• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 判定  同一・類似 属する(申立成立) D3
管理番号 1146473 
判定請求番号 判定2006-60033
総通号数 84 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠判定公報 
発行日 2006-12-22 
種別 判定 
判定請求日 2006-07-06 
確定日 2006-10-27 
意匠に係る物品 照明器具 
事件の表示 上記当事者間の登録第1211830号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号意匠並びにその説明書に示す照明器具の意匠は、登録第1211830号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。
理由 第1.請求人の申立及び理由
請求人は、イ号意匠並びにその説明書に示す意匠(以下、「イ号意匠」という。)は、意匠登録第1211830号(以下、「本件登録意匠」という。)及びこれに類似する意匠の範囲に属する、との判定を求める、と申し立て、その理由を要旨以下のとおり主張し、立証として、甲第1号証ないし甲第22号証を提出した。
本件登録意匠とイ号意匠とは、a.全長に対する高さの比率が本件登録意匠は1:18であるのに対し、イ号意匠は1:13.4である点、b.本体枠下端の段部の位置が、本件登録意匠は全高の約9分の1の部位であるのに対し、イ号意匠は10分の1の部位である点、c.使用される蛍光管径が、本件登録意匠は12.5mmであるのに対し、イ号意匠は14mmである点、に差異があるが、これらは、蛍光管径の変更、及びそれに対応した単純な設計変更に過ぎず、他に特に差異がなく、本件登録意匠の要部である、横長で、安定感があり、すっきりと纏まったプロポーションを備えながらも、左右側面視では従来にない特異な形態を備えた点で共通する両意匠は類似し、イ号意匠は本件登録意匠、及びこれに類似する意匠の範囲に属する。

第2.被請求人の答弁及び理由
被請求人は、イ号意匠は、本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属することは認める、但し、本件登録意匠は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠(意匠法第3条第1項第2号)、またはこれに類似する意匠(意匠法第3条第1項第3号)であり、つまり乙第1号証の中国登録実用新案01235594.1号の公報に記載された意匠、またはこれに類似する意匠であり、本来登録されるべきものではない登録意匠であって、その登録は当然に無効とされてしかるべき意匠である、と答弁し、乙第1号証を提出した。

第3.当審の判断

1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成14年7月5日に意匠登録出願をし、平成16年6月4日に意匠権の設定の登録がなされた登録第1211830号意匠であり、意匠に係る物品を「照明器具」とし、その形態を、願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである(別紙第一参照)。

2.イ号意匠
イ号意匠は、請求人が甲第2号証として提出した「イ号意匠」とする写真(別紙第二参照)、甲第2-1号証として提出したカタログの写し、及び甲第3号証として提出したイ号意匠説明書により表された意匠であり、意匠に係る物品が照明器具と認められ、その形態は、甲第2号証に「イ号意匠」として表されたとおりであると認める。

3.本件登録意匠とイ号意匠の対比検討
本件登録意匠とイ号意匠を対比すると、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、形態について、断面略矩形の横長長尺状の本体枠の左右両端に、外面を面一状に正面視L字状(逆L字状)のソケットカバーを連接して、突出するソケットカバーの上部間に丸管状の蛍光管を嵌め合わせたものである点、本体枠は高さが奥行き(前後幅)よりやや丈高で、前後面の上端に、横水平に複数本の係止段部が設けられ、下端近くにも横水平に段部が認められる点、ソケットカバーは、側面視が、横幅に対して高さが2倍前後の縦長方形状の上端を半円状とした形状で、側面下部に横長方形状のソケット枠が表されている点、ソケットカバーの内側に、ソケットカバーより一回り小さい薄板状のソケット用段部が形成され、この段部直下のソケットカバーのコーナー部に方形の小区画が認められる点、等からなる全体、及び各部の構成態様が共通し、更にこれらの寸法比率においてもほぼ共通する。そしてこれら共通点は、両意匠の全体の基調を形成すると共に、その特徴を最もよく表すところの態様と認められ、両意匠の類否判断に極めて大きな影響を及ぼすものである。
一方両意匠には、差異点として、(1)本件登録意匠は、蛍光管の外周に逆U字状の透明のカバーがが嵌め合わされているのに対し、イ号意匠は、このカバーが認められない点、(2)ソケットカバーの高さが、イ号意匠は本件登録意匠より若干丈高と認められる点、がある。しかしながら (1)の点は、イ号意匠にも、本体枠の上端、及びソケットカバーのコーナー部に、カバーを嵌め合わせるためと認められる係止段部、及び方形の小区画が認められ、カバーを適宜嵌め合わせることを予定していると認められ、また甲第2-1号証においても、パーツとして本件登録意匠とほぼ同形のカバーが「ランプカバー」として示されているところであり、本件登録意匠に認められる透明のカバーがイ号意匠において表されていないとしても、この点は類否を左右するには至らない。また(2)の点も、共通する構成態様の中でみられる僅かな寸法差で、類否に及ぼす影響は微弱である。そして両意匠の差異の関連効果を考慮しても、差異が類否に及ぼす影響は、前記した共通点のそれを凌ぐには到底至らず、両意匠は、全体として明らかに類似する。

ところで被請求人は、本件登録意匠と同一、或いは少なくとも類似する意匠が、本件登録意匠の出願前に既に、中国登録実用新案01235594.1号として中国実用新案公報に記載されており、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第2号、或いは少なくとも意匠法第3条第1項第3号に該当する意匠であるから、本来登録されるべきものでなく、当然に無効とされてしかるべき意匠である、と主張するところであり、確かに被請求人の提出した乙第1号証には本件登録意匠と極めて近似した形状の照明器具の意匠が記載されていることが認められるところである。
しかしながら、本件判定において、直接、本件登録意匠の有効、無効を検討することはできないし、また仮に無効理由があるとしても、これが直接本件判定の結論を左右するものでもないから、被請求人のこの主張があるとしても、上記判断を覆すことはできない。

4.結び
以上のとおりであって、本件登録意匠とイ号意匠は全体として類似し、イ号意匠は、本件登録意匠、及びこれに類似する意匠の範囲に属する。
よって、結論のとおり判定する。
別掲
判定日 2006-10-16 
出願番号 意願2002-18111(D2002-18111) 
審決分類 D 1 2・ 1- YA (D3)
最終処分 成立  
特許庁審判長 日比野 香
特許庁審判官 正田 毅
市村 節子
登録日 2004-06-04 
登録番号 意匠登録第1211830号(D1211830) 
代理人 円城寺 貞夫 
代理人 富崎 元成 
代理人 藤本 英夫 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ