一又は類似であるため、意匠法第3条第1項第1号又は第3号に該当し、同法第48条第1項第1号により登録を無効とすべきである(無効理由2)。
(3)本件登録意匠は、甲第 号証(請求書には何号証か未記載)に表された意匠と同一又は類似であるため、意匠法第3条第1項第2号又は第3号に該当し、同法第48条第1項第1号により登録を無効とすべきである(無効理由3)。
第2.被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。との審決を求めると答弁し、その理由として答弁書に記載のとおりの反論をし、証拠方法として乙第1号証の書証を提出した。
第3. 当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成15年6月6日に意匠登録出願され、平成15年11月28日に設定の登録がなされたものであり、意匠に係る物品を「マイナスイオン発生器」とし、形態を、願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとするものである(別紙第1参照)。
2.甲号意匠
甲第2号証は、株式会社ケイエイアイ(山形県山形市上町4丁目6-43)が発行したカタログ「滝風たきION MEDIC」(このカタログ末尾右下に「このカタログの内容は平成14年8月現在のものです。」との記載があり、また被請求人も認めていることから該カタログが平成14年8月末には発行されたものと認められる)の表裏頁下欄に掲載された「マイナスイオン発生器」の意匠(以下「甲号意匠」という)であり、その形態は同写真版に示されたとおりとするものである(別紙第2参照)。
甲第3号証は、販売証明書、甲第4号証は、「滝風取扱説明書」作成証明書、甲第5号証は、平成14年9月14日付の山形新聞経済頁写し(コピー)左上掲載の写真版に表された「滝」の意匠。
3.本件登録意匠と甲号意匠の類否について
本件登録意匠と甲号意匠を対比すると、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、その形態について以下に示す共通点及び差異点が主として認められる。
すなわち、共通点として、両意匠は、(1)薄い長方形状底板の上に僅かな高さの扁平台状の支柱を設けた台座上に、底板より大きな直方体の正面視左上角及び右下角の相対向する角部を点対称となるように同1/4円弧形状に切り欠いた本体形状、つまり正面視概略横倒「葉形状」とした点、(2)その本体正面中央よりやや上方、左上方円弧状面寄りに、外周面に沿うように、上下2段に各6個、計12個の同形円孔を等間隔並列、かつ、その上段を円孔1個分右側にずらして配列し、右下円弧状面寄りに、外周面に沿うように略隅丸三角形状の段差を設けた沈下面を設け、その内側に同形二重円形状を等間隔にちょうど横倒L字状に配置した点、が主に認められる。
一方差異点として、(ア)本件登録意匠は、正面左上方寄りに設けた各円孔奥に異素材の板状様のものが断面図上から認められるが、甲号意匠の写真版写し上では定かではないが前方に縦板、その背後にバツ状にした縦板で構成している点、(イ)甲号意匠では、略隅丸三角形状内の二重円形状部外側二重円内が淡い赤と緑の色彩を表しているのに対して、本件登録意匠にはそのような色彩が表されていない点が主に認められる。
そこで上記共通点と差異点につき、両意匠の類否判断に及ぼす影響を意匠全体として検討する。
まず、両意匠において共通する前記(1)の点については、両意匠とも同様な台座上に概略横倒「葉形状」柱体の本体を設けた基本的な構成態様において共通しており、この態様は両意匠の形態の全体にかかわり、その骨格を成すものである。そして、この基本的構成態様と同じく共通する前記(2)の点については、中央やや上方左寄りの同位置に配列した同円孔12個の態様が共通し、右下ほぼ同位置の略三角形状の沈下面内に同二重円形状3個を同様に配置した態様についても共通していること、つまり、本体正面の具体的構成態様においても共通しており、この態様は本件登録意匠の全体形態及び各部の形態とほぼ一致して本件登録意匠及び甲号意匠に共通する全体の基調を形成しており、本件登録意匠の類否判断に決定的な影響を及ぼしているものと認められる。
これに対して、前記各差異点については、それらはいずれも微弱な差異に止まるものであって、それぞれが類否判断に及ぼす影響は僅かであると言うべきである。
すなわち、差異点(ア)については、両意匠とも円孔内奥部の形状が定かではないものの、ともにほぼ同位置同形状の円孔形状を同様に配列した点では共通していることからすれば、たとえ、円孔内部の奥形状に差異があったとしても、それは円孔内奥をわざわざ覗き込まなくては定かに判別しない程度の差異と認められ、その差異はほんの僅かな差異にしか過ぎない微弱な差異に止まり、その共通性の中に包摂されていると認められる。(イ)については、ともに右下円弧状面寄りに略隅丸三角形状の沈下面を設け、その内側に3個の同形二重円形状を等間隔に同様に配置した点で共通していることからすれば、二重円形状外側二重円内に淡い色彩を表しているか否かの差異は、色彩自体も淡く部分的なかすかなものにしかすぎないものであって、そうするとこの差異点も極僅かな差異に過ぎず、これも微弱な差異に過ぎないものと認められる。
そうすると、以上のいずれも微弱な差異点を総合しても、両意匠の類否判断を左右するには至らず、本件登録意匠は、前述のとおり甲号意匠と全体形態及び各部の形態がほぼ一致しており、全体として類似するというほかない。
なお、被請求人は、請求人は利害関係者ではないから請求人適格者でない旨主張するが、平成15年法改正により「意匠登録無効審判は、何人も請求することができる。」(意匠法第48条第2項)と改正されたことから、何人も請求可能であり、被請求人の主張は採用することはできない。また、甲第3号証の販売証明書及び甲第4号証の取扱書は請求人が故意に作成したものであるから信憑性がない旨被請求人は主張するが、その根拠等について何ら立証されていないことからその主張も採用することができず、さらに、甲第5号証の新聞記事は一地方新聞であって公知であったとは言えないと被請求人は主張するが、その新聞写しからその新聞が発行され公知となっていたことにはかわりがなく、被請求人のこの主張についても採用することができない。
以上のとおりであって、本件登録意匠はその出願前に頒布された刊行物に記載された意匠に類似するものであり、意匠法第3条第1項第3号の意匠に該当し、請求人が主張したその余の理由について検討するまでもなく、同法第3条の規定に反して登録されたものであるから、その登録は、同法第48条第1項第1号の規定により無効とすべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2005-06-06 
結審通知日 2005-06-08 
審決日 2005-06-22 
出願番号 意願2003-15951(D2003-15951) 
審決分類 D 1 113・ 113- Z (J7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 本多 誠一 
特許庁審判長 日比野 香
特許庁審判官 山崎 裕造
杉山 太一
登録日 2003-11-28 
登録番号 意匠登録第1194643号(D1194643) 
代理人 佐藤 賢改 
代理人 中村 幹男 
代理人 天野 広 

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