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審決分類 |
審判 L2 |
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管理番号 | 1162277 |
審判番号 | 無効2005-88025 |
総通号数 | 93 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2007-09-28 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2005-11-04 |
確定日 | 2007-07-02 |
意匠に係る物品 | 車止めブロツク |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第0885975号「車止めブロツク」の意匠登録無効審判事件についてされた平成18年 6月20日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成18年(行ケ)第10337号平成18年12月11日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1.本件登録意匠 本件登録意匠は、意匠登録原簿及び出願書類の記載によれば、平成3年2月15日の意匠登録出願に係り、平成5年9月10日に登録第885975号として意匠権の設定の登録がなされたものであって、意匠に係る物品を「車止めブロック」とし、その形態は、願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのものである(別紙参照)。 2.経緯 (1)請求人は、平成17年11月4日付けで本件登録意匠につき意匠登録無効審判請求をした。その理由として要旨以下のとおり主張し、証拠として甲第1号証ないし甲第16号証を提出した。 本件登録意匠は、その出願前に頒布したパンフレット(甲第1号証及び甲第2号証)に記載された〈車止めブロックNAAタイプ〉の意匠に類似する意匠であるから、意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができないものであり、同法第48条第1項第1号の規定により、無効とすべきものである。 (2)同請求を審理した上、平成18年6月20日に「登録第885975号の登録を無効とする。」との審決をした。 (3)これに対し、被請求人は、平成18年7月20日、知的財産高等裁判所に審決に対する訴えを提起した(平成18年(行ケ)第10337号審決取消請求事件)。同裁判所は、平成18年12月11日に審決を取り消す旨の判決を言い渡した。この判決に対し、最高裁判所に上告受理の申立てがあったが、受理しない旨の決定(決定日:平成19年4月3日)がなされ、審決取消の判決が確定したので、さらに審理を行うこととなったものである。 3.審決取消の判決理由の要点 (1)これまでの経緯に照らすと、甲2パンフレット(審判甲第2号証)が平成2年10月に作成された旨の記載は、にわかに措信し難い。そして、甲2パンフレットは、単なるカラー印刷物にすぎず、「90.10」との記載も含め、事後に作成することも不可能ではないから、上記作成月の記載から、甲2パンフレットが平成2年10月に作成されたとまで認めることはできない。 (2)また、被告は、本件登録意匠の出願前に甲2パンフレットが頒布された事実ないし被告において甲号意匠(甲2パンフレットに記載された「車止めブロックNAAタイプ」の意匠)に係るブロックの製造販売を行っていたとの事実を立証する趣旨で、審判において、甲2パンフレットのほかにも、審判甲1.甲3ないし甲11及び甲16を提出しているので、これらの証拠についても検討する。 (ア)甲1パンフレットについては、発行日の記載がなく、その作成日を特 定することはできない。 (イ)甲3依頼書・甲4価格表については、各書面は被告名義で印字しただ けのもので、いずれも事後に作成することも可能であり、「NAAタ イプ」の車止めブロックが本件登録意匠の出願前に開発されたとまで 認めることはできない。 (ウ)甲5?甲7陳述書については、カタログ等を受領したとされる平成2 年から約14年を経過した後に作成されたものであり、その作成者が いずれも被告の取引先の関係者であることを併せ考慮すると、その記 載内容の信用性には疑問があり、これらの陳述書からカタログ等が被 告により頒布されたとまで認めることはできない。 (エ)甲8図面・甲9注文書・甲10仮領収証・甲11図面については、こ れらの書面は、各名義人が記載しただけのもので、いずれも事後に作 成することも可能であり、各記載から、NAA型車止めブロックが本 件登録意匠の出願前に開発、販売されたとまで認めることはできない。 (オ)甲16陳述書については、NAA型車止めブロックを製造したカタロ グ等を受領したとされる平成元年12月から約16年を経過した後に 作成されたものであり、その作成者が被告の取引先の関係者であるこ とを併せ考慮すると、その記載内容の信用性には疑問があり、同陳述 書からNAA型車止めブロックが本件登録意匠の出願前に製造された とまで認めることはできない。 (3)以上のとおり、甲2パンフレット以外の各証拠を検討しても、本件登録意匠の出願(平成3年2月15日)前に、甲2パンフレットが頒布された事実ないし被告において甲号意匠に係るブロックの製造販売を行なっていたとの事実を認めることはできない。 (4)したがって、審決が、甲2パンフレットは本件出願前に頒布された刊行物であると認定したことに誤りというほかなく、この誤りが審決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。 4.当審の判断 (1)上記の知的財産高等裁判所(平成18年(行ケ)第10337号審決取消請求事件)の判決は、行政事件訴訟法第33条第1項の規定により、当審を拘束するものである。 (2)上記の判決主文及び判決理由によれば、本件登録意匠は、請求人の主張及び提出した証拠によっては、本件登録意匠の出願前に、甲第2号証のパンフレットが頒布された事実ないし請求人において甲号意匠(甲第2号証のパンフレットに記載された「車止めブロックNAAタイプ」の意匠)係るブロックの製造販売を行なっていたとの事実を認めることができないので、本件登録意匠が甲号意匠に類似するか否かについて検討するまでもなく、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するものとはいえない。 (3)したがって、本件登録意匠は、意匠法第48条第1項第1号の規定に違反して登録されたものとすることはできないから、その意匠登録を無効とすることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2007-04-17 |
結審通知日 | 2007-04-20 |
審決日 | 2007-05-21 |
出願番号 | 意願平3-3718 |
審決分類 |
D
1
113・
113-
Y
(L2)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 杉山 太一 |
特許庁審判長 |
藤 正明 |
特許庁審判官 |
山崎 裕造 市村 節子 |
登録日 | 1993-09-10 |
登録番号 | 意匠登録第885975号(D885975) |
代理人 | 植田 茂樹 |
代理人 | 山本 彰司 |
代理人 | 影山 光太郎 |