• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判    F4
管理番号 1162276 
審判番号 無効2006-88018
総通号数 93 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2007-09-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2006-10-24 
確定日 2007-07-17 
意匠に係る物品 プリザーブドフラワー用包装容器 
事件の表示 上記当事者間の登録第1232402号「プリザーブドフラワー用包装容器」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1232402号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1.請求人の申立及び理由
請求人は、結論と同旨の審決を求める、と申し立て、その理由として、審判請求書の記載のとおり主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証の書証を提出した。その要点は以下のとおりである。
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成16年4月1日に出願され、意匠に係る物品を「プリザーブドフラワー用包装容器」とし、平成17年1月21日に意匠権の設定の登録がされた意匠登録第1232402号の意匠である。
2.無効理由の要点
本件登録意匠は、その創作をした者でない者であって本件登録意匠について意匠登録を受ける権利を承継しないものの意匠登録出願に対してされたものであり、また、本件登録意匠の出願前に、日本国内又は外国において公然知られた意匠に類似する意匠で、意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができないものであり、同法第48条第1項第1号又は同条同項第3号に該当し、無効とすべきである。
3.本件登録意匠を無効とすべき理由1(冒認出願について)
(1)本件登録意匠の真の創作者
イ.本件登録意匠は、審判請求人株式会社大近の従業者である首藤信行氏と、エクアドル共和国を所在としプリザーブドフラワーの生産を主な業務とする法人「ローズガーデン社」の代表者である小宮正純氏と、同社の従業者であるディエゴ・ウクロス氏との共同創作である。
ロ.被請求人株式会社プリマベーラ(なお、被請求人は、審判請求後、本件登録意匠に係る意匠権の移転登録申請がなされ、権利者が坂妙子氏に移転している。)の代表者であり、本件登録意匠の創作者と記載されている春名薫氏は、首藤氏が、2004年2月下旬頃に株式会社大近・パルポート事務所にてプリザーブドフラワーの茎部分にピンを刺した商品サンプルを見せ、このとき首藤氏らの創作に係るプリザーブドフラワー用包装容器を知得したのだから、真の創作者ではない。
(2)本件登録意匠の創作過程
イ.甲第1号証に記載の通り、首藤氏は、2003年10月8日にコロンビア共和国のボコダ空港においてコーヒーを試飲している際、プラスチックのコーヒーカップをプリザーブドフラワー用包装容器に転用する着想を得た。
ロ.小宮氏は、首藤氏との打合せ及びウクロス氏との試行錯誤の結果、遅くとも同年12月初旬までに、容器の底部を開口し、底部を膨らませて円弧状とした形態のプリザーブドフラワー用包装容器を完成させた。
(3)意匠登録を受ける権利の帰属
意匠登録を受ける権利は、首藤氏、小宮氏及びウクロス氏の各人から被請求人又はその他の者に譲渡された事実はなく、また、各人の属する会社の職務意匠創作規定により、各人の属する会社から被請求人又はその他の者に譲渡された事実もない。
(4)本件登録意匠の創作者の知得ルート
イ.甲第1号証に記載の通り、本件登録意匠を用いて包装された商品サンプルが、2004年2月8日に株式会社大近・パルポート事務所に到着し、同月15日には、包装容器の底部から突き出たプリザーブドフラワーの茎部分にピンを刺した商品サンプルが株式会社大近・パルポート事務所に到着した。
ロ.首藤氏は、2004年2月下旬頃に株式会社大近・パルポート事務所にて被請求人株式会社プリマベーラの代表者であり、本件登録意匠の創作者と記載されている春名薫氏に、プリザーブドフラワーの茎部分にピンを刺した商品サンプルを見せた。このとき、春名氏は首藤氏らの創作に係るプリザーブドフラワー用包装容器を知得した。
(5)よって、被請求人株式会社プリマベーラは、本件登録意匠の創作をした者でない者であって本件登録意匠について意匠登録を受ける権利を承継していないから、本件意匠登録は、意匠法第48条第1項第3号に該当する。
4.本件登録意匠を無効とすべき理由2(新規性について)
(1)本件登録意匠
本件登録意匠は、願書及び願書に添付された図面の記載によれば、意匠に係る物品を「プリザーブドフラワー用包装容器」とし、その形態は、基本的構成態様が、全体をカップ状とし、カップの外周を、下方に向かうにつれて徐々に円の直径が縮小するようテーパーを設けると共に複数の段が形成され、各部の具体的構成態様は、底部を円弧状とし、底部の中央を開口したものである。
(2)先行意匠が存在する事実及び証拠の説明
イ.甲第3号証は、上述の通り、本件登録意匠の出願前である2004年2月8日、株式会社大近・パルポート事務所に到着した「プリザーブドフラワー用包装容器」の意匠(以下、「甲号意匠」という。)を用いて包装されたプリザーブドフラワーの商品サンプルの写真であって、首藤氏は、2004年2月9日に、上記商品サンプルをデジタルカメラで撮影し、電子メールを小宮氏宛に送信した(甲第1号証参照)。
ロ.首藤氏は、同年2月中旬頃、上記商品サンプル又は同月15日に株式会社大近・パルポート事務所に到着した、プリザーブドフラワーの茎部分にピンを刺した商品サンプルを、株式会社日比谷花壇の藤居義勝氏に見せて販売商品としての採用を提案した(甲第4号証参照)。
ハ.よって、先行意匠は、本件登録意匠の出願前に日本国内又は外国において公然知られた意匠である。
(3)甲号意匠
甲号意匠は、甲第3号証の写真によれば、意匠に係る物品を「プリザーブドフラワー用包装容器」とし、その形態は、基本的構成態様が、全体をカップ状とし、カップの外周を、下方に向かうにつれて徐々に円の直径が縮小するようテーパーを設けると共に複数の段が形成され、各部の具体的構成態様は、カップ外周の3段目のテーパーに縦方向に伸びる複数の凹みが形成され、底部を円弧状とし、底部の中央を開口したものである。
(4)先行周辺意匠
カップの外周について、本件登録意匠と同様に、下方に向かうにつれて徐々に円の直径が縮小するようテーパーを設けると共に複数の段が形成されているものは、本件登録意匠の出願前から公然知られている(甲第5号証、甲第6号証参照。)。
(5)本件登録意匠と甲号意匠との対比
意匠に係る物品は、両意匠ともに「プリザーブドフラワー用包装容器」に関し、同一の物品である。その形態については、以下の共通点と差異点が認められる。
すなわち、全体をカップ状とし、カップの外周を、下方に向かうにつれて徐々に円の直径が縮小するようテーパーを設けると共に複数の段が形成された基本的構成態様、及び各部の具体的構成態様につき、底部を円弧状とし、底部の中央を開口した点において両意匠は共通する。
一方、各部の具体的構成態様につき、甲号意匠は、カップの外周の3段目のテーパーに縦方向に伸びる複数の凹みが形成されているのに、本件登録意匠は、かかる凹みが形成されていない点が相違する。
(6)本件登録意匠と甲号意匠の類否判断
両意匠の類否を検討すると、共通する基本的構成態様は、具体的構成態様の共通点と共に、両意匠の基調を形成しているのに対して、カップの外周の3段目のテーパーに縦方向に伸びる複数の凹みが形成されているか否かの差異は、両意匠の類否判断に与える影響が微弱である。
また、差異点を総合しても、両意匠の共通感を凌駕するものではないので、本件登録意匠は、甲号意匠に類似するものである。
よって、本件登録意匠は、意匠法第48条第1項第3号に該当する。
5.むすび
以上のとおり、本件登録意匠は、その創作をした者でない者であって本件登録意匠について意匠登録を受ける権利を承継しないものの意匠登録出願に対してされたものであり、また、意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができないものであり、同法第48条第1項第1号又は同条同項第3号に該当し、無効とすべきである。
第2.被請求人の答弁
被請求人に対して、期間を指定して答弁書の提出を求めたが、その期間を経過しても、被請求人からは、答弁書の提出がなかったものである。
第3.当審の判断
1.無効理由2(新規性)について
まず、本件登録意匠を無効とすべき理由2(新規性について)について判断する。
(1)本件登録意匠
本件登録意匠は、平成16年4月1日の出願に係り、平成17年1月21日に意匠権の設定の登録がなされた意匠登録第1232402号であって、願書及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品を「プリザーブドフラワー用包装容器」とし、その形態を、願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。
(2)甲号意匠
甲号意匠は、甲第3号証の「先行の公知意匠の写真」による、本件登録意匠の出願前である2004年2月8日に株式会社大近・パルポート事務所に到着したプリザーブドフラワーの商品サンプルの写真(撮影日時:平成16年2月9日)に現された「プリザーブドフラワー用包装容器」の意匠であって、当該商品サンプルが、2004年2月中旬頃に株式会社日比谷花壇の藤居義勝氏に販売商品としての採用の提案がなされ(甲第4号証参照)、少なくとも、2004年2月中旬頃までには、公然知られた意匠となったものと認められ、意匠に係る物品を、「プリザーブドフラワー用包装容器」とし、その形態を、当該写真に現されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。
(3)本件登録意匠と甲号意匠との対比
本件登録意匠と甲号意匠とを対比すると、両意匠は、意匠に係る物品がともに「プリザーブドフラワー用包装容器」であって共通し、形態について、以下に示すとおり、共通点及び差異点が認められる。
両意匠は、(A)全体形状を、平面視円形状とする底部を有する上方を開放する略円筒状で、下方が縮径して窄ませたカップ状とし、側壁の上下方向の上方と中央よりやや下方の位置とに、内側に僅かに水平に屈曲して縮径する段部を形成して、側壁を三段構成とした基本的構成態様、さらに、各部の具体的構成態様のうち、(B)側壁の上端に、側壁から外方向に水平状に屈曲して突出する細幅帯状のフランジ部を形成した点、(C)側壁の傾斜について、上段部を垂直とし、中段部を下方に従い漸次僅かに縮径する緩やかな傾斜とし、下段部を中段部よりさらに傾斜を強くし、その下端直径を上端フランジ部最大直径の約1/2とした点、(D)底部形状を、中央部が下方に突出する凸部を形成し、その頂部中心に小開口部を形成した点が共通する。
一方、両意匠は、各部の具体的構成態様のうち、(ア)側壁の下段部形状を、本件登録意匠は、凹凸のない傾斜面としたのに対して、甲号意匠は、横断面正10角形状で、各辺外方向に緩やかな円弧状に膨らませた縦に並列状の凸部を形成した点、(イ)底部形状を、本願意匠は、外縁に沿って水平状の細幅余白部を残して、短円筒状に下方に僅かに突出させ、さらに、その下面周囲に細幅余白部を残して中央に、縦断面円弧状とする湾曲面状凸部を形成し、その頂部中心に小円形開口部を形成したのに対して、引用意匠は、中央部が略逆低三角錘状に下方に突出する凸部を形成し、側壁部との角部及び開口部の態様が、写真が不鮮明等のため不明である点に差異がある。
(4)本件登録意匠と甲号意匠の類否判断
そこで、これらの共通点及び差異点を対比検討して、両意匠の類否を意匠全体として判断する。
この種プリザーブドフラワー用包装容器は、保存加工された生花を、容器の上方開放部から挿入し、花の茎部分を底部の開口部に差し込み、花部分を容器で包み込み収納できるように包装するものであり、この種意匠においては、通常斜め上方から視認される構成態様が、看者の注意を惹くものと認められる。
そうとすれば、共通点(A)全体形状及び側壁三段構成による意匠全体の基本的構成態様は、全体の骨格を形成するものであり、特に、カップ状の側壁の三段構成の構成態様は、通常視認される斜視状態において視覚的に格別目立ち、かつ、その共通性は酷似する程顕著であり、看者の注意を惹くものである。加えて、共通点(B)フランジ部形状、(C)側壁傾斜及び(D)底部形状の構成態様は、具体的構成態様のうち、大きな部位を占め、かつ、共通性が顕著であり、看者の注意を惹くものである。したがって、共通点(A)ないし(D)の構成態様の相まって奏する視覚的効果は、意匠全体として、両意匠に強く共通した美感を起こさせるものである。
これに対して、差異点は、微弱なものであり、意匠全体として両意匠の共通する美感を変更するものではない。
すなわち、差異点(ア)側壁下段部形状の差異は、下段部が側壁の下方という一部位に係るものであって、かつ、甲号意匠の縦並列状凸部の態様も、この種包装用容器の分野において、普通に見られる態様であって、特徴的な態様ではなく(例えば、意匠登録第978664号、意匠登録第1086711号等参照)、この差異は、格別看者の注意を惹くものではない。
差異点(イ)底部形状の差異は、底部という視認し難い部分に係る差異であって、かつ、本願意匠の湾曲面状凸部も、湾曲面が緩やかなもので、注視して分かる程度の僅かなものに過ぎず、また、引用意匠の側壁部との角部及び開口部の態様が不明であるとしても、側壁部との角部及び頂部開口部が、極めて局所的な箇所であるから、この差異は、看者の注意を惹くものではない。
そして、差異点(ア)及び(イ)の相まって奏する視覚的効果を勘案しても、差異点は、意匠全体として、両意匠の共通する美感を変更するまでのものではない。
以上のとおり、本件登録意匠は、甲号意匠と意匠に係る物品が一致し、形態においても、共通点が差異点を凌駕し、意匠全体として美感が共通し、甲号意匠に類似するものである。
(5)小括
したがって、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当する。
2.むすび
以上のとおりであり、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当し、同条同項の規定に違反して登録されたものであるから、その他の無効理由について検討するまでもなく、意匠法第48条第1項第1号の規定に該当し、その登録は無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2007-05-10 
結審通知日 2007-05-15 
審決日 2007-06-01 
出願番号 意願2004-10131(D2004-10131) 
審決分類 D 1 113・ 113- Z (F4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 石坂 陽子神谷 由紀 
特許庁審判長 梅澤 修
特許庁審判官 鍋田 和宣
杉山 太一
登録日 2005-01-21 
登録番号 意匠登録第1232402号(D1232402) 
代理人 渥美 元幸 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ