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審決分類 審判 査定不服  意7条一意匠一出願 取り消して登録 G2
管理番号 1136224 
審判番号 不服2005-9644
総通号数 78 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2006-06-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-05-23 
確定日 2006-04-14 
意匠に係る物品 手押し運搬車 
事件の表示 意願2004-8144「手押し運搬車」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は、平成16年(2004年)3月17日の部分意匠に係る意匠登録出願であって、その意匠(以下、「本願意匠」という。)は、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「手押し運搬車」とし、形態は、願書の記載及び願書添付図面に表されたとおりであり、意匠登録を受けようとする部分を実線で表したのである。(本件審決に添付の別掲第1参照)
2.原審の拒絶理由
原審が行った拒絶査定に係る拒絶理由は、以下のとおりである。
本願意匠は、願書及び添付図面の記載によると、荷台上昇用ペダルと下降用リリースレバーとの二つの分離した部分が表されており、一方がパイプを略U字状に屈曲させた形状であるのに対し、他方は細い円筒らしき棒状体を細幅平板によって挟持した形状であって、両者の間にはその形状とすべき必然性がないため、形態的一体性が認められない。
したがって、二意匠を内包した出願と認められ、経済産業省令で定める物品の区分又はそれと同程度の区分により意匠ごとにされているものとは認められないから、意匠法第7条に規定する要件を満たしていない。
3.請求人の主張
請求人の主張の要旨は、以下のとおりである。
(A)意匠法第7条(一意匠一出願)の適用に関し、意匠審査基準(特許庁発行)は、次のように記載している。
一つの部分意匠の意匠に係る物品の中に、物理的に分離した二以上の意匠登録を受けようとする部分が含まれているものは、意匠ごとにした意匠登録出願と認められない。 ただし、物理的に分離した二以上の意匠登録を受けようとする部分が含まれているものであっても、「形態的な一体性が認められる場合」と「機能的な一体性が認められる場合」には、一意匠として取り扱う。
(B)本願意匠に係る物品「手押し運搬車」の荷台は、願書の意匠に係る物品の説明欄に記載したとおり、上昇用ペダルを踏み込むことによって上昇し、下降用リリースレバーを持ち上げることによって下降するものであって、上昇用ペダルと下降用リリースレバーは「荷台の上げ下げ」という点において一つの機能を果たすものであるから、これは審査基準の「機能的な一体性が認められる場合」に該当する。
(C)本願意匠は、本来的には一つの部品に担わせることが可能な対の機能を敢えて安全性の観点から物理的に分離した二つの部品のそれぞれに担わせて、荷台を上げるときには下に踏む、荷台を下げるときには上に持ち上げるとの、荷台の動作方向と逆方向の操作をさせることによって、誤動作の発生を防止するよう一対のものとして創作されたものである。
4.当審の判断
原審の拒絶理由の妥当性及び請求人の主張の採否について検討し、本願意匠が意匠法第7条に規定する要件を満たしているか否かについて判断する。
(1)原審の拒絶理由の妥当性について
拒絶理由においては、本願意匠における二つの分離した部分である、上昇用ペダルと下降用リリースレバーの各形状に形態的一体性が認められないことを根拠に、本願は二意匠を内包した出願と認められると結論づけているが、なるほど、上昇用ペダルと下降用リリースレバーの各形状には必ずしも形態的一体性があるとはいえないものである。
しかしながら、意匠審査基準においては、物理的に分離した二以上の意匠登録を受けようとする部分が含まれているものであっても、「形態的な一体性が認められる場合」と「機能的な一体性が認められる場合」のいずれかに該当する場合は一意匠として取り扱うとしているのであるから、本願意匠の各部分に形態的な一体性が認められないことのみを理由として、機能的な一体性が認められる場合への該当性について判断することなく、意匠法第7条に規定する要件を満たしていないものとすべきではない。
(2)請求人の主張の採否について
請求人の主張の要旨(A)の部分については、そのとおり事実である。
そして、(B)及び(C)の主張については、願書の意匠に係る物品の説明欄における「荷台の昇降には、主として油圧シリンダーが用いられ、ペダルを踏むことによって油圧シリンダー内に圧力が掛かり荷台が上昇し、リリースレバーを持ち上げることによって油圧が解除され荷台が下降する。」との記載、及び、添付図面における実線と破線で描かれた油圧シリンダーを含む各部分の構成関係や各参考右側面図の記載内容に照らせば、上昇用ペダルと下降用リリースレバーは「荷台の上げ下げ」という点において一つの機能を果たすものであり、誤動作の発生を防止するよう一対のものとして創作されたものであるとの主張に首肯することができ、他にこれを妨げるものはない。
よって、請求人の主張は採用することができるから、本願意匠は、機能的一体性が認められるものというべきである。
(3)判断と結び
本願意匠は、意匠法第7条に規定する要件を満たすものと認められるから、原審の拒絶理由は妥当ではなく、原査定は取り消しを免れない。
また、本願意匠について他に拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2006-03-31 
出願番号 意願2004-8144(D2004-8144) 
審決分類 D 1 8・ 52- WY (G2)
最終処分 成立  
前審関与審査官 関口 剛 
特許庁審判長 伊勢 孝俊
特許庁審判官 小林 裕和
鍋田 和宣
登録日 2006-05-19 
登録番号 意匠登録第1275755号(D1275755) 
代理人 五味 飛鳥 
代理人 川口 嘉之 
代理人 遠山 勉 
代理人 松倉 秀実 
代理人 世良 和信 

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