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審決分類 審判 補正却下不服  図面(意匠の説明を含む) 取り消す B5
管理番号 1162264 
審判番号 補正2006-50022
総通号数 93 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2007-09-28 
種別 補正却下不服の審決 
審判請求日 2006-12-26 
確定日 2007-05-08 
意匠に係る物品 履物 
事件の表示 意願2006- 11977「履物」において、平成18年6月22日付けでした手続補正に対してされた補正却下決定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原決定を取り消す。
理由 1.本願の手続の経緯
本願は、意匠法第10条の2第1項の規定による(原出願を意願2005-26313号とする。)平成18年5月11日の意匠登録出願である。
本願について、平成18年5月12日付で、願書添付の図面のうち、【斜視図】【背面図】【正面図】【右側面図】【左側面図】【平面図】【底面図】につき、「形状が不鮮明な図面・写真は認められません。」との理由により、特許庁長官による手続補正指令が発せられた。これに対して、出願人は、平成18年6月22日付で、手続補正書(方式)を提出した。
この手続補正に対して、原審では、「上記手続補正書により添付図面を全図変更する補正をされましたが、「実施例1の斜視図」「実施例1の正面図」「実施例1の背面図」「実施例1の右側面図」「実施例1の左側面図」「実施例1の平面図」「実施例1の底面図」及び「実施例2の斜視図」「実施例2の正面図」「実施例2の背面図」「実施例2の右側面図」「実施例2の左側面図」「実施例2の平面図」「実施例2の底面図」によって表された意匠は、出願当初の願書に添付された図面には記載されていないため、上記手続補正書による補正は、出願当初の願書に添付した図面の要旨を変更するものと認められます。」との理由で、意匠法第17条の2第1項の規定により、補正の却下の決定をした。
2.請求人の主張
この補正の却下の決定に対して、請求人は、要旨以下のように主張する。
本願の出願当初(平成18年5月11日提出)の願書において、「意匠の説明」の欄に、「実施例1では、斜視図?底面図に示すように、白いラインより上の部分Aをクレームする。ただしラインCの中の部分を除く。実施例2では、斜視図?底面図に示すように、白いラインより下の部分Bをクレームする。実施例3では、底面参考図に示すA、B、C、Dで囲まれるそれぞれの部分をクレームする。各文字A、B、C、Dおよび白いラインは意匠を構成するものではない。」と記載している。
出願当初の願書に添付した図面において、「斜視図」?「底面図」に表された履物の意匠は、「参考斜視図1」?「参考底面図1」に表された履物の意匠、および「参考斜視図2」?「参考平面図3」表された履物の意匠と同じであることが明らかである。
従って、平成18年6月22日提出の手続補正書により変更した図(「実施例1の斜視図」「実施例1の正面図」「実施例1の背面図」「実施例1の右側面図」・・・「実施例2の底面図」)によって表された意匠は、出願当初の願書および願書に添付した図面から当業者にとって明らかであり、この手続補正書による補正は出願当初の願書に添付した図面の要旨を変更するものではないと思料する。
3.補正却下の当否
(1)本願の出願当初の意匠
本願の出願当初の願書及び願書添付の図面によれば、出願当初の本願には、以下の6つの意匠が包含されているものと認められる。
(ア)【意匠の説明】の欄で、「実施例1では、斜視図?底面図に示すように、白いラインより上の部分Aをクレームする。ただしラインCの中の部分を除く。」と説明され、【斜視図】及び一組の図面(6面図)に記載された意匠(以下、「意匠1」という。)。
(イ)【意匠の説明】の欄で、「実施例2では、斜視図?底面図に示すように、白いラインより下の部分Bをクレームする。」と説明され、【斜視図】及び一組の図面(6面図)に記載された意匠(以下、「意匠2」という。)。
(ウ)【意匠の説明】の欄で、「実施例3では、底面参考図に示すA、B、C、Dで囲まれるそれぞれの部分をクレームする。」と説明され、底面参考図に記載された4つの意匠(以下、「意匠3?6」という。)。
そして、本願の意匠は、願書に【部分意匠】の欄はないが、【意匠の説明】の「クレームする」との記載、及び添付図面の記載から、部分意匠に係る意匠登録出願と認められる。また、【斜視図】及び一組の図面(6面図)は不鮮明な写真であるが、それらの写真によって認識されうる範囲の形態は、【参考斜視図1】?【参考底面図1】の7図、及び【参考斜視図2】?【参考平面図3】の7図によって認識される形態と同一であり、【参考斜視図1】?【参考底面図1】の7図、及び【参考斜視図2】?【参考平面図3】の7図は、【斜視図】及び一組の図面(6面図)の不鮮明な箇所を明確にするための参考図であると認められる。
(2)補正後の意匠
本願の補正後の願書及び願書添付の図面によれば、補正後の本願には、以下の2つの意匠が包含されているものと認められる。
(ア)【意匠の説明】の欄で、「実施例1では、参考斜視図1?参考底面図1に示すように、白いラインより下の部分Bをクレームする。ただしラインCの中の部分を除く。」と説明され、【実施例1の斜視図】及び【実施例1の】6面図に記載された意匠(以下、「意匠B」という。)。なお、【実施例1の斜視図】及び【実施例1の】6面図において、部分Bに相当する部分を実線で表し、他の部分を破線で表している。
(イ)【意匠の説明】の欄で、「実施例2では、参考斜視図1?参考底面図1に示すように、白いラインより上の部分Aをクレームする。」と説明され、【実施例2の斜視図】及び【実施例2の】6面図に記載された意匠(以下、「意匠A」という。)。なお、【実施例2の斜視図】及び【実施例2の】6面図において、部分Aに相当する部分を実線で表し、他の部分を破線で表している。
そして、その意匠は、願書に【部分意匠】の欄はないが、【意匠の説明】の「クレームする」との記載、及び添付図面の記載から、部分意匠に係る意匠登録出願と認められる。また、【参考斜視図1】?【参考底面図1】の7図は、【意匠の説明】の記載とともに「意匠登録を受けようとする部分」を明確にするための参考図、【参考斜視図3】?【参考底面図3】の7図は、破線部を実線で表した参考図、及び【参考斜視図4】?【参考平面図5】の7図は本願意匠の実施例を写真で現した参考図と認められる。なお、【意匠の説明】の欄には、出願当初の「実施例3では、底面参考図に示すA、B、C、Dで囲まれるそれぞれの部分をクレームする。」との説明が削除されており、【参考底面図2】のA、B、C、Dの記載は、本願意匠の認定に影響を及ぼさないものと認められる。
(3)出願当初の意匠と補正後の意匠の対比
出願当初の意匠と補正後の意匠とを対比すると、補正後の意匠には、出願当初の意匠3?6に当たるものが削除されているが、補正後の意匠Aは、出願当初の意匠1と同一であり、補正後の意匠Bは、出願当初の意匠2と同一である。
したがって、原審の、「実施例1の斜視図」?「実施例1の底面図」及び「実施例2の斜視図」?「実施例2の底面図」によって表された意匠は、出願当初の願書に添付された図面には記載されていないとの認定は相当でない。
(4)要旨変更の有無
以上のように、本件補正は、出願当初6つの意匠を包含していた意匠登録出願から、4つの意匠を削除した補正であるが、二以上の意匠を包含する意匠登録出願について意匠の一部を除外して残余の意匠に減縮するためには、意匠法は手続の補正の制限を設けているにとどまるから、手続の補正によらざるをえないものである(意匠審査便覧17.3参照)。また、分割の手続によらなくとも、これを例外的に補正として取り扱う(意匠審査便覧30.02参照)。
そして、補正後の意匠Aは、出願当初の意匠1と同一であり、補正後の意匠Bは、出願当初の意匠2と同一であるから、この補正は要旨を変更しないものである。
4.むすび
以上のとおり、平成18年6月22日付手続補正書による補正を意匠法第17条の2第1項の規定により却下すべきものとした原審における決定は不当であって、取り消しを免れない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2007-04-23 
出願番号 意願2006-11977(D2006-11977) 
審決分類 D 1 7・ 1- W (B5)
最終処分 成立  
前審関与審査官 石坂 陽子 
特許庁審判長 梅澤 修
特許庁審判官 鍋田 和宣
杉山 太一
登録日 2007-08-10 
登録番号 意匠登録第1309955号(D1309955) 
代理人 山本 秀策 
代理人 森下 夏樹 
代理人 安村 高明 

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