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審決分類 審判 判定  同一・類似 属さない(申立成立) M2
管理番号 1160539 
判定請求番号 判定2007-600010
総通号数 92 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠判定公報 
発行日 2007-08-31 
種別 判定 
判定請求日 2007-02-05 
確定日 2007-06-22 
意匠に係る物品 暗渠排水用バルブ 
事件の表示 上記当事者間の登録第1016528号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号図面及びその説明書に示す「暗渠排水用バルブ」の意匠は、登録第1016528号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。
理由 第1.請求人の申立て及び理由
1.請求人は、結論同旨の判定を求めると申し立て、その理由として、要旨以下のとおり主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし第6号証(枝番を含む)を提出した。
2.イ号意匠が登録第1016528号意匠(以下、「本件登録意匠」という。)及びこれに類似する意匠の範囲に属しない理由
(1)本件登録意匠とイ号意匠との比較説明
(ア)両意匠の共通点
a)両意匠は、名称に多少の差異があるが目的、用途が一致しており、意匠に係る物品が「暗渠排水用バルブ」で一致している。
b)基本的な構成態様において、前記T型継手管(イ号意匠においては水閘チーズ)は、開口した短円筒管を左右に配置し直角上方に開口した短円筒管を逆T字状に配設し、前記上部キャップ容器(イ号意匠においては収納BOX管)は、前記垂直立上管の上端に外嵌する小円筒部と該小円筒部に一体に上部に設けた大円筒部からなる底部継手(イ号意匠においては収納BOX継手)と、該底部継手に内嵌する容器部分(イ号意匠においては収納BOX管)と、該容器部分の上部開口を閉蓋する蓋体部分(イ号意匠においては収納BOXキャップ)とから構成される。
c)具体的な構成態様において、T型継手管(イ号意匠においては水閘チーズ)の水平の短円筒管の中央部分を半円弧の小径部分とし、直角の短円筒管内には止水弁の弁体が挿嵌され、左右の短円筒管の開口部より前記弁体の意匠形状が見えるようになっている。
(イ)両意匠の差異点
a)基本的な構成態様において、本件登録意匠は、前記垂直立上管の全体が直管からなるのに対し、イ号意匠は、水閘立上管とスライド管との二重管構造で形成され、具体的な構成態様において、前記スライド管は水閘立上管を内嵌する内径を有し、前記スライド管が水閘立上管に外嵌されて段差部分を有してスライド可能としている。
b)基本的な構成態様において、本件登録意匠は、底部継手の小円筒部と大円筒部とは円錐部分により一体に連結されるのに対し、イ号意匠は、収納BOX継手の小円筒部と大円筒部とは隣接部分に三角形の補強リブにより一体に連結されている。
c)具体的な構成態様において、本件登録意匠は、上部キャップ容器の容器部分の上端縁には所定厚さの蓋体部分の内周縁が被覆され、蓋体部分は容器部分の開口を塞ぐように凹状天板を有し、該凹状天板の上面中央には摘みとなる半円リングを有するのに対し、イ号意匠は、収納BOX管の容器部分の上端縁には周縁に嵌合溝部を有する収納BOXキャップが嵌合され、該収納BOXキャップは収納BOX管の開口を塞ぐように平坦な天板を有し、該天板の上面中央には摘み部となる凹溝をそれぞれ対称的に有する。
(2)本件登録意匠に関する先行周辺意匠
公知資料1 実開平4-119882号公報(甲第4号証)
図2の施工状態を示す縦断面図を参照
公知資料2「ホーネン止水板型収納式水閘」カタログ(甲第5号証 の1)
「サンシ短尺水閘」カタログ(甲第5号証の2)
「止水板型収納式水閘」カタログ(甲第5号証の3)
株式会社ホーネンが平成2年から実施
「スライド法ハイカバ-」(甲第5号証の4)
日本ネトロン株式会社からホーネンへ送信されたF AX
公知資料3 実用新案登録第3037421号公報(甲第6号 証)
(3)本件登録意匠の要部
上記先行周辺意匠をもとに、本件登録意匠の創作の要点について述べれば、この種物品における意匠上の創作の主たる対象は、蓋体部分の構成態様にあることは明らかで、本件登録意匠については、他に全く見られない蓋体部分の全体形状及び使用時には暗渠排水用バルブ全体が埋設され、上面に露出する蓋体部分の摘みとなる半円リングが機能上も重要部分である。
(4)本件登録意匠とイ号意匠との類否の考察
そこで、本件登録意匠とイ号意匠の共通点及び差異点を比較検討するに、
a)両意匠の共通点は、上記(1)(ア)に述べるものであり、この構成態様は先行周辺意匠と同一のものであり、両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものではない。
b)両意匠の差異点のa)については、イ号意匠は水閘立上管とスライド管との二重管構造で形成され、外周に段差部分を有しており、機能上も重要な部分であり、両意匠の類否の判断に大きな影響を与えるものであり、差異点のb)については、甲第1号証の1の底面図に示すように放射状に三角形状補強リブを備えているものであり、明らかに外観が相違し、差異点のc)については、天板形状及蓋取り外しの目的である摘みの形状が相違し、使用時には暗渠排水用バルブ全体が埋設され、上面に露出する蓋体部分のみが意匠的特徴点となるものである。
c)以上の認定、判断を前提として両意匠を全体的に考察すると、両意匠の差異点のa)、b)、c)は、類否判断に大きな影響を与えるものである。
(5)むすび
したがって、イ号意匠は、本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しないので、請求の趣旨どおりの判定を求める。
第2.被請求人の答弁
1.被請求人は、「本件判定請求は成り立たない。イ号図面並びにその説明書に示す意匠は登録第1016528号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属するとの判定を求める。」と答弁し、その理由として要旨以下のように主張し、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。
2.本件登録意匠とイ号意匠との比較説明に対する反論
本件登録意匠の基本的構成態様は、全体がT型継手管と垂直立上管と上部キャップ容器とからなり、T型継手管を逆T字状に配置し、直角上方に開口した短円筒管に、直管からなる垂直立上管を接続するものである。
また、上部キャップ容器には、小円筒部と大円筒部からなる底部継手を有し、その底部継手の下部の小円筒部は垂直立上管に接続するとともに、同じく底部継手の上部の大円筒部は容器部分と接続し、さらに、容器部分の上部には開口部を塞ぐ蓋体部分から構成されるものである。
これに対し、イ号意匠は、全体が水閘チーズと水閘立上管とスライド管と収納BOX管とからなり、水閘チーズを逆T字状に配置し、直角上方に開口した短円筒管に、直管からなる水閘立上管を接続するものである。
また、収納BOX管には、小円筒部と大円筒部からなる収納BOX継手を有し、その収納BOX継手の下部の小円筒部はスライド管に接続し、そのスライド管は水閘立上管を内嵌しスライド可能とした二重管構造であります。
さらに、収納BOX継手の上部の大円筒部は収納BOX管と接続し、その収納BOX管の上部には、開口部を塞ぐ収納BOXキャップから構成されるものであり、判定請求人の主張する差異はいずれも、前記本件登録意匠にある基本的構成態様に埋没されるほどの微差である。
よって、両意匠の基本的構成態様及び具体的構成態様の共通点から得られる印象を拭いきれないものである。
3.イ号意匠が本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する理由の説明
判定請求人は、先行周辺意匠として公知資料1、公知資料2、公知資料3を上げて、「この種物品における意匠上の創作の主たる対象は、蓋体部分の構成態様にあることは明らか」と主張しているが、類否判断は、意匠全体を総合的に観察し行われるため、前記蓋体部分の構成態様にあることは明らかとしての主張は、意匠全体の一部分を挙げたものであり、判定請求人の主張は到底認められない。
その他の形状においても、収納BOX継手の段差部には補強用のリブが設けられているが、その差異は本件登録意匠の構成態様に埋没しており、同一の意匠といっても過言ではない。
また、先行意匠として判定請求人は、イ号意匠が本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない理由の説明として、(ア)本件登録意匠の先行周辺意匠で公知資料2(甲第5号証の1?4)を示しているが、日付が無く証拠としては不十分であり、仮に先行周辺意匠と認めたとしても以下の点で、主張は認められない。
本件登録意匠の周辺意匠として、意匠登録第1065763号(乙第2号証)、意匠登録第854951号(乙第3号証)はT型継手管と直角管に内嵌して垂直上方に延びた垂直立上管を有するものの、形態は異なり、本件登録意匠の本件周辺意匠には無い斬新な形状であり、広い権利を有するものである。
また、判定請求人が先行意匠として上げた、公知資料1、公知資料2、公知資料3からも、垂直立上管や蓋体部分の長さに差異があるものの、本件登録意匠の基本的構成態様と具体的構成態様に埋没するものであり、対比図(乙第1号証)を見比べて明らかである。
本件登録意匠に係る「暗渠排水用バルブ」にあっては、装飾的形態として意匠の創作が行われることは少なく、物品の機能を追及し高めることに創作の主眼がおかれている。そして、機能を追及し尽した結果として得られた形態がもたらす美感が物品の形態として表れる。このような、意匠的創作は工業デザインの創作における機能美として認識され、機能美を意匠的創作として捉え、これを保護することが法のもつ大きな目的の一つである。
従って、本件登録意匠とイ号意匠は用途と機能が同じである同一物品であり、形態において僅かな差異があるものの基本的構成態様が同一といえる。
以上の通り、本件登録意匠とイ号意匠の判定請求人の示す差異点a)、b)、c)は微差であり、イ号意匠は物品の機能を追及し高めることの創作による美感を備えた本件登録意匠の類似範囲に含まれるものである。
4.むすび
以上のとおり、本件登録意匠とイ号意匠とは、意匠の要部においての差異は、全体から受ける印象に対して微差で、看者である当業者において、誤認混同を生ずるものであり、「他人の業務に係る物品と混同を生ずるおそれがあるほど似ているものである」(意匠法第5条の2)に抵触するものである。
従って、イ号意匠は本件登録意匠の類似範囲に属する、よって、本判定請求は理由のないものであって、成り立たない。
第3.当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、意匠登録原簿及び出願書類によれば、平成8年10月15日の出願に係り、平成10年5月22日に意匠権の設定の登録がなされたものであって、意匠に係る物品を「暗渠排水用バルブ」とし、その形態は、次のとおりとしたものである(別紙第1参照)。
すなわち、その基本的構成態様において、
(A)全体が円筒管を接続して構成されたものであって、下部に弁体が挿嵌されるT型継手管を設け、その上部開口部から、直管を垂直状に立設し(以下「立上げ管」という。)、その上部に異径の短円筒管からなる継手管(以下「異径継手管」という。)を介して弁体操作用の取手を保護する管体(以下「保護容器」という。)を接続し、その上端の開口部に蓋を被せたものであり、
(B)全体の構成比について、T型継手管と立上げ管をほぼ同径とし、保護容器の径を立上げ管の径の約2倍とし、立上げ管の長さを径の約10倍程度とし、保護容器の長さは、立上げ管の長さの約3分の1強とし、
各部の具体的な態様において、
(C)T型継手管につき、正面視逆T字状に配設し、上部円筒管の長さを左右の接続部の長さとほぼ同じ長さとし、中央部下半分を外周面に沿って幅広矩形状の凹部を形成し、
(D)異径継手管につき、下部の細径短管から上部の太径短管へ漸次拡径する逆円錐台状の管を介して一体的に形成し、
(E)蓋につき、全体として保護容器の径より僅かに大きな円板状とし、その上面を周縁部に細幅帯状の余地部を設けて、円形状の凹部を形成し、その中心部に半円輪状の取手を設け、保護容器に被せた状態において、蓋の周側面が保護容器の上端部周縁に細幅帯状に表れるものである。
2.イ号意匠
イ号意匠は、請求人が提出したイ号図面(甲第1号証)及びイ号意匠の説明書(甲第1号証の1)によれば、意匠に係る物品を「暗渠排水用バルブ」とし、その形態については、次のとおりとしたものである(別紙第2参照)。
すなわち、その基本的構成態様において、
(A)全体が円筒管を接続して構成されたものであって、下部に弁体が挿嵌されるT型継手管を設け、その上部開口部から、立上げ管を立設し、その上部に立上げ管全体の長さを調節するため、保護容器とほぼ同じ長さの円筒管(以下「長さ調節管」という。)を下部の立上げ管の外周面に接続し、その上部に異径の短円筒管からなる異径継手管を介して弁体操作用の取手を保護する保護容器を接続し、その上端の開口部に蓋を被せたものであって、
(B)全体の構成比について、T型継手管と立上げ管をほぼ同径とし、保護容器の径を立上げ管の径の約2倍とし、立上げ管の長さを径の約10倍程度とし、保護容器の長さは、立上げ管の長さの約3分の1強とし、
各部の具体的な態様において、
(C)T型継手管につき、正面視逆T字状に配設し、上部円筒管の長さを左右の接続部の長さとほぼ同じ長さとし、中央部下半分を外周面に沿って幅広矩形状の凹部を形成し、
(D)異径継手管につき、下部の細径短管と上部の太径短管を側面視逆凸字状に一体的に形成し、その太径短管の下面と細径短管の外周面に一体化した縦方向の略直角三角形状の薄板体を4片等間隔に設け、さらに、それらの間に同様な態様で太径短管の下面寄りに細幅矩形状の薄板体を設け、
(E)蓋につき、全体として保護容器の径より僅かに大きな円板状とし、その上面に略長方形凹部2個を周縁寄りに並設し、保護容器に被せた状態において、蓋の周側面が保護容器の上端部周縁に細幅帯状に表れるものである。
3.本件登録意匠とイ号意匠との比較
(1)意匠に係る物品については、両意匠ともに水閘と称する暗渠排水用バルブであるから、一致している。
(2)形態については、主として以下の点に共通点及び差異点が認められる。
すなわち、両意匠の共通点として、
基本的構成態様において、(A)全体が円筒管を接続して構成されたものであって、下部に弁体が挿嵌されるT型継手管を設け、その上部開口部から、立上げ管を立設し、その上部に異径継手管を介して保護容器を接続し、その上端の開口部に蓋を被せた点、
(B)全体の構成比について、T型継手管と立上げ管をほぼ同径とし、保護容器の径を立上げ管の径の約2倍とし、立上げ管の長さを径の約10倍程度とし、保護容器の長さは、立上げ管の長さの約3分の1強とした点が認められる。
また、各部の具体的な態様においても、
(C)T型継手管につき、正面視逆T字状に配設し、上部円筒管の長さを左右の接続部の長さとほぼ同じ長さとし、中央部下半分を外周面に沿って幅広矩形状の凹部を形成した点、
(E)蓋につき、全体として保護容器の径より僅かに大きな円板状とし、保護容器に被せた状態において、蓋の周側面が保護容器の上端部周縁に細幅帯状に表れる点が認められる。
一方、両意匠には、基本的な構成態様及び各部の具体的な態様において、以下の点に差異が認められる。
基本的構成態様において、
(a)立上げ管につき、イ号意匠は、上部に保護容器とほぼ同じ長さの長さ調節管を下部の立上げ管の外周面に接続しているのに対して、本件登録意匠は、そのような長さ調節管がない点、
また、各部の具体的な態様において、
(d)異径継手管につき、本件登録意匠は、下部の細径短管から上部の太径短管へ漸次拡径する逆円錐台状の管を介して一体的に形成しているのに対して、イ号意匠は、下部の細径短管と上部の太径短管を側面視逆凸字状に一体的に形成し、その太径短管の下面と細径短管の外周面に一体化した縦方向の略直角三角形状の薄板体を4片等間隔に設け、さらに、それらの間に同様な態様で太径短管の下面寄りに細幅矩形状の薄板体を設けている点、
(e)蓋につき、本件登録意匠は、上面を周縁部に細幅帯状の余地部を設けて、円形状の凹部を形成し、その中心部に半円輪状の取手を設けているのに対して、イ号意匠は、上面に略長方形凹部2個を周縁寄りに並設している点が認められる。
4.両意匠の類否判断
そこで、本件登録意匠とイ号意匠を全体として観察し、共通点及び差異点の類否判断に与える影響について、総合的に考察する。
(1)まず、両意匠において共通するとした基本的構成態様(A)及び(B)について、これらの態様は、形態全体に係るところであり、骨格的な態様であるが、この種物品分野において、まず、基本的構成態様(A)のうち、立上げ管と保護容器の間の異径継手管を除いた態様のものが、例えば、特許庁発行の公開実用新案公報に記載された昭53-70723号の第2図(別紙第3参照)、同昭54-153146号の第1図(別紙第4参照)に示されているように、本件登録意匠の出願前に見受けられるものであるから、この態様は、格別高く評価することができないものである。
また、立上げ管と保護容器の間に異径継手管を介して接続した態様については、水閘においては本件登録意匠の出願前に見受けられず、本件登録意匠の特徴であるとしても、保護容器の下部を漸次縮径して立上げ管と接続したものが、上記公開実用新案公報に記載された昭54-153146号の第4図の外套(8)にみられ、径の異なる管同士を接続するために、異径継手管を介することは、配管の手法として極普通に行われているところであるから(例えば、公開実用新案公報記載、実開昭49-125317号の第1図に示された管継ぎ手:別紙第5参照)、この態様も、格別高く評価することができないものである。
基本的構成態様(B)についても、ほぼ同様の構成比率のものが、前記公開実用新案公報に記載された昭53-70723号の第2図の水閘に見受けられることから、格別高く評価することができないものである。
そうすると、共通するとした基本的構成態様(A)及び(B)は、いずれも類否判断に及ぼす影響は小さいものといわざるを得ない。
次に、各部の具体的な態様における共通点について、(C)のT型継手管については、同様の態様のものが、前記公開実用新案公報に記載された昭53-70723号の第2図の水閘に見受けられ、中央部下半分を外周面に沿って幅広矩形状の凹部を形成している点は、当該部位が下端部で、形態全体から見れば局部的で格別目立つものではないから、類否判断に及ぼす影響は僅かなものである。(E)の蓋については、同様の態様のものが、前記公開実用新案公報に記載された昭54-153146号の第1図の水閘の蓋に見受けられることから、類否判断に及ぼす影響は僅かなものである。
(2)一方、基本的構成態様における差異点(a)について、この差異は、立上げ管上部の長さ調節管の有無の差であるが、イ号意匠に見られる長さ調節管は、その長さが、保護容器とほぼ同じ長さを有し、その位置が形態全体の中央部寄りであって、上方の異径継手管とともに目立つ部位にあることから、この差異は、微弱なものとはいえず、類否判断に及ぼす影響は大きいものといわざるを得ない。
各部の具体的な態様における差異点(d)について、この差異は、異径継手管の形状の差であるが、本件登録意匠は、下部から細径短管、逆円錐台状管及び太径短管を一体的に形成しており、特に太径短管の長さが、上部の保護容器の長さの3分の1強の長さを有していることから、形態全体からみれば、異径継手管全体が目立つものであるのに対して、イ号意匠は、本件登録意匠にみられる細径短管と太径短管の間の円錐台状管がなく、また、太径短管の長さが短く、細径短管外周面の薄板体も間隔おいて設けていることから、形態全体からみれば、異径継手管全体がさほど目立つものとはいえず、さらに、イ号意匠は、異径継手管の下部に長さ調節管があるから、異径継手管と長さ調節管とが相まって、形態全体としてみた場合、両意匠は看者に別異の印象を与えるものであり、この差異は微弱なものとはいえず、類否判断に与える影響は大きいものといわざるを得ない。
差異点(e)について、この差異は、蓋の上面の態様の差であるが、当該物品が埋設された状態においては、蓋の上面のみが見えるとしても、形態全体からみれば、その全体に占める割合は小さいものであり、格別目立つものではないから、この差異は部分的かつ微弱なものというほかない。
(3)以上を総合すると、両意匠の共通するとした基本的構成態様(A)及び(B)は、いずれも類否判断に及ぼす影響は小さいものであり、また、各部の具体的な態様における共通点(C)及び(E)は、類否判断に及ぼす影響は僅かなものであり、それらのまとまりは、一定の共通感を生じさせるものとしても、基本的構成態様における差異点(a)及び各部の具体的な態様における差異点(d)の類否判断に及ぼす影響は大きいものであり、とりわけこれらの差異点が相まって、看者に別異の印象を与えるものである。
したがって、両意匠は、意匠に係る物品が一致するが、形態において、形態全体としてみた場合、前記の類否判断に及ぼす影響が大きい差異点(a)及び差異点(d)が、前記の共通する態様のまとまりを凌駕するものであり、また、他の差異点もあるから、イ号意匠は、本件登録意匠に類似するものということができない。
5.むすび
以上のとおりであるから、イ号意匠は、本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しないものである。
よって、結論のとおり判定する。
別掲
判定日 2007-06-11 
出願番号 意願平8-30910 
審決分類 D 1 2・ 1- ZA (M2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 橘 崇生 
特許庁審判長 藤 正明
特許庁審判官 市村 節子
山崎 裕造
登録日 1998-05-22 
登録番号 意匠登録第1016528号(D1016528) 
代理人 今枝 弘充 
代理人 熊谷 繁 
代理人 牛木 護 
代理人 吉田 正義 
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