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審決分類 審判    L4
管理番号 1129039 
審判番号 無効2004-88037
総通号数 74 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2006-02-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-11-11 
確定日 2005-12-19 
意匠に係る物品 ひさし 
事件の表示 上記当事者間の登録第1138948号「ひさし」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第 1.請求人の申立て及び理由
1.請求人は、「意匠登録1138948号を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする旨の審決を求める。」と申し立て、請求の理由として大要以下のように主張し、証拠方法として、甲第1号証の1ないし9、甲第2号証の1ないし14、甲第3号証の1ないし16、甲第4号証の1ないし9を提出した。
2.理由の要点
(1)本体意匠の特徴
(A)「本体部」(「ひさし」としての本体部)
本物品に於いて、最も看者に注目される部分ではあるが、適宜厚さをもった単純な平板であり、一例として提出する甲第1号証の1乃至9からすると、「ひさし」本体としては何等意匠的特徴を有してはいない。
(B)「先端部」
ひさし本体部の先端には、雨樋としての機能を果たすべく凹部を形成し、その最先端仕舞を、略45度の角度を有するようにして嘴形状を呈するように構成しているが、一例として提出する甲第2号証の1乃至14にあるように、既に、ひさし本体先端(あるいは先端以外の部分にも)に雨樋機能を果たすべく凹部乃至略凹陥状部を形成するという構成態様は格別新しいものではない。本件意匠の形状につき考えても、当業者であれば、凹部乃至凹陥状部を形成して雨樋機能を生ぜしめるという発想そのものが既に存していた以上種々の態様を容易に適宜設計しうるのであり、またその程度に過ぎない形態である、としか言えない。
しかも、本物品が、通常高所に(人間よりも)のみ取り付けられ使用される「ひさし」という物品であることを考えると、一般需要者は、通常斜め下方から乃至真下から見上げることになるのであり、雨樋機能を果たす凹部乃至凹陥状部の形状如何は、少なくとも本物品に於いては注目される又は重要視される部分ではない。
ましてや、該雨樋部分の大きさは、本件物品全体の大きさに比して極めて小さな比率であるに過ぎない。
これらの点を総合的に考えると、結局、該部分もまた、本件意匠の要部たりえない、と言わざるをえない。
(C)「取付部」(躯体乃至壁面取付部)
該部分は、本来は別体であるところの、躯体乃至壁面取付部材と、水切り乃至化粧カバー部材とから成り、これらをビス等により一体的に結合し、又、略ひさし本体幅全体に亘り連続して形成されている。
その外観も例として提出する甲第3号証の1乃至16にあるように、従来より、躯体乃至壁面との接合を強固にするため及び/又は
雨仕舞乃至水切り及び/又は化粧のため、該取付部分(必ずしも本体上面だけとの関係に限らない)に種々凸形状等立ち上がり形状を
呈するようにした構成態様は多数存している。
そしてその形状としても、当業者であれば容易かつ任意に適宜設定しうる程度に過ぎない。
しかも本物品が「ひさし」であることを考えると、躯体乃至壁面に一旦接合されてしまえば、最早全く外観的に注目されることはない部分であるに過ぎない。
のみならず、一般的に高所にのみ取り付けられる部分なのであるから、看者にとっては、視認すること自体が極めて困難な部分であるとも言える。
要するに該部分は、ひさし取り付け施工上の容易さ、取付施工後の強固さ、また単なる雨仕舞、を主たる目的としている部分である以上、必然的に機能上要求されるに過ぎない程度の構成態様であり、到底意匠の要部たりえないこと明らかと思料しうる。
(D)「ステー」(二本の補強斜材)
該2本のステー部材は、ひさし本体部と共に最も看者の注意を引き起こす部位ではあるが、両端の固定部分、ステー本体部の何れも格別意匠的な工夫のない、つまり全く特徴を感じることができないことは、提出する甲第4号証の1乃至9号証当からして明かなところと考える(二本ではないもの、平行ではないもの、等々種々の工夫をこらしたものが既に多数存在する)。
いずれにしても、このステー部材の形態もまた意匠的要部たりえないことに疑問の余地はない。
(3)よって、本件意匠を、従来存していた構成態様と比較し、又、本件物品の性格を考え、更には当業者を基準として考えてゆくと、本件意匠にはその「要部」と言うに足る具体的構成態様が全く存在しないのである。
そうである以上、本件意匠登録は、意匠法第3条第2項に反して登録をされたものであって、その登録は無効とされるべきものである。
第 2.被請求人の答弁及びその理由
1.被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。と審決を求める。」と答弁し、その理由として大要以下のとおり主張した。
2.答弁の理由
請求人は、本件登録意匠の各部をそれぞれ個別に観察して、それぞれが意匠的特徴がないなどと評価することによって、意匠法3条2項に該当する旨結論付けている。
例えば、「甲第2号証の1乃至14にあるように、既に、ひさし本体先端(あるいは先端以外の部分にも)に雨樋機能を果たすべく凹部乃至略凹陥部を形成するという構成態様は格別新しいものでもない。(中略)種々の態様を容易に適宜設計しうるのであり」(審判請求書3頁31行目以降)と主張するが、上記に引用する甲各号証のいずれにも本件意匠登録の先端部と構成を共通するものがないばかりか、対応部分以外の構成も著しく異なっている。
意匠はその構成全体を一つのまとまりとして観察・評価すべきであって、本件登録意匠では、先端部と他の部分が有機的に一体のものとして結合され、全体として必要最小限の部材及び加工によって構成され、外観上もすっきりとした印象を与えるものとなっており、かつ、雨水の垂れ落ちるのを防ぐなどの必要不可欠の機能を十分に果たすように構成されたものである。
請求人が提出した証拠には、このような本件登録意匠の構成を必要に応じて容易になし得るような示唆はなく、本件登録意匠が公知の形状等に基づいて容易に創作することができたものであることは何ら立証されていないものである。
よって、本件登録意匠が意匠法3条2項に該当すると言う請求人の主張は理由のないものであるので、請求(答弁の誤まりと思慮する)の趣旨のとおり審決を求める次第である。
第 3.請求人の弁駁
被請求人は、請求人の主張は本件意匠の構成態様各部を個別に観察しているに止まり失当である、と言いながら、その裏付けとしては、僅かに、「例えば、甲第2号証の1乃至14・・・(略)・・・先端部と構成を共通にするものがないばかりか、対応部分以外の構成も著しくことなっている」、と述べるのみであり(第3頁第5行〜第3頁第11行)、先端部と構成を共通にしないというその主張内容そのもの、また、対応部分以外の構成も著しく異なっているというその主張内容そのもの、に全く言及していない。
請求人は、甲第1号証の1乃至甲第3号証の16まで、多くの具体的な証拠を提出し、それらに徴して考えるならば、本件意匠の構成には創作性のある形状が全く存しない、と主張しているのであるから、被請求人としても上記各号証に対して、前記のような実質に全く言及しない抽象的な答弁ではなく、具体的に、「どこが共通ではないか」、また、「どこが著しく異なっていると考えるか」、を明言して欲しく思う。
結論として、請求人としては、今般のような抽象的な答弁内容に対しては、現時点ではこれ以上具体的に弁駁することが出来ず、また、その必要もないと考えます。
第 4.当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成13年5月14日の意匠登録出願(意願2001-13625)に係り、平成14年2月22日に、意匠登録第1138947号として意匠権の設定の登録がなされたものであり、その願書及び願書に添付した 図面の記載によれば、意匠に係る物品が、「ひさし」であり、その形態は、同添付図面に表したとおりのものである(別紙参照)。
すなわち、その形態は、(1)ひさし本体部は、横長矩形状で一定の厚みを有する平板体とし、(2)その前方の長辺端部に沿って凹状の雨樋を配し、その先端上方に略45度の傾斜面を有する嘴状突起を設け、(3)後方の長辺端部に壁面取付部材と前面側を約45度に傾斜させた化粧板とを結合して、ひさし取付部を形成し、(4)ひさし本体部の上面前方端部にボルト止めにより、ひさし本体部支持用のステー二本が、平面視で平行に取り付けられたものである。
2.本件登録意匠の創作容易性の判断
請求人の主張に基づいて、以下検討する。
(1)まず、ひさし本体部について、請求人は、「意匠登録1138947号のひさし本体部は、本物品に於いて、最も看者に注目される部分ではあるが、適宜厚さをもった単純な平板であり、一例として提出する甲第1号証の1乃至9からすると、「ひさし」本体としては何等意匠的特徴を有してはいない。」と主張するが、請求人が主張するとおり、本件登録意匠のひさし本体部分の態様は、一定の厚みを有する平板体であって、この態様とほぼ同様の態様が、甲第1号証の3の意匠、及び甲第1号証の8の意匠に見受けられるから、本件登録意匠のひさし本体部の態様は、その出願前に、日本国内において公然知られたものと認められる。
(2)つぎに、ひさし先端部について、請求人は、「ひさしの先端部には、雨樋としての機能を果たすべく凹部を形成し、その最先端仕様を、略45度の角度を有するようにして嘴形状を呈するように構成しているが、一例として提出する甲第2号証の1乃至14にあるように、既に、ひさし本体先端(あるいは先端以外の部分にも)に雨樋機能を果たすべく凹部乃至略凹陥状部を形成するという構成態様は格別新しいものではなく、形状につき考えても、当業者であれば、凹部乃至凹陥状部を形成して雨樋機能を生ぜしめるという発想そのものが既に存していた以上種々の態様を容易に適宜設計しうるのであり、また、その程度に過ぎない形態である。」と主張するが、本件登録意匠のひさしの先端に、凹状の雨樋を配した態様については、この態様とほぼ同様の態様が、甲第2号証の2の意匠に見受けられるとしても、その先端上方を略45度の傾斜面を有する嘴状突起を設けた態様は、請求人が提出した甲第2号証の1乃至甲第2号証の14の意匠には見受けられないものであり、上記態様の存在を確認することができないものであるから、本件登録意匠のひさし先端部の態様は、その出願前に、日本国内又は外国において公然知られたものと認めることができない。
(3)さらに、ひさし取付部について、請求人は、「ひさしの取付部においても、本来は別体であるところの、躯体乃至壁面取付部材と、水切り乃至化粧カバー部材とから成り、これらをビス等により一体的に結合し、また、略ひさし本体幅全体に亘り連続して形成されている。その外観も例として提出する甲第3号証の1乃至16にあるように、従来より、躯体乃至壁面との接合を強固にするため及び/又は雨仕舞乃至水切り及び/又は化粧のため、該取付部分(必ずしも本体上面だけとの関係に限らない)に種々凸形状等立ち上がり形状を呈するようにした構成態様は多数存し、 その形状としても、当業者であれば容易かつ任意に適宜設計しうる程度に過ぎない。」と主張するが、本件登録意匠のひさし取付部のような壁面取付部材と、化粧版とから成り、これらをビス等により一体的に結合し、前面側を約45度に傾斜させた構成態様のものは、請求人が提出した甲第3号証の1乃至甲第3号証の16の意匠には見受けられないものであり、本件登録意匠のひさし取付部の態様は、その出願前に、日本国内又は外国において公然知られたものと認めることができない。
(4)さらに、ステーについて、請求人は、「該2本のステー部材は、ひさし本体部と共に最も看者の注意を引き起こす部位ではあるが、両端の固定部分、ステー本体部の何れも格別意匠的な工夫のない、つまり全く特徴を感じることができないことは、提出する甲第4号証の1乃至9号証当からして明かなところと考える(二本ではないもの、平行ではないもの、等々種々の工夫をこらしたものが既に多数存在する)。」と主張するが、本件登録意匠のステーの態様は、ひさし本体部の上面前方端部にボルト止めにより、ひさし本体部支持用のステー二本が、平面視で平行に取り付けられたものであって、この態様とほぼ同様の態様は、甲第4号証の6の意匠、甲第4号証の8の意匠、及び甲第4号証の9の意匠に見受けられるから、本件登録意匠のステーの態様は、その出願前に、日本国内、又は外国において公然知られたものと認められる。
そうすると、本件登録意匠は、(1)のひさし本体部の態様及び(4)のひさし本体部支持用のステーの態様であるとしても、(2)のひさし先端部の態様及び(3)のひさし取付部の態様は、ともに公然知られた態様とはいえないものであり、当該物品を取付けた後においても、(2)のひさしの先端部は、前端で見える部分であり、また、(3)のひさし取付部は、取付けた後、通常見えにくい部位であるが、施工時に施工業者の注意を引く部分であり、軽視することのできない部分であるから、本件登録意匠は、当業者が公然知られた意匠に基づいて容易に創作することができたものということはできない。
3.むすび
以上のとおり、請求人の主張及び提出した証拠によって、本件登録意匠は、その出願前に日本国内又は外国において公然知られた形状に基づいて容易に創作をすることができたものということができないから、意匠法第3条第2項の規定に違反して登録されたものとすることはできない。
よって、本件登録意匠の意匠登録を無効とすることができないので、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2005-09-26 
結審通知日 2005-09-28 
審決日 2005-11-08 
出願番号 意願2001-13626(D2001-13626) 
審決分類 D 1 113・ 121- Y (L4)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 藤 正明
特許庁審判官 西本 幸男
上島 靖範
登録日 2002-02-22 
登録番号 意匠登録第1138948号(D1138948) 
代理人 足立 泉 
代理人 畠山 隆 
代理人 青木 博通 
代理人 畠山 隆 
代理人 中田 和博 
代理人 柳生 征男 
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