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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20092816 審決 意匠
無効200235218 審決 意匠
無効2007880005 審決 意匠

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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7
管理番号 1157222 
審判番号 不服2006-26021
総通号数 90 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2007-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-11-16 
確定日 2007-05-11 
意匠に係る物品 遊技機用管理機 
事件の表示 意願2005- 29324「遊技機用管理機」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
1. 本願意匠
本願意匠は、意匠法第13条第1項(出願変更)の規定により特許出願から変更され、平成17年(2005年)10月6日に、部分意匠として、意匠登録出願されたものであって、願書及び願書添付図面の記載によれば、意匠に係る物品を「遊技機用管理機」とし、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(「表示部の参考拡大正面図」において、色彩を削除し、網点を施した部分以外の部分)を実線で描いて現し、実線で描いた全体枠内(正面図の表示部内)に色彩を付し、その形態の要旨を別紙第1に示す、下記のとおりとするものである。

すなわち、本願意匠は、机上用コンピュータの正面の表示画面(表示部)部分の位置及び範囲に係る部分意匠であって、その部分の形態を、やや横長長方形の表示画面の画像において、画像の下半分よりやや低い範囲内の、左端寄り部と左右中央よりやや右より部に、細幅の縦長長方形でその中を横分割線によって複数段の小ブロックに仕切った態様の、左右同形の2本の「島」(パチンコ遊技機等の場内設置レイアウトに対応させたもの)を表し、それらよりやや高い位置の右端寄り部に、小横長長方形枠を上下に7個それぞれやや間隔を置いて縦列させて表し、それら7個の小横長長方形枠の上から下へ順に、赤色(異常中)、桃色(エラー中)、青色(呼び出し中)、茶色(打ち止め中)、緑色(特賞中)、水色(稼働中)、白色(空き台)の色彩を施し、また2本の島の各小ブロックごとに各遊技機等の遊技状況を上記の色分けで表示した状態を例示した色彩を施した態様とするものである。

2.本願意匠に係る主な手続の経緯
(1)特許出願2000-342600号
平成12年11月9日に出願(発明の名称「管理装置」)され、公開番号2002-143519号として平成14年5月21日に出願公開され、その後、特許第3744789号として設定登録されたもの。本件において、これを以下「基礎出願」という。

(2)特許出願2005-133346号
特許法第44条第1項の規定(特許出願の分割)により、上記基礎出願から平成17年4月28日に分割された新たな出願(発明の名称「管理装置」)。これを以下「原出願」という。

(3)意匠登録出願2005-29324号
本願であり、前記1のとおり、上記原出願から出願変更された新たな出願。

(4)第一回拒絶理由通知(撤回)
本願意匠に対し原審は、上記基礎出願に係る特許出願公開2002-143519号の、図2に現された管理コンピュータ(82)の意匠に係る図14に現された画像中の本願意匠の請求部分に相当する部分を引用し、意匠法第3条第1項第3号に該当するとして、本願意匠は意匠登録を受けることができないと通知した。
それと同時に、本願意匠については、原出願に色彩を施した意匠が現されていないため両者は要旨が異なるから、原出願及び基礎出願への出願日の遡及は認められないと通知した。
その後原審は、この拒絶理由通知を、下記の第一回意見書における、「原出願の明細書中に本願意匠において施した色彩が全て(文章で)明記されている。」との主張を採用し、撤回した。

(5)第一回意見書
前記のとおり、主張は採用され第一回拒絶理由は撤回された。

(6)第二回拒絶理由通知(詳細は後記3)
第一回拒絶理由通知と拒絶理由部分を同一とし、原出願への出願日の遡及を認めないとする理由部分のみを変更した。

(7)第二回意見書(後記5の請求人の主張とほぼ同旨)

(8)拒絶査定
原審は、第二回意見書の主張を採用せず、本願意匠について拒絶をすべき旨の査定を行った。(その追って書きの要旨は後記4)

(9)本件審判請求(後記5)

3. 原審の拒絶理由(第二回)
本願意匠に対して、原審が改めて通知した拒絶理由の要旨は、以下のとおりである。
(A)本願意匠は、その出願前に特許庁が発行・頒布した公開特許公報所載、特許出願公開2002-143519号の、図2に現された管理コンピュータ(82)の意匠に係る図14に現された画像中の本願意匠の請求部分に対応する部分に類似するものと認められるから、意匠法第3条第1項第3号に該当し、意匠登録を受けることができない。
(B)本願は、遊技機用管理機の画像中の一部を意匠登録を受けようとする部分として請求したものであるが、原出願中の願書及び添付の明細書等には、画面に現れる全体画像こそ現されているものの、この画像の中に複数の創作単位が多重的に存在することを示唆する記載はなされていない。したがって、原出願からは画面中の各模様要素が一体不可分に結合した状態の、画面の画像全体で一つとする意匠しか見いだすことができず、これを任意の模様要素に分解し、その複数箇所を削除したと認められる本願意匠は、これと実質的に同一の意匠が原出願中に一の意匠として明瞭に示されていたとは認められない。よって、原出願の出願日への遡及は認めることができない。

4.拒絶査定の追って書きの要旨
特許出願から意匠出願への変更は、変更後の意匠の内容が原特許出願中に一の意匠として開示されていたとすれば、出願形式の異同を問うことなく認められるべきものと考えられるが、変更後の意匠が単に他の意匠に包摂された状態で記載されていたというだけでは足りず、少なくとも原出願の願書及び添付の明細書等を総合することにより他の意匠と識別できる状態で当該意匠が開示されていたといえることを条件に認められるべきであり、このことは意匠法域内において、全体意匠から部分意匠に補正することや全体意匠から部分意匠への分割を認めないとしている運用とのバランスも含めて先願主義の原則に立って考えれば、いうまでもなく明らかである。
そこで本件について検討すると、原出願中の願書及び添付の明細書等に記載された範囲から導かれる意匠は、画面の画像全体で一つとする部分意匠までであり、たとえこの画像がいくつかの模様要素の集合から成り立ったものだとしても、それを示唆するような記載がない以上、記載された図中からいくつかの模様要素を抽出して独立的に認識することは極めて困難なことである。ましてこれらの一部の模様要素を取捨して再構成したと認められる本願のような部分意匠が、画面の全体画像として完結的に記載された図によって、当初より重畳的に開示されていたとは到底認めることができない。
したがって、本願意匠は、原特許出願において開示されていたものではなく、原特許出願までの出願日の遡及は認めることができないから、意匠登録出願前に頒布された刊行物に記載された意匠と類似するといわざるを得ない。

5. 請求人の主張
前記拒絶理由に基づく拒絶査定を不服として本件審判を請求した請求人の主張の骨子は、以下のとおりである。
(ア)特許出願から意匠出願への変更は、変更後の意匠出願の内容が特許出願中に記載されていれば認められるべきものである。また、原出願である特許出願における発明内容と、記載された図面の創作内容は、そもそも一致するものではない。
(イ)元来、特許出願から意匠出願への変更の際は、原特許出願中に意匠の開示がされていれば、出願日の遡及を認めていたにもかかわらず、意匠法域内における全体意匠から部分意匠への補正、分割を認めないとする現在の運用が、バランスを欠くものと思量される。
(ウ)他の意匠登録例からみても、部分意匠への出願変更に限り、「遡及要件」を必要とするのは不当である。
したがって、本願は出願日の遡及が認められるべきである。

そして、請求人は、本願意匠と引用意匠の類否については言及しておらず、本願は原出願の出願日に遡及されるべきであるため、引用意匠は引例の対象とはならない旨のみを主張している。

6.当審の判断
そこで、本願意匠に関し、(1)基礎出願から原出願への分割手続の適法性、(2)原出願から意匠出願への変更手続の適法性、(3)本願の出願日及び原審の拒絶理由の妥当性、ならびに、(4)請求人の主張の採否、について以下に検討する。

(1) 基礎出願から原出願への分割手続の適法性について
本願の出願日の認定に係る出願変更手続の適否については、その前段階に行われた手続である、基礎出願から原出願への分割手続の適否について、まず検討する必要がある。その分割手続が適法でなければ、本願のもととなる原出願の存在も認められないことになるからである。
基礎出願は、その願書、明細書及び図面の記載によれば、発明の名称を「管理装置」とし、特許請求の範囲に記載された請求項数を10とするものであった。そして、原出願は、発明の名称を「管理装置」とし、特許請求の範囲に記載された請求項数を同じく10とし、特許請求の範囲に記載された特定事項も基礎出願と同一とし、さらに、図面も基礎出願と同一とするものであった。
そうすると、基礎出願から原出願への分割手続は不適法ということになるが、その後、基礎出願に係る発明について特許権の設定の登録がなされるに当たって、その請求項数が4に減縮補正され、基礎出願に係る発明と分割出願に係る発明とは特許請求の範囲に記載された特定事項も非同一のものとなった。よって、この分割手続は適法と認められるものとなった。

(2) 原出願から意匠出願への変更手続の適法性について
原出願は、その願書、明細書及び図面の記載によれば、発明の名称を「管理装置」とし、図面の図2において、82と引き出し線で記載された机上用コンピュータの意匠が描かれており、また、「図2の管理コンピュータのディスプレイに表示された営業表示画面を示す図である。」と説明された図14に現された画像の意匠は、前記1で認定した本願意匠に対して、破線で描いた部分も全て実線で描いて現したものに相当する(本願意匠の色彩を施した部分に対応する部分は、背景部分を除き、種類分けしたハッチング等で描き分けられている。)。そうすると、本願意匠は原出願添付図面の図14に現された画像の意匠の一部である、2本の「島」部分と7個の小横長長方形枠部分とを部分意匠として実線で描いて現し、他を破線で現して画面全体の画像内での部分意匠としての位置及び範囲関係を示したものであると認めることができるから、原出願に現された意匠と本願意匠との間に齟齬は認められず、この変更手続も適法であると認められる。

(3) 本願の出願日及び原審の拒絶理由の妥当性について
前記のとおり、請求人は、本願意匠と引用意匠との類否については言及しておらず、本件の実質的な争点(本題)は、前記原審の拒絶理由の(B)の部分に係る「本願の出願日の遡及の是非」であるから、(B)についての検討を先に行う。
本願部分意匠は、上記のように、原出願の図14に現された意匠の一部のみ(2本の「島」部分と7個の小横長長方形枠部分)を切り取って部分意匠として実線で示し、他の部分を破線で示して画像全体の中での位置及び範囲関係を示したものである。
ところで、本願出願人(代理人)がどのような意図をもって、このように、画像全体の中から2本の「島」部分と7個の小横長長方形枠部分のみを部分意匠として取り出して出願しているのか、その意義について当審は理解することはできない。本願と一連で出願された他の部分意匠には、左側の実線「島」部分を上半分の5本の島部分としたものもあるが、それを合わせて考えても、部分意匠としてのこのような切り取り方にいかなる意義があるのかを理解することは極めて困難である。また、仮に、本願意匠が意匠登録を受けた場合において、この切り取り方が意匠権としてどのような有効性を持つのかもうかがい知ることはできない。
察するに、本願意匠を認定するに当たり、原審も当審と同様にその出願意図に関して不可解さを感じ、それが原審の本願出願日の遡及は認められないとする判断にまで結びついたのではないかとも考えられるところである。

しかしながら、実線の部分意匠部分と破線部分を含めた全体形態は、確かに原出願の図14の意匠に現されており、その各部の構成要素(表示模様)は画像全体として一体を成しているものと認めることができるから、そうである以上、出願形式の異なる異法域間での出願変更手続を伴った部分意匠として出願するに当たって、その全体からどのように部分意匠を切り取るかは、意匠登録出願をするに際しての、出願人の自由な裁量に属する事項すなわち出願人の意思であって、たとえ、その切り取り方の意図が理解できないものであっても一定の創作単位と認められる部分意匠である以上、それを「この画像の中に複数の創作単位が多重的に存在することを示唆する記載はなされていない。」からとして、排することも干渉することもできず、また、その出願日が遡及する権利を認めないということもできないといわざるを得ない。
したがって、原審の本願の出願日の遡及を認めないとした判断は誤りであるといわなければならず、よって、本願の出願日は、原出願日からさらに遡った基礎出願日の平成12年11月9日とするのが相当である。

そうすると、拒絶理由の(A)で述べる点については、原審の引用意匠は本願意匠に対しての先行意匠(刊行物掲載意匠)としての地位を失うものであるから、両意匠の類否を判断するまでもなく、これは理由がないものといわなければならない。

(4) 請求人の主張の採否について
請求人の主張については、(ア)ないし(ウ)の主張の中に是認することができるものがあり、その結論において採用することができる。

(まとめ)
以上の検討によれば、本願に係る分割手続及び変更手続は適法であり、原審の本願の出願日の遡及を認めないとした判断は誤りであるといわなければならず、それに伴って、原審の本願意匠に対する引用意匠の存在を理由とした拒絶理由は理由がないものとなり、請求人の主張は結論において採用することができるものである。

7.むすび
したがって、原審の引用意匠による、本願意匠は意匠法第3条第1項第3号に該当するとした拒絶理由は理由がないから、それに基づく拒絶査定は取り消しを免れない。
また、本願意匠について他に拒絶すべき理由を発見しないから、本願意匠については、登録をすべきものとすべきである。
別掲

審決日 2007-04-16 
出願番号 意願2005-29324(D2005-29324) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 遠藤 行久 
特許庁審判長 関口 剛
特許庁審判官 上島 靖範
市村 節子
登録日 2007-05-25 
登録番号 意匠登録第1304530号(D1304530) 
代理人 高木 祐一 
代理人 渡邉 知子 
代理人 重信 和男 
代理人 清水 英雄 
代理人 日高 一樹 
代理人 中野 佳直 
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