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審決分類 審判    K1
管理番号 1153556 
審判番号 無効2006-88003
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2007-04-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2006-02-01 
確定日 2007-02-09 
意匠に係る物品 はさみ用ケ?ス 
事件の表示 上記当事者間の登録第0918827号「はさみ用ケ?ス」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第0918827号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1.請求人の申立及び理由
請求人は、登録第918827号意匠の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める、と申し立て、その理由として、大要以下の主張をし、立証として、甲第1号証ないし甲第14号証(枝番を含む)を提出し、被請求人に対する尋問事項を添付した証拠調請求書を提出した。
登録第918827号意匠(以下、「本件登録意匠」とする)は、平成2年7月6日に出願されたものであるが、出願人である被請求人は、その実施品を、出願前の平成2年3月から販売しており、その事実は、甲第3号証ないし甲第6号証が示すとおり、被請求人自身が、本件登録意匠に係る意匠権侵害訴訟(事件番号・平成17年(ワ)第176号事件、岐阜地方裁判所)で認めるところである。
従って本件登録意匠は、その出願前に日本国内において公然知られた意匠であるから、意匠法第3条第1項第1号の意匠に該当し、意匠登録を受けることができないものであり、その登録は、意匠法第48条第1項第1号により無効とされるべきである。
第2.被請求人の主張
審判では、請求人の提出した請求書、その手続補正書、及び被請求人に対する尋問事項を添付した証拠調請求書の副本を被請求人に送達し、また審尋により出願前の販売についての回答を求めたところ、被請求人は、回答書、及び答弁書を提出して、大要以下の内容を述べた。
本件登録意匠に係る意匠権侵害訴訟は不本意ながら取り下げることにしたが、ひとつの製品を世に出すためには、相当の労力を有するもので、意志を決定するにも何度も会議を重ね、何ヶ月もかかって決定し、型造りにも試作を繰り返し、その末に作り上げるものである。本件登録意匠についても、出願までに大変な労力を要し、製造・販売を軌道に乗せることに専念していた。公知と言われても、パンフレットも一切作らず、市内の限定した問屋に現品サンプルを渡した程度のことで、問屋さんもパンフレットもカタログも作らずという状態で、ギフトメーカーがカタログを作ったのは出願の5ヶ月以降のことである。このように一切の広告・宣伝もなく、市内の問屋に出した状態が、公知と言えるものなのかは疑問に思う。また意匠法には新規性喪失の例外規定があり、本件登録意匠は、公知日から6ヶ月以内の出願であり、申請により規定が適用されるケースであり、今の知的財産保護の強化の流れにあって、この点での救済措置も検討されるべきであると思う。
第3.当審の判断
(1)本件登録意匠は、平成2年7月6日の出願に係り、平成6年11月22日に、意匠登録第918827号として意匠権の設定の登録がなされたものであり、その願書及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品が「はさみ用ケース」で、その形態は、同図面に記載されたとおりである。(別紙参照)
(2)請求人は本件登録意匠について、被請求人がその実施品を出願前に既に販売しており、この事実は被請求人自身も認めている、として甲第3号証ないし甲第6号証を提出している。
甲第3号証は、平成17年3月24日に岐阜地方裁判所民事部が受け付けた 、本件登録意匠に係る損害賠償請求事件(同民事部平成17年(ワ)第176号事件)において、原告(本件被請求人)が提出した訴状の写しであり、甲第4号証は、同事件において原告が提出した「準備書面(1)」とする書面の写しであり、甲第5号証は、同事件において原告が提出した原告作成のノート(抜粋)の写しであり、甲第6号証は、同事件において原告が提出した「準備書面(2)」とする書面の写しであって、いずれも原告である本件被請求人が作成し、同裁判所に提出したものと認められる。
(3)そして、甲第3号証によれば、その第2頁の「第2.請求の原因」の「2」の項に、原告は、「被告は、別紙イ号目録記載のはさみ用ケース(以下「イ号物品」という)を業として平成2年3月以降、製造・販売している。」と記載しており、この「被告は」が「原告は」の誤記であることを原告自身が「準備書面(1)」(甲第4号証)で認め、また誤記であることは甲第3号証ないし甲第6号証の記載全体、或いは意匠権に基づく損害賠償請求事件という性格に照らしても明らかであること、また、「準備書面(1)」(甲第4号証)の第4頁に、原告は、「本件意匠を使用したハサミ用ケースの販売個数は、以下の通りであるが、販売台数の減少は顕著である。」として「平成2年」の欄に「247,900個」と記載し、この「247,900個」の数値が、原告作成の「見積り書」と題するノート(甲第5号証)の1頁目の「平2」「247900」の記載、或いはこれを明確にしたとする、「準備書面(2)」添付の一覧表(甲第6号証)の「平成2年」の欄の備考の「247,900」の記載とも一致するところ、このノート、及び一覧表によれば、3月21日から4月20日までとする項に15,000、4月21日から5月20日までとする項に57,500、5月21日から6月20日までとする項に45,000、との数値が記載され、少なくとも本件登録意匠の出願日である平成2年7月6日以前に相当する頃に、多数の数値が販売台数として記載されていること、また当審での審尋に対し、被請求人は、甲第5号証のノートに記したとおりの販売期間に、関市内のメーカー、問屋合計10店舗くらいに、請求人提出の甲第8号証、甲第9号証の製品(現在販売中の被請求人製品)と同じ製品を販売した、と回答し、そして甲第8号証及び甲第9号証に示されたハサミ用ケースの形状が本件登録意匠と一致するものであること、が認められるところであり、以上によれば、本件登録意匠は、少なくともその出願前に、その実施品の販売が開始されていたと判断するほかなく、本件登録意匠は、その出願前に日本国内において公然知られた意匠であって、意匠法第3条第1項第1号の意匠に該当すると認めざるを得ない。
(4)被請求人は、本件登録意匠について、特に広告・宣伝もせず、市内の限定した問屋に原品サンプルを渡した程度である、と主張するが、やはり上記のとおりであって、本件登録意匠の出願日である平成2年7月6日以前に本件登録意匠の実施品の販売が開始されていたことが明らかで、本件登録意匠の出願時に既に公然知られるに至っていたと判断するほかなく、また救済措置の主張についても、本件登録意匠は、新規性喪失の例外に関する規定(意匠法第4条第2項の規定)の適用を受けようとする旨の書面(同条第3項の書面)が提出された出願ではないことから、この点での被請求人の主張も採用することができない。
(5)以上のとおりであって、本件登録意匠はその出願前に公然知られた意匠と認められ、してみれば、本件登録意匠は意匠法第3条第1項第1号の意匠に該当するにもかかわらず意匠登録を受けたものであるから、その登録を無効とすべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2006-11-30 
結審通知日 2006-12-06 
審決日 2006-12-19 
出願番号 意願平2-23064 
審決分類 D 1 113・ 111- Z (K1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 川崎 芳孝 
特許庁審判長 関口 剛
特許庁審判官 市村 節子
上島 靖範
登録日 1994-11-22 
登録番号 意匠登録第918827号(D918827) 
代理人 谷口 由記 
代理人 田村 展靖 
代理人 冨田 典良 
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